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カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

「Good luck!」という言い方

2009年04月27日 | 英語と日本語
久しぶりに英語のお話である。よく耳にする会話の表現に、「Good luck!」というのがある。日本の若者たちの会話の中にも登場するほど、日本人にもなじみがある英語表現である。

ただ、この何でもない表現を使うとき、私は大変気を使う。それは、日本人が予想をしないように受け取られることがあるからである。ちょっとそれについて解説したい。

まず、「Good Luck!」という時に、相手が思うことは、何に対して言っているかということだ。これは、「Thank you!」と言われたときに相手が持つ「?」と同じである。「Good luck for your paper!」とか、「Good luck for your health!」とか言われれば、相手はすぐに納得する。「そのことか。」ということになる。会話の内容によっては、まったく別のことに対して、「Good luck!」と言われて、「何でだ?!」と思わせることもあるので、気をつけたい。

そして、日本人が軽視しやすい落とし穴がもう一つある。それは、「Good luck for your paper!」とか、「Good luck for your health!」と言われたほうには、それがどういう風に聞こえるかということを、もう一度考えてみるところにヒントがある。欧米的考え方では、発言者が「Good luck!」という裏には、その対象に対して「運が必要なほど、なし難いこと」というようなニュアンスを提示しているように聞こえる場合がある。

すなわち、論文が本当に通るとわ思えないから、「Good luck」と言っているのだ、と取られかねないのである。健康のことになるとなおさら注意が必要だ。すなわち、この病気が治るとは思えないから、そういっているのかね、と取られかねないのである。

私も会話やEメールの中で、「Good luck…!」を使うことがよくある。その時に、これ大丈夫かな、と自分で再確認してから使うように心がけている。


Inside-the-park Home Run

2007年07月12日 | 英語と日本語
昨日の大リーグ・オールスター第一戦で、マリナーズのイチロー選手がランニングホームランを打ちました。オールスター戦でのランニングホームランは大リーグ史上初めての快挙とのことです。おみごとと言う他ありません。

ところで、英語でランニングホームランは「Inside-the-park Home Run」というのですね。初めて知りました。私はスポーツに関してまったくの無知です。「Inside-the-park」は、野球場のファウルラインの内側という意味です。英語の会話で「ball park」という使い方があるのは、野球から来ているということも、今回調べてみて初めて知りました。まったくのスポーツ音痴です。「ランニングホームラン」は確かにいかにも和製英語ですね。他にも野球用語には和製英語が多数あることを前に聞いたことがありますが、今はちょっと思い浮かびません。何かありますか?

イチロー選手がブルージェーズ戦でトロントに来ると、よく行くレストランがあります。それは、King streetにある「Hiro Sushi」です。ナイターの後通常のお客さんが引けた深夜近くになってから、このレストランをよく貸し切りにするという噂を耳にしたことがあります。トロントには、かなりの数の寿司レストランがありますが、「Hiro Sushi」はとりわけ有名です。そして、寿司も一品料理も実においしい。トロントに来て日本料理が恋しくなったら、ぜひ立ち寄ってみてください。

それにしても、イチロー選手は実に素晴らしい。あの鋭い目は自分の仕事に打ち込んでいる人の目です。これからも益々活躍してほしいと思います。

It's all relative!

2007年02月18日 | 英語と日本語
久しぶりに英語の話題です。数日前のマイナス20度という厳しい寒さは緩み、今日はマイナス8度程度です。外気に触れても暖かく感じますし、春の予感さえ感じる陽気になりました。マイナス8度と言えばまだまだ寒いのですが、マイナス20度とくらべると実感として暖かいわけで、こういうときに使う言葉が、「It's all relative!」です。東京でマイナス8度の寒さになれば大騒ぎでしょうが、トロントでは特にマイナス20度を記録した後ですから、こういう表現がぴったりといった感じです。気温に限らずいろんな状況下でこの表現は使いますので、憶えておくと便利です。

今日からカナダのほとんどの大学は「reading week」に入り、学部の学生は来週一週間のお休みです。中間試験がほぼ終わり、一月から始まったセメスターの折り返し地点です。大学院にはそういう休暇はありませんので、うちのラボも平常通りです。

ホッチキスについて

2006年06月09日 | 英語と日本語
18年前に試薬メーカーのプロダクトショーか何かでもらってきたプラスチック製の黄色いホッチキスが机の上にある。このホッチキスを今でも使っている。日本製である。北米製のホッチキスは、ばかでっかく出来が悪く、本当に使いにくいので敬遠している。それで、この日本製の簡素なホッチキスを後生大事に持っていて、愛用しているのである。簡素なプラスチックの胴体であるが、実に頑丈にできているので、今でもまったく問題なく機能している。

