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イタリア料理は映画になる(その3)

2004年06月07日 | 映画(番外編:映画と食べ物・飲み物)
『マーサの幸せレシピ』(2001)はドイツの作品。

ハンブルクの高級レストランで腕をふるうのは30代の独身女性シェフ、マーサ。
明けても暮れても料理のことしか頭にない彼女は
他人を寄せつけず、客と喧嘩することもしばしば。
「フォアグラが生だ」と怒る客に「これは理想的なフォアグラよ。
レバーソーセージが食いたきゃ、大衆食堂へ行って」と言い返す。

そんな彼女にオーナーは手を焼き、
「あなたが町で2番目のシェフじゃなかったら
クビにしてるところだわ」と嫌みを言う。

ある日、マーサの姉が交通事故で死亡する。
残された姉の娘リナをマーサが引き取ることに。
そして、マーサの生活は一変する。

……これはフランス料理店のお話です。
でも、主役はイタリア料理。
産休に入る料理人に代わって雇われたのがイタリア人のマリオ。
自分の立場を奪われると感じたマーサは、マリオに冷たい態度を取ります。
けれど、事故のショックで何も食べないリナが美味しそうに食べるのがマリオの料理。

厨房で所在なげにたたずむリナに、マリオはバジルの匂いを嗅がせます。
刻んだバジルとパルメザンチーズをいっぱい振ったパスタを
リナはすぐに平らげます。

マーサの料理は美しくておいしいけど、何かが足りない。
マリオといるうちに彼女自身がそれに気づきます。

オープニングはマーサがセラピストに料理の話をするシーン。
鳩とトリュフ、付け合わせのタリアッテレやラビオリと、
次々に料理を語る彼女に医者は困惑顔。
中盤ではセラピストに料理を持参するマーサ。
「料理は持ってこない約束だよ。君が一緒に食べるなら
治療の効果もあったと思うけどね」と医者。
エンディングでは彼女のレシピどおりに作ったケーキをマーサに試食させる医者。
彼が手抜きした部分をすぐに当てたマーサに
「何を使ったか味でわかるのか」と彼が尋ねると、
「いいえ、まさか。でも、何を使わなかったかはわかるのよ」
と彼女は答えます。自分に欠けていたものも知って。

心地よい音楽はキース・ジャレットの曲。
食事中に聴きたい音楽ですね。

マーサ役の女優が出演する、これもイタリア料理店が舞台の映画、
『悦楽晩餐会 または誰と寝るかという重要な問題』(1998)も
不思議な空気の群像劇でおもしろいです。
原題は店名の“Rossini”なんですけど、この邦題ってスゴクないですか。

シェフがいなけりゃ、厨房はただの台所。

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