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介護保険報酬改定審議資料 実態調べず数字も異なる 財務省主査 本紙指摘に“訂正したい”

2017-09-20 | 社会保障制度の改悪許すな!

来年4月の介護報酬改定を審議している社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働相の諮問機関・田中滋分科会長)に厚労省が提出した訪問介護についての調査資料が、利用者の介護実態を調べていないばかりか、統計資料としても説明と異なる数字を出していたことが本紙の調べで分かりました。審議の前提となる調査資料の信ぴょう性が問われる重大事態です。(内藤真己子)


利用者の状況記載もなし

 ホームヘルパーによる訪問介護には、掃除や調理をおこなう「生活援助」型と、排せつや入浴の介助を行う「身体介護」型、その混合型があります。

 問題の調査資料は、財務省の「平成29年度予算執行調査(介護保険サービス(訪問介護))の概要」。厚労省が7月5日の同分科会に提出し、三浦明老健局振興課長(当時)が説明しました。

 資料は「『生活援助』のみの利用状況を調査した」として、1人当たりの平均利用回数は月9回程度なのに、「月31回以上の利用者が6626人にのぼり、中には月100回を超えて利用されているケースも認められた」と多数利用を問題視。最多で月101回の北海道標茶(しべちゃ)町の利用者をはじめ、90回までの利用者がいる自治体名を列挙しています。

 そのうえで「改革の方向性(案)」として1日当たりの介護報酬の「上限設定」を提示。厳しい利用制限を導入して費用を削減しようとするものです。

 ところが財務省資料に列挙された自治体に本紙が問い合わせたところ、101回の標茶町の利用者(要介護3)は80歳代で認知症と精神疾患があり、1日3回ヘルパーが調理し食事を見守るなど生活全般を支援。身体介護も月15回利用し、在宅生活を成り立たせていました。財務省はこうした利用者の状況を調べておらず、資料に記載もありません。

 また統計自体にも問題がありました。同調査で「16万2585人」とされる調査対象の「利用者数」について当初、財務省主計局や厚労省老健局は、本紙に「生活援助型の利用者総数」と回答していました。本紙が厚労省の介護給付費実態調査(生活援助型利用者48・9万人)とのかい離を指摘すると、財務省主計局厚生労働係は「生活援助全般ではなく、1回当たり45分未満の利用者だけの集計」(石井隆太郎主査)と回答を翻しました。審議会提出資料にそうした記述は一切ありません。同主査は「機会を見て訂正したい」と誤りを認めました。


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