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週刊! 朝水日記

-weekly! asami's diary-

009.ようこそ、狂った不思議の国へ

2008年09月12日 | ヘタレゲーマークロニクル

-Gamer's Chronicles of "HETARE" #02-


 皆さんこんにちはごきげんよう。
 asayanことasami hiroakiでっす!(・ω・)ノ
 以前、このブログで僕はコンビニエンスストアのローソンで働いていると書きましたが、ローソンオリジナルミニカーコレクションの最新作、第11弾のリリースが決定しました。今度はRUFの第二章です。第9弾の続編ですね。(分からない人はブログ003.を再チェックだ!)
 バリエーションは全8車種。(注:内1車種はディスプレイケースに付属)もちろん、あのクルマ型のディスプレイケースも同時発売。10月リリース予定です。
 ところでローソンと言えば、9月に入ってから『世界のナベアツ・オモローフェア』と『ゴールデンエッグス・クリアファイルキャンペーン』が同時に展開されています。
 どちらも旬ネタのタイアップ企画ですが、僕はこういうキャンペーンが大のニガテです。
 何故なら……ッ!!

「“世界のナベアツ”ッテダレデスカ?(?_?)」

 てゆーかむしろ、

「“ごーるでんえっぐす”ッテオイシイノ?(´・ω・`)」

 てゆー状態だからです。
 意外に思われるかもしれませんが、僕は普段、全くと言っていいほどTVを見ません。
 TVアニメも見ません。
 ニュースすら見ません。
 バラエティやドラマなんてもっての外!
 以前は『よしもと新喜劇』だけは欠かさず見てましたが、今年の春頃からはこれすらも見なくなってしまったので、現在はホントに全く見ていない状態です。
 ……あ、オリンピックとかは別です。(^ ^;)
 ローソンでは、近年こうした巷で人気のタレントやキャラクターをフィーチャーしたタイアップキャンペーンをよく展開するんですが、それが何なのかマジで分からないのでとても困ります。
 お客様に訊かれても、何と答えれば良いのか返答に困ります。
 だからタイアップキャンペーンはもうちょっと自重してくれ新浪。(←ローソンのCEO)
 ちなみに、ニュースはネットのポータルサイトで自動更新されるヘッドラインを読んだり、店で新聞の一面を流し読みしたりしてますが、芸能関係はホントに情報源が皆無なのでマジでカンベンして下さい。(願)


 それはさて置き、今週は先週お届けした『ヘタレゲーマークロニクル』の第2弾。PCゲームの中では、未だに僕が一番好きなゲーム、『アリス・イン・ナイトメア』を紹介させて頂きたいと思います。
 当時、僕が最もハマった――てゆーか今でもハマってる――“超”オススメのゲームです。
 と、その前に、先週の記事で、「最初にやった洋ゲーは『サイバーウォー』です。」と書きましたが、ついさっき思い出しました。『サイバーウォー』じゃないです。
 PC-98時代(DOS時代)に、ウィル・ライト――つい先日、最新作の『Spore』がリリースされましたね――の『シムシティー』とピーター・モリニューの『ポピュラス』をやってます。
 どちらもハマりました。スゴく面白かったです。
 記憶が定かじゃありませんが、『シムシティー』は、確かキャピタルまでいったハズ。『ポピュラス』は100面超えた辺り。拡張パックも同じぐらいだったと思う。(注:ベーシックパックで500ステージ、拡張パックで500ステージの全1000ステージが用意されている。1ステージは速ければ10分程度で終わる上、スコアによってはステージスキップがあるので、上手い人だと数時間でオールクリア出来るらしい))
 ……あんまりやり込んでませんね。(笑)
 ですが、どちらも箱庭ゲームの走りとなった傑作です。特に『ポピュラス』は、現在のRTS――“リアル・タイム・ストラテジー”の略。国産のシュミレーションにありがちなターン制ではなく、両軍の軍勢が同時進行でリアルタイムに動くため、ターン制とは違ったスピーディな戦略の展開が要求されるシュミレーションゲームのジャンル。マイクロソフトの『エイジ・オブ・エンパイア』シリーズがつとに有名――の原点とも言うべきタイトルなのではないでしょうか?
 機会があったらまたやりたいです。
 マナを溜めてハルマゲドーン!!



