南英世の 「くろねこ日記」

女性天皇とその歴史

 

日本には10代8人の女性天皇が存在した。


㉝ 推古天皇
㉟㊲皇極天皇・斉明天皇(同一人物)
㊶ 持統天皇
㊸ 元明天皇
㊹ 元正天皇
㊻㊽孝謙天皇・称徳天皇(同一人物)


109 明正天皇
117 後桜町天皇

 

最初は6世紀から8世紀に集中し、その後再び現れるのは江戸時代になってからである。日本史には明るくないので、どういう背景があったのかは知らない(あまり興味もない)。

これら8人はいずれも「女性天皇」であって「女系天皇」ではない。両者の違いは何か。女性天皇は父方をたどれば必ず神武天皇に行きつく。しかし、女系天皇の父方をたどっても天皇には行きつかない。現在の皇室典範第1条には「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」とある。だから、たとえば愛子内親王が民間人の男性と結婚して男子の子どもが生まれても、その男の子は天皇にはなれない。

日本では長い間、藤原家が皇室に妃を送り込んできた。しかし、皇室に婿入りさせて生まれてきた男の子を天皇にすることはなかった。もしそんなことをすれば藤原王朝ができ、「万世一系」が途絶えるからだとされる。

日本の国体を守ろうとする思想を持っている人は、あくまで「男系の男子」にこだわる。この本の著者は強烈な「男系男子」にこだわる保守主義者である。「憲法があって天皇がおられるのではない。逆に天皇がおられて憲法がある」「憲法や法律は我々臣民を律するものであって、天皇・皇族を律するものではない」と書いている。

これは明治憲法そのままの主張である。長年、憲法学会の通説を教えてきた身からすれば「エッ」と驚くほかない。たしかに、こういう思想を持っている人は今の日本社会で一定数いる。しかし、男女平等という概念が定着した今、なぜ「男系男子」にこだわる必要があるのか。そもそも「男」ってそんなに偉い存在なのか。

日本には「菊タブー」という無言の圧力がある。マスコミも黙して語らない。しかし、男系男子にこだわっていると後継者が途絶えてしまうことも懸念される。この問題を有識者だけにまかせるのではなく、もっと国民がオープンに議論できる雰囲気が必要ではないだろうか。

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