goo blog サービス終了のお知らせ 

夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

父、入院のその後。

2016年01月16日 | まるっきり非映画
父が出先で大腿骨を骨折したのが昨年の11月18日のことでした。
それから2カ月。手術を執刀してくださった先生から、
「京都の博物館まで行こうという気持ちのある85歳は、
元通りに歩けるようになる可能性が高い」とお墨付きをいただいたとおり、
車椅子→歩行器→杖と順調に進み、今は杖なしでもほぼ大丈夫。
来月前半には退院できそうです。

本と将棋と数独が好きな父のこと。
病院では退屈するだろうと、入院翌日に本を10冊ほど持っていきましたが、
さすがにこんなだと文字が頭に入ってこないそうです。
数独も簡単なものならできるけど、難易度の高いものは無理らしく。
しかし歩行器を使うようになった頃から読書欲も復活したようで、
父が読まないならと母が先に読んだ重松清の『定年ゴジラ』に着手。
「流し読みするつもりが本気になった。おもしろい」と言って読んでいました。

昨年末、正月を病院で年越しすることになった父から
りんごジュースが飲みたいから、持ってきてくれ」とのリクエスト。
先生からちゃんと許可を得ていると言うのです。
血糖値が高いはずなのにええんかいなと思いつつ、父の言葉を信じ、
アンパンマンの125mlサイズのりんごジュース6本を差し入れ。

年明け、それがなくなったからまた持ってきてほしいと再リクエスト。
だけど年末の父の態度がどうも不審、かなり怪しい。
普通入れませんよね、りんごジュースをキャビネットの引き出しの中になんて。
今回は15本持って行っていたということもあり、看護師さんに先に聞きました。
「許可をもらっていると言うのですが、ほんまかいなと思って」。

ウソでした。バレると思ってへんのか。浅はかだわぁ。(--;
父に「何をウソ言うてるのん。あかんやん」と言ったら、
「どうして聞いちゃうんだよぉ。ちょっとぐらい飲んだって大丈夫なのに」。
大丈夫じゃないから許可が出えへんのやっちゅうの。

懲りない父から先週またまた別のリクエスト。
「ヤクルト1本持ってきてくれ。ほかの人の食事には付いているのに、
僕のには付いてないんだ。誰かに聞いたりせずに持ってきて」。

とりあえず渡せるようにヤクルトカロリーハーフを用意していた母。
看護師さんに尋ねたらもちろん「駄目です」とのお返事。
願いが叶えられないと知った父は激しくブーたれていましたが、
「お父さん、あのな。その1本が駄目やからごはんに付いてへんのやろ。
せっかくそんなに速く歩けるようになったのに、
その1本で足の指先が壊死するかもしれへんねんで」と言ったら、
「そうかぁ」としんみり返事をしておりました。

基本的には素直だけど、とっても懲りない人だから、またなんぞリクエストがあるかも。
親父よ、りんごジュースもヤクルトも忘れてがんばれ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元旦に届いた訃報。

2016年01月08日 | まるっきり非映画
私が「世界一の聞き上手」だと思っていた男性が亡くなりました。
たった1歳上のひと。51歳でした。

初めてお会いしたのは20代の半ばすぎだった頃。
元ヤンで、まだ剃り込みの名残あり。
「うわっ、この人、靴のさき尖ってる」。
そんな見た目に反し、とてつもなく優しく、おもしろい人。
まわりにいる誰をも笑わせてくれました。
「かっちゃん(=私)、昔つきおうてた子にそっくりやから、
初めて会うたとき、ビックリしてん。どないしょうかと思ったわ」。
よくよく聞いてみれば元カノはソープ嬢で、こっちがビックリ。光栄ですけれど(笑)。

