-"Sight of OMEGA" Ultimate Analyse #26-
皆さんおはこんばんちわ!
asayanことasami hiroakiでっす!(・ω・)ノ
先日の事―。
ウチの軒先で、こんな光景に出くわしました。(↓) ザ・バトル・オブ・カマキリ!!
マジモンのリアル・ムシキング!!!
発見した時点で既にこの状態でしたが、両者がっぷり四つに組んだまま全く動かず、立会いの上手争いから奥襟を掴むも帯に手が届かず届かせずボディを攻めようにも右ストレートが得意の左フックでかわされこう着状態に。 嗚呼、そして馬肥ゆる秋の天高く輝く陽光は、東江戸川三丁目の向こうへと沈んで行くのであった……ッ!!(←なんのこっちゃ?)
……結局、このまま数時間(!)動かず、夕方になって雨の気配が出てきたせいか、気付いた時にはもういませんでした。(^ ^;)
しかしまあ、秋は夏の虫たちにとって恋の季節。 子孫を残すためにこういうバトルが見られるのも、今の時期ならではなんでしょうね。
秋ですねぇ~~~。
……ってゆってる間にもう冬の気配が忍び寄ってるけどね。(笑)
<今週の特集>
今週の特集コーナーは、『アルティメット・アナライズ』シリーズ第4弾、同人ヴィジュアルノベル『Omegaの視界』の徹底解説連載第26回です。
まだまだ終わらんよーっ!?
玉梓選律(たまずさ せんりつ)
真名:センリ
年齢:―(AA済)
性別:女
八相七家、玉梓家の頭首で、五相タマズサの遣い手。 呼称は様々で、克枝は“センの字”と呼び、道具は“西の刀自”、あるいは“裏刀自”、“西の仕切り”、“西部仕切り”など。 そして、ミリアムは“センリ”と呼ぶ。
八相七家は、大きく2つのグループに分ける事が出来る。 すなわち、玄ノ森に居を構える三春家、綾目家、狩屋家、永久家の四家と、関西に居を構える玉梓家、奇士家、玖威家の三家である。
玄ノ森の四家を“東部四家”と呼び、関西の三家を“西部三家”、あるいは“西國三家”と呼ぶ。
また、東部四家は三春家が統括し、同時に八相七家全体を統括しているが、西部三家を統括しているのが、選律が頭首を務めている玉梓家なのである。
しかし、実際には魔眼質が無い三春家の現頭首、のぎかはただのお飾りで、実質的に八相七家を統括しているのは選律である。
ちなみに、ミリアムとベロアは西部三家が擁護しており、普段は玉梓家が庇護している。 そのため、ミリアムとベロアは、春先の祭の時期にのみ、西部三家を引き連れて玄ノ森を訪れる、というのが通例である。
AAを受けているため、外見は10代の少女。 関西、特に京都辺りの訛りがある方言を話す。
選律は、八相七家でも最古参で、その出自は八相七家の創設よりも以前、大封時にまで遡る事が出来る。(注:選律の出自に関しては、現在公開されている複数の設定資料、及び本編の描写などによってマチマチで、実は統一されていない。 “ミリアムらが日本で最初に出会った魔眼質者”という記述がある一方、それよりも以前の大封直後に“日本に逃れてきた”という記述もある。 “ナゾの人物”と言えば聞こえは良いが、明らかにテクニカル・エラーである。 本解説では、様々な記述から独自の解釈を行い、後述する“策謀”が説明出来る設定を支持し、以下の解説を論述する)
大封前夜。 Lu=Le内でもESに与していたセンリは、ミリアムやドレミリアの臣下として働いていたと思われる。 そして、大封が起こるとミリアムやドレミリアを援護し、その逃亡を助けた。 また、自身もガローを伴ったエンドルと共に逃亡に成功。 大封を逃れる。
が、この時から既に、センリは策謀を巡らし始めていた。
センリは、共に逃亡したエンドルとガローに不正操作(注:これがタマズサによるモノなのかどうかは、設定が公開されていないので定かではないが、不正操作自体はフェイズ5によるモノで、十全のCATならば程度の差こそあれ可能は可能なので、センリが元々遣っていたCATによるモノと思われる。 タマズサは、飽くまでも八相創設後に下賜される事になるCATで、この時点ではミリアムとドレミリアが回収、保管しているハズなので。 元々遣っていたCATに関しては、設定未公開のため詳細不明)を行い、休眠させ、その存在を“行方不明”とし、その実は自身で庇護する事にした。
何らかの方法でミリアムやドレミリアらの所在を掴んだ選律は、日本にて二人と合流。 二人には、ガローとエンドルの事を“逃亡中にはぐれた”と報告したのである。
この選律の行動にどのような意図があったのかは不明だが、恐らく“イザという時”の切り札にしようと考えていたのではないだろうか?
そして、図らずもその“イザという時”が、間もなく訪れた。
日本での定住を決めたミリアムは、この国で複数の魔眼質者を視出し、彼女らを集めてLu=Leの再興とWCLの打倒を悲願とする新組織、八相七家を創立する。 そして、集まった魔眼質者にドレミリアとセンリを加えた7人に、幸運にも回収に成功した元イツワのフェイズを封紙したCATをそれぞれ下賜した。
しかしこの時、センリ(和名:選律)に下賜されたのは、順位の低い五相タマズサであった。
リデルの血統というだけで、資質の低いドレミリアよりも。 後に卑尊に継承される事になるナガヒサや、道具に継承される事になるキサムラでもなく、下位の五相である。
もちろん、選律自身の資質がタマズサに良く親和したであろう事は想像に難しくなく、飽くまでもCATとの相性によって下賜されたのだろうが、Lu=Leの崩壊をその眼で視、そしてミリアムとドレミリアの逃亡を助けた実績から考えれば、選律にとってこの不当な順位は、屈辱以外の何モノでも無かったコトもまた、想像に難しくない。
これに、“イザという時”が訪れた事を悟った選律は、長い時間をかけて策謀を巡らし、時が満ちるのをただひたすらに待ち続けた。
そして、その時がようやく訪れた。
本作の遊戯、『No.13』の直前、カルロサはノートを通じて選律に接触。 選律の思惑を探った後、その思惑の成就をエサに裏工作を開始した。
選律は、庇護していたエンドルをノートに託し、自身はタマズサの不正操作能力を駆使して価無に後催眠(注:予め暗示をかけておき、何らかのキッカケによってその暗示が表に出るように仕掛けた催眠術の事)をかけ、さらには祭の直前、冬夏にも同様の不正操作を施した。
そして、価無にベロアを襲わせ、冬夏にはミリアムを暗殺させようとした。
しかし、結果的にこの策謀は失敗に終わり、選律の裏切り行為を知ったベロアによって、断罪の断頭台にかけられる事になった。
ベロアの慈悲により、命までは取られなかったが、選律は魔眼質を剥奪され、今後はフツーのヒトとして余生を過ごす事になった。
ちなみに、エンドルと共に選律が庇護していたハズのガローがその後どうなったかは、設定未公開のため詳細不明。
・策謀の理由(ワケ)
上記したように、選律は自身の思惑のためにノートの口車に乗り、ミリアムとベロアの暗殺を試みた。 結果的に失敗に終わったこの暗殺は、しかし選律にとってどのような意味があったのだろうか?
それこそが、選律の思惑であり、策謀の理由である。
先にも記したように、選律はカルロサによる大封と、それに伴うESの壊滅、Lu=Leの崩壊を間近で見ている。 そして、八相七家の創設時から、WCLによる遊戯を何度も何度も経験し、その経過を見てきた人物である。
ミリアムを除けば、選律は一連の成り行きを最初から見ている唯一の人物である。
しかし、そのように長い時間を過し、最古参としてミリアムとベロアを庇護し、八相七家の実質的なリーダーとして同組織を牽引してきたにも関わらず、タマズサとの親和性が高いという理由だけで、八相七家の五位という低い地位に甘んじなければならなかった選律は、いつの頃からかある考えに至った。
そう、八相七家は、新たな次元へと至る時が来たのだと……。
そのためには、旧時代の“遺物”を排除しなければならないのだと……。
旧時代の遺物とはそう、ミリアムとベロアの事である。
結局のトコロ、なんだかんだと理由を並べ立てたとしても、八相七家はミリアムの個人的な復讐のために存在している。 ミリアムが、Lu=Leと自身を裏切ったカルロサ(と、ミルハ)に復讐したいがために組織された、言わば私設軍隊に過ぎないのだ。 そこには大儀などなく、Lu=Leの再興は飽くまでも復讐を果たす過程で間接的に達成されるセカンダリー・オブジェクティブに過ぎないのだ。
これを悟った選律は、ミリアムとベロアの暗殺を策謀した。 旧時代の遺物を排除し、八相七家を再編し、カルロサもミルハもWCLも関係ない、本当の意味でのLu=Le再興を目指す集団。 それこそが、本来あるべき八相七家の在りようである。
もちろん、その過程にはこれまで通り、WCLとの衝突は避けられないだろうが、イザとなれば極めて高い資質を持つ魔眼質者、エンドルを目覚めさせればいいし、それでもダメなら、諸刃の刃になるだろうが、ガローを覚醒させるというテもある。 WCLに対抗出来るだけの戦力は(ミリアムやベロアにはナイショで)持っているのだ。
そして、再興した新生Lu=Leのリーダーには選律自身が就任し、同組織を治める。 何故ならミリアムとベロアがいなくなれば、資質の上でも経験の上でも、選律以上の魔眼質者は八相七家にはいないからだ。(注:この論法、何かに似ていないだろうか? そう、『ひぐらしのなく頃に』における秘密結社、“東京”の内紛と全く同じなのだ。 秘密結社“東京”は、戦後の日本を裏から操ってきたフィクサーによって構成された組織で、作品中の最大の謎であった“雛見沢症候群”を核兵器に代わる大量破壊兵器として利用しようとしていた。 東西冷戦華やかなりし頃の日本が、非核三原則を掲げながらもアメリカやソ連に対抗するには、代替兵器が必要だったからだ。 しかし、同組織内にこれに反対する者たちが現れ始めた。 戦争を知らない、戦後生まれの若い世代である。 彼らは、まさに戦時中の軍国ナショナリズムを未だに引きずっている長老たちを排除するため、野村と名乗る女に命じて鷹野三四に接触。 裏工作を進め、雛見沢大災害を発生させるという計画を立てた。 これにより、長老たちはその責任を問われて東京を追い出され、東京は若い世代によって新しい時代に向かう日本を牽引する組織として活動する事になる。 ……というのが、『ひぐらしのなく頃に』という作品における物語りのバックボーンである。 ……ね? 全く同じでしょ? 結局のトコロ、どちらも“世代交代”が必要だったのだ。 ただし、どちらもやり方がよろしくない。 東京は犠牲が大き過ぎるし、選律は返り討ちに遭う可能性が高過ぎる。 どちらも、失敗して当然のハイリスクな作戦だったのだ。 しかも、野村と同様、ノートは二重スパイだし、ね。)
やり方はどうであれ、選律は選律なりに、本当の意味でのLu=Le再興を果たしたかったのである。
・五相タマズサ(玉梓)
八相七家が継承するCATで、元々はイツワから切り離されたイツワのフェイズ5。 現在の遣い手は、玉梓家の頭首である玉梓選律。 克枝には“タマ様”と呼ばれている。
6本の枝を揺らす花のようにも見える外見は、他のCATとは異なりおおよそ“ネコ”というイメージからかけ離れている。 しかし、五相タマズサは紛れも無くCATであり、魔眼質者には往々にして“ネコ”と認識され、CATが何なのかを知らなかった真言も、五相タマズサを見て直感的に“ネコ”と認識した。
タマズサは、元々は声や音を司るフェイズで、これを触媒として対象を操る事を可能にした“不正操作”能力に特化したCATである。
いわゆる洗脳、あるいは暗示、催眠術の類である。
本来は、遊戯に無関係な一般人を巻き込まないようにするため、あるいは巻き込んでしまった時の記憶操作などを目的とした用法が主で、どちらかと言えば遣い手同士の戦闘よりは、F/7シリーズに代表される箱庭構築の目的で使用されるのが常であった。
実際、タマズサによる不正操作は、ファイア・ウォールによって弾かれてしまう程度の強制力しかないため、十全のCATには全くの無力であった。
しかし、無力なのは十全のCATに対してのみで、十全ではないCAT、すなわちファイア・ウォールを標準実装していない五相タマズサ自体を含めた八相七家のCATには、一般人並に有効である。
このセキュリティホールを利用し、選律は価無に“瑞ノ随ニ童名転バセ(みつのままにわらわなころばせ)”というキーワードによって発動する後催眠や、冬夏に“籠眼ノ子眼捕リ(かごめのこまどり)”という不正操作を施し、旧Lu=Leの亡霊とも言うべきミリアムとベロアを暗殺しようとした。
また、選律は八相七家創設当初から、AAを受けて代替わりする事なく玉梓家の頭首であり続けているため、周囲の人々に継続的な不正操作を度々施し、無用のトラブルを避けているのだとか。
今回の『No.13』終了直前、遣い手である選律を失った五相タマズサは、道具によって回収され、カルロサの意向によりルーラー・オンリーに指定され、保管される事になった。
・神使八乃舞(みづはのめ)
