安倍内閣は11日、派遣労働を無期限・無制限に使えるようにする労働者派遣法改悪案を閣議決定しました。1985年の労働者派遣制度発足から掲げられている「派遣は臨時的・一時的業務に限定し、常用雇用の代替にしてはならない」という大原則をくつがえす大改悪です。
これまでは通訳など「専門26業務」を除いて派遣の受け入れ期間は原則1年、延長しても3年が上限でした。
法案では、3年で人を入れ替えれば、労働組合などの意見を聞くだけで、無期限に派遣できるようにします。専門業務の区分も廃止して、どんな仕事でもずっと派遣に任せられるようになります。
トヨタ自動車系列やキヤノンなど大企業で行われてきた「期間制限違反」「業務偽装」など違法派遣が合法化され、労働者には「生涯ハケン」が押し付けられることになります。
無期雇用の派遣労働者については、派遣可能期間を撤廃します。無期雇用といっても「派遣切り」のように簡単に解雇でき、正社員から無期雇用の派遣社員への置き換えに拍車をかけることになります。
派遣先の正社員と同じように働く派遣労働者に「均等待遇」を保障するのは、ILO(国際労働機関)やEU(欧州連合)で定める国際ルールになっていますが、法案では「均衡待遇」の努力にとどまり、賃金格差などが温存されます。
日本共産党は「派遣を『常用』できるようにする大改悪」(志位和夫委員長)と批判。全労連、連合など労働界はこぞって反対、日弁連も会長声明で反対しており、たたかいはこれからです