ところで、この「ホッチキス」という呼び名は、一体何から由来するのだろうかと、前々から疑問に思っていたが、今日始めてインターネットで調べてみた。ちなみに、英語では「staple」であるので、英語とは思えない。ところが実は面白い事実を知ることができた。「ホッチキス」とは「Hotchkiss」から由来するもので、19世紀のアメリカ人エンジニアの名前であることが判明した。この人が車をはじめとする機械類を製造する会社を起こして、どうもその会社の名前が入った「staple」が日本に輸入されたため、この会社の名前が製品の名前として置き換わってしまったとのことだ。「味の素」とか「クリネックス」の類である。面白いことに、アメリカでは、この「hotchkiss」という名前を覚えている人はごくまれで、したがって「hotchkiss」=「staple」とは誰も頭に浮かばないのである。だから、日本人が、アメリカやカナダに来て、「Hotchkissはどこにありますか?」などと聞いても、まったく通じない。今日は、前から気になっていたナゾが解けて、気持ちよく寝られます。

朝顔

2006年05月27日 | 英語と日本語
今年初めて、朝顔を苗から植えました。ここ数年ぜひ咲かしてみたいと思っていたのですが、ようやくそれを実現できました。ちなみに、朝顔は英語で「morning glory」と言います。直感ですが、日本語由来の気もします。

では、中国語では何と呼ぶのでしょうか?その答えは、「牽牛花」だそうです。まったく、朝顔を連想させませんが、これは古い中国の故事に由来するとのことです。ちなみに、夜咲く夕顔は、英語では「moonflower」で、中国語では「夜開花」ということです。日本語とよく似た語意ですが、朝顔、夕顔共に、この二つの花の名前に関しては、英語よりも、中国語よりも、日本語が一番風情があり、私には一番よく思えます。

リュウさんのコメントにある「屋根」も話しも面白いですね。なぜ日本語で「屋根」に大地にあるべき「根」が使われるようになったのか?、これは面白いテーマです。調べてみます。「娘」の話しもいいですね。これに関連しては、私も書きたいことがありますので、今度まとめて紹介します。

言語は調べれば調べるほど、面白くなります。言語こそ文化そのもののような気がします。ときおり不合理でいて、個々の文化圏の中では大手をふって歩き回っています。それがとても面白くてなりません。

「move」という動詞

2005年10月09日 | 英語と日本語
久しぶりに英語の話です。動詞の使い方というのは、難しいですね。簡単な単語、たとえば「move」という動詞は様々な場面で使われます。一番よく知られていて、しかも使いやすいのは、「Our bus is moving towards east.」とか、「I moved to Tokyo.」みたいに「動く」もしくは「移動する(引っ越す)」の意味ですね。ところが、この「move」は他にもまったく違った状況で使われ、しかもそれが日常会話の中に結構よく出てくるのです。まず最初に、ロマンチックな映画を見た後なんかに、「I was moved.」というような言い方をします。すなわち、「(あの映画をみて)感動したわ。」というような使い方がされます。もしくは、「The movie was so moving.」(あの映画はとても感動的だったわ)というような言い方もします。そうかと思うと、まったく別の状況、たとえば会議の最中に、「I moved to cancel this contract.」というような使い方がされます。この場合は、「私はその契約を破棄することを提案します。」という訳になり、この場合の「move」は、何かを「提案する」の意味合いです。そして、その提案に賛成なら、誰かが即「second!」と言って動議支持の意思を示し、あとの人がそれに続き、議事を進めるのが通例です。お気づきのように、確かにどの意味合いも、「心が動く」とか「提案を動かす」とかいうように「動く」という感じですね。これが英語的な表現なのでしょう。簡単な単語でも、様々な意味があり、様々な状況で使われることを知っておくと、まわりをキョロキョロ見なくてすみます。

英語の「We」と日本語の「私たち」

2005年03月10日 | 英語と日本語
言葉というのは本当に難しい。それは言葉が個々の文化の上に成立しているからである。「We」のように簡単な単語の使い方ひとつに、その文化の違いを感ずる。学校で習った英語では、Weは「私たち」であって、それ以上の説明は一切ない。日本語的に「私たち」というと暗黙のうちの「全体」という意識が存在し、これは皆に受け入れられていること、というような理解が自然に生まれる。例えば、何かの同好会の会員の一人が「私たちはあなたが会長に最適と思っています。」とメールを誰かにすると、同好会員全員が賛成であるかの印象を受ける。ところが、こちらで「We think that you are the best candidate for our president.」とメールで書くと、受け取った人は十中八九「Who are "we"?」と聞き返す。すなわち、英語では、説明がはっきりない限り「We」という言葉は、明瞭でないのだ。個人の意見を尊重する基盤がある社会では、当然のことといえる。そこで、英語では「John, Mary, Mark, and I think that ....」ということになる。もしくは、「We (John, Mary, Mark, and myself) think that ....」と注釈をつけてもよいが、まわりくどく聞こえる。このことは「They」についてもほぼ同じであるが、こちらの方が日本的な曖昧さをより含んでいるように思う。このあたりに注意して「We」を使うとよいと思う。