*ハイビジョン特集
「本田美奈子:最期のボイスレター」
~歌がつないだ“いのち”の対話~
放送局 :NHK-BSハイビジョン
放送日 :2010年12月12日(日)
放送時間 :午後7時5分~午後8時55分
放送局 :NHK-BSハイビジョン
放送日 :2008年3月3日
放送時間 :午後2時~午後3時50分(放送終了)
~3月10日、6月17日、10月31日に再放送がありました。
放送局 :NHK総合/デジタル総合
放送日 : 2008年3月24日
放送時間 :午後7時30分~午後8時45分(放送終了)
<mimifukuから一言>
急性骨髄性白血病のために亡くなった歌手の本田美奈子さんが、
闘病中に偶然入院してきた恩師であり作詞家の、
岩谷時子さんと交わしたボイスレターを通して、
人が生きることへの希望や重みを考えさせられる番組。
本田美奈子さんは2005年1月13日。
白血病のために都内の大学病院に入院。
その5ヶ月後の6月20日。
道路で転倒し大腿骨他、複数の骨折をして入院してきた岩谷時子さん。
ミュージカルを通して出会って以来、
本田さんにとって岩谷さんは母のような存在。
~年齢的にはおばあちゃん(当事89歳)なんだけれど、
岩谷さんをお母さんと呼ぶ本田さんの優しさを知ることができる。
無菌室の本田さんと動けない岩谷さんがボイスレコーダーを通して、
病気と闘いながら励まし合う声の記録は聞いていて胸がつまる思いがする。
本田さんは岩谷さんへのボイスレターに必ず自らの歌を録音する。
気持ちがブルーだと言いながらも歌う、
「祈り(岩谷時子作詞)」は音程のずれを感じさせながらも、
彼女の心情が見える。
「神様 今日も世界をおまもりください。
わたしにいのち 与えたもうた この御手で
曠野(あれの)は寒い 子羊は祈る。
神様 お恵みを さまよう者に。
おびえる子供らに 御救いを、
おびえる子供らに 御救いを 。」
美奈子:
「ねえ、お母さん。お母さんの詩ってすごいでしょ。
心にいっぱいキズをおってしまって、
自分が生きているのも辛くなるような子供達が、
最近増えていると思うんですね。
そういう子供達にお母さんの詩のメッセージ伝えるために、
子供達の前で歌うことができたらいいなって、
今思いました。」
時子:
「とっても綺麗な歌声を聴いて、
さわやかな気持ちで寝むれない春の夜を眠りました。
やっぱり色々と考えることの多いこの頃だけど、
あなたも私もこれから頑張って生きていかなければならない、
宿命を持っていると思うのね。
だから、
力を合わせて何とか幸せに、
周囲も幸せになるように頑張りましょうね。」
病気の二人が社会の憂いを考えるやり取り。
89歳の岩谷時子さんが、
「周囲が幸せになれるよう頑張ることが私達の宿命。」
と言う件(くだり)には感銘を受ける。
また、
健康な者には想像もできないと聞く抗癌剤の副作用の辛さの中で、
口から血を吐きながらも歌うことをやめない本田さんの姿勢に、
感動しない者はいないだろう。
病気との闘い。
再びステージに立つことへの希望。
一人の人間のすざましい闘病生活を通して、
生きることの尊さを感じることができる、
そんな番組になっていた。
私は本田美奈子さんのステージを、
東京の帝国劇場での「レ・ミゼラブル」で観覧している。
彼女が歌う“オン・マイ・オウン”でのエボニーヌと同化するような感情移入と、
声量の豊かさは素晴らしいものだった。
ミュージカル界では高く評価されていたものの、
一般的には過去のアイドル歌手との認知が強く、
彼女の活動に対して生前にもっと高く評価されても良い歌手であったろう。
マリリンのイメージが強いがアイドル時代から歌の上手な歌手だった。
ただしクラシックを歌うには、
ブレスの不足と声の硬さに少し違和感を覚えた。
享年38歳。
惜しい才能を失った。
願わくばBS特集で、
美空ひばりさんや尾崎豊さんのように、
リクエスト特集を放送して欲しいものだ。
もう一度、舞台での彼女に会いたい。
*番組のレポートを綴ったブログへのリンク。
→ http://blog.vita-cantabile.org/2008/02/post_324.html
→ http://blog.goo.ne.jp/earth12wind/e/a4ceb585aa8e4191176bf3a1f793964b
【関連番組】
BSエンターテインメント
「歌伝説“愛の讃歌”」
~作詞家:岩谷時子の世界~
放送局 :BSハイビジョン
放送日 :2008年3月1日(土)
放送時間 :午後2時30分~午後4時(放送終了)
「愛の讃歌」の訳詞で知られる岩谷時子さんの数多くの名曲を紹介。
越路吹雪さんの才能に惚れ込みエディット・ピアフの訳詞等を手がけた、
岩谷時子さんは作詞家としても日本の歌謡史において、
1960~70年代にかけて数多くの名曲を世に送り出した。
岩谷さんと言えば越路吹雪と言えるほど人生を越路吹雪さんに捧げ、
マネージャーとしての岩谷さんの力量を劇団四季の浅利慶太さんは、
「越路さんのような天才は二度と世に出てこないだろう。
なぜなら岩谷さんのような(情熱的な)マネージャーが、
今の世の中にはいないからだよ。」
フジテレビ系列のドラマ、
『越路吹雪・愛の生涯この命燃えつきるまで私は歌う』(2005年放送)で、
天海祐希さんが越路吹雪さんを演じ、
松下由樹さんが岩谷時子さんを演じおり、
ご記憶の方も多いと思う。
本田美奈子さんの当たり役:ミュージカル『ミス・サイゴン』
も岩谷さんの訳詞であり、
「ミス・サイゴン」で知り合った本田さんの才能を高く評価し、
数多く詞も提供した。
岩谷さんは“ボイスレター”の番組では出演されなかったが、
この番組では元気な姿を見ることができる。
今日は個人的にとてもつらいことが有った日でしたがこの二人に出会えたことは すばらしい日だったのではと思えます。 こんな古いものにコメントを書いても意味がないと思いますが
番組を見て同じ思いをした人に 私も今日の感激を伝えたいと思いました。 テレビから救われることってたくさんありますね。
ありがとう です。
タイでも放送されたのですね。
この番組は日本でも評判がよく、
BS放送だけでなく地上波総合TVでも放送され、
今年に入っても再放送されています。
病気を通して偶然に同じ病院に入院した子弟のような二人。
残された録音は病室からの声の交換。
その記録を忠実に再生することで成立した番組。
人と人の思い。
人と人とのつながり。
死と闘いながらも懸命に相手を気遣う心。
また、
自分たちに与えられた立場の確認と使命。
私のような凡人には学ぶことばかりです。
本当に心に残る良い番組でした。