ものすごい聞き上手でした。
話し手がこう言ってほしいと心の内で望んでいることを言ってくれる人。
たとえば愚痴りたいだけのとき、絶妙の相づちを打ちながらただ聞いてくれて、
「ほんまやなぁ、めっちゃ腹立つなぁ。そんな奴、俺がしばいてきたるわ」。
きっとこの人がホストになったらNo.1。
だけど、ボトルなんて入れようとしたら「もったいないからやめとき」と言いそうな人でした。

結婚式のときには参列者に元ヤン多数。
新婦が読み上げるご両親への手紙に、いかつい面々がおいおい泣く様子に失礼ながら爆笑。
そして5日前、正月3日の告別式。
いい年をした男の人たちがあんなに泣いているお葬式に参列したのは初めてです。
元ヤンらしからず、ソフトボールのチームに所属。
早起きして練習に走る姿を想像するとまた似合わない(笑)。

阪神の調子が良いとき悪いとき、よくメールをくれました。
そういえばこのご夫婦にも甲子園のあの席に座ってもらったことがあります。
はからずも年間予約席の思い出がまたひとつ増えてしまいました。

とても寂しいです。
空の上で笑ってくれていますように。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

父、骨折。入院までの顛末。

2015年11月21日 | まるっきり非映画
父、骨折。入院までの顛末をネタにさせてもらいます。

3日前の昼休み、ダラダラと過ごしていたら、
人事係から「お昼休み中にすみません」と電話がありました。
「京都国立博物館のお客様サービス係の方から連絡がありました。
お父様が京博でお怪我をなさったそうです。
京博向かいの病院に電話をかけてください」。

なんだそりゃ。なぜに京博、そしてウチの人事?
呆気にとられてよくよく聞けば、京博で転倒した父が、
「娘が○○博物館に勤めている」と言い残して病院へ自力で向かった模様。
国立博物館のよしみでかどうか、
京博の方が気を利かせてお電話をかけてきてくださったようです。

ところが、ウチの博物館といえども広し。
どこの部署にいるのかわからないから、京博の方はウチの代表番号へ。
守衛室のみなさんなら、私の旧姓現姓どちらもわかってくださっているのですが、
新しい電話交換室の方は、旧姓で言われても誰のことやらわからない。
そこで人事係にかけてみたら、そこでもわからない。
悩む人事係員に、そのお向かいの席の男性係員がひとこと。
「それって、4階の○○室の○○さん(=私)のことだと思います」。

私、職場のごくごく一部の有志で構成されている某球団友の会の会長(笑)。
その男性係員が友の会メンバーだったおかげで電話が繋がったというわけです。

その後、徐々に判明した詳細。

昭和5年生まれの両親は、年相応にいろいろあるものの健在ですが、
読書と将棋と囲碁が趣味の父が、散歩以外にひとりで出かけることはまずありません。
忙しく出かける母にたまについていく程度。
父がひとりで京都にいることなんてあり得ないと思ったらやはりそう。
ふたり一緒に出かけて、母は用事を片付けに京都の別の場所へ。
15時半に京博で待ち合わせているとのこと。

たまに派手に転ぶんです、うちの父。
以前も猿沢池の前で転んで大騒動、台湾ではエスカレーターから落っこちたし。

ただの打ち身かと思っていたら、大腿骨骨折。
父の携帯を母が持っていったそうなのですが、
弟と私で母の携帯を鳴らしつづけるも、14時になってもまったく応答なし。
仕方がないので、京博に電話をして、
85歳の腰の曲がった女性を見かけたら声をかけていただくようにお願いしました。

博物館つながりといえども何の面識もなく、
同じ館員が探すのに苦労してくれるような一職員なのに、
母がいないかどうかをずっと気にかけてくださり、
無事に連絡を取ることができました。

さて、当人の父はといえば、当日は大阪の病院にベッドの空きなく、
京都の病院で1泊して、翌朝高槻の病院へ救急介護タクシーにて移送。
先生曰く、「ものすごく痛いはず」で、さぞうるさかろうと思ったら、
がんばって耐えていたようです。
「痛くて寝られないから本1冊こんなに読んだ」と自慢されました。
見てみれば葉室麟。なんだお父さんも葉室麟を読んでるの。
父娘で同じものが好きなんじゃないかと可笑しくなりました。
その後、頭の中で数独をしていたらわからなくなり、と思ったら寝ていた、ということです。