または“みつはちのめ”。 通称“ハチミツぶんぶん(命名:オレ)”。
冬夏たちが通う玄ノ森の高校で、毎年春の入学式直後に新入生を対象に行われる学校行事。 異国風の衣装を身に纏った在校生たちが、創作言語の歌詞の歌を歌い、舞い踊るのを新入生たちが観劇するという内容。 完全な学校内行事で、新入生の父兄はもちろん、学校に勤務している教師たちですら、同席を禁止されている秘祭的な行事である。
……というのはタテマエで、実際には八相七家の都合で行われている祭の一環である。
選律が遣うCAT、五相タマズサは、歌、すなわち音によってその能力を増幅させる事が出来るという能力がある。
これを利用し、新入生の中に魔眼質者がいないか捜索するのが、この行事の本来の目的である。
確かに、一人ひとり面談して捜索するよりも、この方が手間が省けて何かと都合が良い。
部外者の同席が禁止されているのは、検索結果に間違いが生じないようにするための予防措置かと思われる。
また、小学校や中学校ではなく、高校の新入生を対象にしているのは、魔眼質の発現には二次性徴が必要なためと思われる。
CATは、その動作に随時“エサ”を必要とし、その“エサ”とは女性の月経(注:いわゆる生理。 または“月のモノ”)の血液、いわゆる“メンス・ブラッド”である。
そのため、魔眼質は本来女性にのみ発現する資質なのだが、逆に言えば、魔眼質は月経が始まるのと同時に発現するとも言える。
だから、ある程度の個人差がある二次性徴が確実に来ており、月経が始まっている高校生以上を対象にするのが確実だからと思われる。
本来、五相タマズサは不正操作に特化したCATだが、微力ながら広域走査の能力も持っている。 そこで、この能力を歌と舞によって増幅し、一定空間内に集まった人々を一斉走査しようというのが、この行事の目的であり意義なのである。
同時期に行われる祭に合わせて西部三家の頭首も玄ノ森を訪れるため、この来訪に合わせる形で入学式直後というタイミングで行われている。
玖威価無(くい かな)
真名:―
年齢:??(未AA)
性別:女
八相七家、六相クイの継承者。
玖威家の前頭首と音の父親で西石家の嫡男(?)であった西石芽汰との間に生まれた価無は、音の腹違いの妹である。
しかし、その事実は本人に知らされる事なく、また八相七家内でもこの事を知っている者はほとんどいない。 唯一、例外的にこの事実を知っているのが、音の育ての親である道具であるが、詳細は後述とする。
価無は早熟な子供だったらしく、まだ幼女の面影が残る年齢(注:正確な年齢は設定未公開のため不明。 筆者は、小学校高学年と考えている)ながら、つい最近“月のモノ”が来た事によって高い資質を発揮し、母親である前頭首から、既に六相クイを継承しているほどの実力者である。
また、その関係から妙に大人びた言動が目立ち、同年代の男子に興味を示さないトコロがある。
しかし、その外見は年齢通りの紛れもない少女のソレであり、普段は黒猫の姿になっているベロアを、まるで縫いぐるみのように抱きかかえて喜ぶ歳相応な一面も垣間見せる。
とはいえ、その幼児性がアダとなり、選律に都合良く利用されてしまう。
玄ノ森に来る直前、価無は選律によって不正操作(注:“瑞ノ随ニ童名転バセ”。 キーワードによって発動する後催眠)を受け、祭の最中にこれが発動。 ベロアを襲う。
早熟とは言え所詮はお子様。 汚いオトナに良いように利用されたワケだ。
しかし、結果としてこの襲撃は失敗に終わり、価無はベロアによって六相クイを回収されるが、一応生存している。
現在公開されている設定ではまだ不明だが、『interlude』にて再登場する可能性も。
・六相クイ(玖威)
八相七家が継承するCATで、元々はイツワから切り離されたイツワのフェイズ6。 現在の遣い手は、玖威価無。
元々がイツワのフェイズ6であるため“喰う”、すなわち他のCATを捕食し、その能力を消化吸収する能力に特化したCATである。
主に“枯野原ノ鬼(からのはらのおに)”という発現によって対象を喰らい、対象の能力を我が物とする。
ただし、クイそのモノは十全ではない単一フェイズのCATであるため、例えば一相アヤメを喰らったとしても、クイ自身にアヤメに相当するフェイズが無いため、その能力を消化吸収出来ない、すなわち“消化に悪い”。 クイというフェイズは、飽くまでも十全のCATである事が前提で、対象の能力を消化吸収する事で自身のステータスアップを行うためのフェイズなのである。
もちろん、たとえ消化吸収出来なくても、対象そのモノは喪失するので、六相クイも戦力としての利用価値は十分にある。
銅鐸(どうたく)を2つ合わせた、……というか、ヒョウタンのような形状の胴体に長い尻尾を持ち、体格に不釣合いなまでの大きな口を有している外見が特徴的である。
今回の『No.13』終了後、ベロアによって回収されたが、現在公開されている設定では、『interlude』で再登場するか否かも、あるいはその時再び価無に下賜されるか否かも不明である。
狩屋克枝(かりや かつえ)
真名:―
年齢:17歳(未AA)
性別:女
八相七家、七相カリヤの遣い手。 実は本作のサブヒロイン。
八相七家のお膝元、玄ノ森の狩屋家で当時の頭首、狩屋寧子の娘として生まれた克枝は、同じく八相七家の綾目家に生まれた姫様と同い年である。
そのためか、幼少の頃から姫様の事を(一方的に)強く慕い、友情を越えた同性愛的感情すら垣間見せるほどである。
しかし、姫様のような幼少期の経験はなく、碁石松原の浜辺にも行っていない。 そのため、帰郷した真言とは全くの初対面であった。(注:1章20節参照)
それもあってか、運命的な再会を果たした姫様の突飛な行動もあって、克枝は真言を(やはり一方的に)嫌うようになる。
が、姫様にベッタリなのも相変わらずで、姫様は真言を慕っているため、板挟みになった克枝は姫様に嫌われたくないため仕方なく、真言とも平等に接するようになっていく。 また、姫様の真言に対する積極的なアプローチと情報開示にも、驚きと戸惑いを見せながらも否応無く協力するようになる。
しかし、こうした度重なる接触にともない、克枝の心は次第に解きほぐされ、真言に対して心を開いていくようになる。 途中、真言にムネを揉まれる(!)というハプニング(注:3章26節)もあったりもしたが、終盤近くでは臥せってしまった姫様に心を痛め、気を紛らわすために真言に頼る。 そして克枝は、真言に対する想いを打ち明ける。(注:4章18節参照。 ココに至るまでの克枝の態度の変化の描写は非常に素晴らしく、賞賛に値する。 克枝のセリフだけを一つずつ、最初から最後まで丹念に比較しながら読むと、克枝の態度が少しずつ柔らかくなっていくのが分かる)
これ以降、克枝は真言に対する想いを隠す事がなくなり、クライマックス直後には(冬夏と共に)人目もはばからず真言に抱きつく場面も。(注:4章51節)
いずれにせよ、克枝は冬夏と共にノートの接触(注:4章50節)を受け、CATを剥奪された上で八相七家から分離。 その呪縛を解かれた。
しかし、その呪縛は尾を引き、現在公開されている設定では、『interlude』にも重要なキャラクターとして再登場する可能性が残された。
ちなみに、克枝は終始おかしな発音の独特の言葉=克枝語を話しているが、それは飽くまでも親族や姫様、真言などの親しい間柄の相手に対してのみで、学校などの公の場では、非常に丁寧な標準語を話す。
また、真言に対してはトゲのある言動が目立つが、やはり学校等の公の場では、成績優秀で陸上部でも活躍し、教師からの信頼も厚い才女だというが、本編にはそれを垣間見せるシーンはあっても、そういう一面をハッキリと描いたシーンは一つもないためビミョーにマユツバクサい。(笑)
・七相カリヤ(狩屋)
八相七家が継承するCATで、元々はイツワから切り離されたイツワのフェイズ7。 現在の遣い手は、狩屋克枝。
ヒョウタンの両端(←シャレやないで?)から枝が伸びたような形状の弓という、かなり特殊な外見が特徴的なCATだが、実際には武器としては使用出来ない。
フェイズ7は、本来は受肉したCATの肉体そのモノを司るフェイズで、その外見も弓というよりはむしろまんま骨付きの“マンモスの肉”である。
それもあって、発現する能力も自身、あるいは他のCAT、及びその遣い手の肉体的限界を定めているリミッターを解除する能力(注:これを“限解(げんげ)”と呼ぶ)に特化しており、八相七家では一相アヤメと同じく実戦闘を任されてはいるが、七相カリヤ自体はフォワードに出る事なく、一相アヤメをサポートするポジションになる。
リミッター解除の能力自体は対象を選ばず、一時的、あるいは断続的に能力値を上昇させる事が可能で、アップデート率も任意にコントロールする事が可能なようだ。
しかし、やり過ぎると対象の意識が肥大化した能力に追いつかず、自我を失ってしまう事がある。
いわゆる“狂戦士化(バーサーク)”である。
用法、用量を正しく守るのが、ドーピングの鉄則なのである。(笑)
これとは別に、形状通りの弓としての能力も狩屋にはある。
主に、四相キサムラによって生成されたアンカーを対象に打ち込む事に用いられ、物理距離の離れた対象に対しても投錨が可能になっている。
ただし、設定未公開のため正確なトコロは定かではないが、命中率と命中精度は遣い手に依存している可能性がある。
三春のぎか(みはる のぎか)
真名:―
年齢:??(未AA)
性別:女
八相七家、三春家の現頭首。
ただし、魔眼質を持っておらず、CATが遣えないため、二相ミハルは継承しておらず、既に娘の冬夏に継承者の座を譲っている。
元々、三春家は大封時に逃亡に成功したESの一人、ドレミリアが祖となっており、ドレミリア自身が資質が低かったために、現在においてもその気質が子孫であるのぎかや冬夏に残っている。
しかし、ドレミリアは始祖アリスの血を引く人物であり、よって三春家は(その血脈はかなり薄くなっているが)八相七家の中で唯一、始祖アリスの血統を受け継ぐ家系なのである。
それもあって、三春家は八相七家の中でも第二位という高い地位を与えられており、名目上のリーダーになっている。
しかし、その資質から言って、この不当とも言える高位は、後に選律や道具に禍根を残す事になった。
ともあれ、のぎかはその地位に相応たらんとするが故に、高慢で自己中心的な性格のキッツイおばはんで、しかしその地位が名ばかりなモノでしかない事に無自覚なのでなおの事タチが悪い。
いつも忙しそうにしているが、実際には全くの蚊帳の外で、(魔眼質が無いため)遊戯や祭にも一切参加しておらず、もっぱら“表向きの祭”の方を取り仕切るのが仕事(注:要するに雑用係)だが、やはり本人はその事に気付いていない。
綾目在夜(あやめ ありや)
真名:―
年齢:??(未AA)
性別:女
綾目家の三女で、姫様の妹。
正確な設定年齢は、設定未公開のため不明だが、恐らく中学生ぐらいの年齢かと思われる。
二人の姉があんな(注:前記、及び後述参照)なので、……かどうかは分からないが(笑)、年齢不相応に気立ての良い少女。 一相アヤメの継承者として色々と忙しい姫様に代わって、家業である土産物屋、嘉多里辺茶屋を手伝っている。
本作では、飽くまでも脇役の一人としてワンシーンにのみ(注:2章27節)登場しているに過ぎないが、『interlude』では、姫様に代わって重要なキャラクターとして再登場する。
一部のファンからは、「目がコワい」とよく言われる。
確かに。(笑)
しかも、『interlude』でも健在。(笑)
しかし、ファンは多いらしく、某お絵描き投稿サイトでは在夜のイラストが多数投稿されている。 ……ネタにし易いからですかね?(笑)
綾目運(あやめ はこ)
真名:―
年齢:??(未AA)
性別:女
綾目家の長女で、姫様の姉。
正確な設定年齢が不明だが、恐らく大学生以上、あるいは成人している年齢かもしれない。
今回の遊戯、『No.13』の開始直前、WEの出現によって狩屋家の前頭首(注:後述)が襲撃を受け負傷。 同様に、永久家の頭首であった卑尊の母親と、綾目家の前頭首であった姫様や運らの母親も襲撃を受け、死亡してしまう。
そのため、運は亡き母親に代わって家業である土産物屋、嘉多里辺茶屋を切り盛りする事になった。
魔眼質の資質に関しては未知数だが、どうやら一相アヤメの継承者が妹の姫様になった事を疎んでいるらしい。 ある程度の資質はあるようだが、『interlude』以降の再登場も今のトコロ不明。
本作では、姫様や在夜の口から名前が出てくるだけで、運本人は本編未登場である。
狩屋寧子(かりや ねいこ)
真名:―
年齢:??(未AA)
性別:女
狩屋家の前頭首で、克枝の母親。
今回の遊戯、『No.13』の開始直前、WEが出現し襲撃を受けるも、臨月を迎えた身重の身体ながら一命を取りとめ、負傷はしたが母子共に健在である。 襲撃の直前に、既に七相カリヤを娘の克枝に継承しており、CAT未所持だった事が幸いしたか?
