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南英世の 「くろねこ日記」

誰が日本株を買っているか?

(年間6兆円ペースで増える日銀のETF買い)


海外投資家は日本株の売買シェアの7割を占める。だから、日本の株価を決めているのは海外投資家であるといっても過言ではない。

外国勢はアベノミクス当初に日本株を積極に買い,累計買越額は2015年には約20兆円に達した。しかし、その後は売り越しに転じ、現在は10兆円弱に半減している。アベノミクスの第三の矢といわれる「成長戦略」に見切りをつけたからだろう。

2018年の海外投資家の日本株売越額は5.3兆円あまりだった。これはブラックマンデー暴落があった1987年(7.1兆円)以来最も高い水準である。その結果、日経平均株価は12%下落した。

外国勢の大量売り越しにもかかわらず、株価がこの程度の下落に収まっているのは、外国人による日本株売りを日銀の上場投資信託(ETF)買いで吸収するような構図になっているからである。

不景気の時、買いオペをおこなうのは金融政策の基本である。従来、買いオペは国債や社債、手形などに限られていた。しかし、日銀は2010年にETF買いを決定した。

現在、日銀は年間6兆円というペースでETF買いを続けており(上図参照)、ETFを通じた保有残高は時価で約23兆円に達している。これは運用目的で大量の日本株を保有する日本生命(9兆円)や第一生命(3兆円)をはるかにしのぐ。

日銀の大量ETF買いの結果、日銀は上場企業の約4割で上位10位以内の実質上の「大株主」となり、そのうちの5社では実質的な筆頭株主になっている。償還期限がある国債とは異なり、ETFは売却しない限り資産に残る。もし、株価が暴落すれば日銀は多額の含み損を抱えることになる。日銀の財務が傷つけば、日本円の信頼が揺らぐ。

何のことはない。政権に忖度し、外国人に儲けさせて、最後の「ババ」を日本が引き受けているだけの話である。人為的な株価維持政策はろくな結果をもたらさない。地震と同じでエネルギーが高まるほど反動もまた大きい。日銀は金融政策の独立性を保障されていると教科書には書いてあるが、修正したほうがいいかもしれない。
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