 話しが逸れたので戻します。
 PCゲーム『アリス・イン・ナイトメア』(原題:『American McGee’s ALICE』。以下AiN)は、idソフトウェアの大ヒットFPS、『DOOM』シリーズや『クェイク』シリーズの1作目と2作目のレベル(ステージ)デザインで高い評価を得たゲームクリエーター、アメリカン・マギーが中心となり、ローグ・エンターテイメントとエレクトロニック・アーツの共同開発で2000年末(注:日本では2001年新春)にリリースされた三人称視点(バードヴュー)のアクションADVです。
 19世紀のイギリス文学の金字塔、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』の世界観とキャラクターを継承しながら、心理学的解釈を加える事で超一級のファンタジックホラーに仕立てた傑作。
 何度か延期されていますが、2009年にはこれをベースにした映画版が製作、公開される予定です。

Blog0039 オフィシャルキーヴィジュアルの一つ。
 ゲームの前半、“不思議の国の森”ステージをイメージした背景と、主人公であるアリスとそのパートナー、チェシャ猫が描かれていますね。
 キノコの毒々しい配色は、“森”という癒しの空間を狂気に満ちた空間に変貌させます。
 これだけでも、このゲームがどういったゲームなのかよく分かるのではないでしょうか?


・スタッフがスゴい!

 このゲームのスゴさ理解したければ、まず主要スタッフの経歴を知るべきではないでしょうか?
 僕も詳しくは知らなかったんですが、今回の記事のためにちょっと調べてみました。以下そのリサーチ結果。


アメリカン・マギー/ゲームデザイン・プロデューサー

 idソフトウェア在籍中、スプラッタホラーFPSとして有名な『DOOM』、『DOOM2』及び、DOOMシリーズとは異なる方向性を示した『Quake』、『Quake2』(注:『DOOM』、『DOOM2』には高さの概念がなく、RPGの3Dダンジョンのようなレベルデザインだったが、『Quake』、『Quake2』では高さの概念を取り入れ、360度フリールック機能を本格的に取り入れたFPSとなっている)のレベルデザイン――日本で言う所のマップデザイン。あるいはステージデザイン。海外では、マップやステージの事を“レベル”と呼ぶ――で高い評価を得て、一躍業界を代表するトップクリエーターとして認められました。
 1998年、idソフトウェアを退社し、エレクトロニック・アーツ(以下EA)に入社。同時に開発をスタートさせたのが、件のAiNです。
 AiNでは、オンライン対戦に特化した――ある意味し過ぎた――大ヒットFPS、『Quake3Arena』――クェイク3アリーナ。多種多様なレベルでデスマッチ形式のオンライン対戦が出来るFPSの金字塔。1999年の作品で、当時は『アンリアル・トーナメント』というほぼ同形態の作品と共に、現在のオンライン対戦型FPSゲームの基礎を築いた重要な作品。現在でも高い人気を誇り、ESWCでは世界大会も開かれている。ちなみに、シングルプレイモードもあり、いわゆるBOTを相手にレベル毎に異なる様々な条件をクリアするという内容。確か、全50レベルだったと思う。また、2001年にはPS2版がリリースされているが、PS2にはマウスがないので操作性が極端に悪く、またBBユニットのリリース前だったため、オンライン対戦も出来なかった――のゲームエンジン――通称Q3Aエンジン。正式名称は、……何でしょうね?(笑)――をフルチューンしたゲームエンジンを使用し、かつてない最高レベルのグラフィックと、Q3Aエンジンらしいスピード感タップリのアクションを実現したアクションADVとしてデザインしました。
 AiNの後は、2004年には『Scrapland』、2006年には『Bad Day L.A.』――いずれもFPSらしいが、僕はよく知りません。すまぬ……――をリリース。今年2008年には、グリム童話をベースにした全24編に及ぶエピソード形式(注:ストーリー、あるいは世界観や設定を完全に共通化させた連続シリーズモノ。Valve社の『ハーフライフ2エピソード』や、EAの『Sinエピソード』が有名。ちなみに、どちらも今だ未完結。続きどーなってんだよ!?)の『Grimm』という作品を手がけている。(注:ショートエピソードで構成される短編集のためか、どうやらオンライン販売のみで、各エピソードを順次リリースしていくようです。)
 また、近い将来、これまた児童文学の名作、『オズの魔法使い』をベースにした『Oz』という作品をリリースする予定があるらしいですが、こちらはまだ完全に未定の状態。