魔眼質は、本来女性にのみ継承される資質であり、特に八相七家は、その関係で女系一族ばかりである。 そのため、寧子の腹に宿っていた胎児も女児である事が予測されたが、意外にも男児であったため、八相七家に生まれた男児は往々にしてWEとなる可能性が高く、八相七家には“男児は産湯に浸かる前に間引くべし”という残酷な風習がある。
そのため、産まれてくるハズだった寧子の息子、克枝の弟は、出産直後(あるいは出産直前)、一相アヤメの継承者である姫様の手によって、無情にも間引かれた。(注:3章45節)
ちなみに、真言とは長久診療所で一度会っている(注:1章36節)が、立ち絵が無い。
まあ、本編にはこのワンシーンのみの登場でそれ以降は登場しないのだが。
6.WCL
Lu=Leの残党狩りとCATの回収という表向きの大義名分を掲げ、その実は司書長であるカルロサの支配欲を満たすためだけに設立された新組織。 それが、このWCLである。
雨山かれお(あめやま かれお)
真名:WC_Sc:KaleidoScope
年齢:??(未AA)
性別:女
CAT、フェンリロスの遣い手で、後に自身が発見、回収した九相コトハネも継承する事になるWCLの魔眼質者。 チノの部下。 愛称は“かれ”、または“かれおん”。
出生、及び経歴は設定未公開のため不明だが、ともかく近年になってその資質を視出され、WCL加入。 CATフェンリロスを下賜され、行方不明になっていた元イツワのフェイズ9、九相コトハネの捜索を命じられる。
その命に従い、そしてフェンリロスの能力を遺憾なく発揮したかれおは、関東近辺で九相コトハネを発見、回収に成功し、ミルハの下に持ち帰った。
これが鏑矢となり、『No.13』が開始される。
遊戯開始後は、待機のためねこざんまいに集まったWCLメンバーの世話を命じられるが、遊戯開始直後に真言の親友である大神と酒の席で接触。 大神がオウトである事を即座に見抜き、その監視も命じられるが、大神と意気投合し恋仲にまでなったかれおは、親友である真言を助けようとする大神に協力し、アッサリとWCLを裏切る。
近年WCLに加入したばかりの新人で、本作に登場するWCLメンバーの中では唯一AAを受けていないメンバーだが、これが逆にWCL、及びカルロサへの忠誠心が薄い原因となり、結果的に裏切る事になったようである。
遊戯終了後は、WCLを離れる事になったが、『interlude』にも再登場しているため、WCL内でどのような扱いになっているのかは筆者は知らない。
かなりのナイスバディ。 ってゆーかむしろ挟まれたい。(←何に!?)
視力が悪いらしく、メガネやコンタクトを着用している。
元々が日本人でないのか、終始カタコトのヘンな日本語を話す。
ちなみに、真名の“KaleidoScope(カレイド・スコープ)”は、“万華鏡”の意。
・フェンリロス
WCLが保有する十全のCATで、現在の遣い手は雨山かれお。
大封時、Lu=Leの魔眼質者は大半がCATを回収された上で拘束され、改宗を迫られた。 その結果多くの魔眼質者が改宗し、後のWCLに加わる事になった。 その中には、ESメンバーであったダーカ・イァンナ・ルーやヨルド・モネらも含まれていたほどだった。
しかし、拘束された魔眼質者の中には、頑なに改宗を拒み、その場で果てる事を望んだ者も少なくなかった。 そんな殉教者の中に、ESメンバーであったヴィヴ・アヴァとイサリーの二人もいた。 二人はLu=Leと始祖アリスへの忠誠を貫き、改宗は不可能である事を悟ったカルロサの慈悲により、二人は殉教を赦された。
こうして、ヴィヴとイサリーの二人が遣っていたWEのCAT、すなわちWE:5=デュナムとWE:6=プロンはWCLが保有する事になったが、この2体のCATは、直後にカルロサの実験材料に用いられた。
複数のCATを融合し、新たなCATを生み出す検体に用いられたのだ。
この実験の結果生まれた新たなCATが、後にかれおが遣う事になるCAT、フェンリロスである。
WE:6=プロンを筋骨隆々にしたような外見を有し、その背にはWE:5=デュナムの名残りと思しき翼を持つ。 WE:6=プロンの最大の特徴であり、強力な武器であった口は縫い合わされ、その攻撃力は著しく低下している模様。
実際、フェンリロスはフェイズ2、及びフェイズ5の特化型で、直接的な戦闘よりは後方支援ユニットであり、特に広域捜索=“Goggle/Cat's(ゴグル/キャッツ)”に極めて高い性能を示す。 その捜索範囲は、遣い手の資質にもよるが、ほぼ無制限と言っても過言ではないほどのようだ。
また、WE:5=デュナムの“雫エミュレーター”の能力も僅かながら持っているらしく、広域捜索との併用により、かれおは長い間失われたままになっていたイツワのフェイズ9、九相コトハネを見事発見した。 発見したのは、“偶然にも”関東近郊だった。(注:この都合の良さが呼び水たる月の雫)
ただ、フェンリロスは遣い手を選ぶ傾向が強く、しかもナゼかD調寄りの調整(注:循環七音のD。 Cの次の段階。 またこの変調が、かれおの“裏切り”の遠因となった可能性が指摘出来る)が行われていたため、極めて扱い難いCATになってしまい、生み出されてからの長い間、親和する魔眼質者がなかなか出現せず、放置されたままだった。
しかし、『No.13』の開始直前、かれおというフェンリロスに親和可能な魔眼質者がようやく視出された事で、フェンリロスはかれおに下賜され、『No.13』の鏑矢を放つ役目を遣わされた。
その後、フェンリロスは回収に成功した九相コトハネとも融合し、天駆ける翼、魔女が騎乗せし箒としても機能するようになった。
高性能なCATながら、扱い難く親和する魔眼質者も他にいないため、『No.13』終了後もかれおがそのまま所有している模様。
・九相コトハネ(異羽)
イツワから分離したフェイズ9。
元々は大封時の戦闘中、エンリケによってイツワから切り離された単一フェイズだが、その直後から行方不明になってしまい、八相七家もWCLも長い間捜索を続けていたCATである。
しかし、『No.13』の開始直前になってようやく、かれおによって発見、回収された。
CATのフェイズ9は、元々が天駆ける翼、魔女が騎乗せし箒としての飛行能力であり、コトハネも飛行能力に特化したCATである。 そのため、その姿も翼の形状を有している。
現在は、発見者であるかれおが遣うCAT、フェンリロスに融合されているが、フェンリロス自体は十全のCATであり、元々からフェイズ9を有している。 そのため、コトハネの融合は実は全く以って意味が無かったりする。
千野チノ(せんの ちの)
真名:WC_Sc&T0:ThousandBrains
年齢:―(AA済)
性別:女
WCL内におけるミルハの片腕であり、かれおの直上の上司で、CATペイルホワイトを遣う魔眼質者。
髪は短く目付きと顔色が常に悪い上、マスク(注:風邪用の方。 被る方ではない)を常用しているため表情が読めない。
他に、外見的特徴として比較的背が低いというのがあるが、スタイルは出るトコしっかり出ていて体のラインが出るタイトめの服装を好むため、誰かさんと同様、やはり「私、脱いだらスゴいんです」的な体型ではないかと思われる。
チノがいつ頃WCLに加盟したかは、設定未公開のため定かではないが、大封前からLu=Leの魔眼質者だったワケではなく、大封後、あるいはWCLの創設と前後して視出された魔眼質者であるように思われる。
が、それでもWCLとの関係は長く、しかも深い。 実際、ミルハの片腕として活躍している描写からも、チノがミルハに信頼されている付き合いの長い部下である事が伺える。
しかし、そんなチノですら、真言に対してある種の愛情を抱き、感情移入するようになってしまったため、最終的にミルハを裏切り、真言や大神に(消極的にではあるが)手を貸す。
これが原因になったのか、『No.13』終了後はその任を解かれ、WCLからも放逐された模様。
途切れない喋り方で思考と言語出力を同時進行(注:思考のマルチタスク=千の知能)するクセがあり、よく分からない物言いになる事が多い。 ミルハとのミーティングではそうでもないが、真言との会話では特にその傾向が強くなるようだ。
しかし、声はキレイなカンジで、声帯模写が異様に得意。
また、遣っているCATの能力もあって、“察する”のが得意。
ちなみに、真名の“ThousandBrains(サウザンド・ブレイン)”は、“千の知能”の意。
・ペイルホワイト
WCLが保有する十全のCATで、現在の遣い手は千野チノ。
このCATの経歴は、設定未公開のため全くの不明だが、WCL創立時には既にWCLが保有していたようなので、恐らくは改宗、あるいは殉教したLu=Leの魔眼質者から回収されたCATではないかと思われる。
眼を閉じた眠り猫のような頭部と手足の無い胴体に翼が生えたような、海洋生物のクリオネにも似た姿をしており、頭上の光輪と継ぎ目にも見える同体に走る線が特徴的である。
ペイルホワイトは十全のCATだが、特にフェイズ5に特化しており、そのため広域捜索(注:“Crunch the Numbers”。 ただし、精度と範囲ではフェンリロスに劣る)と強制改宗(注:“F E=mi”)の能力を持つ。
特に強制改宗能力は極めて強力で、動作時は祈りの形に組んだ手のようにも見える同体を左右に開き、対象の頭部に覆い被さり、思考に直接接続。 通常のCATのフェイズ2によるファイアウォールを突破し、強制干渉を行う。
そのため、このCATは遊戯におけるバランスブレイカーとなり得る可能性が極めて高いが、遣い手であるチノ自身が善意と良識によりそれを望まないため、これまでにも必要最低限の操作が行われたのみである。
ちなみに、一般的な情報収集のための動作の際は、閉じた眼を開く程度の動作で対象の思考をスキャンする事が可能である。
本編中には詳しい描写が無いが、どうやら『No.13』終了後もチノが所有している模様。
飯窪知狡(いいくぼ ちずる)
真名:―
年齢:??(未AA)
性別:女
真言の伯母で飯窪家の現頭首。 加えて、玄ノ森で営業している旅館、六母屋の経営者。
真言の生家である飯窪家は、大封時に死闘の末エンリケに受肉したイツワが、依代であるエンリケの肉体を以って祖となった家系である。 すなわち、男性魔眼質者で雄性イーハのCATが、その先祖になっているワケだ。
しかし、多くの魔眼質者の家系がそうであるのと同じく、飯窪家も魔眼質を継承しているが故に女系一族で、直系の男児はこれまで生まれた事がなかった。
