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『海角七号 君想う、国境の南』

2010年01月25日 | 映画(か行)
『海角七号 君想う、国境の南』(原題:海角七號)
監督:ウェイ・ダーション
出演:ファン・イーチェン,田中千絵,中孝介,リン・ゾンレン他

関西では、現在、梅田ガーデンシネマのみにて上映中。
知名度の高い俳優が出ているわけでもないのに、
台湾で史上一位の観客動員数を記録したという作品です。

ミュージシャンになる夢に破れ、
台北から台湾南端の島・恒春へ帰郷した青年アガ。
町議会の議長を務めるアガの継父は、
怪我で休暇中の郵便配達夫のボー爺さんに代わり
郵便配達の仕事をするよう、自暴自棄気味のアガに勧める。

郵便物の中にあった宛先不明の小包。
当然、局へ返さなければならないが、
アガはなんとなく持ち帰って勝手に開けてしまう。
それは、日本が台湾を統治していた1940年代、
日本人教師から台湾人女性へ宛てられた手紙の束で、
教師の他界後、その娘が見つけて送ってきたものだった。
日本統治時代の旧番地宛だったため、宛先不明となったのだ。

さて、この頃、町のリゾートホテルでは、
日本人歌手を招いた海岸ライブが決定し、
外国人モデルをはべらせたポスターを作成中。
ところが、その噂を聞きつけた議長が、
町おこしの機会に町の出身者を使うべきだと言い張り、
前座として参加するバンドのオーディションをおこなう。

自らもモデルでありながら、
外国人モデルの雑用係をさせられていた日本人の友子は、
帰国直前に議長らに引き留められ、
このイベントの通訳として残るはめに。
素人即席バンドの世話まで引き受けることになって……。

監督は、あるときニュースで日本統治時代の旧番地宛に
ごくごく事務的な手紙が届いたことを知り、
これがもしラブレターだったら……という発想から
本作を撮り始めたのだそうです。

日本統治時代、日本語と日本人名の使用を強要されていたにもかかわらず、
台湾人には親日家が多いというのは聞いていましたが、
映画のそこここにあらわれる温かい感情。
優しい笑いをもたらすシーンが多数。
また、お涙頂戴のシーンなんてひとつもないのに、
なぜか何度もグッと来るものがあり、涙が溢れました。

台湾でも大人気の歌手、中孝介さんの歌声はやはり素晴らしい。
YouTubeでは『それぞれに 海角七号バージョン』を視聴することができます。
アガをボーカルとするバンドと中さんが共に舞台に上がるラストシーン。
その感動は、ちょっと言葉では表せません。

この作品を劇場で観られたことを幸せに思います。

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