さくらの日々是好日

余命半年から生還♪今年21年目の【金つなぎ勝ち抜きRoad】を走り続ける、多重がん患者の病老の日々や患者会活動をご紹介!

♪文豪・志賀直哉ゆかりのお宿、城崎・三木屋のおかみさんは素敵!

2012年02月14日 15時52分35秒 | 金つなぎの会
タクシーで温泉寺に詣で、その後ゆるゆると城崎駅まで徒歩で戻る。

途中、文豪・志賀直哉が長逗留して名作『城の崎にて』を完成させたことで知られるお宿「三木屋」さんに立ち寄る。

さくらこと、城崎に来たらぜひ訪ねたいと思っていたのだ。
思いに急かれるまま、予約も何もなく、飛び込みで「ごめんくださ~い」

応対してくださった妙齢のご婦人が、おかみの片岡知子さん、右端の方だ。
九代目平一氏の夫人で、この老舗旅館を支えて来られた。

もの静かだけれど、しゃんと背筋の伸びた魅力的な人とお見受けした。

「あー、写真は…」と逃げておられたけれど、話の中で「皆さま、少しこちらを向いてくださいませ~♪」と呼びかけて振り向いてくださったところを、パシャリ。
この日、思いがけない余慶に恵まれたかーこちゃん、桂子さん、かよ子さんと写メにおさまってくださった♪

「あらら~」
驚かせて、ごめんなさいね。

さくらも慌ててしまい、心ならずもピントを外してしまいました。m(_ _)m

                        ◆

志賀直哉とこのお宿のご縁は、1913(大正2)に年彼が東京の山手線にはねられて重症を負い、その養生のために3週間ほど滞在されたのが始まりだったという。
文豪、30歳のころ。
ロビーには、眉目秀麗の当時の写真が掲げられている。

滞在した城崎で見たもの、感じたことが、短編『城の崎にて』に描かれたのは、その4年後のことだ。

「自分」は一匹の蜂の死骸に、寂しいけれど静かな死への親しみを感じると言う冒頭のくだりを高校時代に学んだ。
小説の神様と賞され、簡潔で過不足のない文章を書き写したりして文章の上達を願った少女のころの私であった。

三木屋は創業江戸中期とされる、創業260年を誇る老舗だ。
豪華ではない、華麗でもない、もちろん新しくもない。
けれど、兵庫県三木市から落ちのびた家臣・片岡氏がこの地に創建したお宿とあって、それなりの品格を今に残す格別の宿である。

史実によれば1580(天正8)年、兵庫県三木情趣・別所長治が自刃。 辞世に「」「今はただ うらみもあらじ 諸人の いのちにかはる 我身とおもへば」の一首を残し家臣を落ち延びさせたと、書き残されている。

落ち延びて城崎にやってきた城兵の子孫・片岡氏が、「故郷と城主を偲んで、元禄年間に【三木屋】と名付けた旅館を開いたと伝えられております」
物静かに語る知子さんの、凛とした風情がいまも記憶に甦る。

コンクリート打ちの広い土間には、三木屋と刻印された下駄と雪の日用の長靴ががずらりと並び、足元の汚れをふき取るためのタオルが備えられている。

とりわけ、その真っ白なタオルが老舗旅館の矜持を偲ばせて、好もしかった。

クラシックなロビーの向こうには、鯉が泳ぐ流水池の周りに古木が立ち並び、下草に昨日今日の雪を配し、後方の山を借景にした庭が悠々と広がっている。


       

玄関奥のロビーの一隅は、さながら街角博物館だ。

滋賀直哉の白樺用箋に直筆の原稿(コピー)や、三木屋宛てのお礼状、司馬遼太郎や柳家金語楼らそうそうたる方々のサイン色紙など、貴重な文化資産が残されている。

司馬先生には、夫人のみどり先生の明け暮れを思い、金語楼さんにはご子息の敬ちゃん(故・山下敬二郎さん)を偲ばせていただく。

生きているからこその、思いがけないご縁をほんとうに有難く思う。
生きているって、有難いことだなぁ。


       

駅のロッカーに傘を置いたまま出かけて来た私たちに、知子さんが宿の傘を課してくださった。 
「駅前の観光案内所に返してくだされば良ろしいですよ」とのことで、重ね重ね、ありがとうございますぅ♪\(^ー^)/

このあと七湯めぐりのひとつ、御所の湯に立ち寄り、冷えた体を温浴療法にゆだねる。

御所の湯は、南北朝時代の歴史物語『増鏡』に、【1267(文永4)年、後堀河天皇の御姉・安嘉門院が入湯された】との記述が残っており、御所の湯命名の由来とされている由緒ある立ち寄り湯である。。

屋内の広い岩風呂のほか、露天風呂は目の前に流れ落ちる六層の滝を喜びながら、ゆっくりと温浴できる趣向になっている。

入湯料は800円にタオルを買って、950円也。

お風呂の中で、桂子さんがご近所の奥さんに声をかけられるという【非日常】にも遭遇。
あるものなんですね、こんなことって!

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