そのため、飯窪家はこれまで、長女が頭首を継承し婿取りを行う、というのが慣習として続けられ、現在まで存続している。
その結果、前頭首と飯窪源四との間に生まれた長女が、知狡である。
知狡の魔眼質は決して資質が低いワケではなかったが、飯窪家がカルロサより下賜され、代々継承してきたCAT、キリアケとは親和性が低く、キリアケ継承者の役目は妹の現実に譲る事になった。
しかし、知狡は飯窪家の長女であり、現実が知狡を差し置いてさっさと結婚、真言を産んで飯窪本家を出奔してしまったため、知狡は長子継承の慣わしに従い、母親から飯窪家の頭首を継承。 同時に、飯窪家が経営する旅館、六母屋の経営も引き継いだ。
出会いの無い職場のためか、現在に至るも結婚せず独身のままである。
しかし、甥である真言に対しては非常に甘く、知狡なりのやり方で可愛がっている。
が、その感情移入がアダとなり、『No.13』の終盤では、WCLとミルハに対する忠義立てとの間で板挟みになり、どうしたら良いのか分からなくなってしまう。 そのため、知狡は妹の現実に助けを求め、現実に問題の解決を頼むのである。
マジメが服を着て歩いているような性格で、常にスーツ等のパリっとした服装を好み、真言やミルハの冗談をイチイチ真に受けるクセがある。
しかし、その外見は極めて年齢不詳で、真言の伯母というからには最低でも40代に届こうかという年齢のハズなのに、ややもすると20代前半にも見えるほど若い外見が特徴。
旅館の経営者だが、未婚のためか腕を振るう相手がいないため、料理の腕が絶望的に無い。 しかも、本人がそれを無自覚なので、タチの悪いコトこの上ない。 真言とミルハも、玄ノ森に到着した初日に、図らずもこれを認識する事になった。(注:1章14節)
飯窪現実(いいくぼ あらみ)
真名:WC_Re:AliS(CE)M
年齢:??(未AA)
性別:女
真言の実の母親で飯窪家の次女。 知狡の妹である。
初代の魔眼の刺し手であったエンリケの血を引く飯窪家は、その再出現が命題として課せられており、いつ再出現してもいいようにIgや具足を家宝として継承している家系である。
しかし、実際には魔眼の刺し手となり得る直系の男児がこれまで生まれなかったため、飯窪家の頭首が代々継承していたのは、Igや具足とは別に下賜されたCAT、キリアケであった。
しかし、キリアケは利便性の高い、遣いようによっては最強CATの一つに数えられるほど高性能だが、遣い手を選ぶ傾向が極めて強く、資質の高低に関係なく、相性が悪いとマトモに遣う事すら出来ないという致命的な欠点があるCATであった。
そのため、キリアケを継承したのは、飯窪家の長女であり頭首を継承する事になった知狡ではなく、その妹の現実であった。
現実の資質は詳細不明だが、キリアケとの親和性は極めて高く、クライマックスでは(紙魚によって弱っていたとはいえ)ミルハの全力攻撃を完全防御するほどの高性能を発揮した。(注:4章51節)
現実は、ある男性(注:設定未公開のため詳細不明)と恋仲になり、若くして結婚。 直後に身篭ったのが、飯窪家待望の、そして初の直系の男児であった真言である。
真言を出産後、現実はしばしの間玄ノ森に止まるが、真言が小学校に入学する前に関東に転居し、そのまま現在に至る。
知狡と同様、現実は真言がイツワの転生である事を承知しており、イツワ自身とWCL(注:主にミルハ)との間で既に密約が成立している事も承知していた(注:この密約があったから、飯窪家はWCLに与する事になった)が、それでも真言は自らの腹を痛めて産んだ最愛の息子であり、真言の存在が失われる事には反対だった。
そこで現実は、真言をミルハの近くに置き、真言がミルハを篭絡するように仕向けた。 真言が、ミルハを口説き落とす事を期待したのだ。 だから、真言の大学中退もアッサリOKする。 真言とミルハが長時間、長期間一緒にいられる事になるからだ。
結果として、この現実の期待は失敗に終わる事になったが、真言が失われる事なく存続している結果には満足しているようだ。
非常に奔放な性格で、真言はもちろん知狡さえも手を焼くほど勝手気ままなトコロがある。 知狡ほどではないが、見た目が非常に若い。 また、料理の腕もよろしくない。 ……やはり、知狡ほどではないが(笑)。
ちなみに、現実の夫、すなわち真言の父親に関しては、設定未公開のため詳細は全くの不明。 仮にも真言の父親なのだから、それなりの資質を持っているモノと考えられるが、真偽の程は不明である。
また、現実が飯窪の姓を名乗っているという事は、婿取りしたのだろうと想像出来るが、次女である現実が婿取りしたのはナゼなのだろう?(注:幼少期の真言が“いいくぼまこと”と名乗っているので、真言の姓は最初から“飯窪”で、離婚によって姓が戻ったとは考え難い。 夫婦別姓の可能性は否定出来ないが、姓が戻らない死別でないコトだけは確か)
to be continued...
-"Sight of OMEGA" Ultimate Analyse #25-
皆さんおはこんばんちわ!
asayanことasami hiroakiでっす!(・ω・)ノ
またもや台風が……。
まあ、なんとか2連発は回避出来そうですが、またしても伊豆が直撃コース。 ウチの在住地域も、連日雨続きでございます。 もう10月も終わるというのに……。
ホント、今年の天気はどうなっちゃってるんでしょう? マジでいい加減にしてほしいです。
<今週の特集>
今週の特集コーナーは、『アルティメット・アナライズ』シリーズ第4弾、同人ヴィジュアルノベル『Omegaの視界』の徹底解説連載第25回です。
キャラクタープロファイルはまだまだ続く!
5.八相七家
Lu=Le崩壊後、逃亡したミリアムによって創始された組織。 Lu=Leの再興を旗印に集められた、日本産魔眼質者集団。 それが、この八相七家である。
綾目姫様(あやめ きさま)
真名:―
年齢:17歳
性別:女
一相アヤメの継承者。 愛称“きーちゃ”。
八相七家の内、一相アヤメを継承し、“嘉多里辺茶屋”という土産物屋(兼お食事処)を経営する綾目家に生まれた姫様は、三人姉妹の次女である。
姉の運(はこ)、妹の在夜(ありや)を差し置いて一相アヤメを継承した事実からも分かる通り、魔眼質者としての資質は、現在の八相七家の各継承者の中でもトップクラスと思われる。
八相七家のお膝元、玄ノ森に生まれた姫様は、幼少期に道具に連れ出された冬夏と共に碁石松原の砂浜に遊びに行き、そこで同じく道具に連れ出された幼い少年、真言と出会う。
真言はこの時の事をキレイサッパリ忘れてしまうが、姫様はこの時の事をとてもよく憶えており、十数年振りに帰郷した真言と再会した瞬間、真言が幼い頃の記憶と同一人物である事を悟る。(注:もちろん、既にアヤメを継承していたため、真言の中のイツワのイーハに反応して真言の事に気付いた、というのもあるのは確かだ)
そのため、姫様はコトある毎に真言と接触を図り、親友の克枝をハラハラさせながらも真言への想いを募らせていくのであった。
しかし、姫様は八相の教えに忠実で、ミリアムの考えに強く傾倒しているトコロがあり、ある種の原理主義的な思考に毒されていると言える。 そのため、八相の掟に従わない冬夏を酷く嫌い、コトある毎に冬夏にイヤミを言う場面も。
その高い資質が認められて一相を受け継ぎ、順位の上でも上位であるハズの自家を差し置いて、始祖アリスの血統であるという理由だけで三春家が八相七家のリーダーに君臨しているという事実が姫様の嫉妬心を煽り、これに拍車をかけているモノと思われる。
また、掟に忠実であるが故に冷酷な一面もあり、生まれてくるハズだった(あるいは生まれたばかりの)克枝の弟を、八相の掟に従って冷酷にもその手にかける。(注:3章45節)
さらに、祭が近付いて何かと慌しくなり、GWの存在などに対する用心のためアヤメを常駐させるが、高い資質を持ちながらも次第にアヤメに神蝕されていき、姫様自身の自我が少しずつ崩壊していく。 これもまた、八相の掟に忠実であるが故の原理主義的思考傾向の結果である。 一相アヤメはフェイズ1に特化したCATであり、敵を攻撃する事で、遣い手はその身を挺して八相を守るのがその役割りだからだ。
その結果、クライマックスでは音との交戦(注:4章45節)後、音にアヤメを奪われないようにするため、自身の片腕ごとアヤメを切り離すが、神蝕の影響が著しく、オウトによる治療を以ってしても意識が回復せず、意識不明のまま物語りは終わる。
本作のエピローグ、及び現在公開されている設定によると、意識を回復して『interlude』にも登場する方向で構想されているようだ。
黒髪のショートカット。 相手を睨んでいるかのような三白眼が特徴。 引っ込み思案で人見知りするタイプの上、意味不明かつ曖昧な言動で相手を翻弄する不思議ちゃん。
学校の成績は不明だが、文武共にソコソコ出来るようである。
・一相アヤメ(綾目)
八相七家の綾目家に継承されているCATで、元々はイツワから分離したイツワのフェイズ1。 現在の遣い手は、綾目姫様。
元々がイツワのフェイズ1であるため、攻撃力に特化したCATで、その姿も一対の勾玉(まがたま)であると同時に、ネコパンチを繰り出す猫の両前足のようにも見える。 しかも、ご丁寧に肉球付きである。(笑)
実際、動作時は遣い手の両腕に宿り、物理的ダメージを与える武器として動作する。
本来、CATは“チカラ無き者がセカイと向き合うチカラ”であり、それは取りも直さず、自然界における強者生存の大原則を覆すモノである。 よって、CATには弱者が強者に立ち向かう力、すなわち対象の機能停止を目的とした“相手を殺す能力”が必要だった。
そのため、フェイズ1は当初から重要視されていたフェイズだったが、CATを遣う魔眼質者同士の戦闘の場合、フェイズ2やフェイズ4、あるいはフェイズ5などの能力により攻撃が無効化されてしまう可能性があるため、次第に重要視されなくなっていった。 そのため、攻撃力特化の一相アヤメは、言わば旧世代のCATの残滓とも言える。
姫様に継承された後、アヤメはGWの出現によって開催が危ぶまれた祭を滞りなく開催するために姫様に特禁級常駐、すなわちリミッター解除状態での常駐動作が行われ、その結果遣い手である姫様と過剰同期、神蝕し、しかし“十八二式”(注:とうやにしき。 詳細は後述)によって暴走には至らなかったモノの、姫様の自我を深いレベルまで神蝕したため、姫様に身体的衰弱と恒常的な意識不明状態をもたらしてしまう。