ノーマン・フェルチ/キャラクターデザイン・コンセプチュアル・アーティスト

 AiNにおける陰鬱としたイメージ、あるいは狂気と歪みが支配する狂った不思議の国のヴィジュアルを決定するキャラクターデザイン、及びコンセプチュアル・アートを担当したのが、このノーマン・フェルチです。
 日本では相当なマニアしか知らない人物かと思いますが、本国アメリカでは超有名人。
 その経歴を見てみると、アメコミの老舗、マーヴェル社では『スパイダーマン』。DC社では『バットマン』、ダークホース社では『エイリアンズ』でペンシルやインクを担当――アメコミでは、日本とは異なり一つの原稿を複数のアーティストがアニメのように分担して執筆する。“ペンシル”は、アニメで言うトコロの作画。“インク”は、いわゆる仕上げに相当する。他に、脚本担当やエフェクト担当など、アニメとほぼ同じ担当アーティストがそれぞれいる。そのためか、権利関係でもめる事も多い――していたり、ILMやMGMで映画のストーリーボード――いわゆる絵コンテ。ただし、ハリウッドでは日本のアニメとはかなり意味合いが異なる――を描いていたりする。
 ゲームでは、本作の他、映画『007/ジェームス・ボンド』シリーズの世界観を継承したスパイアクションゲーム、『ジェームス・ボンド-ナイトフィアー』や同じく『ジェームス・ボンド-エブリシング・オア・ナッシング』でコンセプチュアル・アートやストーリーボード、キャラクターデザインなどを手がけている。
 また、セガやソニー、ナムコといった日本のゲームメーカーのゲームにも、デザイン画などを提供しており、音楽CDのジャケットイラストや企業ロゴデザインでも作品を多数提供しており、名前は知らなくても作品を目にした事はあるかもしれないですね。
 狂気にも似た汚れ、あるいは歪みを有するフェルチの画風は、アメリカン・マギーが要求したAiNのヴィジュアルデザインにおけるベーシック、すなわち“狂った不思議の国”を見事に表現していると言えるでしょう。
 ちなみに、彼の公式ウェブサイトでは、AiNをはじめ、彼の作品が大量に掲載されており、現在も自由に閲覧できます。(リンクをはちゅねさんコーナーの後に貼っておきます。興味のある方はぜひ!)

Blog0037 序盤の山場、“けだるいガッコウ”の入り口。
 アリスが立っている城壁や、ガッコウの屋根など、現実ではあり得ない“歪み”は、AiNのヴィジュアルにおいてベーシックとなっており、ゲーム全編を通してこのような非論理的な建物やオブジェクトが乱立するレベルデザインがされています。
 このヴィジュアルイメージの基準を決定するのがコンセプチュアル・アーティストの仕事であり、フェルチは持ち味を存分に生かしてこの大仕事を成し遂げていると言えます。


クリス・ブレナー/音楽

 AiNに限らず、ゲームでは時として音楽が極めて高いウェイトを占める要素として重要視される事があります。
 ナムコのレーシングゲーム、『リッジレーサー』シリーズや同人ゲームとしては“異例”とも言えるほどの高い人気と長期に渡るシリーズ化がされている上海アリス幻樂団の『東方プロジェクト』シリーズは言うに及ばず、コナミの『ビートマニア』シリーズに代表されるいわゆる“音ゲー”では、音楽そのモノが主役になっているほどです。
 AiNのようなアクションゲームや、『ハーフライフ』のようなFPSゲームでは、本来音楽はあまり重要ではなく、それこそ「鳴っていればいい」というのが一般的な考え方で、かつての日本のRPG――ドラクエやFFなど――では、ゲーム中全く同じ楽曲が何度もリピート再生されるほどでした。(注:近年こそ、RPGにおける音楽はイベントシーンを盛り上げる映画音楽のような重要な存在として認知されているが、かつてはホントに「鳴っていればいい」状態だった。DQ1のサントラとかを今聴くと、あまりの楽曲の少なさに驚く)
 しかし、マギーはそれを良しとせず、AiNの音楽に映画音楽並の重要度とクォリティを要求しました。
 そこで召集されたのが、ロックバンドのナイン・インチ・ネイルズのクリス・ブレナーでした。(注:ナイン・インチ・ネイルズは、トレント・レズナーを中心としたインダストリアル/オルタナティヴ・ロックの代名詞的なバンド。1989年レコードデビュー。93年と96年にはグラミー賞を受賞している。本来、このバンドの固定メンバーはレズナーのみで、ツアーやレコーディングの際のバックバンドはメンバーが流動的に変化する。ブレナーは89年~97年まで、キーボードやシンセ、ドラムのメンバーとしてツアーに参加している)
 ブレナーは、AiNが目指す“歪み”、あるいは“狂気”といったヴィジュアルイメージに見合う音作りをするため、既存の“楽器”を使わず、アンティークトイのピアノやアコーディオンの音をサンプリングし、これにエフェクトをかけるなどして使用。これにより、AiNのサウンドトラックは、既存のゲームにありがちなFM音源時代のフュージョンライクな楽曲ではなく、テクノやジャングルといったクラブミュージックでもなく、ましてやオーケストラでもない、独特のゴシック・ホラーのような陰鬱なイメージの楽曲になりました。
 てゆーか、輸入版のサントラCDがアマゾンで売ってたので思わず買っちゃいましたよ。メインテーマと言ってもいい『Flying on the Wings of Steam』がお気に入り。このサントラでしか聴けないリミックスバージョンも収録されています。


