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『終戦のエンペラー』

2013年08月05日 | 映画(さ行)
『終戦のエンペラー』(原題:Emperor)
監督:ピーター・ウェーバー
出演:マシュー・フォックス,トミー・リー・ジョーンズ,初音映莉子,西田敏行,羽田昌義,
   火野正平,中村雅俊,夏八木勲,桃井かおり,伊武雅刀, 片岡孝太郎他

TOHOシネマズ西宮で3本ハシゴの2本目。
前述の『風立ちぬ』が「なんだかなぁ」で、テンション下がり気味で観はじめたのですが、
どちらかといえば左寄りな私が、最後は天皇陛下に泣かされてしまいました。

監督は『真珠の耳飾りの少女』(2003)のイギリス人で、製作はアメリカ。
珍しい趣の作品で、こんな戦争映画は初めてかもしれません。

1945年8月15日、日本はポツダム宣言を受諾し、第二次世界大戦が終結。
そんな敗戦直後の日本を占領統治するため、
ダグラス・マッカーサー率いるGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が上陸する。

マッカーサーはまずは戦犯の拘束に乗り出す。
彼が特に憂慮するのは、天皇を戦犯として裁判にかけるべきかどうかということ。
また、天皇が逮捕および処刑された場合の日本国民への影響がわからない。
そこで、知日家のボナー・フェラーズ准将を呼び出すと、
天皇が戦争に関与していたか否かを明らかにせよと命じる。

フェラーズに与えられた期限は10日間。
大学時代に知り合った日本人女性でかつての恋人あやとは連絡が取れず、
彼女の安否が気になるフェラーズは、今回の滞在中の通訳兼運転手である高橋に密かに調査を依頼。
その返事を待ちつつ、東条英機、近衛文麿、木戸幸一、関谷貞三郎ら、
戦犯として挙げられた人物や天皇の側近といわれる人物と面会するのだが……。

ハリウッド映画に登場する日本人はいつもヘンテコで、
本作はアメリカ側も日本側も一流の俳優をちらほら起用しているとはいえ、
やっぱりどこかヘンテコな作品なのかなぁと思っていました。

その想像どおりとまではいかないものの、
飲み屋に居合わせた日本人の描き方などは、向こうの映画に登場する日本人。
妙な日本語が飛び交わないだけ、まぁいいかと思う程度。
戦犯とされる軍人らを演ずる役者陣はそれなりというのかさすがで、
「一つの価値観」などの話も同じ日本人として興味深いものがあります。

それでも、さほど感銘は受けず、まぁ普通……てな感じで観ていたのですけれども。

最後の最後にやられました。
マッカーサーと裕仁親王の対面シーンに、予期せず涙が溢れ出てしまいました。

これがまったくの事実であるとすれば、天皇を信奉する人が多くいるのも当然でしょう。
けれどもやはり映画、美化された作り事として話半分に考えるとするならば、
マッカーサーがどうとか天皇がどうとかいうことよりも、
人としてのありかたを問う作品として観たいです。

『真夏の方程式』の原作でもっとも私の心に残った、
「相手の仕事や考え方をリスペクトし、理解しようという気持ち」がここにも見えます。
まずは先入観を取り払い、誠意を持って相対すること。
体制に背く行為をしてしまった場合、嘘をつかなければ、それを理解してくれる上司もいるということ。
そして、人のせいにしないこと。

天皇を演じた片岡孝太郎、終盤になって初めて登場するシーンに、う~ん、ちんちくりん。
こんな人を信奉していると言われても~と思ったのですけれども……、凄かったです。
ちんちくりん、もちろん撤回。すみません。

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