姫様から切り離されたアヤメは、運良く(悪く?)ベロアによって回収され、ミリアムの手中に戻った。
現在公開されている設定では、どうやら『interlude』までに姫様の実姉妹である運、あるいは在夜に再継承されたようだ。
三春冬夏(みはる とうか)
真名:―
年齢:18歳
性別:女
本作のメインヒロイン。
二相ミハルの継承者で、克枝には“とーかちゃ”と呼ばれている。
冬夏の生家である三春家は、旧Lu=Leの生き残りの一人であるドレミリア・リデルが祖となっている家系で、八相七家の中で唯一、始祖アリスの血統を受け継いでいる家系である。
そのため、ドレミリアは八相二位という高い地位を賜り、二相ミハルを下賜され、その血脈である三春家は、一相を受け継いだ綾目家を差し置いて八相七家のリーダーになっている。(注:その結果、後に綾目家や選律に禍根を残す事になった)
しかし、祖であるドレミリアがそうであったように、三春家の血統は魔眼質の資質が低く、歴代の頭首の中には、(現頭首である冬夏の母、のぎかを含めて)魔眼質の資質そのモノが無い者も多かった。
また、本来は魔眼質の継承のために女系家系である八相七家の中では例外的に、(比較的)男児が出生し易かった家系のようだ。(注:そのため、冬夏の産まれてくるハズだった兄弟も、掟に従い全員が間引かれた)
そんな家系に生まれた冬夏は、生まれも育ちも玄ノ森で、旧家のお嬢様らしく大切に育てられた。 幼少期は、外出も制限されていた。
しかし道具は、そんな幼少期の冬夏をのぎかの目を盗んで外に連れ出し、姫様と共に同じく幼少期の真言や音と引き合わせ、カルロサからCATのシロを下賜させる事に成功する。
この時の事を、冬夏自身はとてもよく憶えており、幼少期の真言とのリトル・ラブにある種の運命的なモノを感じていた。
長じた冬夏は、のぎかの狙い通りに美少女に成長した。 が、冬夏本人は、礼儀作法や体型維持に伴う食事制限など、何かと口うるさく言う母親を嫌い、同時に八相七家の束ねとして押し付けられるその思想や因習も嫌うようになっていき、いつの頃からか八相七家の呪いにも似た呪縛から逃れたいと願うようになる。
その結果、冬夏は『No.13』の開始直前、自らを八相七家の呪縛に縛り付けている特質、すなわち魔眼質を捨てるために、自らの左の眼球を抉るという奇行に走った。
さらにその直後、幼少期に碁石松原の海岸にて共に“白の城”を作りシロを埋めた少年、真言と運命的な再会を果たし、冬夏はその時が来た事を悟る。 真言の“調査”に手を貸し、さらには家出までして八相七家の掟に逆らう。
しかし、祭のために玄ノ森にやってきた選律や、選律と八相の掟に忠実な姫様にとっては、その程度の抵抗は予想の範囲内であった。
選律の命を受けた姫様によって無理やり連れ戻された冬夏は、選律に不正操作を受けた事によって、祭の最中にミリアムを刺殺する。(注:ただし、未遂に終わる)
最終的に、不正操作の解けた冬夏は、克枝と共にノートからの接触を受け、八相の呪縛から開放された。 CATもノートに譲渡し、『No.13』終了後は、八相七家やWCL、また遊戯とも関係のない、一般人としての生活を真言と共に送る事になった。
先天的な金髪碧眼で、これはドレミリアが先祖であるための隔世遺伝の結果である。 また、ドレミリアを直接知るミリアムや選律によると、背格好がドレミリアに良く似ており、髪を短くすると瓜二つなのだとか。
・二相ミハル(三春)
八相七家の三春家に継承されているCATで、元々はイツワから分離したイツワのフェイズ2。 現在の継承者は、三春冬夏。
元々がイツワのフェイズ2であるため、インビジブル能力の“深シ齋木(ふかしゆき)”、不可侵領域を形成する“林の鳰(はやしのにお)”、及び、知覚の拡大と広域捜索を可能にする“広キ侍僕(ひろきじぼく)”など、防御や後方支援に特化したCATである。
ただし、その効果範囲は甲乙両種があるモノの、遣い手の資質に左右されるため、冬夏程度の資質ではそれほど高い効果は無く、3章の終盤では姫様にアッサリと発見された。
二相ミハルの容姿は、両腕の無いネコのようなシルエットだが、全身を覆うように紙垂(かみしで)のような包帯(?)でグルグル巻きにされており、その隙間から一対の眼が覗く。 また、この紙垂は長い尾も形成しており、その先端には八相オオクロが付随しているのが確認出来る。(注:八相オオクロについては後述)
面白いのは、そのシルエットだけで言えば、同じく両腕の無い姿で、“蜂天使”の異名を持つドレミリアのCAT、WE:8=ベールにとても良く似ている点である。
前記したように、ベールは大封時にドレミリアとのリンクを断たれ、行方不明になってしまっている。
が、もし仮に、何らかの理由でベールが発見され、その存在を文字通り“覆い隠す”めに、イツワのフェイズ2である二相ミハルをベールの身体に“巻き付けた”のだとしたら?
あるいはその姿は、現在の二相ミハルのようになるのではないか?
ドレミリアはベールを溺愛し、ベールもまたドレミリアに良く遣えたとされており、その関係は主従を越えた極めて仲睦まじいモノであったと言われている。 ならば、ドレミリアがリンクが断たれたからといってベールを行方不明のまま放置するだろうか? 恐らく、必死になって捜したハズである。
しかし、発見、回収に成功したとしても、ベールは飽くまでもWEの内の1体。 その存在をWCLに知られれば、間違いなく彼らはベールを狙ってくる。(注:ドレミリアや八相七家が、カルロサがベールに対して“完全放置”のスタンスを取っている事を知らないため) ならば、その存在を知られないように隠す必要がある。
幸いにして、ドレミリアが三春家の祖として下賜されたのは、二相ミハルだった。 ドレミリアは、その能力を使って、ベールを覆い隠したのではないだろうか?
何故ならミハルは、フェイズ2に特化しインビジブル能力を備えたCATだからだ。
・八相オオクロ(大黒)
八相七家が継承するCATで、元々はイツワから切り離されたイツワのフェイズ8。 ただし、継承出来る魔眼質者が見つからず、誰にも下賜されないまま封印され、現在は三春家が管理する九抱山の神社のご神体、“紙様”として祀られている。
それもそのハズで、元々八相オオクロは単体では動作しないフェイズである。
フェイズ8は、そのCATの姿形を維持し、受肉した対象への定着を司るフェイズで、他のフェイズがあって初めて意味を持つフェイズである。
そのため、八相オオクロを単体で動作しても、そもそも姿形を維持、あるいは依代への定着を行うCATそのモノが存在しないので、たとえ単体動作したとしても全く意味が無い。
なので、八相七家が毎年春に行っている八相オオクロの遣い手の捜索を目的とした学校行事、“神使八乃舞(みづはのめ)”は、たとえ資質者が発見されても実は全く意味の無い行事だったりする。
が、イツワの場合、このフェイズを失った事によって姿形を維持する事が出来なくなり、エンリケの肉体に受肉する必要があった。
その名に反し、八相オオクロの姿は真っ白な勾玉、あるいは哺乳類の胎児のような姿をしており、小さな手足に不釣合いな大きな目が特徴である。
本来は単体では動作しないCATのため、長年紙様として保管された後、『No.13』の最中に冬夏の手に渡り、以降は二相ミハルに付随する形で動作している。(注:これならば、意味のある動作になる)
ただし、その効果の程は『No.13』の最中には確認されていない。
永久卑尊(ながひさ ひみこ)
真名:―
年齢:??(未AA)
性別:女
三相ナガヒサの遣い手で、玄ノ森にある小さな医療施設、“長久診療所”の現所長。 すなわち女医(!)である。
生まれも育ちも玄ノ森だが、家業である長久診療所を継ぐために上京。 医学を学ぶ。
医師免許取得後、勤務医として経験を積む(注:本編では詳しい説明がないが、年齢的に大学で勉強していたワケではなく、どこかの総合病院や大学病院に勤務していたのではないかと思われる)も、その最中に玄ノ森にGWが出現。 綾目家の前頭首(注:姫様の母親)と共に卑尊の母親も襲われ死亡。(注:克枝の母親も襲われたが、幸いにしてケガをした程度で済んだ) そのため、卑尊は急遽玄ノ森に帰郷(注:4/9。 初登場は、その翌日に当る1章36節)し、ナガヒサを継承して永久家の頭首を襲名。 長久診療所所長の肩書きも引き継ぐ。
そして、三相ナガヒサの能力を使い、冬夏の眼やミリアムのAAなどの治療に当たった。
ただし、卑尊本人はAAを受けていない。
しかし、既にAAを受けている奇士道具と親しい間柄(注:もっとも、卑尊自身はそうは思ってない事が、本編にて明記されている。 恐らく、道具が一方的に卑尊の事を慕っているのだと思われる。 ……道具さんって、案外M気質?)で、どうやら旧知の間柄らしい。
魔眼質の資質は比較的高いようだが、度重なるナガヒサの使用でさすがの卑尊も気力を使い果たし、最終的には祭の最中に傷付いたベロアを治療するために力を使い果たし、息絶えた。
ナガヒサは、継承者のいないままベロアによって回収され、次の継承者が出現するまで保管されている模様。
女医らしく、性格キツめのお姉さまキャラ。
・三相ナガヒサ(永久)
八相七家が継承するCATで、元々はイツワから切り離されたイツワのフェイズ3。 現在の遣い手は、永久家の頭首である永久卑尊。
元々がイツワのフェイズ3であるため、主に肉体的損傷(物理ダメージ)の回復やAA(注:後述)に特化したCATで、言わばメディック・スキルに相当する。
この能力もあって、八相七家の継承家である永久家は、代々“長久診療所”(注:“ちょうきゅう”と読む。 永久の音を踏んで長久とし、音を変えて“ちょうきゅう”と読むようになった)という診療所を経営。 代々の頭首は、この診療所の所長も兼任している。
もちろん、診療所という体裁を取っているため、近隣住民の診察にも応じるが、本来はフェイズ3を失って回復能力が無いベロアに代わって、ベロア自身の回復とミリアムのAA維持がその主な目的。 毎年春に行われる祭も、祭儀ももちろんだがベロアとミリアムの定期診断、及び治療がその主な目的である。
しかし、三相ナガヒサ自体は、その使用に大量のエサを必要とし、極めて燃費が悪く、遣い手への負担が極めて高い。 そのため、治療可能なキズに制限があったり、断続的な使用によって遣い手が疲弊し、最悪死に至る事も稀ではない。
事実、『No.13』の最中、負傷したベロアの回復のために力尽き、遣い手である卑尊は息絶える事になった。
