これまで日本は外国人労働者の受け入れには慎重な姿勢を取り続けてきた。日本で働くことができるのは研究者など高度な専門人材に限られ、単純労働者を受け入れないことを原則としてきた。しかし、少子高齢化で労働力人口が不足してきたこともあり、実態として様々な名目をかかげて単純労働者を受け入れてきた。すなわち、次のような人々が就労可能とされてきた。
1. EPA(経済連携協定)に基づく看護師、介護福祉士、あるいはそれを目指す人
2. 留学生(ただし週28時間までのアルバイトに限る)
3. 技能実習生制度(1993年導入)
現在、日本で働く外国人労働者は172万人、全就業者数の約2.6%を占める(2020年)。今や人手不足に悩むコンビニ、居酒屋、農業、中小企業、建築現場などで、外国人労働者は「安い単純労働者」として日本経済になくてはならない存在となっている。技能実習生のほうも、来日の目的は技能の習得というより「出稼ぎ」である場合が少なくない。また、留学生の中にも出稼ぎを目的とした「偽装留学生」がかなりいるとみられる。
そうしたなかで、2019年4月、改正入管法(出入国管理及び難民認定法)が施行され、新たに「特定技能1号」と「特定技能2号」という在留資格が設けられたのだ。これは簡単に言えば、一定の条件を満たしたものに対して、さらに在留期間を3年または無期限の延長を認めるという制度である。すなわち、これまでの単純労働者の受け入れを原則として認めないという政策を大幅に転換し、「単純労働者を受け入れているという実態」を事後承認する制度であるといってよい。
当面、日本の少子化は止まりそうにない。となれば、産業界としては外国人労働者の受け入れに頼らざるを得なくなる。かつて「日本は単一民族」という失言をした首相がいたが、そもそも日本は単一民族ではない。また、単一民族を誇りたいと意識も時代錯誤というべきだろう。日本人のルーツは、朝鮮半島、琉球、シベリアからわたってきた人々が混ざり合ったものだといわれる。新しい時代に合った移民・難民政策が求められるのではないか
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