 というように、スタッフの顔ぶれがとにかくスゴいのです。日本で言うなら、ドラクエかFFのような顔ぶれ。てゆーかむしろクロノトリガー? みたいな。(笑)
 映画もそうですが、やっぱりゲームも作っているのはスタッフです。いくらビッグスターを揃えた豪華キャストでも、スタッフがアレだと駄作になってしまいますよね? 逆に言えば、スタッフに才能と実力があれば、無名俳優ばかりのキャストでも傑作になるんですよ。映画なら『ブレアウィッチ・プロジェクト』とかがそうだし、ゲームなら『ハーフライフ』がそれでしょうね。(注:『ハーフライフ』はValve社のデビュー作。数え切れないほどのゲーム賞を受賞し、“世界で最も売れたゲーム”と言われている。)


・ゲームエンジンがスゴい!

 先にも記しましたが、AiNではidソフトウェアの世界的大ヒットFPSゲーム、『Quake3Arena』に採用された(当時の)新開発のゲームエンジン、『Q3Aエンジン』のフルチューンバージョンが使用されています。
 当時、既に『Quake』シリーズやエピックゲームスの『アンリアル』シリーズ、Valve社の『ハーフライフ』のGoldSourceエンジン――オンラインマルチプレイ専用タイトルである『カウンターストライク』や『チームフォートレス』にも利用されているゲームエンジン。また、フリーMOD(注:モド。いわゆる改造ゲームの事だが、日本の“プロアクションリプレイ”のようなモノではなく、キャラクターやマップ、武器を追加するタイプや、ゲームエンジンを流用した全く異なるゲームにするタイプなど、フリーならではの自由な発想の元に開発されたモノが多く、中には極めて高い評価と人気を得るMODも少なくない。前出の『カウンターストライク』はその良い例で、元々はフリーMODだったが、後にValve社が権利を買い取りオフィシャルのパッケージ版がリリースされ、現在でも世界大会が開催されるほどの人気を誇るタイトルに成長した。ちなみに、MODは“Modify=修正する”の略)が大量に開発されており、今なおその人気と信頼性は高い――など、優秀なゲームエンジンは多いが、マギーはあえて、Q3Aエンジンを利用しています。
 このゲームエンジンの特徴は、まず何と言ってもグラフィックです。
 ゲームのQ3Aでも、その機能を最大限に活用し、バラエティに富んだ様々なレベルを構築するのに貢献しているだけでなく、静止画のような背景――3DCGで言うトコロの“ワールド”。遠景グラフィックの事。――ではなく、嵐のような渦を巻く背景を構築するのに成功していたり、当時としては最高クラスの解像度を誇るテクスチャーが貼られていたりと、ハイクォリティのグラフィックが高い評価を得ました。
 AiNでは、このグラフィック機能にさらに磨きをかけ、シネマティックシーン――いわゆるイベントパート。ムービー機能を使っているワケではないので、ムービーとは明確に区別される。――のアップにも耐えられる高解像度のメッシュとテクスチャーをリアルタイムレンダリングできるほどのチューンナップを施されたエンジンが使われています。