三相ナガヒサは、6本の枝を持つ長剣のような姿をしており、使用の際はこの剣を対象に突き立てるようにして使用する。
卑尊の死亡により、遣い手を失ったナガヒサは、ベロアによって回収され、継承者の出現までミリアムの下で保管される事になった。
・AA
三相ナガヒサの出現能力の一つであるAAとは、“Anti Aging(アンチ・エイジング)”の略である。
ヒトに限らず、全ての生命はその誕生から様々な形で生命活動を行い、子孫を残した後に死を得て、生命活動を停止する。 これは自然の摂理であり、生命にとっての唯一不変の掟である。 またこの掟がある事によって、ヒトは生命の尊厳を学び、時間の浪費を避け、生ある限り精一杯生き、人生に意味と意義を見出す事が出来るのである。
しかしヒトは、その理に抗う。
テクノロジーによって、ヒトは死を回避する事に努力を惜しまない。
ヒト以外の生命は、本能的に死を受け入れる。 死期を悟った老ライオンは、群れを離れてひっそりと、まるで眠りの安寧に身を委ねるかのごとく、死を受け入れる。 それは、自らの死によって他の生命が糧を得るという食物連鎖の連環の一端を担っている事を識っているからであり、その生に意味と意義を見出し、精一杯生きた証だからである。
しかしヒトは、その理に抗う。
医療の発達、経済的繁栄に伴う食生活の充実化と共に、より多くの栄養を摂取する事を可能とし、かつては“死の病”と言われた難病さえも治療する術を得た。
これから先も、テクノロジーはヒトの“不死の夢”を実現するまで飽くなき探求を続け、近い将来、ヒトはその夢を実現するだろう。
しかし、ヒトのテクノロジーよりも一足飛び、……どころか、十歩も二十歩も先に、CATはヒトの“不死の夢”を実現した。
それが、このAAである。
この技術がいつ頃から存在するのかは、設定未公開のため不明だが、少なくとも最初からCATにあった能力、とは言い難いと筆者は考える。 実際、最初のCATであるパラミアキスを呼び降ろす事に成功した始祖アリスや、その召喚に大いに貢献した初代の呼び水たる月の雫、ナルデアナ・ドルミナは、どちらもAAを受けないまま自然死している。
飽くまでも筆者の想像で根拠は何もないが、少なくとも始祖アリスの死後に開発、あるいは“発見”された能力なのではないかと思われる。
ただし、AAは正確には“不死”ではない。
より正確には、“不老”である。
肉体的な老化現象を停止し、若さを保つのが目的であり、その結果として“二次的に”老化による自然死、すなわち老衰が回避されるだけで、AAを受けても心停止すれば普通に死ぬ。
AAは、フェイズ3によってもたらされ、十全のCATならば基本的にどのCATでもこの能力を有している。
ただし、その効果はCATと遣い手によって左右され、老化を遅延させる程度しかないモノから、完全な“若返り”を可能にするモノまで様々である。
元々十全のCATであったベロアは、しかし大封時の戦闘でフェイズ3に損傷を受け、AAはもちろんメディック・スキルも失ってしまう。 そのため、ナガヒサによる自身と自身の遣い手であるミリアムのAA維持を随時必要とする事になった。
八相七家では、ミリアム以外に選律と道具がAAを受けており、3人とも不老だが、3人がそれぞれいつ頃AAを受けたかについては、設定未公開のため詳細不明である。
また、WCLのメンバーは、そのほとんどがAAを受けており(注:例外的に、WCLに加入して間もない雨山かれおだけが未AA)、それぞれが十全のCATを使役しているため、ほぼ完全な“不老不死”となっている。
奇士道具(きさむら どうとも)
真名:―
年齢:―(AA済)
性別:女
八相七家、四相キサムラの遣い手で、奇士家の現頭首。 ってゆーか、AAを受けているため、奇士家は彼女一人のみ。 愛称“トモさん”。 一人称は“僕”。
道具の出生に関しては、設定が公開されていないため全くの不明。 しかし、幼少期の真言と冬夏が碁石松原の砂浜で出会った頃には、既に成人として登場している描写があるので、少なくとも二人が生まれた頃には既に成人していたと考えられる。
出身地は不明だが、現在の住まいは関西で、毎年春の祭の時期だけ玄ノ森に来ているが、関西在住のワリには言葉に訛りがなく、流暢な標準語を話す。(注:ただし、知識としては関西を含めた様々な地方の訛りも心得ているようで、本編中では玄ノ森近辺の方言である東北弁を流暢に話す場面もある)
それとは関係ないだろうが、話しの内容が難解で意味不明になり易く、ある種の電波トーク的な会話で話しが横滑りするクセがある。
腰まで伸びた長い髪が特徴。 イマドキ珍しいワンレングス。(笑) スレンダーだが、出るトコロはシッカリと出ており“私、脱いだらスゴイんです”系の体型と思われる。
道具は、四相キサムラを継承して奇士家の頭首を襲名した後、AAを受けている。 そのため、四相キサムラは次の世代に継承される事なく、長い間道具がその遣い手になっている。
だからなのか、それとも最初からその目的があってAAを受けたのかは、最早タマゴとニワトリなので判別は出来ないが、ともかく道具は密かにカルロサの接触を受け、カルロサの思惑と自身の思惑が合致した事を悟り、密約を交わした。 そして、幼い真言と冬夏を連れ出し、自身が育ての親を買って出た西石家の鬼子、音を引き合わせ、さらにカルロサ本人とも引き合わせ、真言にシロを下賜させる事に成功する。
さらに、『No.13』の開始直前、密かに玄ノ森入りし、音を使って八相七家の内綾目家、永久家、狩屋家のそれぞれの頭首、あるいは前頭首を襲わせた。
結果的に、狩屋家の前頭首である寧子は負傷しただけで済んだが、綾目家の前頭首と永久家の現頭首の暗殺に成功する。 そして、道具自身は選律や価無、ミリアムらと共に何食わぬ顔で玄ノ森に入り、偶然を装って真言との再会を果たした。
その後も、道具は八相七家の部外者である真言に積極的に情報開示したり、音を使って姫様と克枝を襲わせたり、ノートと接触するなど、暗躍の限りを尽くす。
しかしその結果、祭の最中に慕っていた永久卑尊を死なせてしまう。 さすがの道具も、卑尊の死には動揺を隠せない場面も。
いずれにしても、『No.13』そのモノは道具の暗躍もあってカルロサの思惑通りの結果に終わり、道具はカルロサと交わした密約通り、遊戯終了後にルーラー昇格を受け、四相キサムラに代わる新たなCATを下賜される。
現在公開されている設定では、『interlude』にも重要なキャラクターとして登場する。
・道具の暗躍
前記した通り、道具は密かにカルロサと接触し、密約を交わした上で『No.13』において暗躍の限りを尽くす。 それは、自身がその一角として属している八相七家に対する重大な裏切り行為であり、その結果慕っていた卑尊も失ってしまう。
しかし、それでもカルロサとの密約は、道具にとっては必要な事だった。
何故なら道具には、内に秘めたる思惑があったからだ。
道具は、暗躍する条件として“ルーラー昇格”をカルロサに要求していたのだ。
ルーラーとは、“遊戯のルールを決める者”の事で、要するに遊戯の主催者の事である。
本作における遊戯とは、カルロサが決めたカルロサによるカルロサのためのモノであって、ミリアムを筆頭にした八相七家は勿論の事、ミルハやエンダー、カヴン、果てはGMに至るまで、プレーヤーはその全員が、要はカルロサの道楽に巻き込まれた側の人間である。
すなわち、ココで言う遊戯の主催者、ルーラーは、正確には“カルロサのみ”という事になる。
これを知った道具は、暗躍する交換条件として、自身のルーラー昇格、すなわちカルロサと同じ立場に立てるようにする事を要求する。 何故なら道具は、もうプレーヤーでいる事に飽きたからだ。
AAを受けたのも、鬼子である音を引き取ったのも、全てはプレーヤーとしての立場から脱却し、遊戯そのモノを支配する立場、すなわちルーラー、=カルロサと同じポジションに至りたかったからだ。
全ては遊戯。
愉悦こそが至上。
何故なら道具は、AAを受けた事によって自然界からも人間社会からも切り離され、食物連鎖の頂点のさらに上に立つ事が出来る立場、すなわち神になりたいからだ。
そして、最悪の箱庭たるこの世界を眺め、右往左往するプレーヤーたちにハラを抱えて笑い、愉悦を得る事こそが、道具の(そしてカルロサの)ただ一つの生きる目的なのである。
面白いのは、この道具の要求をカルロサが呑んでいる点である。
カルロサにしてみれば、自身の立場が危うくなるだけの存在である2人目のルーラーなどお断りのハズである。
もちろん、強くなり過ぎたミルハのレベルドレインを成功させるためには、八相七家の内部に入り込めるスパイの存在が不可欠で、道具の他にその役割を果たせる者がいない(注:八相七家に反発している者は、道具以外には選律と冬夏がいるが、冬夏は魔眼質者としてレベルが低過ぎる上、AAも受けておらず、この役割には不適当。 選律は、独自の思惑が既にあり、やはり不適当)ため、この要求はカルロサにとって苦渋の選択だった可能性もある。
が、筆者はカルロサが、この要求を“快諾”したと考えている。
何故なら道具は、遊戯そのモノには反対していないからだ。
例えば、冬夏は八相七家の呪縛から逃れたいと考えており、その呪縛の遠因となっている遊戯にも反対のハズである。 真言も、いいように振り回されていい加減ウンザリしているし、大神に至ってはウンザリしたためにさっさとD変調している。
八相七家、WCL、そして遊戯。 彼らは、そのどれもが嫌なプレーヤーなのだ。
しかし、道具は八相七家に対しても、また遊戯に対しても、それほど反対している様子は無い。 むしろ、遊戯に関しては賛成しているフシがある。
何故なら道具は、AAによって時間という概念から切り離され、有り余る余暇を持て余しているからだ。
だから、遊戯には賛成する。 ヒトを操って遊ぶ事には、賛成なのである。
しかし、操られる事に興味は無い。 プレーヤーでいる事には、もう夏の後(注:飽き飽き)なのだ。
だから、ルーラー昇格を要求したのだが、カルロサはこれを快諾する。
何故なら、その考えにはカルロサも大いに同意するハズだからだ。
自らが決めたルールに従い、右往左往するプレーヤーたちを高みから眺めて悦に入る。 これが面白くないワケが無い!
これを理解する道具を、カルロサはかなり買っていたのではないだろうか? そして道具ならば、自身と同じ立場に立ち、共に遊戯を楽しむ立場、すなわち“対戦相手”と認めたのではないだろうか?
本作の4章01節(と、『interlude』)は、まさにこれを裏付ける内容と言えるのではないだろうか?
