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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『エル ELLE』

2017年09月04日 | 映画(あ行)
『エル ELLE』(原題:Elle)
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:イザベル・ユペール,ロラン・ラフィット,アンヌ・コンシニ,
   シャルル・ベルリング,ヴィルジニー・エフィラ,ジュディット・マーレ他

奇跡的に寝なかった『関ヶ原』のあと、大阪ステーションシティシネマへ移動。

オランダ出身のポール・ヴァーホーヴェン監督は、『ロボコップ』(1987)でブレイク。
以降、『トータル・リコール』(1990)、『氷の微笑』(1992)と話題作を連発。
『ショーガール』(1995)では第16回ゴールデンラズベリー賞を総ナメしたものの、
こんな不名誉な賞の授賞式に現れて周囲を沸かせ(受賞者の来場は史上初)、株を上げました。
こういう茶目っ気のある人っていいなぁ。憎めません。

そんなヴァーホーヴェン監督によるフランス作品。
予告編がたいそう面白そうでした。
豪邸に住む女性が襲われて、警察は当てにならんから自分で調べはじめる、
そしてみごと犯人を突き止める……という話だと思っていたら、ちゃうや~ん!
「予測不能の復讐譚」というのはちょっとちゃう気がする。
観終わってみれば復讐譚とは思えず、面白かったけど苦笑。

というわけで、ネタバレ気味で行くわよ。

新鋭のゲーム制作会社の女社長ミシェル。
親友のアンナをアシスタントに腕をふるい、好業績をあげているが、
若い社員たちの多くはミシェルの辛辣な物言いを嫌っている。
夫リシャールとは離婚し、息子ヴァンサンは身重の恋人レベッカと同棲中で、
ミシェルは豪邸で優雅な一人暮らし。

ある日、覆面をした男が押し入り、ミシェルをレイプする。
犯人が事を果たして立ち去ったあと、警察に通報もしないミシェル。
数日後、リシャール、アンナ、その夫ロベールとの食事の席で、
ミシェルはレイプのことを打ち明ける。
一同は呆然とするが、本人は落ち着き払って淡々と。

その後、間近からミシェルのことを監視しているかのようなメールが届く。
彼女の会社の全社員に、彼女を貶める卑猥な画像も送りつけられ、
身近に犯人がいると確信したミシェルは、自ら犯人探しを始めるのだが……。

幼少期に父親が起こしたある事件に巻き込まれたミシェルは、
一見普通なものの、普通ではないようです。
何事にも動じないのは素晴らしいことですが、まぁ嫌なオバハン(笑)。
息子の彼女が気に入らなくて嫌みばかり。
元夫に新しい彼女ができたと聞けば探りを入れて会いに行く。
親友の旦那とは寝ているし、向かいの家の若夫婦をホームパーティーに呼び、
テーブルの下で若夫婦の夫を誘ってみたり。

誰から恨まれても不思議はない女性だから、
その中から犯人を当てるミステリー……ではなかった。(^^;
ミシェルを筆頭になんだかみんな屈折していて、
いちばん屈折しているはずのミシェルにはそれがわかるから、
ついつい相手をしてしまうのだとも思えます。

イザベル・ユペール、若く見えますけれど、64歳。
脱ぐのも厭わず、こんな役をしちゃうのですから、凄いオバハンだわ。

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