夜な夜なシネマ

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『STOMPの愛しの掃除機』

2006年04月04日 | 映画(さ行)
『STOMPの愛しの掃除機』(原題:Stealing Bess)
監督:リューク・クレスウェル,スティーヴ・マクニコラス
出演:キップ・パルデュー,ローズ・マッゴーワン,ジェームズ・レブホーン,
   リー・エヴァンス,チェヴィー・チェイス他

映画館で本編の上映前に流れるDOLBYのCM、ご存じですか。
デッキブラシやバケツの蓋、ドラム缶などを楽器に見立て、
踊りながら演奏する痛快なCMです。
あのパフォーマンス集団がイギリス生まれのSTOMP。
オフ・ブロードウェイでロングランを続ける彼らの案で、
彼らのために作られた映画がこれ。
プロモーションビデオもどきの映画かと思いきや、
ちゃんとストーリーがあります。

魚をこよなく愛し、金魚の養殖で生計を立てたいジャック。
だが、産業スパイである彼の父親ダークは
ジャックに常に仲間でいることを強要。
数十年前に大ヒットした掃除機「ハーモニア」の、
この世に残るただ1台の設計図を盗むため、
ジャックはJJヴァキューム社の工場に送り込まれる。

JJヴァキューム社の前身はジョンソン・ヴァキューム社。
先代の死後、ふたりの息子が反目し合い、
JJヴァキューム社とAJヴァキューム社に分離。
敷地は真っ二つに分けられ、両社で働く工員たちも互いを意識していがみ合っている。
彼らが唯一、共に大事にしているものが伝説の掃除機で、
その掃除機には「ベス」と名前まで付けられていた。
(ちなみに原題は“Stealing Bess”。)

JJヴァキューム社に工員として潜り込んだジャックは、
AJヴァキューム社のデビーに一目惚れ。
ジャックの視線を感じるデビーもまんざらではなさそうだが、
敵対する会社の工員同士の恋はどうなるのか。
そして「ベス」の設計図は盗み出せるのか。

どんな動きも音を打つシーンに早変わり。
掃除機を組み立てる音、パブのカウンターを滑るビールジョッキの音、
食卓で塩を次の人に回す音、凶器片手に喧嘩する音。
リズムに乗って踊る姿はこれ以上ないぐらい楽しげ。
音楽というものの素晴らしさを体感した気が。

ジャックを演じるキップ・パルデューは、
ディズニーなのに熱さ控えめなスポ根もの、
『タイタンズを忘れない』(2000)で将来有望視されていたのに、
その後に出演したスタローン主演の『ドリヴン』(2001)が災いして、
辛い俳優人生を余儀なくされてしまいました。
実際はSTOMPの映画である本作に形だけ主演というのは辛かろうと思います。
腐らずにガンバレ!

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