夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『あるスキャンダルの覚え書き』

2007年11月06日 | 映画(あ行)
『あるスキャンダルの覚え書き』(原題:Notes on a Scandal)
監督:リチャード・エアー
出演:ジュディ・デンチ,ケイト・ブランシェット,
   ビル・ナイ,アンドリュー・シンプソン他

あんまり怖くて、夢に出てきました。

ロンドン郊外の公立中学校。
おもに労働者階級の生徒たちが通う。
まもなく定年を迎える独身の女教師バーバラは、厳格で近寄りがたい人物。
いつ何時も冷徹な彼女のことを、生徒たちはもちろん、
同僚たちも疎んでいる。

ある日、新任の美術教師シーバがやってくる。
30代で、美しく、モデル並みのスタイル。
そのうえ父親は著名な経済学者。
上流階級に属し、幸せな家庭をも築いている。
しかしどことなくはかなげな彼女に学校中がゾッコンになる。

そんな様子を遠巻きにして見つめていたバーバラは、
生徒同士の喧嘩を仲裁できずに動揺していたシーバを助ける。
一気に親しくなるふたり。

学芸会の夜、いつまで経っても現れないシーバを
バーバラは探しに出かけ、とんでもない場面を目撃する。
あの喧嘩の当事者の生徒とシーバの絡み合う身体。
あれだけ親しかったのに、何も話してくれなかった。
バーバラは裏切られた思いではらわたが煮えくり返るが、
シーバの弱みを握ることで彼女を支配できるのではと考え直す。

シーバを呼び出したバーバラは、こう言う。
「誰にも言わないでおいてあげる。
だけど、若い男は残酷よ。
あなたなんて飽きてすぐに捨てられる。
別れなさい、別れたら私に知らせるのよ」。

こうして、屈折した友情関係が育まれていく。

バーバラ役の名優ジュディ・デンチと、
シーバ役のケイト・ブランシェットが凄いです。
ふたりの演技にぐいぐい引き込まれて、「あぁ、映画を観てる」と実感。
まぎれもなく、演技で魅せてくれる映画。

バーバラの夫を演じるビル・ナイも○。
この俳優さんは、落ち目の歌手役(これ)でも、
ゾンビに足をカプッと咬まれた継父役(これ)でも、
こんな若い妻を男子中学生に寝取られた夫役でも、
ヨシヨシと頭を撫でたくなるような情けなさがヒシヒシと。

「彼女の恋の相手は15歳だった」というキャッチコピーは
本作の雰囲気とはかけ離れすぎ。
教師と生徒の恋愛話だと観客に思わせるためだったら、それはそれであり?

あまりに怖くて笑えないこともないです。
今日から恐怖におののかずに、思い出して笑うことにしよう。
オバハンの妄想、最強。

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