そんな父にひと晩付き添った母は、ろくに食事をしていなかったようで、
昨日の朝会ったときはおなかが空きすぎて倒れそうな状態。
手術に入るまでに30分ほどあったので、
病院斜め前のマクドに連れて行ったら、人生初のマクドだとか。
関西スーパーに入っているマクドしか知らなかった母は、
「こんなにちゃんとテーブルや椅子があるマクドナルドもあるの!?」と感激。
いえ、このほうが普通のマクドです(笑)。

手術は昨日無事終了。今日から全体重をかけて歩いていい(歩かなければならない)そうです。
「京都の博物館まで行こうという気持ちのある85歳は、
元通りに歩けるようになる可能性が高い」と先生から言われました。

しかし人騒がせだわ~。
京都国立博物館の方々、その向かいの病院の皆様、移送先の病院の皆様、
本当にお世話になりました。ありがとうございます。
京博まで菓子折り持ってご挨拶に行かなくちゃ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

お礼のお礼をいただいて

2015年08月29日 | まるっきり非映画
本日は映画も本もまったく関係のない話です。

この間の日曜日の同窓会。
そもそも同窓会で行く店なんて、みんなで飲んでしゃべれたらどこだっていい。
もういい年をした大人だから、値段の安さにこだわることはないけれど、
高価なコースにしたところで、しゃべるのに夢中で手をつけないこともあるから、
そりゃ安いに越したことはないでしょう。そんな基準で選んだお店でした。

だけど、とっても楽しかった。
店長さんの秘策により、当初2時間のつもりだった飲み放題が3時間に。
大皿と言ってもきっちり人数分出てくる料理も多いから、
おしゃべりしつつもみんなしっかり自分の分を食べています。
無駄に広くない店なので、呼べばすぐに来てくれる店員さん。
中継よろしく、注文後に待たされることもありません。

そんなこんなでとても楽しく過ごせたので、
本来は予約確認のためにのみ使うサイトから、
「お礼を申し上げるすべがないのでここから」と後日お礼のメッセージを送りました。

その数日後、電話が鳴りました。
受話器を取って名乗ったら、「間違えました」。なんだ間違い電話かよ。
その数分後、ふたたび鳴る電話。
もいっぺんさっきの人とちゃうんかいと、今度は名乗らなかったら、
「あの、○○さん(=私の旧姓)のお宅ではないでしょうか」。
贔屓屋の店長さんではないですか。ビックリしました。

「あんなメッセージをいただいて恐縮です。従業員一同たいへん喜んでいます」とのこと。
「店をやっていてよかったと思った」とまでおっしゃる。
どうやら昼間に何度かかけてきていただいていたようで、
夜にかけてみたら違う名前の人が出るし、
でももしかしたらと思ってもう一度かけてみましたと。
同窓会だったので旧姓で予約したんです、すみません。
そんな電話をわざわざいただいたら、こっちのほうが嬉しくなるというものです。

そもそもここは予約のときからおもしろかった。
最初は午後4時開始のつもりで電話を入れ、
「4時までに開始の宴会は飲み放題料金半額となっているけれど、
これは4時開始でも適用されるのでしょうか」と尋ねたら、
可愛らしい声の女性店員さんがしばし迷い、
「いま店長がいないので、店長に確認して折り返し電話します」とのこと。
ならばいっそ3時開始にしようかと思ったら、
「あ、3時50分からというのはいかがでしょうか」。その提案、めちゃカワイイ。
こちらはウケてしまって、「んじゃ3時半からにします」と答えた次第。