Blog0033 ゲーム冒頭のシネマティックシーンより。チェシャ猫のアップ。
 この画像だとちょっと解像度が低いのでアレですが、実際のゲーム画面はもっとキレイです。
 しかし、チェシャ猫の特徴である口や細かい表情、あるいは背景の木の柱の質感など、実に細かいトコロまで精密に描かれたテクスチャーが見事です。
 当時の国産ゲームでは、ここまでのグラフィックを実現しているゲームはありませんでした。(注:PS2のリリース前だったしね。)


 それだけでなく、Q3Aエンジンは“オンライン対戦FPS”を強調するかのように、動作が極めて軽く、当時既にペンティアム3の500MHzクラスのCPUが一般化しつつあった時代にあって、より多くのユーザーにアピールできるように、ペンティアム2の400MHzクラスでも快適に動作するほど軽いのも特徴の一つです。
 AiNでは、上記よりもやや高い要求スペックでしたが、僕が使っていたWin98マシンでも、かなり負荷をかけても全くストレスなく快適に動作していました。
 また、ゲームのシステム面で言えば、プレーヤー=アリスが使う武器には近距離タイプと遠距離タイプの両方があり、FPSのような遠距離からのスナイポはもちろん、アクションRPGのような近距離でのナイフアタックのような攻撃も可能ですが、どちらであっても、Q3Aエンジンらしいスピード感は損なわれる事なく、アリスがレベル内を所狭しと駆け回り飛び回り敵を倒していく様は爽快の一言!
 シングルプレイ専用としては、最早Q3Aエンジンの本家であるQ3Aを凌駕していると言えるのではないでしょうか?
 それと、個人的に嬉しかったのが難易度選択が出来る事でした。
 近年はそうでもありませんが、当時の洋ゲーは、前回記したような理由で元々難易度が高めに設定されており、加えて難易度を上げる――オート照準機能を無効化したり、敵の攻撃力や体力が高くなったりするハードモード――事は出来ても、難易度を下げる事は出来ないのがフツーでした。
 が、このAiNではそれが可能――4段階の難易度選択が可能――だったおかげで、ヘタレゲーマーの僕でもオールクリア出来ました!
 ……“簡単”モードだけですが……。
 って! そこ!
「えぇ~? イージーモードぉ~? キモ~い!」
「イージーモードが許されるのは、小学生までだよね~?」
 とか言わない!
 ヘタレゲーマーのオイラにゃイージーモードでイッパイイッパイなんだよッ!


・日本語版がスゴい!

 もう一つ、日本でリリースされた日本語版についても触れておきましょう。
 日本語版は、アメリカ版から約3ヶ月遅れで2001年1月にリリースされましたが、“僅か”3ヶ月遅れとは思えないほどの完璧なローカライズが行われました。
 メニュー画面やサブタイトル(字幕)のテキストを日本語化するだけに止まらず(注:当時でも、あるいは現在でも、いわゆる“日本語版”はこのパターンが多いが、EAの場合はこのAiNを機にコレだけに止まらない以下のローカライズが施される事が多くなった。良い事です。最近の例で言えば、『クライシス』がその好例)、全キャラクターの全セリフを完全に日本語吹き替えしたり、レベル内のテクスチャーに書き込まれたテキストまで日本語表記に直したり(注:フツーはココまでやらない。グラフィックの一部を弄る事になるので、開発元からリリーサーを通す前のライブラリを貰うか逆コンパイルする必要があり、とてもメンドクサイので)と、文字通りの“完全日本語版”になっています。
 もちろん、マニュアルも日本語表記なので、洋ゲー初心者でも国産ゲームと何ら変わらない感覚でプレイ出来る事間違い無しです。事実、僕がそうでした。
 ちなみに、日本語吹き替えのメインキャストは、アリス役に小林優子(1980年代から活躍しているベテラン声優。出演作が多過ぎて代表作が絞れません。各位ウィキでチェックして下され)。チェシャ猫役には大友龍三郎(こちらも超ベテラン。やはり出演作多過ぎでウィキの出演作リストが長い長いwww)と、かなりスゴいメンツ。
 また、AiNには2001年にリリースされたファーストリリース版――メイキングプロモーションや公式トレーラーなどの特典映像や、完成版とは異なる構成になっているオープニングを含む公式トライアル版が同時収録されている。また、作品の世界観や設定を理解する上で重要なテクストとなる『ラトレッジ精神病院症例記録・患者:アリス』というブックレットの日本語訳版がバンドルされる。加えて、初回限定版には特製マウスパッドがバンドルされていた。ちなみに、僕が買ったのは通常版でした。買った後で初回限定版がある事を知った。ナンテコッタイ。/(^0^)\)と2004年にリリースされたEAベスト版がありますが、両者の仕様が異なります。
 EAベスト版の方は、CD-ROM1枚組みの完全日本語版(日本語吹き替え/日本語字幕)のみですが、ファーストリリース版はCD-ROM2枚組で完全英語版(英語オリジナル音声/英語オリジナル字幕)、半日本語版(英語オリジナル音声/日本語字幕、もしくは日本語音声/英語オリジナル字幕)、完全日本語版が選択できるようになっており、インストール時――あるいはインストール後のメンテナンス時――に変更出来るようになっています。
 完全日本語版も良く出来ているのでスキですが、個人的には英語オリジナル音声/日本語字幕の半日本語版が好みですね。映画でも観ているような感覚で楽しめるので。
 いずれにしても、これだけ完璧に“完全日本語版”している洋ゲーは、現在でも希少です。だってフツーはやりませんよ? テクスチャーまで弄るなんて。

