夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『心が叫びたがってるんだ。』(TOHOシネマズ1ヶ月フリーパスにて鑑賞の4本目@梅田)

2015年09月30日 | 映画(か行)
『心が叫びたがってるんだ。』
監督:長井龍雪
声の出演:水瀬いのり,内山昂輝,雨宮天,細谷佳正,藤原啓治,吉田羊他

個人的にはまったく好きになれなかった『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2013)。
そのスタッフと同じだというのですから、これもフリーパスがなければ観ていない作品です。
それなのに、泣いてしまった。(^^;

成瀬順は、おしゃべりが大好きな女の子。
丘の上にたたずむお城に憧れ、いつかあの城で開かれる舞踏会に出るのが夢。
学校帰りに城を見に行くと、父親が運転する車が出てくるのを目撃する。
「うわぁ、お父さんは王子様だったんだ」。
そう思った順は、嬉々として帰宅すると母親の泉にそれを報告。
「お父さんがお城から出てきたよ。お父さんは王子様だったんだね。
隣にいたお姫様はお母さんじゃなかったけれど」。

まもなく両親は離婚。そう、順が城だと思い込んでいた建物はラブホテルだったのだ。
あの日、母親からは「それ以上しゃべってはいけない」と言われ、
出て行く父親からは「何もかも、おまえがしゃべったせいだ」と言われる。
以来、順は言葉を発するたびに腹痛を起こし、しゃべれないまま高校2年生になる。

年に一度のイベント“地域ふれあい交流会”の実行委員を決める折り、立候補者は誰もいない。
担任の城嶋は順を含む生徒4人を勝手に決めて任命。
一緒に任命されたのは、当たり障りなく日々を送る坂上拓実、
チアリーダー部を盛り上げる優等生の仁藤菜月、
野球部のエースでありながらヒジを故障してやさぐれた田崎大樹。
城嶋からミュージカルを提案されるが、つまらないイベントに時間を割きたくはない。
しかし、しゃべれなくても歌うことならできるかもしれないと順は思いはじめ……。

まるで接点のなかった4人の打ち解けていく様子が○。
お互いよくわかり合えるところまで行くと偽善臭が漂ったでしょうが、
どこか緊張感を残したままで、実際こんなものなのではと思えます。
安直に順と拓実が相思相愛にならないところも切なくて。

ミュージカルに使われる曲はオリジナルではなく、既存の曲に歌詞をつけたもの。
ベートーヴェンの『悲愴 第二楽章』と『オズの魔法使』(1939)の“Over the Rainbow”が同時に歌われるシーンは、
知らぬ間に涙が溢れてしまいました。

言葉は人を傷つける。だけど、言わなきゃわからないこともたくさんある。
「せい」じゃなくて、「おかげ」だよ。

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