読みたい、読みたいと思っていた名著、
「海賊と呼ばれた男」
をようやく読みました~
とにかく読み応えがあり、読み終えたあと、
日本人であることの誇りが、沸々と湧き上がってくる一冊です。
ページをめくるたびに涙がこぼれ、
こんなに夢中になって一気に読んでしまった本は、
他にありません。
折りよく、読む直前に、門司港に行っており、
出光美術館に行っていたため、予習もできていたので、
とても、臨場感を持って読むことができました。
出光の創業者、出光佐三が
モデルになっている話なのですが、
ほぼ実話で、
その内容は、「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものだと、
思うほど、彼の凄まじい生涯が綴られています。
まず、こんな男が日本にいたのだということを、
知らなかった自分が日本人として許せなく思う、
彼は、それほどの人物でした。
敗戦後、誰もがGHQの言いなりになり、
国内の石油会社は、強大な力を持つ石油メジャーの軍門に下る中、
ひたすら、日本の国益のために一人戦い続けた、
出光佐三という男については、とてもこのブログでは語りつくせません。
ぜひ、皆さまご自身でご一読されることをオススメします。
また、出光佐三(作中では国岡鐵造)だけでなく、
作者の百田直樹自身が
「驚くべきことに、ここに登場する男たちは実在しました」
と言うほど、凄まじい使命感と強さをもった、高い能力をもった男たちが登場します。
私は、もともと歴史を読むのが大好きで
以前のブログにも書きましたが「私」を捨て、
国を想い、忠義に生きたような人物に惹かれます。
…これまで読んだ、古今東西のあらゆる人物の中において、
出光佐三(国岡鐵造)という男は、筆頭中の筆頭にあがると感じました。
凄まじいまでの、責任感と使命感、そして、意志を貫く強さは、
歴史に名を残す、様々な武将や経営者や政治家達の存在を霞ませてしまう…
それほどまでに、圧倒的でした。
さらに、作者自身の言葉通り、
実在していたということが、信じられないほどの、
見事な男たちが登場します。
いづれ劣らぬインパクトの男達の中で、
私が興味が惹かれた人物の一人に、日田重太郎がいます。
禅僧のような飄々とした感じで、いかにも優秀、有能というわけではない、
ちょっと異色の人物ですが、
彼がいなくて国岡商店(出光石油)は存在しえなかったことを考えると、
非常に重要な人物です。
資産家で、お金に一切執着心がない彼は、
通常の常識や固定観念に囚われない
すがすがしい、しなやかな強さを持っていました。
非常に高い美意識を持っていた彼は、
古美術などに留まらず、人間の生き方としての美しさを本能的に知っているような感じでもあり、
容易には言えないようなことを、さらりと言えるあたり、
人間として計り知れない大きさを感じました。
もう1人、日章丸二世の艦長がとても興味をひきました。
(石油タンカー)
鐵造が、さすがに断られるのでは、と思っていたほど、
後に、「日章丸事件」と呼ばれる、極めて困難な隠密行動を依頼した時の、
「わかりました、行きましょう」と二つ返事で請け負った彼の気概に敬服しました。
この船長は、第二次世界大戦中、物資の輸送で使用された商船の艦長を務めてきた人物ですが、
戦時中、2度も死にかけています。
当時、輸送で使用された商船は、
当然武器がないため、米軍の格好の餌食になります。
戦略的に、敵の輸送艦を叩いて物資を困窮させることは、当然の作戦ではあるのですが…。
(軍の輸送艦ではない、非武装の民間船を躊躇なく襲うあたりが、
つくづくアメリカだなと、苦々しく思いますね…。)
ですので、輸送を担った民間船の死者は、40%以上にのぼったのだそうです。
海軍の戦死者が10%台だったことを考えると、
いかに大きな犠牲だったかが分かりますし、
