夜な夜なシネマ

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『皮膚を売った男』

2021年11月17日 | 映画(は行)
『皮膚を売った男』(原題:The Man Who Sold His Skin)
監督:カウテール・ベン・ハニア
出演:ヤヤ・マヘイニ,ディア・リアン,ケーン・デ・ボーウ,モニカ・ベルッチ,ヴィム・デルボア他
 
なんばパークスシネマから「もうじきポイントが消滅しますよ」とメールが来ました。
貯めたポイントがなくなるのはもったいなくて行くことにしたけれど、
諸般の事情から休日に車でなんばパークスまで向かわねばならず、
映画はタダで観たのに駐車場代が映画1本分よりも高いじゃあないか。何をやっているのやら。
 
ちなみになんばパークスは平日ならば最大料金が1,000円なんです。これは安い。
しかし休日は最大料金設定がなく、5,000円以上買い物しないと2時間無料になりません。
映画を観ればこのサービスは受けられるはずが、無料鑑賞するときはサービスを受けられないのです。
ひとこと言いたい。ある程度ポイントを貯めている客は、それなりにかよって映画を観ているのよ。
なのに無料鑑賞の日はサービス対応不可って、おかしくないか。
TOHOシネマズや109シネマズ、イオンシネマなどはちゃんとサービスを受けさせてくれるのにさ。
 
と文句を言ってみましたが、この日観た映画には何の文句もない。
チュニジア/フランス/ベルギー/スウェーデン/ドイツ/カタール/サウジアラビア作品。
昨年の東京映画祭で上映されて評判を呼び、このたびの公開に至ったそうです。
 
監督はチュニジア出身の女性、カウテール・ベン・ハニア。
ベルギーの現代アート作家ヴィム・デルボアの実在するアート作品に着想を得たとのこと。
ご本人も本作にカメオ出演していますが、鑑賞後に知ったため、どの人だったかわからず。(T_T)
 
シリア北部の都市ラッカに暮らすサム。
恋人のアビールに列車内でプロポーズして成功、見知らぬ乗客たちからの祝福を受けるが、
喜ぶサムが「これは革命だ」と叫ぶ様子が動画として投稿され、逮捕されてしまう。
親戚である憲兵がこっそりと逃がしてくれるが、もうシリアにはいられない。
 
姉の力を借り、なんとかレバノンへとたどり着いたサムは、
同胞と共に日銭を稼ぎ、セレブのパーティなどに潜り込んでは食事をくすねていたある日、
アビールが見合いで結婚した外交官ジアッドに同行してブリュッセルにいることを知る。
なんとかアビールのもとへ行けないものか。
 
いつものように食事を求めて美術館のレセプションに忍び込んだところ、
著名な現代アート作家ジェフリーの秘書ソラヤからつまみ出されかける。
しかしそれを見たジェフリー本人から呼び止められ、信じがたい提案を受ける。
 
それは、サムの背中にタトゥーを施し、サム自身をアート作品にするというもの。
そうすれば、サムは世界中を自由に行き来できるうえに、金も手に入れられるというのだが……。
 
ただ彼女に会いたくて選んだ道。難民からアート作品へ。
自由を手に入れられたようでいて、彼は展示品だから、展覧会中はずっと拘束されます。
ブリュッセルまで行けたからって、そんな簡単に事は運びません。
肝心の彼女は夫のある身で、しかもその夫はサムの存在に気づいて嫉妬に狂う。
 
また、頼んでもいないのに、難民の支援団体がサムを助けようとします。
あなたは搾取されている、一緒に訴えようではありませんかと。
断ると、美術館まで押しかけてきて、サムの展示室で抗議活動を始めてしまう。
 
暗いエンディングかもしれないと覚悟していましたが、なんのなんの。
実在のアート作品に触発されて製作した映画だから作家のことを悪く言うのはやめたのか、
ジェフリーがサムの幸せへの道を拓いてくれます。
 
難民の話といえば重くなりがち。
こんなユーモアもまじえた作品があってもいいなと思いました。
重くないとはいえ、難民の実情を考えずにはいられません。
 
それはそうとモニカ・ベルッチ、57歳。
ソラヤ役の彼女は相変わらずド迫力の美人。魅入られてしまいました。

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