メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

コンドル…トラブルシュート。

2018-05-17 19:41:15 | UD

車検整備で入庫した20年式のBDG-MK35Cコンドル…
エンジンはJ05。


担当者さんからはチェックランプも点いてるからそれも見といて!とお願いがあったので…
車検整備の前にチェックランプの原因だけ調べておこうとトラブルシュートをする事にしたんですが…

最近DPF関連の修理が立て続けに入庫してたのでもしかしたらこの車両もその類かもしれないなぁ…なんて軽い気持ちで作業を開始しました。





ところが診断機を繋ぎ故障コードを確認すると…






…⁉︎





なんか嫌な予感がプンプンしますが…


手を出した事に若干後悔しながらもここからは覚悟を決めて診断する事に…←初めからそうしろ


エンジンは普通にかかるもののフェイルセーフで2000rpm以上は回りません。

まずは現在の故障コードを記録だけして一旦消去。
で、残ったのが下のコード。


P0102 エアフローセンサー系故障(Low)
U1123 CAN通信異常(VNT)
P2101 吸気絞り弁故障固着
P0045 VNT故障(重度/軽度)
P2103 スロットルモーター短絡

とこんな感じ…


まあどこから調べていいのか分かりませんよね…笑

とりあえず上から順に調べていく事に。

まずはエアフローセンサー。
データ表示で吸入空気量を調べてみると2000rpmでレーシングさせてるのに1.15gm/sとあり得ない数字。
というか動いてないです…


更にVNTもアクティブテストを実施するも一向に動かず…



まずエアフロセンサーを診断書通りに…

コネクタを外してIGオン時の電圧を測定。


基準値としては10V以上が正常値ですが実際の電圧は2.6Vと全然低い…


多少なりとも電気が来てるという事は断線はしてないようですが…
それにしても2.6Vって中途半端な電圧です…

診断フローでは10V以下の場合はハーネス異常かもしくはDC-DCコンバータ異常となっております。
恐らくエアフロの作動電圧が12VでDC-DCコンバータで24Vから12Vまで下げてエアフロに入る為、IGオンで10V以上が正常という事でしょう。

それが2.6Vという事はこの時点で怪しいのはコンバータですよね…
電圧変換が上手くいってないのかな…なんて。

更にVNTの配線もIGオンで19V以上が正常値に対して実際の電圧は4.5V。
これもフローチャートでは電圧が19V以下の場合はハーネス不良という診断になってます。






この時点ではどこか配線に不具合があるのかな…なんて漠然と思ってましたが…
まずはエアフロの故障コードを追っていく事に…

配線図を用意してDC-DCコンバータを調べます…
このコンドルは助手席下にECUが鎮座しており、そこにコンバータも付いてます。


ECUが取り付けられているプレートの裏にDC-DCコンバータが…通称デコデコですね。


本来なら24Vが入り12Vで出てくるのが正常でしょうが、どこを測定しても24Vはおらず、4.5Vと2.5V。



配線図を詳しく見ると変換された電圧は確かにエアフロセンサーに入り…


4.5Vがコンバートされて2.5Vに…
それがエアフロセンサーに入るようで…
その為、エアフロ前で電圧を測定した時に2.6Vだったんですね…

となるとおかしいのはコンバータに入る4.5V…⁉︎

またまた配線図と睨めっこしてこの配線がどこと繋がってるのか調べると…


まあ色んな所と繋がっており…
VNTやらディーゼルスロットルにEGRなどなど。

ん⁇

確か現在残ってる故障コードもこれに関係するような所ばっかりだったよな…と確認するとまあ見事に合致するではありませんか…


更に配線図を追っていくと大元はバッテリーからリレーを介してECUのいくつかの端子に入りその手前でDC-DCコンバータ、VNT、ディーゼルスロットル、EGRバルブに入りDC-DCコンバータからは変換された電圧がエアフロセンサーに入ってます。


とりあえずこの4.5Vの出所を突き止める事に…

当然、繋がってる配線はどこを測っても4.5Vなので回路毎に切り離し配線図の記載と合ってるか確認しながら測定…という地味な作業の繰り返しです…笑


で、調べていくとECUのある端子から4.5Vが出力されている事が判明…
矢印のオレンジ色の線です。


本来は24Vが流れる配線…しかも入力側の端子のはずなのに何故⁇


この4.5Vが正常なのかどうかが判断出来ないのでどうしたもんか…

もしかしてこれが原因⁉︎

いや、何の確信も無くECUを原因とは言えませんよね…
13万もするので換えてみる訳にもいきませんし…


で、同じ型式の管理車両がないか調べてみると別のお客様が若干年式と型式に違いがあるものの似たような車両を所有してたので、事情を説明しお願いして出張で確認させていただく事に…

快く承諾して頂いたお客様には感謝です。

早速出張で確認しにいくと型式はMK36CでエンジンもJ07と現車とは若干違い、ECUの品番も違いましたが端子の配列と配線の色は一緒でした。

同じ条件でオレンジの配線を測定すると約5Vが流れておりました。
この差は恐らくバッテリーの状態によるものでしょう…
という事は問題の車両のECUから4.5Vが流れるのは正常と思われます。
ただし、全てのコネクタを繋いだ状態でIGオンにして測定すると正常な車両はちゃんと24Vが流れる事も確認…

問題の車両はIGオンにしても24Vが流れず4.5Vのままなのでその辺りが怪しいな…と

その後会社に戻りトラブルシュートの続きを。

実は帰りの道中に色々考え、今更ながら気づいた事が…


お恥ずかしい話ですが…
多少なりとも電気が流れている事で完全に頭の中から外れていた部分…




ヒューズです…




全てのヒューズを確認すると…



1個だけ切れておりました…(;´д`)


切れていたのは矢印のエンジンコントロールと排気ブレーキの兼用ヒューズ。


入庫した時にメーター内の排気ブレーキのランプがエンジン回転中でも点灯しっぱなしだったのはヒューズが切れてたからなのか…と今更気付く。←遅すぎる


で、新しいヒューズを入れてみるもIGオンで一瞬でパチっと飛ぶ始末…
という事はどこかで回路がショートしてるという事。

ヒューズ上流側にはバッテリーからの電圧がかかってるので当然24Vが来てますが…
切れたはずのヒューズ下流側にもECUからの4.5Vが…

それが各アクチュエータに流れていた訳です。


そのおかげでかなり苦労しましたが…



その後もどの回路でヒューズが飛ばなくなるのかコネクタを外してはIGオン…という作業を繰り返し…

儚くも一瞬で散っていった戦士達…笑


ブレーカーヒューズ買えよって話ですね。





で、あるコネクタを外した時だけヒューズが飛ぶ事はありませんでした…



原因は…




まさかの…




VNTコントローラでした。




今までVNTコントローラの不良は数え切れない程修理してきましたが、内部基盤がショートしてるのは初めて遭遇しました…
VNTの電源が色んなアクチュエータと兼用だった為にこんな大量の故障コードを検出した訳です…


問題の修理はコントローラ単体での供給が無くなっているのでターボチャージャーASSYでの交換となってしまいます。

新品のお値段は35万と高額…

当然、新品なんて使ってられないので信用出来るリビルト品にて見積もりを出す事に…

後はお客様の返事待ちです。




にしても整備書の診断フローチャートも色んな故障コードが同時に検出されてる場合はアテにならない事もしばしば…

問題の配線に電気が流れていた事でヒューズ切れは除外して初期段階でハーネスを疑い過ぎていました…
その決め付けから基本的な点検を怠ったために遠回りするという典型的なダメパターン…


まだまだ勉強が足りませんね…














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