Michiyo Kamei "Shape of life"いのちのかたち  

画家 亀井三千代 記
「身体曼荼羅」春画と解剖図
michiyokamei diary

中之条ビエンナーレ…陰影礼賛

2013年10月08日 07時43分28秒 | おすすめ展覧会


1泊2日で群馬県中之条へ
「中之条ビエンナーレ」*¹ を観に行く


飯沢康輔氏作品

中之条ビエンナーレは初めて
だから、前回と比較をすることはできないが
ふと気になる共通点を見つけた。

それは光と影、主に影の部分
古民家、廃屋などの「暗さ」だ

この暗さと湿り気を帯びた木と土の
何ともいえない においが
作品に独特の表情を添えている。
これが、この土地を利用する、という意味なのだと思った。



今回のきっかけは
藤井龍徳氏*² の作品を観ること

3000個の小さなビニール袋には
この土地の井戸水が汲まれて
吊されています。

これは首つり

戦争で失われた命
死をまつ者の姿だと語られた。
死にたくもないのに死んでいった者たちの上に
私たちの「いま」はある。

何列も、何列も…
一番奥の列は闇に吸い込まれて 
その先にもずっと続いているように見えた。

おびただしい数
水は小さな光を反射する。
背後のふすま絵とのみごとに調和
悲しくなるほど美しい





藤原京子氏作品

やはり闇の効果
吸い込まれるような造形
吊り橋の床には割れたガラス片が敷き詰められている
こんな橋を歩いて行くわけにはいかない

地震、原発、暗い未来へのイメージががわき起こる


志村陽子氏作品

吊されたオブジェがふすまに落とした影は
墨絵のようだった。 


陰影礼賛*³
今再び そんな時代が来るなら嬉しい。

いつも
もっとうす暗いところで絵を観てもらいたいと思っていた。
その方が墨の色も和紙の色も
美しく見えるだろうと思うのだ。

だが、私の画室も、多くの画廊もマンションだ。

画廊の照明をいくら暗くしたところで
日本家屋の暗さとは根本が違う。

結果的にマンション仕様の墨色を求めてはいないだろうか
まあ、それが「現在」なのかもしれないが…


これはアートではなくて
私の腹
四万温泉、地酒の宿 中村屋*⁴ に泊まる
飲み過ぎと 食べ過ぎ
心に影





*1 中之条ビエンナーレ http://nakanojo-biennale.com/
*2 藤井龍徳 http://blog.goo.ne.jp/michika-6/d/20130508
*3 陰影礼賛 谷崎潤一郎 中央公論新社
*4 地酒の宿 中村屋 http://www.zizakenoyado.com/



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