『バルーン 奇蹟の脱出飛行』(原題:Ballon)
監督:ミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ
出演:フリードリヒ・ミュッケ,カロリーヌ・シュッヘ,デヴィッド・クロス,
アリシア・フォン・リットベルク,トーマス・クレッチマン他
TOHOシネマズ西宮にて。
先月、劇場で月間40本鑑賞を目指し、これがその40本目。
39本目に観たのは『進撃の巨人 クロニクル』。
ほかは全部観た作品ばかりだったので致し方なく。
さて、お目当てだったのはこのドイツ作品。
上映終了が23時だし、しんどいなぁと思いながら観に行ったけれど、
その甲斐がありました。とてもよかった。これも実話に基づく。
1979年、東西冷戦下の東ドイツ。
西ドイツへ脱出しようと思っている。
北風の吹く日でなければ国境の向こうへ着陸することは不可能で、
ようやく待ちに待ったその日が到来。
しかし当日、設計上のミスが発覚。
双方の家族8人全員が乗るのは無理だとギュンターが言い出す。
兵役を控えるギュンターは、今回は脱出を見送ると言い、
ペーターとその家族のみが飛び立つことに。
ところが国境まであと数百メートルというところで不時着。
この気球を作り上げるのに2年もの歳月を費やしたから、
また作るなんて無理だと失敗を嘆くペーターに、家族は言う。
今度こそ、ペーターとギュンターの家族全員で脱出しよう。
そう決めたものの、ギュンターが兵役に出るまでは6週間しかない。
家族一丸となり、気球の製作を始めるのだが……。
東ドイツから脱出を図っていることが知られたら、
どんな目に遭わされるかわかりません。
最初の失敗時にいろいろ現場に放置して逃げてきたから、
秘密警察(シュタージ))が血眼になって脱出しようとした者を探します。
夫婦のみならず、思春期の息子や幼い息子もいて、
どうか彼らが無事に脱出できますようにと息を飲むシーンの連続。
「越境されたらわが国の恥だ」というシュタージ。
でも、それっておかしくないですか。
越境したくなるような国であることが恥だと思うのですけれど。
越境したくなるような国だと思われることが恥だというよりも、
越境できてしまうような警備体制だと思われることを恥だと思っているみたい。
ベルリンの壁が崩壊して、東から西へ行くことが認められるようになったシーンは
涙が出そうになりました。
こんなことが遠い昔ではなく、20世紀の終盤にあった事実に改めて驚く。