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映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『大阪ハムレット』

2009年08月04日 | 映画(あ行)
『大阪ハムレット』
監督:光石富士朗
出演:松坂慶子,岸部一徳,森田直幸,久野雅弘,大塚智哉,
   加藤夏希,白川和子,本上まなみ,間寛平他

森下裕美の同名コミックを映画化。
光石監督の代表作は『富江 replay』(2000)ですが、
私の敬愛するロマンポルノの名匠、
神代辰巳監督の助監督を務めていたこともある人です。
私のロマンポルノ体験(?)についてはこちらをご参照ください。

両親と息子3人の5人家族、久保家。
ある日父親が急逝する。
葬式の席では口の悪い親戚たちが好き勝手なことを言うが、
持ち前の明るさでそれを笑い飛ばす母親の房子。

そんな中に駆け込んで来た男が1人。
仏前で「兄ちゃん」と泣き叫ぶ様子からすると、父親の弟の孝則らしい。
初めて見るこの男が本当に叔父なのかどうか訝る息子たちをよそに、
その日から孝則は久保家に身を寄せることに。

近所では忌中に男を連れ込んでいると噂されているが、
房子は気にもかけていない様子。
5人の同居生活が始まるのだが……。

3人の息子がそれぞれに個性を発揮していて魅力的です。
長男の行雄は、大学生に見えるほど老け顔の中学3年生。
次男の政司は、ケンカっ早いヤンキー中学2年生。
三男の宏基は、女の子になりたいと本気で望む小学4年生。

行雄は教育実習にやって来たファザコンの女子大生に恋をし、
彼女の父親の代わりで構わないからそばにいられたらと願います。
政司はふとしたきっかけでシェイクスピアの『ハムレット』に目覚め、
わからない漢字や言葉につまずきながらも、辞書を片手に完読します。
宏喜は同級生に恵まれて、他のクラスの生徒にバカにされながらも、
学芸会でシンデレラ役を演じきります。

彼らを大きな愛情で包むのが松坂慶子演じる房子。
昼は病院、夜はスナックで働き、彼女にかかればみんな子ども。
こんなお母ちゃんがホンマにいたら、
誰もが素直に育つにちがいありません。

しかし、なんぼ素直に育つと言っても、
父親の死後、即同居を始めたオッサンは誰なのかともう少し考えてもいいし、
母親が産んだのはいったい誰の子やねんと悩んでもいいでしょう。(^^;
そんなことどうでもええやん!というのが落としどころの映画なんですけどね。

信頼関係とはこうして築くもの。
大阪弁がキライでない人なら楽しめる、ほのぼの人情物語です。
あ、だけど、大阪人ならこの大阪弁にはダメだししますよ、きっと。
それもご愛嬌ということで。(^^)

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