カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

森内俊之十八世名人誕生

2007年06月30日 | 将棋
第65期名人戦七番勝負の最終局が28日、29日の両日蒲郡市の銀波荘で行われ、森内俊之名人が郷田真隆九段を破り、名人位を防衛すると同時に、5期連続名人位獲得した結果、第十八世名人位の資格を得た。最初挑戦者が2連勝したので、「もしかしたら」という声もあったが、その後名人が連勝し、三勝三敗のタイまで持ち込まれた。郷田九段も最後まで粘ったが力及ばず、森内名人の勝利となった。

森内名人の棋風は、剛健とか剛鉄という言葉で形容される。恐ろしいほど守りが強いのである。安定した力の持ち主である。同世代の羽生善治三冠とはよく比較されるが、棋風が全く違うので、この二人の将棋が実に面白い。深みのある好勝負となることが多いのである。この二人に加えて、谷川、佐藤、渡辺、丸山、そして今回の挑戦者郷田、今の将棋界は様々なタレントの持ち主がたくさんいて、見ていて実に楽しい。大山、升田、塚田の重鎮に中原、米長、二上、加藤らの若手が挑んでいた60年代にも勝るとも劣らない顔ぶれが揃っている。

森内名人、おめでとう。これからも素晴らしい将棋を見せてください。

とにかく蒸し暑い

2007年06月27日 | カナダ
今日は気温が35度まで上昇して、湿気もあって、夏本番といった感じの日になりました。うちの12歳になる愛犬チェルシーもこの暑さにはまいっているようで、床にあるエアコンの排気口のところの身体を乗せて動こうとしません。動物は実に正直です。

この暑さしばらく続くのでしょうか?ひと雨ほしいところです。芝もかなり黄色くなってきました。この暑さでは水をやっても追い付きません。夏の雷雨が待ちどおしい今日この頃です。

今日も快晴、明日も快晴?

2007年06月25日 | カナダ
このところトロントでは素晴らしい天候が続いています。真っ青な空とカラッと乾燥した空気、気温は25度前後、実に過ごしやすい日々が続いています。

週末は毎朝チェルシーの散歩に続いて、最近は15分ほど自転車に乗るのが日課となりました。こういう素晴らしい天気のもとで風を切って自転車を走らせるのは気持ちのいいものです。足腰のトレーニングにもなりますので、できるだけ長く続けようと心に決めています。

昨日amazon.jpで購入した和書が10冊ほど届きました。最近は海外発送がすべて航空便になったので、注文から配達まで1週間かからなくなりました。便利になったものです。しばらく届いた本で自由時間を楽しむことができます。読みたい本が身近にあるとリッチな心持ちにしてくれます。

YouTube

2007年06月23日 | サイエンス
皆さんはYouTubeを愛用されていますか?もちろんでしょうね?膨大な量のビデオクリップが公開されています。様々な文化圏に住む人々がビデオをシェアすることで、それまで思いもかけなかった文化との出会いが始まっているような気がします。国際交流の新しい道具として歓迎するべきかどうかは、利用者のモラルや見識にかかっているように思います。

さて、このYouTubeを科学者である皆さんはどう使っていますか?音楽や映画、テレビの情報も結構ですが、科学の目的に使ったことがありますか?

検索エンジンを利用して、たとえば「apoptosis」とか「signal transduction」とか、自分の興味のある用語を検索してみてください。思いがけない素晴らしいビデオを見つけられることがあります。

ただし借用するときは必ず作者に確認するか、個人発表用のスライドに使う場合は少なくとも作者に対する謝辞を付け加えることを忘れないようにしてください。著作権の侵害になってはいけませんので。

このYouTube自身、著作権の問題は大きな課題でしょう。最近、Google社がYouTubeを買ったとか。今後の成り行きを注目しています。

私の好きな古都の寺

2007年06月18日 | 日本
東大寺、東寺、高雄山神護寺。私の好きな奈良・京都のお寺である。この三つの寺にはある人物を通して共通点がある。お分かりでない方がいらっしゃれば、これに高野山金剛峯寺を加えれば、ほとんどの皆さんがおわかりになるだろう。弘法大師こと空海のことである。

