夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

そうだ、甲子園に行こう。

2009年07月23日 | 映画(番外編:映画とスポーツ)
なかば意地で購入し続けている甲子園の年間予約席。
昨日は前半戦最後の試合、ほとんど何の見どころもないまま終了。
帰宅したら、虎ファンのはずの近所のおっちゃんの家から歓声が。
どうやらおっちゃんは現実を直視できず、
延長戦で西武に勝ったオリックスに逃避していた模様です。

他球団に心のよりどころを求めるのは私にはムリなので、
こんな日は高校野球に行っとこ。

これまで書くタイミングを逸していましたが、
『ひゃくはち』(2008)は、今年前半に観た映画の中でも
上位3本に入るほど、心をがっちり掴まれた作品です。
キャッチコピーは「青春って、甲子園って、こんなに泣けたっけ」。

雅人とノブは、甲子園の常連、京浜高校野球部の補欠部員。
2人そろってベンチ入りしようと誓い合い、猛練習に耐える。
しかし、彼らに与えられる役回りといえば、
他校の偵察隊やレギュラーの世話係ばかり。

彼らにとって最後の年がやって来る。
ベンチ入りの当落線上ギリギリの2人が、
夏の甲子園では共に夢を果たせるかと思いきや、大物新人が入部。
ベンチ入りの枠は残すところ1つとなり、
あろうことか雅人とノブが最大のライバルとなってしまう。

……というストーリーです。

補欠部員にスポットを当てた、今までありそうでなかった映画。
タイトルの「ひゃくはち」は煩悩の数。
酒にタバコに女子大生との合コンなどなど、
いくら甲子園を目指す名門校の生徒といえども、
男子高校生の頭から煩悩が消えることはありません。
それが可笑しくもあり、切なくもあり、
いつしか彼らと毎日を過ごしている気分にさせられます。

純粋な野球少年らしからぬ彼らの姿を見て絶句する新米女性記者や、
そんな彼女を甘いとせせら笑う先輩記者。
プロ野球のスカウトと癒着しまくりの野球部監督。
綺麗事ばかりじゃない世界もきっちり描かれています。

ネタバレですが、
レギュラー選手が故障して、ベンチ入りできることになったとき、
喜んでいいかどうかわからない友だちに向かって、
「不謹慎だけど、喜べ!」という台詞は、
それこそ不謹慎ですけれど、心に響きました。

ベンチ入りしても、試合に出られることはきっとない。
だけど、一瞬でも甲子園の土を踏めることがあるならと、
雅人とノブが懸命にあることを練習するシーンは、
そのタネ明かしがされたとき、もうボロ泣き。

野球を愛するすべての人に。
あらためて、野球が好きになります。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『キューティ・バニー』 | トップ | 『コレラの時代の愛』 »

映画(番外編:映画とスポーツ)」カテゴリの最新記事