『あのこは貴族』
監督:岨手由貴子
出演:門脇麦,水原希子,高良健吾,石橋静河,山下リオ,佐戸井けん太,
篠原ゆき子,石橋けい,山中崇,高橋ひとみ,津嘉山正種,銀粉蝶他
前述の『カポネ』を観たあと、
イオンシネマ茨木から109シネマズ大阪エキスポシティへ移動して本作を鑑賞。
原作はコミックだと思い込んでいました。小説なんですね。
山内マリコの同名ベストセラーだそうで。知らなくてすみません。
東京・松濤の名家に生まれ育った榛原華子(門脇麦)は27歳。
結婚を約束していた恋人を両親と姉たちにお披露目するはずが、
彼女の家柄におじけづいたか、会食当日に別れることに。
早く結婚して出産するのが良家の娘の役目。
自分で相手を見つけられないとなれば、親や知人に頼るしかない。
致し方なく何人かに会ってみるが、まるで駄目。
理想の相手に会うことなど無理だとあきらめかけた頃、
幸一郎に一目惚れした華子は毎日夢のような気分。
早々とプロポーズされ、ふたりは結婚するのだが……。
というのが前半。
幸一郎の実家は華子以上の名家で超の付くお金持ち。
こういう家に生まれた人は、遊ぶのも手慣れたものらしい(笑)。
結婚する相手と遊ぶ相手をきっちり分けていて、
しかも遊ぶにはややこしくならない相手を選んでいます。
その相手となった時岡美紀を演じる水原希子が素晴らしい。
慶應義塾に幼稚舎から通う筋金入りボンボンの幸一郎に対し、
田舎で猛勉強して慶應大学に合格して上京した美紀。
せっかく入った大学なのに、父親が職を失って学費を払えず。
自分で稼いで払おうとキャバクラのバイトを始めるも払いきれず、結局中退。
そんな美紀と幸一郎は腐れ縁の関係が続いています。
たまたまふたりが一緒にいるところを見かけた華子の親友(石橋静河)により、
華子と美紀が引き合わされることになってからは、
私は美紀に魅入られっぱなしでした。
華子と会ったその足で、美紀は幸一郎にもう会わないと連絡。
でも「この10年でいちばんの友だちが幸一郎だった」というシーンは切なすぎる。
とは言っても未練がましさは一切なし。
多忙な幸一郎と過ごす時間はほとんどなく、
なかなか妊娠しなくて義母のプレッシャーにめげる華子が美紀の部屋に立ち寄った日。
どの世界に住んでいても、今日が最高という日もあればどん底の日もある。
でもどん底の日にそれを話せる誰かがいれば、それでいいんじゃないかなという美紀の言葉。
田舎に生まれると、出て行く機会を逸して親の人生をそのままトレースしている人が多い。
でも、名家に生まれても、出て行けなくて結局親の思うがままになる。
確かに似ていますね。
どうせ生まれるなら金持ちの家のほうがいいと思っていたけれど、
そうじゃないかもしれない。
華子が差していたビニール傘。
序盤のシーンでは英国王室御用達と思われるバードケージ型のビニール傘でしたが、
終盤のシーンではコンビニのビニール傘だったのが印象に残りました。