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『息子のまなざし』

2004年05月27日 | 映画(ま行)
『息子のまなざし』(原題:Le Fils)
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ,リュック・ダルデンヌ
出演:オリヴィエ・グルメ,モルガン・マリンヌ,イザベラ・スパール他

そんなカンヌで2002年度に主演男優賞を受賞したのがオリヴィエ・グルメです。
おそらく、過去の受賞者のなかでもっとも台詞の少ない役だったろうと言われています。
日本では去年公開、レンタルは開始になったばかり。

オリヴィエが演じるのは、職業訓練所の木工の教師(役名も同じくオリヴィエ)。
ある日、少年院から出てきた16歳のフランシスが訓練所にやってくる。
フランシスは木工クラスを希望するが、オリヴィエのクラスは手いっぱい。
フランシスは溶接クラスに回される。

しかし、フランシスのことが気になったオリヴィエは彼について調べる。
そして、やはり木工クラスで引き取ることにする。
オリヴィエの幼い息子は5年前に殺された。
実はその犯人がフランシスだったのだ。

余計なことはいっさい語られないので、
上記の事実が判明するまでにかなりの時間がかかります。

ただ、オリヴィエと妻が何か特別な事情で別れてしまったこと、
そのせいで心に深い傷を持っているであろうことなど、
観ている者にいろいろ推測させます。

10代半ばの少年に、自分の起こした事件の重みがわかるの?
加害者本人を目の前にした被害者の両親はどんな思いなの?
少年を見て半狂乱になるオリヴィエの妻。
少年に被害者の父である事実は伏せて自分のクラスに招き入れるも、
自分がどうしたいのかわからないオリヴィエ。

牛乳瓶の底のような眼鏡をかけたオリヴィエは
どんな目をしているのかも読み取れないし、
極端に無口だし、表情もありません。
それが私を苦しくして、「無表情」であることにこんなに心を衝かれたのは初めてでした。
無表情からこんなに伝わる気持ちもあるんだと。

畳み尺の持ち方、材木の運び方、
長い木を持ったままハシゴを登る練習など、
訓練所の木工クラスの様子にも興味大。

余韻がいつまでも続く作品です。

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