メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

最近の作業…14

2018-02-14 19:45:57 | 整備

最近の作業です…


まずは以前見積りを出したエア漏れのSH1Eプロフィア…
数時間止めておくとレッドゾーンまでエア圧が下がるという事で…


調べた結果、プロポーショナルリレーバルブからエアが漏れており…


見積りは出してあり作業はもう少し先の予定だったんですが…

先日お客様から『チェックランプが点いた…そうこうしてるうちにブザーまで鳴りだした‼︎ 見に来てくれー』と電話がありお客様の会社まで出張。


ブザーが鳴るという時点で予想はしてましたが…

案の定SCR系統のトラブルでした。


キーをオンにした途端ピーピーとブザーが鳴り出す始末…
この車もSCRシステムにトラブルがあってから300km走行するとブザーが鳴り出します。

故障コードを確認すると…


尿素インジェクターの異常がズラリと…
一度消去すると…


P2049 尿素水インジェクター故障(High)

が現在故障として残りました。
このコードはDCUが尿素水インジェクターの回路電圧が2.0V以上を0.05秒以上検出するとチェックランプを点灯させます。

インジェクターのアクティブテストを実施したいトコですが…
G-SCANはデータ表示に対応してますがアクティブテストや作業サポートは未対応…
TPMはアクティブテストや作業サポートには対応してますがデータ表示に対応しておらず…
正直、尿素水インジェクターはデータ表示が見れないとアクティブテストしても微妙で…


開いてるかどうかの確認はやってやれない事もありませんが、DCUの指示値に対して実開度が指示通りに開いてるか?の確認は不可。

という事で機能はあるのに見れないもどかしさ…

OBDコネクタを分岐させてそれぞれ違う診断機を繋いでG-SCANはデータ表示、TPMでアクティブテストをするとどうなるんでしょうか…

やっぱCANエラーが出るかな…

どうなるんだろ…?

まあこの故障コードはデータが見れなくても尿素水インジェクターの内部抵抗を測定する事で判断出来るのでまだいいですが…

実際、DCUから尿素水インジェクター間のハーネスは問題無くインジェクターの内部抵抗が高抵抗だったので尿素水インジェクターの故障で間違い無さそうです。


どちらにしてもこの状態で運行してもらうのはあまりよろしくないのでこのまま預かり修理する事に。
ついでにエア漏れの修理も予定を前倒しして行う事になりました。

部品を手配してまずはSCRの方から修理をする事に…
ちなみに尿素水インジェクターのお値段は68000円…(;´д`)


作業的には特に苦労する事もありません。
カバーを外したら尿素水インジェクターがお目見え…




クーラントが漏れ出てしまうのでサッサと交換します…


取り外した尿素水インジェクター…


通常新品のインジェクターの内部抵抗は約12Ωが正常値ですが、取り外したインジェクターは…


27kΩと高抵抗です…

交換したらエンジンをかけて異常がないか確認していきます。




スタートアップ制御から尿素水圧力の変化やNOxセンサーによる制御がキチンと行われるかの確認。


チェックランプも点かず安定しておりますが…
噴射制御が始まらず尿素水インジェクターがなかなか開かないのでエンジンを停止させ、アフターラン制御でのインジェクター作動確認を…


キチンと動いてますね…

後は各部の漏れを確認して…


SCRの修理は完了。
そのままエア漏れ修理に…

PRVを車両から取り外して…


今回はエア漏れなのでインナーキットによるオーバーホールで対応していきます。


WABCO製品のエア漏れはトラック用もトレーラー用も原因はみんな同じで、アクチュエータ側のスリーブシールの劣化です…
ただ、この劣化が経年劣化というより恐らくオイルミストの混入による早期劣化じゃないかと思うんですよねぇ…


バラすと…


やっぱり中はオイリーです…




ソレノイドも組み込まれてます…
色んな語源でインストラクションもありますが、相変わらず日本語はナシ…

WABCOさん…
ハングルはあるのに日本語ないってどういう事ですか…⁉︎






ま、個人的思考は置いといて…笑


英語のインストラクションで作業をします…




ソレノイドのOリングはキットに入って無いんですよねぇ…
あくまでもエア漏れを修理する為のキットという事ですね…


内部にはオイルが溜まってます…


こちらがエア漏れの原因のスリーブ…
表面のリングの当たる部分が溶けたようにゲジゲジになってます…


ここにアルミのリングが密着する事でエアを止めてるんですが表面がこの状態ではシール出来ません。
これが恐らくドライヤーを通り抜けたオイルミストが根本の原因なんじゃないかと…
オイルミストの油分が酸化劣化して…どーのこーのってやつですね…