この中を生き残った船乗りは、海軍以上の歴戦の勇者といっても過言ではないでしょう。
そんな一人である、日章丸の艦長の、
命運をかけた隠密航行のくだりは、とても臨場感と緊張感のある
この本のクライマックスシーンといってもいいと思います。
本当の行き先を知っているのは、艦長と航海長だけ。
イギリス海軍に拿捕される恐れがある中、困難な航海を行う様子は、
非常にひきつけられました。
最近、海上自衛隊の護衛艦に関われる機会が増えたお陰で、
多少なりとも船に関する知識が付いてきたことも、引き込まれた要因のひとつだと思います。
ですが、実際の船乗りさんだと、もっと臨場感があって読むことができたのだろうな、
とも思い、この本を読む船乗りさんがうらやましくなったりもしました。
この艦長が、隠密行動だっため、奥様にも行き先を告げずに出港したため、
「あとで怒られるだろうな」と思いながら、
「ああ、妻の怒る顔が見たい」と奥様に思いを馳せる場面が好きです。
このひと言に、どれほど奥様に対する愛情が込められていることか…。
…この作中に登場する、魅力的な人物の中に、
彼ら「比類なき男達」を支える女性たちがいます。
鐵造の前妻と後妻、この艦長の妻は、
深い愛情と芯の強さで、ちょっと(かなり?)無謀ともいえる夫を、
細かいことは何も聞かずに黙って支える、
しなやかと表現するのがそぐわしい、
いづれもステキな女性でした。
やはり、素晴らしい男の側には、素晴らしい女がいるものなのだな、
と納得せずにはいられません。
こういう女性になりたいです…。
本当に、凄まじいまでの熱意で全力で仕事に取り組む男達が、
次々に出てくるのですが、
「仕事」という点で、ここまで熱意を持って取り組む事ができるのか、
という壮絶な場面が、
「タンクさらい」です。
燃料に困窮し、喉から手が出るほど燃料を欲していた、
海軍でさえやらなかったほどの過酷な作業なのですが、
それを、悲壮感ではなく、むしろ笑顔で役員から平社員まで、
一丸となって取り組む場面は、
「仕事のなんたるか」を、身をもって教えられたように感じます。
この作業は、直接的な利益は生み出すに至らなかったのですが、
後々になって、計り知れない効果を生み出します。
「タンク底に帰れ」は今でも、
出光では、困難を乗り切る時の合言葉になっているのだそうです。
通常の会社でも、創業期は大変なものですが、
この会社は戦いの連続で、困難(と敵)が襲い掛かってくる量と質が尋常ではありません。
そして、ただでさえ困難な中、
佐三が社員に明言した言葉の中に、
「出光にいる限り、一生、金で困ると思え。進む道が違うなら出光を去れ」
という言葉があります。
にもかかわらず、数々の極めて優秀な男たちが、
文字通り命をかけて、この会社に骨を埋めました。
「黄金の奴隷たるなかれ」
今なお、出光に語り継がれる社訓です。
人は、黄金のためだけを目的に仕事すると、病んでいく傾向があります。
逆に、やりがいをもって、責任感と信念を持って仕事に取り組むと生き生きします。
本来、人間の善の部分は、真摯に職務や任務に取り組むことを楽しむものだと思います。
お金は、生きていく上で必要な便利な道具です。
ですが、この時代以上に、お金が全てで、
お金が力で、権力になっている現在、
「仕事はなんのためにするのか?」
「自分が生きる目的、意味」
を改めて感じさせさせてくれます。
そしてそれ以上に、
自身が目指す「あるべき姿」を妥協せずに「生きる」という事は、
これほどまでに、覚悟と戦いを強いられるものだということも突きつけられたように思います。
ここまで、会社の利益ではなく、真に国益のために尽力した
出光佐三という男…彼に触れることは、
あなたの中に眠っている、
日本人としての誇りと魂を呼び起こしてくれることでしょう。