マニュアルは大事だけど、マニュアルだけではない前後の対応に嬉しくなりました。
誠実な心、一方的ではないコミュニケーションを取ろうとする気持ち、届いています。

こんなこともあって、思い出した十数年前のこと。
引っ越しする間際、お世話になっていた新聞屋さんにお礼の葉書を出しました。
トークが面白い新聞屋さんで、配達に不備もいっさいなしでしたから。
そのときの新聞屋さんも返事をくれたのを思い出します。
「感激です。新聞屋冥利に尽きます」と。

そのほか、誕生日に顧客に花を贈るサービスをしている化粧品メーカー。
初めてお花が届いたとき、HPの問い合わせフォームを利用してお礼のメールを送ったら、
社長の直筆署名入りのお手紙をいただきました。
「お礼のメールをもらったのは初めてです」と。

どこへでもお礼のメールや葉書を送っているわけではありません(笑)。
あらためて感謝したい気分になったときだけ。
お礼を申し上げたいのはこちらなので、その返事は求めていないし、なくて当たり前。
なのに、こんな気持ちのこもった返事を予期せずもらえたら、ジーン。

贔屓屋 北野阪急店さん、どうもありがとうございました。
ちょうどこの夜、虎が連敗して最悪の気分だった私、一気に元気になりました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伯母のこと(その3)

2007年06月28日 | まるっきり非映画
伯母が亡くなってから、明日でちょうど1週間になります。
思い出話をあと少しだけ。

伯母をはじめとして、母方の一族はかなり天然ボケが入っていると思います。
一族をひと括りにしてはいけませんが、私も含めてということで。

いつだったか、伯母が「新しい扇風機がほしい」と言い出しました。
電器店に並ぶ扇風機を見ながら、
「どんな機能が付いてるのがいい?」と聞いたら、
伯母はひと言、「インターネット」。
インターネット付の扇風機はないで、伯母ちゃん。
結局、リモコンのまちがいだったんですけど。

ある日、職場に寄ってくれた伯母に、
カレイの干物をおすそ分けしました。
帰宅すると、留守電に伯母のメッセージが。
「干物をありがとう。一緒に入ってたん、
なんや白いキレイな食べ物やけど、これは何かな」。
慌てて伯母に電話しました。
「伯母ちゃん、それ、保冷剤やで。食べたらあかん!」。

間一髪のところでした。私の帰宅後の返事を待ちきれず、
保冷剤の袋を開けて、ガラスの容器に移した伯母は、
お隣の人にそれを見せて聞いたそうです。
「これ、姪がくれたんやけど、なんやわかれへんねん。
どないして食べたらええんやろ」と。
お隣の人曰く、「さぁ、わさび醤油でもつけたら美味しいんとちゃう?」。
保冷剤と気づかず、食べようとする伯母も伯母ですが、
お隣の人もお隣の人です。

黒豆を炊いた母が、伯母にも食べてほしいと言いました。
出勤途中、タッパーに入れた黒豆を伯母に届けると、
伯母は「これ、美味しい飴やから食べて」と、
私に小さな缶を持たせてくれました。

職場に着いてから缶を開けてみたら、
そこには飴ではなく、アリナミンAが。
可笑しくて、伯母に電話しました。
「伯母ちゃん、これ、飴とちゃうで。アリナミンAやで」と言ったら、
伯母も笑いながら、「そやったん。ごめんね。それでね、
あんたのお母さんがくれた黒豆やねんけど、
これ、どう見ても、黒豆やないねん。椎茸に見える」。
母よ、椎茸を渡してどうする。
姉妹ともにボケボケです。

葬儀の日、昼食のお造りに目が点になりました。
なんと大胆な盛りつけ。ひとり分ずつ、保冷剤の上に、
じかに刺身が盛られているではないですか。
伯母が保冷剤を食べかけた話を知っているのではないかと思いました。

保冷剤は空の上でも食べたらあかんで、伯母ちゃん。
わさび醤油つけても、美味しないからね。
忘れへんよ、伯母ちゃんのこと。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする