カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

三島由紀夫の英語

2012年01月18日 | 日本
とあることから、三島由紀夫が武士道について英語で語っているYouTubeビデオに巡り会った。そして、驚いた。

日本人離れしたスムーズな発音で、少しBritish Englishなまりのある奇麗な英語なのである。発音がいいというだけならあまり驚かなくてもよいのだが、三島由紀夫の偉大さは、自分の意見を持っていて、それをはっきりと英語で表現している点である。武士道についてもしかり、ほかのインタビューでは、日本の軍事力について外国人記者に尋ねられ、はっきりとした口調で堂々と自分の考えを述べているのである。もちろん英語である。

三島由紀夫がこれほど語学力に長けていたことは知らなかった。おそらくイギリスに留学経験があるのだろうと勝手に想像し、早速その略歴を調べてみた。ところが三島は海外へ留学したことはないのである。世界一周旅行などの経験はあるようだが、長期に海外で暮らしたことはなさそうである。愛国主義者だったとすぐに思い出した。とすると、学習院時代に英語の教師からかなりのトレーニングを受けたのだろうか?親密な交流があったドナルド キーン博士の話では、三島は「会話によって英語をマスターした稀有な人」とのことである。三島の英語は確かに口語英語から入った人のものである。

ここで、三島自身の考えや意見について、私は特に善し悪しを述べるつもりはない。私が感心するのは、とにかく自分の意見、考えをしっかりと英語で表現できる才能を持った人だったということである。当時30代だったと思うが、三島はすでに「matureな大人の国際人」であったのである。そういう人間を、我々日本人の中から数多く輩出することが、今の国際社会の中で強く求められていると思うので、半世紀も前の三島由紀夫の英語でのインタビューを聞いて、鮮烈な印象を受けたのである。

蛇足かもしれないが、日本の首相や外務大臣が、三島のように、外国に向けてはっきりとしっかりした意見を言える能力を備えた人であってほしいと願うのは、私だけだろうか?

興味のある方は、こちらをご覧あれ。


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2 コメント

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今もあの時をおぼえています (今はおじさん)
2012-01-24 02:12:31
興味があったので行ってきました。
言葉というのは、いわゆる語学力ではないということをあらためて考えさせてくれます。言葉以前のものが強く鮮明にある人にとっては、それを表現する言語は二次的な意味しか持たない、のかな?うらやましいかぎりです。

三島由紀夫、あの方の最後のあの事件、私は高校三年で現代社会の授業を受けている最中でした。今もあのときの空気をおぼえています。
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Unknown (tissue)
2012-02-11 21:56:28
三島由紀夫の流暢な英語のルーツを知りたくて調べてみたら、三島の写真が一杯出てきました。その中に、亡くなったあとの顔がありました。これが報道の自由というのでしょうか。
自由には品性と思いやりがあってのことではないのでしょうか。
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