日本人なら、ぜひ読んで欲しい名著です。
「海賊と呼ばれた男」
をようやく読みました~
とにかく読み応えがあり、読み終えたあと、
日本人であることの誇りが、沸々と湧き上がってくる一冊です。
ページをめくるたびに涙がこぼれ、
こんなに夢中になって一気に読んでしまった本は、
他にありません。
折りよく、読む直前に、門司港に行っており、
出光美術館に行っていたため、予習もできていたので、
とても、臨場感を持って読むことができました。
出光の創業者、出光佐三が
モデルになっている話なのですが、
ほぼ実話で、
その内容は、「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものだと、
思うほど、彼の凄まじい生涯が綴られています。
まず、こんな男が日本にいたのだということを、
知らなかった自分が日本人として許せなく思う、
彼は、それほどの人物でした。
敗戦後、誰もがGHQの言いなりになり、
国内の石油会社は、強大な力を持つ石油メジャーの軍門に下る中、
ひたすら、日本の国益のために一人戦い続けた、
出光佐三という男については、とてもこのブログでは語りつくせません。
ぜひ、皆さまご自身でご一読されることをオススメします。
また、出光佐三(作中では国岡鐵造)だけでなく、
作者の百田直樹自身が
「驚くべきことに、ここに登場する男たちは実在しました」
と言うほど、凄まじい使命感と強さをもった、高い能力をもった男たちが登場します。
私は、もともと歴史を読むのが大好きで
以前のブログにも書きましたが「私」を捨て、
国を想い、忠義に生きたような人物に惹かれます。
…これまで読んだ、古今東西のあらゆる人物の中において、
出光佐三(国岡鐵造)という男は、筆頭中の筆頭にあがると感じました。
凄まじいまでの、責任感と使命感、そして、意志を貫く強さは、
歴史に名を残す、様々な武将や経営者や政治家達の存在を霞ませてしまう…
それほどまでに、圧倒的でした。
さらに、作者自身の言葉通り、
実在していたということが、信じられないほどの、
見事な男たちが登場します。
いづれ劣らぬインパクトの男達の中で、
私が興味が惹かれた人物の一人に、日田重太郎がいます。
禅僧のような飄々とした感じで、いかにも優秀、有能というわけではない、
ちょっと異色の人物ですが、
彼がいなくて国岡商店(出光石油)は存在しえなかったことを考えると、
非常に重要な人物です。
資産家で、お金に一切執着心がない彼は、
通常の常識や固定観念に囚われない
すがすがしい、しなやかな強さを持っていました。
非常に高い美意識を持っていた彼は、
古美術などに留まらず、人間の生き方としての美しさを本能的に知っているような感じでもあり、
容易には言えないようなことを、さらりと言えるあたり、
人間として計り知れない大きさを感じました。
もう1人、日章丸二世の艦長がとても興味をひきました。
(石油タンカー)
鐵造が、さすがに断られるのでは、と思っていたほど、
後に、「日章丸事件」と呼ばれる、極めて困難な隠密行動を依頼した時の、
「わかりました、行きましょう」と二つ返事で請け負った彼の気概に敬服しました。
この船長は、第二次世界大戦中、物資の輸送で使用された商船の艦長を務めてきた人物ですが、
戦時中、2度も死にかけています。
当時、輸送で使用された商船は、
当然武器がないため、米軍の格好の餌食になります。
戦略的に、敵の輸送艦を叩いて物資を困窮させることは、当然の作戦ではあるのですが…。
(軍の輸送艦ではない、非武装の民間船を躊躇なく襲うあたりが、
つくづくアメリカだなと、苦々しく思いますね…。)
ですので、輸送を担った民間船の死者は、40%以上にのぼったのだそうです。
海軍の戦死者が10%台だったことを考えると、
いかに大きな犠牲だったかが分かりますし、
