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『偽りの隣人 ある諜報員の告白』

2021年10月12日 | 映画(あ行)
『偽りの隣人 ある諜報員の告白』(英題:Best Friend)
監督:イ・ファンギョン
出演:チョン・ウ,オ・ダルス,キム・ヒウォン,キム・ビョンチョル,イ・ユビ,
   チョ・ヒョンチョル,チ・スンヒョン,キム・ソンギョン,ヨム・ヘラン他
 
シネマート心斎橋にて3本ハシゴの2本目。
最初こそ笑えなくてゲンナリしましたが、終わってみればめちゃめちゃ良かった。
 
野党の政治家イ・ウィシクは激しい弾圧から逃れて海外に身を置いていたが、
次期大統領選への出馬を表明して緊急帰国する。
 
ところが、なんとしてでも出馬を阻止したいキム室長率いる国家安全政策部は、
ウィシクを空港で拉致して自宅軟禁に処す。
軟禁している間に、ウィシクを共産主義者に仕立て上げようという魂胆。
 
そこら中に盗聴器を仕掛けたイ家を隣家から見張るように命じられたのは、
愛国心は強いがちょっと間の抜けた諜報員ユ・デグォン。
彼がチーム長となり、部下にドンシクとヨンチョルを従えて盗聴と監視を開始するのだが……。
 
冒頭、公園のボットン便所の中にデグォンが入って盗聴器を探すシーンがあります。
こんなクソまみれの汚いところは見たくないねん。
テンションがダダ下がりだったので、この後どうなることかと思ったら、心配無用でした。
 
ウィシク役には私が顔を見ただけで笑ってしまうオ・ダルス
本作ではいつものように観客を笑わす役目はデグォン役のチョン・ウに任せ、
根っからの善人である次期大統領候補を演じています。
 
前半は笑えるシーンがいっぱい。
まさか諜報員3人で隣に住んでいますなんて言えないから、
ウィシクと彼の家族や家政婦とは出会わないようにしていたのに、
何かと遭遇する機会が生まれてしまう。
そのたびにオタオタするところが本当に可笑しい。
 
中盤からは徐々にシリアス色が濃くなってゆきます。
キム室長たちが陰謀を企んでいるとはつゆとも知らないデグォンは、
ウィシクが共産主義者だという証拠を探しますが、
そうじゃないんだからそんな証拠が出てくるはずもない。
すると今度は証拠の捏造を命じられ、当然のごとくそれを受け入れる。
でもどこかでこんなことはおかしいと思いはじめます。
 
英語タイトルの“Best Friend”の意味がわかると泣けてくる。
このラストシーンはこれまでにもありがちと言えなくもない。
でもやっぱりこういうシーンが観たいのですよね。
 
家政婦役のヨム・ヘランも最高。今後はこの人の顔を見るたびに笑ってしまうかも。
 
さすが『7番房の奇跡』(2013)のイ・ファンギョン監督。
すごく良かった。

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