カナダ・エクスプレス

多倫多(トロント)在住の癌の基礎研究を専門にする科学者の自由時間ブログです。

日本という国の強さ

2011年10月01日 | 日本
3月11日の大震災のあと、電力節約が国民全体の大きな課題である。

多くの原子力発電所が停止状態にあり、今まで平常と思っていた停電のない暮らしが、放射能汚染のリスクと代償で守られてきたことに、我々は気づくのである。これは日本だけの問題ではなく、世界の、特に先進国共通の大きな課題である。

この観点から言って、アメリカは爆走していると言っても、過言ではない。アメリカに行くといつも思うのだが、どこへ行っても、寒いくらいにエアコンが効いている。ものすごい量のエネルギーが使われている。それが当然のようである。エネルギーが無尽蔵に存在するかのような前提のもとに、アメリカ国民の生活、すなわち、国民性が成り立っている。これが大きな間違いであることに、アメリカの中でも一部の人々が気づいているはずだ。

日本では、福島第一原発の事故の後、節電を呼びかける努力がなされてきた。今回日本に滞在する機会を得て私が驚くのは、様々なレベルで節電のための注意を喚起することがなされ、それを受け入れる「大きな雰囲気」が明らかにある事だ。それをよしとして、皆で努力する「総意」と「協力」が、どこへ行っても感じられる。そして、これが功を奏していることは、産業界に対する節電要請が期限を待たずして解除されたことからも明白だ。これはすごいことである。

節電とはまったく関係なさそうな商品のTVコマーシャルが、何気なく「節電にご協力を」というメッセージを発信する。地下鉄や電車でも、いろいろなアイデアで節電に対するメッセージを発信している。ジョークぽいものや、節電のための生活の知恵みたいなものをさりげなく紹介する。それらを国民のみんながポジティブに受け入れて、生活の中で実行している。何と真面目で誠実な国民性だろう。

「団結力」と言う言葉は適当ではないかもしれないが、同じ方向に国民全体がみんなで動く力が日本にはある。ものすごい力である。世界のどこへ行っても、こんな国民性はないように私は思う。

この素晴らしい日本人の力をうまく使って、一日も早く、地震、津波、原発事故からの復旧、復興が進むことを心から祈っている。

最後になるが、アメリカで同じように政府が節電を呼びかけたとした(起こるとは思えないが)、一体アメリカ人の何パーセントが、日本人のように振舞うだろうか?ブーイングが起こるかもしれない…。


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