Blog0035 ゲームの冒頭、炭鉱ステージのシネマティックシーンより。
 背景の看板に注目!
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
・第三の“アリス”

 さて、このゲームを紹介するのであれば、やはり原作と原作者についてもある程度語っておかなければならないでしょう。
 ルイス・キャロル――本名チャールズ・ラトウィッジ・ドジスン。ルイス・キャロルはペンネームで、本名のアルファベットを並べ替えたりラテン語読みしたりしてもじったモノ。――は、友人とその三人の娘――この内の次女が、後にアリスのモデルとなる少女、アリス・リデル――と共にピクニックに出かけた時、この娘達に乞われ、即興で一人の少女がおかしな世界に迷い込む物語りを話して聞かせました。これが、後に“児童文学の歴史を変えた”と言われるほどの世界的ベストセラーとなる物語り、『不思議の国のアリス』の原型となりました。(注:それまで、グリム童話やイソップ物語など、宗教色の強い説教的な作品が多かった児童文学において、そういったカラーが一切見えないこの作品は、児童文学を一般文学と同レベルにまで格上げした記念碑的な作品と言える。現代で言うなら、J・K・ローリングの世界的ベストセラー、『ハリー・ポッター』シリーズがこれと同等)
 娘達が話しの続きをせがんだため、キャロルは娘達に続きを作る事を約束し、自ら挿絵も描いて原稿にまとめた物語りに、キャロルは『不思議の国のアリス』というタイトルを付け、約束通り娘達に送りました。特に、次女のアリス・リデルは、自分が主人公のモデルだった事もあり、大いに喜んだそうです。
 その後、この原稿を読んだキャロルの友人の勧めで、これは児童文学として出版され、瞬く間にベストセラーとなりました。
 また、キャロルはこの物語りの続編となる2作目、『鏡の国のアリス』を執筆。これもまた、前作同様のベストセラーとなり、その人気は衰える事を知らぬまま、現在でも世界中の人々に愛させる作品となっているのは、皆さんも周知の事でしょう。
 しかし、キャロル自身のプロフィールを見てみると、とても世界的なベストセラー作家とは思えないような経歴や“ウワサ”が絶えない人物だった事が分かります。
 まず、キャロルは本職の職業作家ではありません。
 本職は数学を教える大学教授で、そちらでは多くの著書を書いていますが、ペンネームのキャロル名義ではなく、本名のドジスン名義なのであまり知られていないようです。
 文学作品としても、著作はアリスシリーズがズバ抜けて有名ためか、他の著作はあまり知られていません。
 また、キャロルは変質的なまでに神経質な性格の人物で、生涯の大半を戒律の厳しいオックスフォード大学の寮で過ごし、毎日事細かに立てたスケジュール通りに行動し、日記には友人知人の名前を列挙し、手紙には全て連番のナンバーを付け、出版社が送ってくる小包の紐の結び方まで指示したほどだったと言います。
 このように変質的な性格の人物なので、当然生涯独身。てゆーか、どうやら真性のロリコンだったらしく、アリスのモデルとなった少女、アリス・リデルに本気で求婚をしているそうです。ちなみに、この時アリスは13歳。キャロルは30歳でした。(アリス・リデルの両親が反対したため、この求婚は最終的に破談している。……まあ、当然ですよね)
 とは言え、このように変質的な性格の人物だからこそ、アリスの物語りは荒唐無稽ではちゃめちゃなナンセンスギャグのオンパレードな物語りになり、にも関わらず、数学教授らしい知的な文章形態とユーモアのある“名作”になったのだと、僕は思います。
 しかし、これに新しい解釈を加え、暗く陰鬱としたヴィジュアルとストーリーを与えたのが、このAiNです。