ちょうど司馬遼太郎氏の名著『空海の風景』を再読し終えて、また空海という人物のスケールの大きさに感動しているところである。中学か高校の教科書で教わった真言宗の開祖ということよりも、私は、空海こそが日本に膨大な文化的遺産を残し、その後の日本人の精神的自己形成にも大きく影響を及ぼした、日本人最初の海外留学生であったことに、甚だ感嘆するのである。空海の中国留学は二年足らずであったが、その間彼の得たもの、身につけたものは筆舌に尽くしがたいものがある。それは真言密教の経典に止まらず、土木、灌漑、建築、衣食住にかかわる様々な最先端の技術を、当時世界中で最も先駆的であった大都市・長安から取り入れたのである。讃岐に残る満濃池は空海が建築に携わった灌漑用ため池で、今でも讃岐の国の田畑を潤すのに利用されている。時は1300年以上も前のことである。

最初に触れた三つの寺は、どれも空海にゆかりのある寺である。幼いころからこれらの寺に惹かれてきた私の心には、空海という人物に対する興味がとめどもなく湧いてくるのである。

あっという間の一週間

2007年06月16日 | サイエンス
あっという間に一週間が過ぎ去りました。このところ会議や来客で忙しくしています。ブログを更新する機会がなかなか見つけられません。

今日は土曜日。このところ天気も上々、この週末も気温は30度近くまで上がることが予想されています。買ったばかりのバイク(自転車)で近所をサイクリングします。バイクは足、腰の運動にとても効果的だとどこかで聞いて、即実行。以前から自転車は持っていたのですが、数年前に息子に奪われて以来乗っていませんでした。脚力を付けることが私の目標とするところで、定年後にも動きままれる身体にしておきたいと思って言います。まだ先のことですが。

Otake様。私が毎朝行く病院のスターバックスでポール・マッカートニーのCDは見かけました。これが彼の65歳記念とは知りませんでした。早速購入して聞いてみます。情報ありがとう。

以前の記事を読まれたことがない方のために。Otake氏は私の高校時代の旧友です。当時ビートルズに一緒になって狂いました。それ以来30年以上会っていないと思います。でも、このブログのおかげで、ネット上でまた再会することができました。そして、多感だった青春期に共有した音楽の趣味をまた共有することができました。素晴らしいことです。

肌寒い快晴の朝

2007年06月09日 | カナダ
先週は夏のような暑さだったのですが、今週月曜から気温が急に下がり寒い日々が続いています。昨日も夕方に雷雨があり、暴風雨のあとはさらに冷え込みました。典型的な大陸性の気候変動です。気温が30度近くから10度近くにガクンと落ちることがあり、外出時の服装には注意せねばなりません。Tシャツの上にダウンジャケットを羽織っている人たちがいます。

今日は土曜日。雲ひとつない快晴です。今朝8時ですが気温は15度程度で肌寒く感じますが、気持ちのいい風が流れています。グレゴリアン・チャントでも聞きながら朝食の準備でもしましょうか。そのあとはヨガ教室です。

セミナー・ラッシュの月

2007年06月05日 | サイエンス
ここのところセミナーの来客が重なり、今月もほとんど毎週のように接客があります。通常スピーカーには1時間の講演をお願いします。そして、それ以外の時間を利用して、何人かの教授陣と個人面会を行い、お互いの研究を紹介したり、科学を取り巻く環境(グラントのこととか)などについて意見交換をします。そして夜は比較的小さなグループで会食をするという日程になるのが通常です。

これは、研究者のリクルートの時も基本的に同じです。その際、個人面会は候補者の人柄や性格を見極めるための重要な機会になります。今私の研究所ではまさにこの作業が進行中で、私がホスト役を務める今月のスピーカーのうち二人はリクルート目的です。

