来年4月からの子ども・子育て新制度の開始を前に、保育料の値上げを打ち出す自治体が相次いでいます。一体、どうしてー!
埼玉県朝霞市では、新制度で認可保育所の施設が増えて市の負担が増えることや、長年にわたって低く据え置いてきたことを理由に、保育料の1人当たり月4000円(平均)値上げを表明しています。
利用者に転嫁
東京都台東区は12月議会で、来年度からの保育料値上げの条例を可決しました。保育所で最高月額1万7000円(平均4500円)、公立幼稚園で同3600円(同900円)の大幅値上げとなります。新制度で区の負担が増えることなどを理由にしています。
日本共産党区議団は、「保育所で5100万円の住民負担だが、区の財政力を活用すれば据え置きは十分可能。今でも子育て世帯の負担は大きい。値上げは認められない」と反対。1000人を超える値上げ反対の陳情署名が区議会に提出され、区は値上げ幅を1年間は半分にとどめることを表明しました。
同武蔵野市も12月議会で値上げ条例を可決しました。
国の支援が不十分なため、これまで自治体が独自に上乗せして保育料の軽減などが行われてきました。新制度のもとで自治体負担が利用者に転嫁されることになれば、国の責任が問われます。
また、新制度のもと幼稚園保育料は、定額負担から応能負担に変わります。これまで低く抑えられてきた公立幼稚園が値上げとなることから、軽減負担を求める声も上がっています。
再算定「廃止」
保育料は現在、「子ども手当」創設に伴う年少扶養控除と特定扶養控除の上乗せ廃止によって、所得の算定に影響が出ないよう国が通知を出し(2011年7月)、廃止前の所得を算定して決定されています(再算定)。
ところが国は7月の子ども・子育て会議で、「(事務手続きを簡素化したい)自治体からの要望が強い」として、再算定はしなくてよい、との考えを示しました。そのため、来年度から値上げを打ち出す自治体が相次いでいます。
東京都多摩市は再算定の「廃止」を表明。同東村山市は「再計算を行わない方向で検討」としています。
年少扶養控除の廃止の影響は子どもが多い世帯ほど大きく、「少子化対策に逆行する」との批判があがっています。子育て支援を掲げながら、負担増を押し付ける安倍内閣の姿勢が問われます。