この中を生き残った船乗りは、海軍以上の歴戦の勇者といっても過言ではないでしょう。
そんな一人である、日章丸の艦長の、
命運をかけた隠密航行のくだりは、とても臨場感と緊張感のある
この本のクライマックスシーンといってもいいと思います。
本当の行き先を知っているのは、艦長と航海長だけ。
イギリス海軍に拿捕される恐れがある中、困難な航海を行う様子は、
非常にひきつけられました。
最近、海上自衛隊の護衛艦に関われる機会が増えたお陰で、
多少なりとも船に関する知識が付いてきたことも、引き込まれた要因のひとつだと思います。
ですが、実際の船乗りさんだと、もっと臨場感があって読むことができたのだろうな、
とも思い、この本を読む船乗りさんがうらやましくなったりもしました。
この艦長が、隠密行動だっため、奥様にも行き先を告げずに出港したため、
「あとで怒られるだろうな」と思いながら、
「ああ、妻の怒る顔が見たい」と奥様に思いを馳せる場面が好きです。
このひと言に、どれほど奥様に対する愛情が込められていることか…。
…この作中に登場する、魅力的な人物の中に、
彼ら「比類なき男達」を支える女性たちがいます。
鐵造の前妻と後妻、この艦長の妻は、
深い愛情と芯の強さで、ちょっと(かなり?)無謀ともいえる夫を、
細かいことは何も聞かずに黙って支える、
しなやかと表現するのがそぐわしい、
いづれもステキな女性でした。
やはり、素晴らしい男の側には、素晴らしい女がいるものなのだな、
と納得せずにはいられません。
こういう女性になりたいです…。
本当に、凄まじいまでの熱意で全力で仕事に取り組む男達が、
次々に出てくるのですが、
「仕事」という点で、ここまで熱意を持って取り組む事ができるのか、
という壮絶な場面が、
「タンクさらい」です。
燃料に困窮し、喉から手が出るほど燃料を欲していた、
海軍でさえやらなかったほどの過酷な作業なのですが、
それを、悲壮感ではなく、むしろ笑顔で役員から平社員まで、
一丸となって取り組む場面は、
「仕事のなんたるか」を、身をもって教えられたように感じます。
この作業は、直接的な利益は生み出すに至らなかったのですが、
後々になって、計り知れない効果を生み出します。
「タンク底に帰れ」は今でも、
出光では、困難を乗り切る時の合言葉になっているのだそうです。
通常の会社でも、創業期は大変なものですが、
この会社は戦いの連続で、困難(と敵)が襲い掛かってくる量と質が尋常ではありません。
そして、ただでさえ困難な中、
佐三が社員に明言した言葉の中に、
「出光にいる限り、一生、金で困ると思え。進む道が違うなら出光を去れ」
という言葉があります。
にもかかわらず、数々の極めて優秀な男たちが、
文字通り命をかけて、この会社に骨を埋めました。
「黄金の奴隷たるなかれ」
今なお、出光に語り継がれる社訓です。
人は、黄金のためだけを目的に仕事すると、病んでいく傾向があります。
逆に、やりがいをもって、責任感と信念を持って仕事に取り組むと生き生きします。
本来、人間の善の部分は、真摯に職務や任務に取り組むことを楽しむものだと思います。
お金は、生きていく上で必要な便利な道具です。
ですが、この時代以上に、お金が全てで、
お金が力で、権力になっている現在、
「仕事はなんのためにするのか?」
「自分が生きる目的、意味」
を改めて感じさせさせてくれます。
そしてそれ以上に、
自身が目指す「あるべき姿」を妥協せずに「生きる」という事は、
これほどまでに、覚悟と戦いを強いられるものだということも突きつけられたように思います。
ここまで、会社の利益ではなく、真に国益のために尽力した
出光佐三という男…彼に触れることは、
あなたの中に眠っている、
日本人としての誇りと魂を呼び起こしてくれることでしょう。
日本人なら、ぜひ読んで欲しい名著です。