・四相キサムラ(奇士)
八相七家が継承するCATで、元々はイツワから切り離されたイツワのフェイズ4。 現在の遣い手は、奇士家の頭首である奇士道具。
ヒョウタンのような形をした胴体から、触手と長い一本足が伸びているという、おおよそネコはおろか生物にすら見えない姿をしており、部分的にはサンゴや鼻行類(注:その昔、南太平洋に生息していたが、核実験によって絶滅したとされる“鼻で歩行する”という奇妙な特徴を有する生物群の総称。 もちろんフィクションだが、極めて詳細な分類がされている著書が多数出版されている)にも見える。
元々がフェイズ4であるため、攻撃や防御などの戦闘系の能力は全く持っておらず、主に“prot‐ein(プロト・アイン)”と呼ばれる霊薬の生成(注:詳細は後述)を行う能力に特化している。
また、prot-einを使用する事によって、劣化ながら他のフェイズの能力を模倣する事が可能で、その場合は“キサムラ代替”と呼ばれる。
遣い手である道具とは親和性が高いらしく、効率的にprot-einの合成を行う低燃費性を発揮した。
しかし、『No.13』の終了後、道具のルーラー昇格に伴い遣い手を失い、新たな遣い手が現れるまで保管される事になった。
・prot-ein
八相七家では、“魔女の乳酪”とも呼ぶ。
四相キサムラ、すなわちフェイズ4によって生成される霊薬の事で、一時的、あるいは恒久的に様々な効果を付与する1回使い切りのポーション、あるいはエンチャントアイテムに相当する。
用途、及びその効果は、生成されたproto-einによって様々だが、基本的に視覚、及び触覚可能な実体を有している事が多く、故に魔眼質者でなくても効果を与える事が出来る。
ただし、生成にはそれ相応の知識と技術を必要とするため、遣い手には資質と共に高い理解力が要求される。
その意味では、頭が良い道具はキサムラの遣い手として適任だったのかもしれない。
また、生成には時間がかかるため、例えば回復目的のprot-einは、ナガヒサの回復能力に比べて即効性が低いという欠点がある。(注:ただし、予め生成してあるのであれば、その限りではない)
prot-einは、アイディア次第でいくらでも、様々な効果を発揮するモノが生成出来るが、本編に登場したprot-einには、対象に打ち込む事によってその位置探査を可能にする発信機として機能する“Anchor(アンカー)”。
対象に装着させる事で、魔眼質者として資質を周囲に感得されないようにする“Choker(チョーカー)”。
対象に装着させる事で、ミハルのインビジブル能力を付与する“Disguiser(ディスガイザー)”。
対象に打ち込む事で、そのフェイズを時間の経過に比例してジワジワと侵食し、能力を恒久的に低下させる“book-W-orm(ブックワーム=紙魚)”。
prot-einによる効果を打ち消す“Canceler(キャンセラー)”などがある。
また実験的なモノとして、『No.13』で試験使用されたprot-einに、対象の魔眼質を無効化する“睡臥ノ神(すいがのかみ)”や、CATによる神蝕を抑制し、遣い手の暴走を予防する“十八二式(とうやにしき)”などがあるが、これらはノートを通してカルロサから(故意に)リークされた情報を受け取った道具によって生成された。
もう一つ、真言に下賜された三種の神器の三、魔眼の刺し手の正装、“具足(ぐそく)”もまた、特殊な在り方ではあるがprot-einの一種である。
といったトコロで、今週はココまで。
楽しんで頂けましたか?
ご意見ご感想、ご質問等があればコメにどうぞ。
来週もお楽しみに!
それでは皆さんまた来週。
お相手は、asayanことasami hiroakiでした。
SeeYa!(・ω・)ノシ
Thanks for youre reading,
See you next week!
-"Sight of OMEGA" Ultimate Analyse #24-
皆さんおはこんばんちわ!
asayanことasami hiroakiでっす!(・ω・)ノ
先週は良いニュースが続きましたが、今週は悪いニュースが続きました。
まずは台風です。 スゴかったですね。
伊豆では、記録的な大雨によって土石流が発生し住宅地を直撃! 10数人が死亡、40人以上が行方不明。 これを書いている時点で、合計22人の死亡が確認されています。
ウチの在住地域は、台風の直撃コースから微妙にズレていたため、カスる程度だったので多少雨と風が強い程度でしたが、直撃コースだった関東圏では、大きな被害が出た様子。
亡くなられた方々のご冥福と、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
そして、お悔やみと言えばやはりあの『それいけ!アンパンマン』の原作者で、童謡『手のひらを太陽に』の作詞でも知られる絵本作家、やなせたかし氏の訃報です。
来月11日からは、著作全集のリリースが開始される予定で、その直前での訃報はやはり残念この上ないです。
あの『クレヨンしんちゃん』の原作者、臼井義人氏の急逝も記憶に新しいというのに……。
……しかし、享年94歳。(!)
大往生ですよ。
だから、僕はあえてお悔やみを言いません。
代わりに、こう言いたいと思います。
お疲れ様でした。 今は安らかにお休み下さい。
そして、名作の数々をありがとう。
<今週の特集>
今週の特集コーナーは、『アルティメット・アナライズ』シリーズ第4弾、同人ヴィジュアルノベル『Omegaの視界』の徹底解説連載第24回です。
前回の続きをどうぞ。
4.Lu=Le
始祖アリスが創始し、その死後にWEを下賜されたESによって統治される事になった魔女の集団。 月に狂いて飛び跳ねるパラミアキスの子ら。 それが、このLu=Leである。
ミリアム・シュブ
真名:―
年齢:―(AA済)
性別:女
旧Lu=Leの生き残りで、八相の創始者。 自称“赤の女王”。
ミリアムの生家であるシュブ家は、元々から資質の高い魔眼質者を多く輩出し、Lu=Le内でも始祖アリス亡き後の同組織の発展に大きく貢献し、代々重職を担ってきた名家中の名家である。 そのため、ミリアムも最初からLu=Leの中枢、あるいはそれに近い重職に就いていた。(注:筆者の想像です。 設定未公開のため真偽不明)
オル家にファイナが生まれた直後、パラミアキスの継承者候補の一人であったガローが保管されていたパラミアキスに無断で接触、神蝕され暴走するという大事件、“ガロー神蝕事件”が起こる。 ファイナの出産直後であった両親を含む数人が犠牲になるという痛ましい事件であった。
しかしこの直後、パラミアキスから雄性双体が萌芽し、さらにその内の1体が8体ものCATを次から次へと萌芽。 この8体のCATは、“素晴らしき八匹”=“ワンダー・エイト(WE)”と呼ばれた。
また同時に、この事件をキッカケにパラミアキスの遣い手を選出し、パラミアキスを継承するという継承制が廃止され、以降パラミアキスは遣い手の無いまま保存、保管される事になった。
代わりに、Lu=Leの内政を取り仕切る評議会が設立され、選出された8人の魔眼質者には、WE8体がそれぞれ下賜された。
いわゆる“八人姉妹”=“エイト・シスターズ(ES)”である。
こうしてESに加わったのが、Lu=Le内でも資質の高い魔眼質者、あるいは重職にあった名家の出身者である者たち、すなわちエンドル・ファ、オズマ・イース、ダーカ・イァンナ・ルー、ヴィヴ・アヴァ、イサリー、ヨルド・モネ、ドレミリア・リデルであり、彼女達のリーダーとして、WE第1位のCAT、ケルベ・ロアを下賜されたのが、ミリアムであった。
ミリアムの指導の下、ES体制下のLu=Leはしばしの間時と共に栄えた。 が、始祖アリスの直系の子孫であった直系リデル家のカルロサは、しかし自家からESが選出されなかった事を恨み、ある時謀反を起こした。
この謀反、大封の嵐が吹き荒れる中で、ESのメンバーは次々と襲われ、そのCATを封紙されていった。
ミリアムは、友人でもあったドレミリアと臣下であったセンリ、そして自身の遣うCATのケルベ・ロアと共に、エンドル・ファと黒のイツワの助けもあって何とか大封を逃れ、逃亡に成功する。
こうして、ES体制は瓦解し、Lu=Leはカルロサによって簒奪され、その組織図を大きく改変した新組織、WCLとなった。
逃亡したミリアムは、ドレミリアやセンリ、ケルベ・ロアと共にWCLの追っ手を振り切り、流れ流れて極東の島国、日本にたどり着いた。
日本でしばし潜伏したミリアムは、WCLの追っ手がない事に安堵し、彼の地に定住する事を決めた。 そして、彼の地で新たな資質者の捜索を開始した。
捜索の結果、複数人の資質者が見つかり、ミリアムはドレミリアとセンリを加えた7人に、大封から逃れる際に偶然確保に成功した黒のイツワのフェイズを封紙、CAT化したモノを下賜した。
こうして創設されたのが、現在もCATを継承しながら世代を重ねて存続している新生Lu=Le、“八相七家”である。
ミリアムは、この八相を使い、新たな資質者の捜索とLu=Leの再興、大封の際にエンドルによって休眠状態になり、しかし生死不明のまま行方不明になっているガロー・ツェロ・ルー(=ツェロル)の探索、そして何より、ES体制に反発し、旧Lu=Leを壊滅させたカルロサとWCLの打倒を掲げ、カルロサが始めた遊戯の標的として戦い続ける事になったのである。
・ミリアムとカルロサ、そしてミルハ
ミリアムのミルハに対する憎悪と嫌悪は、単なる復讐心を超えた並々ならぬモノを感じる。 クライマックスのラストバトル(の、直前)では、ミリアムは目の前に現れたミルハに復讐心を煽られ、ベロアの忠告にも耳を貸さず、なかなかその場を離れようとしない。(注:4章48節)
しかし、ミリアムの肉体はAAを受けているとはいっても既に限界で、ベロア同様、本来の力を出せず、“最強の白”たるミルハには何をどうやっても敵わないのは明白である。
ミリアム自身もその事を理解しており、相手が誰であれ戦闘は可能な限り避けるべきだ。 だから、音に襲われた時は何の躊躇もなく冬夏と共に逃亡した。(注:4章41節~42節)
が、それもミルハを直接目の当たりにするまで。 憎悪と嫌悪を燃料にした復讐の炎は、ミリアムの心中で紅蓮の業火となって大きく燃え上がるのである。
その裏に、何かしらあるのではないか?と疑いたくなるのが人情(?)である。
確かに、カルロサとミルハは、始祖アリスの意思を引き継いだ旧Lu=Leを壊滅させた憎き仇敵である。 ならば、その復讐心が時間の経過と共に沸々と煮えたぎり、まるで現世に未練を残して成仏出来ない霊が怨霊となってこの世を彷徨うかのごとく、ミリアムの心中で燻り続けていた事は想像に難しくない。
と、するならば、目の前に現れたミルハに対する憎悪も、説明が付くように感じると思う。
が、それでも筆者は“弱い”と考える。 ミリアムのミルハとカルロサに対する憎悪を説明するには、それだけでは“弱い”と思う。 これに、もう一つプラスアルファがあれば、完璧に説明出来るように感じられて仕方がない。
飽くまでも筆者の想像だが、ミリアムはカルロサに、好意を抱いていたのではないだろうか?
飛躍していない。 論理的にあり得る事だ。 以下にその論拠を説明しよう。
まだES体制になる前のLu=Leにおいて、ミリアムとカルロサはしばしの間それぞれの立場でLu=Leに携わっていたハズである。 後にESに下賜される事になるWEが萌芽するのは、ミリアムとカルロサが生まれた後のハズだからだ。
この間、ミリアムは後にWE第1位を下賜されるほど高い資質を持った名家の出身として、Lu=Leの中枢に近しい地位にあったと考えられ、それとは対照的にカルロサは、始祖アリスの直系の子孫でありながら、魔眼質の資質が低い、あるいは無いために冷遇されていたハズである。
これが、カルロサの謀反、大封へと繋がる直接的な原因になったと考えるのが妥当だが、そうと考えると、ミリアムの方が身分が高く、カルロサの方が低いという事になる。
まだパラミアキスの継承が慣習となっていた当時のLu=Leの体制から考えると、パラミアキスを遣えるほどの高い資質者同士を婚姻させて資質を遺伝させようと考えるのは、至極当然の成り行きである。 と、するならば、資質も身分も高いミリアムと、資質も(不当に)身分も低いカルロサは、“釣り合わない”という事になる。
だから、ミリアムがカルロサに対して好意を抱いていたとしても、それは“道ならぬ恋”にしかならないのだ。
この状況に拍車をかけたのが、カルロサの双子の妹、クララの存在である。
カルロサは、自身が生殖機能障害だった(と思われる)事もあり、異性に興味がなく、実の妹であるクララを溺愛した。 そしてクララもまた、そんな兄を深く慕った。 二人は容姿がとても良く似ているらしいので、その様子はハタから見たらある種の異様さを放っていた事だろう。(注:シスコンでナルシストでED。 スゴい三重苦である。 ただし、EDなので性的関係は一切無かったハズなので、近親相姦ではない)
そんな二人の様子を、カルロサに好意を抱いていたミリアムは、どのように見ていたのだろう?
