夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『パッチギ!』

2005年08月15日 | 映画(は行)
『パッチギ!』
監督:井筒和幸
出演:塩谷瞬,高岡蒼佑,沢尻エリカ,楊原京子,オダギリジョー他

井筒のおっちゃんの話題作でしたから、
説明は不要かと思いますがとりあえず。
公開時、監督のインタビューをTVで見たという友人が
「インダス河がどうとかって言ってた」と教えてくれました。
そら「イムジン河」やっちゅうの。

1968年の京都。府立高校の男子生徒が
朝鮮高校の女子生徒をからかったのがきっかけで、
府立高校生の乗ったバスがひっくり返される。

新聞沙汰にもなったこの騒ぎは少々派手だが、
両校の間ではしょっちゅう諍いが起こる。
見かねた府立高校の教師は、朝鮮高校にサッカーの親善試合を申し込むよう、
2年生の康介に命ずる。

怖々、朝鮮高校に足を踏み入れた康介とその友人。
番長を探すために校内をうろついていると、吹奏楽部の演奏が聞こえてくる。
それは南北朝鮮の統一を願う曲、“イムジン河”だった。
康介はフルート奏者のキョンジャに一目惚れ。
事も有ろうに、彼女は番長アンソンの妹だった。

彼女に近づきたい一心で朝鮮語の勉強を始め、
ギターで“イムジン河”を練習する康介は
次第にアンソンたちにも仲間扱いされるようになり……。

井筒のおっちゃんはどこまでも熱く、
無名に近い俳優たちも本当にうまいです。
キョンジャ役の沢尻エリカは10月からの新ドラマ、
『1リットルの涙』の主演に抜擢されたそうな。

康介の動機は不純だけれど、懸命にアンソンたちに溶け込もうとします。
しかし、それはあくまで一方通行の思い。
両方からの思いが溶け合うことはありません。
お互いが打ち解けているように見せておきながら、
じっと考えてみれば実は一方通行。
イムジン河に象徴される、両者の間に横たわる、越えられないものがそこにあります。

『ゲロッパ!』(2003)のときもそうでしたが、
井筒のおっちゃんの作品は選曲も熱くて、どこか切なさを感じさせます。
ザ・フォーク・クルセイダーズの“イムジン河”はもちろん、
“悲しくてやりきれない”が効果的でした。
そういえば、この曲は『シコふんじゃった。』(1991)でも良かったですよね。
私はおおたか静流の歌うこの曲が大好きです。

本作を観て放送禁止歌について興味を持った方には
『放送禁止歌』(森達也著)をお薦めします。

一昨日、京都へ墓参したさい、舞台になった辺りを通り過ぎ、
またもやいろいろ考えました。

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