 AiNは、アリスが鏡の国の冒険を終えた直後、不慮の火災事故で家族全員を失ってしまうトコロから、物語りは始まります。
 この事故のため、アリスは心に深い傷を負い、精神病院――ラトレッジ精神病院――に入院します。
 そのまま月日は流れ、彼女が19歳(注:関連するウェブサイトの記事では18歳となっている事が多いが、原作のモデルとなったアリス・リデルは、キャロルが原作を書いた当時9歳だった。そのため、原作の中では一切言及されていないが、“アリスは9歳という設定だった”と考えるのが妥当である。AiNでは、それから10年後という設定なので、“AiNのアリスは19歳”と考えるのが妥当と、僕は考察する)になった時、再び彼女の前に白ウサギが現れ、アリスに向かって言います。
「助けてアリス……。」
 そうして、三度不思議の国へとやってきたアリス。だがしかし、そこで彼女が目にしたのは、狂い、歪み、変わり果てた不思議の国だった。
 アリスは、不思議の国を元の姿に戻すべく、ナイフを片手に不思議の国の森や女王の領地を冒険します。
 そして、冒険を続ける内に、アリスは不思議の国を理解していきます。それは、この世界が、もしかしたら……。
 ディズニー版のアリス(注:アニメ映画版の『不思議の国のアリス』の事)を観ている人にとっては、このゲームはその全てが受け入れ難いモノのように思えるかもしれません。
 しかし、原作をシッカリと読めば、これが“本当のアリス”である事が理解できるハズです。
 僕自身、ディズニー版のアリスはシッカリ観たワケではありませんが、内容は知ってます。水色のスカートにフリルエプロンの金髪の少女という、アリスの基本的なイメージはあまりにも有名です。(そういえば、POPさんの絵本版のデザインもコレですね)
 が、原作を読んでみて、それが本当は全く違う事に気付きました。
 その荒唐無稽な世界観。
 ナンセンスかつブラックジョーク満載のギャグ。
 ハートの女王が、「その首を刎ねておしまい!」と連呼するのは、児童文学とは思えないほどの残酷描写です。
 これらを正確に、ある意味キャロルがイメージしたであろうヴィジュアルを完全に再現していると思われるこのゲームは、まさしく『第三のアリス』と呼ぶにふさわしい、“アリスシリーズ三部作完結編”と言っても過言ではないでしょう。(注:19世紀当時、フィクション作品で“続編”が作られる事は非常に珍しく、よって“三部作”という考え方も一般的ではなかった。20世紀に入り、J・R・R・トールキンの『指輪物語』が“三部作”として出版され、世界的なベストセラーになったため、文学や映画において“三部作”という作品形態が一般化した。もしかしたら、キャロルがもう50年遅く生まれていたら、アリスシリーズは本当に三部作になっていたかもしれませんね。)
 また、この作品に心理学的解釈――僕が見た限りでは、恐らくユングの元型論をベースにしていると思われる。が、これについて解説しようとすると、本が一冊書けるぐらいやたらと長くなる上に、また「難しい」とか言われそうなので自重します。……でもいつか書きたい。別の機会に。必ず! できれば……――を加えた事で、この作品のみならず、原作にも新たな深みを与えるのに成功していると言えるのではないでしょうか?
 このようなアリスシリーズの解釈モノ、あるいはアレンジモノは、実はかなり大量にありますが、一部を除いて――片霧烈火の同人音楽CD、『幻想廃人』とか……――あまり良い出来とは言えないモノ――キャラクターの名前を拝借しただけとか、設定にやたらと無理があるSFとか――が多いんですが、これほど完成度の高いモノは滅多にお目にかかれません。
 AiNこそが、本来のアリスシリーズのあるべき姿であり、“本当のアリス”なのだと、僕は思います。
 
