夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『バーバー吉野』

2006年10月20日 | 映画(は行)
『バーバー吉野』
監督:荻上直子
出演:もたいまさこ,米田良,大川翔太,村松諒,宮尾真之介,石田法嗣他

なんとなく観そびれていた2003年の作品。
映画の掲示板などを覗いてみると
めった切りにしている人もいますが、私は好きです。
っていうのか、ほぼ毎日1本、映画を観ていても
私が「これは勘弁してくれ~」と思う映画って
3年に1本程度なので、私の好き嫌いは当てにならず。

緑に囲まれたのどかな田舎町。
その町の小学生男児は全員、同じ髪型。
彼らは、恐るべき吉野のおばちゃんが経営する床屋、
「バーバー吉野」で散髪することをなかば義務づけられている。
全員がイケてないマッシュルームカット、「吉野刈り」。
前髪は眉から2.5cmに切り揃えるのが鉄則。

吉野刈りの所以は昔からの言い伝えにあるらしい。
男児をさらいに来る天狗が、全員同じ髪型なら戸惑うから。
毎年おこなわれる祭りの日には、山の神様を鎮めるため、
吉野刈りの男児全員で「ハレルヤ」を合唱する。
日本の山の神を奉るのに賛美歌を合唱する変な慣習にも
誰も異議を唱えない平和な町。

ある日、東京から茶髪の転校生、坂上君がやってくる。
どこから見てもかっこいい髪型でイケメンの坂上君にクラス中の女の子がチヤホヤ。
当然おもしろくない男の子たちは、
吉野刈りにするまで仲間に入れてやらないと坂上君に告知。
先生も「この町の伝統だから」と吉野刈りを勧めるが、
坂上君は「髪型の自由は憲法で守られている」と断固拒否。
やがて坂上君の髪型問題が町全体を揺るがせて……。

バーバー吉野の息子である慶太をはじめ、
その遊び仲間の男の子たちがめちゃめちゃ愛らしい。
頻繁に散髪に訪れるハゲ親父の頭を見て
「切るとこ、ねえじゃん」とつぶやいたり、
すぐにお腹をこわしてトイレの個室に立てこもる仲間を
「ウンコしてじゃねえよ!」とからかったり、
小学生の頃、あったよね、こんな会話ってことばかり。

ふざけてばかりの男の子たちにも好きな女の子はいて、
実は内心「かっこよくなりてぇ!」と思っています。
脱・吉野刈りを宣言して、母親を「くそババァ」と呼びつつ、
でも、母を想う気持ちを慶太が精一杯表すシーンは思わず涙。
温かさが心地良い作品です。

ちなみに、坂上君が仲間に入るきっかけは
エロ本を何冊も所有していたから。
最近、うちの職場にやってきた好感度大のフランス人青年に
「僕はエロ大王です」って日本語教えたの、いったい誰よ。

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