夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

西島秀俊、2本。

2009年05月26日 | 映画(番外編:映画とこの人)
かなり、タイプです。

でも、どんな役柄のときでも、同じ演技に思えなくもありません。
口数は少なく、ポヤ~ンとしていて、間(ま)が悪い。
それでも好きなのは、同じ演技に思えるのに、
いつもその役柄にハマって、ちがう人に見えるから。

最近の出演作でお気に入りは『真木栗ノ穴』(2007)ですが、
その後に観た2作品。いずれもレンタル新作です。

『東南角部屋二階の女』(2008)は、池田千尋という女性監督のデビュー作。
孝(西島秀俊)は、祖父の土地に建つ古アパートに住んでいる。
父親の残した借金を返済するため、
アパートを取り壊して土地を売却する話を不動産屋と進めているが、
祖父はぼけているのか、ぼけたふりをしているだけなのか、
まったく口を利こうとしない。
また、アパートは、祖父の亡弟の妻、藤子に所有権があり、
孝は取り壊しの件を藤子に言い出せずにいる。
そこへ、孝の同僚で会社を突然辞めた哲(加瀬亮)と、
お見合い相手の涼子(竹花梓)が転がり込んできて……。

ディスプレイの不具合を疑うほどの画面の明るさ。
最初はまぶしくてたまりませんでした。
ところが、慣れてくると、そのまぶしさが心地いい。
真っ暗な部屋で眠っていたら、いきなりカーテンが開けられて、
春のやわらかい陽の光が差し込んだ、終始そんな印象の作品です。

『休暇』(2007)は、吉村昭の短編小説の映画化。
刑務官、平井(小林薫)は、子連れの未亡人と見合い結婚することに。
結婚式の日取りは決めたものの、新婚旅行のための休暇は取れそうにない。
そんなとき、死刑囚の金田(西島秀俊)の刑の執行が確定。
死刑囚の体を受け止める「支え役」を担当した者には
1週間の特別休暇が与えられることを知り、
平井は支え役を志願するのだが……。

『東南角部屋二階の女』と、陰陽のちがいは若干あるものの、
西島秀俊は相変わらず何を考えいるのかわからない男役。
凶悪な罪を犯したにもかかわらず、おとなしく、聞き分けが良く、
鉛筆画を描くのが趣味で、刑務官をてこずらせることは皆無です。
しかし、刑執行当日の彼は凄い。
その場におよんでも暴れることはありませんが、
肩を静かに震わせ、歯を食いしばる表情は迫真。圧巻。

やっぱり、いつも同じ演技だなんて失礼か。
善人も悪人も狂人もあんな風なのに、それがハマるんだから。
役柄のほうが勝手に西島秀俊にハマってくるんです、きっと。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 〈番外編〉喪の色・追記 | トップ | 『ブロードウェイ♪ブロードウ... »

映画(番外編:映画とこの人)」カテゴリの最新記事