Blog0031_3
 
 さて、最後に僕が所有しているAiN関連のアイテムの集合写真を。
 恐らく、日本国内で手に入る公式アイテムはこれで全部でしょう。
 ファーストリリース版、EAベスト版、輸入版サントラCDと攻略ガイドブック。……あ、いや、フィギュアがないですね。当時は出てたの知らなくて、現在では入手不可能だし。
 ちなみに、当時同人誌がいくつか出てたようです。もちろんこれも現在では入手不可能。ですが、『アリス・イン・ナイトメアの深み』――公式ガイドブックよりも詳しい攻略情報が多数掲載されている非公式攻略ガイド。全てのコンソールコマンドが掲載されているらしいので、ぜひとも読みたいです。――だけはぜひとも再販してもらいたいですね。(マジに)



 といったトコロで、今週はココまで。
 楽しんで頂けましたか?
 ご意見ご感想、ご質問等があればコメにどうぞ。
 さて来週は、今回に引き続き『ヘタレゲーマークロニクル』の第3弾、僕にとって2007年最大のヒット作を紹介する予定です。お楽しみに!
 それでは皆さんまた来週。
 お相手は、asayanことasami hiroakiでした。
 SeeYa!(・ω・)ノシ



きょーのはちゅねさん♪


帝国の逆襲を受ける。

Th3010_2
 
Thanks for youre reading,
See you next week!


-参考資料-
※今回の記事では、以下のウェブサイトの記事を適宜参照しました。

・ウィキペディア日本語版
 検索ワード:アリスインナイトメアハーフライフ
※アリスインナイトメアの記事内に、ルイス・キャロル、不思議の国のアリス、ナイン・インチ・ネイルズや日本語吹き替え版の声優陣の項目のリンクがあります。そちらも合わせてご覧下さい。ただし、アメリカン・マギーは英語版のみ。ノーマン・フェルチの記事はありません。


-AiN関連ウェブサイト-
※以下は僕がオススメする関連ウェブサイトです。公式も非公式もありますが、どれもオススメです!

・EA公式サイト内 アリス・イン・ナイトメア公式ウェブサイト
※AiNの公式ウェブサイト。このサイトから公式トライアル版(体験版)がDL出来ます。

ノーマン・フェルチ公式ウェブサイト
※フェルチ直筆のデザイン画やイラスト、ストーリーボードが多数掲載! 必見!

アリス・イン・ナイトメアの深み-web版-
※同人誌『アリス・イン・ナイトメアの深み-完全版-』の著者のサイト。オリジナルのデモファイルもDLできます。

・喫茶珈琲館内 アリスインナイトメア専用スキン
※日本人クリエーターによるAiN専用のアリスのテクスチャー置き換えMODのDLサイト。もちろんフリー。しかも種類がかなり多い。(笑)サイト内に使い方の説明があるので、それをよく読んでから利用しましょう。ちなみに、僕は『白ゴス・血染め』と『設定画版のフェイス・緑目Ver.』を使ってます。この組み合わせがサイコー!

ニコニコ動画内 AiNプレイ動画
※ニコ動にうpられてるAiNのプレイ動画色々。久しぶりに検索してみたらモノスゴく増えててビックリ! 複数ありますが、基本的にどれも内容は同じです。全てマイリストかPart.01へのリンクですが、ニコ動の閲覧にはアカウントの取得(無料)が必要です。予めご了承下さい。

アリス イン ナイトメア
※ストーリー重視+テクスチャー変更MOD

[難易度-悪夢]アリスインナイトメア
※最高難易度プレイ

[難易度-悪夢]アリスインナイトメア[2人目]
※上記の二番煎じ

アリス イン ナイトメアの世界観光
※超まったりプレイ。レベルの隅々までしっかり見せてくれます。


-関連アイテム-
※今回ご紹介したAiNのゲームディスクを含む関連アイテムのリンクです。アマゾンのアフェリエイトですが、クリックしても商品ページが開くだけなのでお気軽にどうぞ。また、08年9月現在で在庫有りのモノだけにさせて頂きました。予めご了承下さい。

EA Best Selections アリス・イン・ナイトメア

American McGee's "Alice" (Original Score)

アリス・イン・ナイトメア 公式クルーブック (ClueBookシリーズ)
※このアイテムは中古のみです。予めご了承下さい。

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