カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

横浜馬車道・勝烈庵

2005年03月29日 | 食いしん坊
私の親しい友人であるK教授の定年退官記念のシンポジウムに出席するために横浜に来ている。そして、横浜のとんかつの名店、勝烈庵を訪れる機会を得た。この店を紹介してくれたのは、他ならぬK教授である。横浜でとんかつというのは何だか場所違いの感もあったが、よく考えて見ればここは文明開化に少なからぬ貢献した港町であり、洋食が発展しても不思議ではない。ちなみに横浜港は今年で開港150周年を迎える。この勝烈庵は昭和初期に真砂町で開業し、現在は関内・馬車道に本店がある。店名に用いられている「勝烈」というあて字が印象的で、それにそば屋でもないのに「庵」と続く、この奇妙なコンビネーションが一度聞いたら忘れさせない力を持っている。初代の庵主の「いき」が感じられる屋号である。そして店の看板は棟方志功画伯によって描かれていて、あきのこないしゃれた感じがある。早速店内に入り、白木の美しいカウンター席にK氏とともに陣取った。ここからだと調理人がとんかつを揚げる様子がつぶさに観察でき、とんかつ屋の特等席である。本題のとんかつは勝烈定食1370円を注文、しじみ汁とごはん、それに香の物が供される。とんかつ定食は、必ずといっていいほどしじみ汁が定番であるが、その理由はわからない。ここのとんかつは、長方形の形をしていて、揚げる前には二本の竹串が刺してある。形を崩さないための工夫だろう。それからここのパン粉が独特である。横浜十番館特製というパン粉は木目の細かく、とんかつがラード油の中に放り込まれると同時に、衣がさあっと油の表面に散っていって花を咲かせる。ここの揚げ方は高温揚げに属するが、ゆっくりと揚げられたカツレツは見事にキツネ色に輝いていた。定番のキャベツの千切りを伴って、皿に盛られたとんかつに、この店独特のまろやかなソースをかけていただく。さくさくとした歯ごたえがたまらない。肉もやわらかくジューシーでうまい。あっという間に平らげてしまったが、これなら大勝烈定食(2000円)でもよかったかな、とあとで思ったが、健康のことを考えるとこれで満足と自分に言い聞かせて店をでた。また、特製カツレツサンド(1000円)も実に丁寧に調理されていて、おいしそうだった。今度はこれも試してみよう。

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