アルミのリングにはその溶けたゴムがこびり付いてますがコレが固くて頑固…
無理に取ろうとするとリングにキズを付けてエア漏れの原因となってしまうので注意が必要です…
シンナーにしばらく着けておくとキレイになります。


こびり付いた物質が溶け出してるのが見えると思います…


内部を洗浄してアクチュエータ側のゴム部品は交換して組み付けます。


指定箇所に付属のグリスを塗って…
これもグリスを塗る所、塗っちゃ駄目な所がインストラクションに書いてあります。


ハウジングとカバーを合体…


キチンと規定トルクで締め付けます。


更にソレノイドの内部抵抗や絶縁抵抗の測定…
この基準値もインストラクションに書いてあります。






で、車両に取り付けてエア漏れテスト。
無事にエア漏れも止まりました。


このPRVも新品は125000円もします…
それに比べてリペアキットは6000円…
お客様の負担を考えたらどっちがいいかは比べるまでもありませんね…

という事でプロフィアは完了。



お次はEXD52ギガ…
スタビリンカーブッシュの交換で入庫です。
このスタビリンカーブッシュの交換作業も本来ならスタビライザーASSYを降ろしてプレスにて作業するのが一般的ですが、重くて2人がかりじゃないと危険だしプレスまで運ばなきゃいけない…と非効率的だったので、数年前にスタビライザーを車両から外さず1人でしかも安全に交換出来るような治具を製作しました。

天下のハスコー様からもプレスまで運ばなくても交換出来る工具が発売されてますがお値段ビックリの100万超えです…
それでもスタビライザーは車両から取り外さないと出来ませんからね…

そんな理由でウチは既存のポートパワーを利用してブッシュを交換出来るように治具を製作した訳です。
スタビライザーはもちろん、タイヤも外さずにブッシュの交換作業が可能です…


ガタガタになったスタビリンカーのブッシュは酸素で切断…


古いブッシュは固着が酷いのでプレスで抜こうとするより酸素で切断した方が圧倒的に早いですね…

で、スタビリンカーの当たり面をきれいに磨き…


いすゞ車のスタビリンカーブッシュは他のメーカーとは違い特殊でブッシュを圧縮する必要があります…
こちらはハスコーさんのSSTで。


ブッシュを圧縮してリングをセット。




ポートパワーをセットしてブッシュを圧入していきます…




指定の位置まで圧入して…


オッケー。




後はボルトを取り付けて完了…




反対側も…


で、ギガも完了…


お次は出先でエンジンがかからず、セルモーターがうんともすんとも言わない…との事でヘルプの電話がかかったFK71Dファイター。

現地に行ってキーをスタートに回しても無音状態…
セルモーターが回るような気配するありません…

という事で…


コレかな。


セーフティリレー…
コイツがオンにならないとセルモーターに電気がいきません…


軽く衝撃をあたえながらキーを回すとエンジンも始動。


やっぱりね…


セルが回らないという時点で予想してたので…
ちゃんと持ってきましたよ。笑


新品に換えてエンジンも無事一発始動…



そんなこんなでファイターも終了です…



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4 コメント

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お疲れ様です (九州男児)
2018-02-14 23:36:14
毎回ブログ楽しみにしてます(^。^)
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Re:お疲れ様です (mikiaxis)
2018-02-15 08:52:51
九州男児さん お久しぶりです^ ^


こんなブログでも楽しみにして下さって恐縮です…
ネタが慢性化してきてますが…笑
是非ともまたいつでもコメント下さい^ ^
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インジェクタの値段 (IM)
2018-02-15 22:49:43
同じ後処理装置を使ってる某メーカーのドージングモジュールの値段はどうなんですかね。あとで調べてみようかな。
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Re:インジェクタの値段 (mikiaxis)
2018-02-16 08:50:18
IMさん

プログラムまで同じかどうかは分かりませんが日野といすゞは同じアクチュエータを採用してるようです…
ただ、以前気になって調べた時、値段はどっちもどっちだったような気がします…笑
ドージングモジュール7万、尿素センサー7万、NOxセンサー7万、ポンプモジュール25万…みたいな。笑
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