では、候補者の立場から、こういうインタビューの折にはどのようなことに留意すべきか?について少し書いてみます。まず、自分のやっている研究、すなわち科学に対する情熱を伝えることを心がけるべきであることは明白です。「enthusiasum」が伝わって来なければ印象がよくなるはずがありません。そして、自分の科学をどのくらい遠距離でとらえているか?いわゆる「big picture」をきちんと持っていて、その中で自分のやっている研究の意義をきちんと見極めているのか?これは重要なポイントです。往々にして、至近距離でしか自分の研究を理解しておらず、他の分野との関連や影響まで考えていない候補者は敬遠されがちです。大局を俯瞰する目を養うことは常日頃から心がけておいた方がいいと思います。

次に大事なのは相性。結局人と人のつながりが縁を産みます。これは万国共通です。面会する大半の科学者とうまく会話ができ、意志の疎通が図れるかどうか?科学に対する姿勢や考え方に意気投合できるのかどうか?同僚もしくは共同研究者として信頼できそうかどうか?そんな当たり前の人と人の付き合い方に関する能力が問われます。採用する側としても、今後何年、何十年という間、同僚としてやっていく相手を選ぶのですから、この点に慎重にならざるを得ないのは当然です。候補者側から考えても、うまくやっていけそうな同僚が多くいるかどうかを見極めることも重要です。「相思相愛」が理想です。長続きするからです。

最後にもうひとつ。通常一つの助教授ポストを公募すると、多い時で200-300人の応募があります。分野にもよるでしょうが、少なくても100人ぐらい。そこの中から書類選考でトップ5ないしトップ10を選び、インタビューに招待するのが通常でしょう。そのトップ5に入るためには、やはり論文リストが抜きんでている必要があります。NSC三大雑誌にファーストオサーで論文があれば、かなりの高い確率で残ります(研究の客観的な判断を商業誌に託す現状は問題ですが、これが現実です)。それから、将来どういう方向で研究を進めたいかということを示した研究提案書(2-3ページ)の内容も比重を持ちます。ポスドクでやっている仕事は所詮そのラボのボスの仕事です。ですから、研究提案書は、候補者が自分の持っている想像力やオリジナリティーをアピールするための重要な機会とも言えます。有効に自己主張をしましょう。この善し悪しが、候補者の将来性を判断するのに重要なファクターとなるからです。Natureの論文はあるけど、研究提案が貧弱というケースがあります。こういう人はテクニシャンに向いていると判断されかねません。それから、研究提案書は上に述べた「趨勢を見極めているか」の判断材料にもなります。将来の展望(夢でいい!)を思い切って書いた方が面白がられます。

あっと、それから、もちろん書類選考の段階では、推薦状の重みは無視できません。通常三通の推薦状があるのが好ましい。それも、できれば候補者をよく知っていて、影響力のある著名な研究者からの手紙が、「ものを言います」。推薦状の中には、巧言令色ばかりのあまり役に立たないものもありますが、率直に客観的に候補者の長所短所を指摘してあるものもあります。それから行間にそれとなく短所を指摘するような手紙があります。とにかく、いい推薦状を書いてもらえるような先生を少なくとも三人は確保しておくことは重要です。

話しはもどりますが、そんなわけで今月はまた会食が続きます。また太りそうです。もっと運動しないとだめですね。

悲しい知らせ-石立鉄男氏死去

2007年06月02日 | 日本
昨日の新聞記事で、俳優の石立鉄男氏の死去の訃報を知った。享年64歳だったそうだ。家族が、起きてこないので寝室に入ったら、すでに亡くなっていたそうである。あまりにも若い年齢での他界であった。

若い方は石立鉄男のことをご存じないかもしれないが、私が小学校から中学のころ、かれはテレビのドラマ番組で活躍していた。ユーモラスな役柄がはまり役で、「マドンナ」にからかわれたり、翻弄されたりするかわいい男をうまく演じていた。何といっても忘れられないのは「雑居時代」という番組で、大原麗子とのかけ合いがとてもユーモラスで、毎週楽しみに見ていたのを思い起こす。学校から帰って、コタツの中で見る夕方の番組であったと思う。再放送を見ていたのかもしれないが、コタツの暖かさと石立鉄男の暖かい演技とが奇妙に調和して忘れられない。

岡崎友紀と共演した「奥さまは18歳」も楽しい愉快な番組だった。

若くして他界された石立鉄男氏のご冥福を祈るのみである。