間違いなく、強い嫉妬を憶えていたハズである。
そんな状況で起こったカルロサの謀反は、ミリアムに強い衝撃と共に激しい怒りをもたらしたハズである。 好意を抱いていた相手が、自身を含む仲間たちを次々に襲うその姿に、可愛さは余って憎さは数百倍に膨れ上がったハズである。
さらに、元から邪魔な存在であったミルハに対しては、その憎さは万倍に膨れ上がっていてもおかしくはない。
その憎しみが、長い年月を経てさらに鬱積し、カルロサとミルハに対する並々ならぬ憎悪へと変容したのは、想像に難しくないと思う。
それもこれも、全てはミリアムがカルロサに好意を抱いており、様々な要因にその想いを阻まれた結果なのである。
どーですかこの完璧な論法!
実(げ)に恐ろしきはオンナの恨みかな……。
・WE:1=ケルベ=ロア
ミリアムのCATで、WEの第1位。 略して“ベロア”とも呼ばれる。
ガロー神蝕事件直後、パラミアキスが萌芽した雄性双体のCAT、パラミアキスaltの内の一体から、さらに8体のCATが萌芽した。 これを、“Wonder Eight(素晴らしき八匹)”=WEと呼ぶ。
WE8体、すなわちケルベ=ロア、ガルガル、ハスマリム(ライヒェンカチュ)、マラキタルシシム(v☆)、デュナム、プロン、アルク=ベー、そしてベール(注:以上WEの順位順に表記)は、ガロー神蝕事件によってパラミアキスの継承制が廃止され、代わってLu=Leの中枢を担う事になった評議会、“Eight Sisters(八人姉妹)”=ESを構成する8人の魔眼質者にそれぞれ下賜された。
中でもベロアは、ESの長姉となったミリアムに下賜されたCATで、ミリアムに良く遣えた。
大封時、ベロアは主たるミリアムの逃亡を助け、良く戦った。 が、その戦闘中にフェイズ3を損傷。 回復能力を失う。(注:恐らく、エンドルにフェイズを切り離されたモノと思われる) そのため、切られた左眼を修復する事が出来なくなり、加えてミリアムのAAを維持する能力も失った。 そのため、ミリアムと自身の肉体維持には、ナガヒサによる定期的な治療を随時必要とするようになった。
そうした事もあって、ベロアの肉体は既に限界に来ており、新たな受肉先を欲しているという。
ベロアは、他のWEとは異なり完全な自立型のイーハを有する特殊なCATで、人語を解し、コミュニケーションを取る事が可能である。 また、本来は不可視の存在であるCATだが、ベロアには変身能力があり、普段は可視可能な黒猫の姿になっている。 同時にこれは、不要なエネルギーの消費を抑える省エネモードでもあり、回復能力を失っているベロアには不可欠な能力となっている。
全能状態では、二足歩行の長靴を履いた黒猫の姿となり、右手は断罪の剣、左手は罰する鉄槌の形状を有する。
また、背中には飛行のための翼を備えているが、この翼は変形し断頭台、すなわちギロチンの形状になる。
このギロチンは、物理的に切断が可能なモノで、故にベロアは“首刎ねジャッキ”とも呼ばれる。(注:ミリアムが、自身を“赤の女王”と称した所以。 「その者の首を刎ねておしまい!」 ただし、このセリフは正確には『不思議の国のアリス』に登場するハートの女王のセリフで、『鏡の国のアリス』に登場する赤の女王のセリフではない。 よく間違えられる)
ただし、この断頭台は攻撃用ではなく、主にLu=Le内における違反者、異端者の告発と断罪、及びその抑止力として用いられ、飽くまでも“断罪の断頭台”であった。
本編では、その役割が選律に対して正しく行使された。(注:4章43節)
ドレミリア・リデル
真名:―
年齢:??(故)
性別:女
旧Lu=Le、ESの第八位。
ミリアムの親友で、後にカルロサとクララを輩出する事になる始祖アリスの直系リデル家から派生した分家リデル家の家系に生まれたドレミリアは、しかし直系リデル家の家系とは異なり、魔眼質の資質が低かったと言われている。
しかしドレミリアは、ガロー神蝕事件直後、新設されたESに加えられ、パラミアキスから萌芽した雄性双体の内の1体、イツワから萌芽した8体のCAT、WEの第8位、ベールを下賜されて八人姉妹の末席に連なる事になった。
これが、ドレミリア自身のLu=Leに対する貢献の結果なのか、それともドレミリアの親友であったES第一位、ミリアムの意向によるモノなのかは、設定未公開のため判然としない。
少なくとも、ドレミリア自身の実力で勝ち得た地位ではない事だけは確かだ。
これがキッカケとなり、カルロサはES体制に反逆。 謀反を起こし、大封の嵐がLu=Le内全体に吹き荒れる事になった。
大封末期、ドレミリアはミリアム、センリらと共に逃亡に成功。 その最中、初代の魔眼の刺し手であったエンリケによって切り離されたイツワのフェイズを回収し、持ち去る事に成功する。
逃亡したドレミリアらは、世界各地を転々とし、最終的に極東の島国、日本にたどり着いた。
カルロサが放ったであろう追っ手がない事を確信したドレミリアとミリアムは、センリに命じて新たな魔眼質者の捜索を行った。
その結果、数人の資質者が見つかり、彼らを東北地方の小さな町、玄ノ森に集めると、ドレミリアとセンリを含めた7人の資質者に、回収に成功したイツワのフェイズをそれぞれ下賜。 ココに、Lu=Leの復興を目的とした新しい組織、八相七家が創立された。
ドレミリアは、八相では唯一の始祖アリスの後継であったため、資質が劣っていながらも二相ミハルを下賜された。
八相創立後、ミリアムとセンリはナガヒサによってAAを受けたが、ドレミリアはナゼかこれを拒否。 後に冬夏を輩出する事になる三春家の祖となり、子を生して家系を残した後、自然死した。
下賜された二相ミハルは、この後三春家の頭首が代々受け継ぐ事になった。
金髪碧眼。 ヘアスタイルはショートカットを好んだらしい。
ちなみに、冬夏が生まれついての金髪碧眼なのは、ドレミリアが先祖であるための隔世遺伝の結果である。 そのため、ドレミリアを直接知っているミリアムや選律曰く、ショートカットにした冬夏はドレミリアの生き写しのようにソックリらしい。
・WE:8=ベール
ドレミリアが遣うCATで、WEの第8位。
ガロー神蝕事件後、パラミアキスから萌芽した雄性双体のCATの内の1体、イツワから萌芽した8体のCAT、WEの内の1体で、ESに加わったドレミリアに下賜された。
長い尾を持つネコといった印象の外見をしているが、頭上に天使の輪の如き二つの光輪を有する事から、“輝ける8”、あるいはミツバチにも似た身体の文様から、8を文字って“蜂天使”とも呼ばれる。
ベロアと同じく自立型のイーハを有し、会話によるコミュニケーションが可能である。 それもあってか、ドレミリアにはとてもよく懐き、ドレミリアもベールをこよなく可愛がった。 その関係は、主従の関係を越えた極めて仲睦まじいモノだったという。
しかし、ドレミリアの資質が低かった事もあり、ベールの能力に関しては全くの未知数で、記録にも残っていない。 ただ単に、ドレミリアの資質が低かったためにベールの能力を生かしきれていなかったと考えるのが妥当だが、WEの中でも最後に萌芽したCATのため、ベール自身の能力が低かったという説もある。
大封末期、ドレミリアはベールを連れてミリアムらと共に逃亡を図るが、その途中(注:あるいはそれ以前。 設定未公開のため詳細不明)、ドレミリアはベールとのリンクを断たれてしまう。(注:恐らくエンリケに襲われたモノと思われる。 エンリケの遣うIgには、封紙だけでなくCATと遣い手のリンクを断つ能力がある)
ドレミリアは何とか逃亡に成功するが、リンクを断たれたベールは行方不明となり、遣い手であったドレミリア自身はもちろん、大封後に創設されたWCLも八相七家も、ベールの回収には成功していない。
大封時に、リンクが断たれたのと前後して喪失した、という説もあるが、事の真偽は不明のままである。
しかし、WCL、特に司書長のカルロサは、ベールに関しては“完全放置”のスタンスを取っており、捕獲はもちろん、生死を確認する事すらしていない。(注:これが、“ベール自身の能力が低かった”という説の主な論拠と言える。 能力が高ければ、カルロサが“完全放置”するハズがない)
そのため、ベールは現在、正確には“生死、及び所在不明”とするのが妥当と思われる。
エンドル・ファ
真名:―
年齢:―(AA済)
性別:女
ESの第二位を賜ったほどの高い資質を持つエンドルは、後に初代の魔眼の刺し手となるエンリケ・ファの実の姉である。
エンドルがESの第二位を賜った事や、エンリケが初代の魔眼の刺し手になった事実からも分かる通り、ファ家はシュブ家やルー家、直系リデル家にも匹敵する高い資質を持つ魔眼質者を多く輩出した名家である。
また、これを裏付けるかのような出来事が、ガロー神蝕事件当時に起きている。
ガロー神蝕事件当時、暴走したガローは当時生まれたばかりのファイナ・オル(和名:みみみ)の両親を含む数人の魔眼質者を殺害するが、この暴走を食い止めたのが、誰あろうエンドルであった。 エンドルは、暴走したガローと交戦、休眠させる事に成功したのである。
こうした実績もあり、エンドルは事件後に新設されたESの第二位を賜り、WE第2位のCAT、ガルガルを下賜された。
大封末期、エンドルはCATのガルガル、並びに自身が休眠させたガローを伴ってミリアムらと逃亡を図る。 が、その途中でガルガル、ガローと共に行方不明になり、そのまま現在に至る。
一説には、共に逃亡したセンリ(注:後に、センリのみミリアム、ドレミリアに合流する)により不正操作を受け、ガルガルと共に休眠させられたとも考えられている。
実際、センリは八相七家創立後に“鍋島竹争(なべしま たから)”なる人物を庇護しており、これがエンドルと同一人物なのではないか?とも考えられている。
ただし、センリ自身はミリアムにその事を伝えておらず、しかし本編中ではノートが鍋島竹争(=エンドル)と接触している描写があるため、設定の公開が待たれる。
現在公開されている設定では、続編シリーズである『interlude』にCATと共に登場するとされている。
・WE:2=ガルガル
エンドルが遣うCATで、WEの第2位。
他のWEと同じく、ガロー神蝕事件後にパラミアキスから萌芽したイツワよりさらに萌芽した8体のCAT、WEの内の1体であるガルガルは、主にフェイズ2、7、8に特化しており、後方支援に特化したCATである。
特に、フェイズ2の能力が高く、自身と遣い手に対するインビジブル能力が高い。
また、個体の特殊能力として物体の運搬が可能で、遣い手が同乗する事によって(注:遣い手との物理距離が離れると、運搬能力が著しく低下するため)、かなり大きなモノでも輸送する事が出来る。 また、この能力のためか、ガルガルの身体は荷台のような形状をしており、輸送車両の様相を呈している。
大封末期、遣い手であるエンドルと共に休眠状態のガロー、及びセンリを伴って逃亡するが、その途中でセンリに不正操作を受け、エンドルと共に休眠状態にされてしまう。
現在は、エンドルと共にセンリに庇護されているとされているが、『No.13』の最中にノートの接触を受け、エンドルと共にリライトを受けた模様。
現在公開されている設定では、続編シリーズである『interlude』にエンドルと共に登場するとされている。
ヴィヴ・アヴァ
真名:―
年齢:??(故)
性別:女
ESの第五位を賜り、WE第5位のデュナムを下賜されたLu=Leの魔眼質者。
好奇心旺盛な人物で、封紙状態ではないCATをフルチューンしようとするなど、ある種のマッドサイエンティスト的な人物だったと思われる。
大封時、エンリケに襲われCATを奪われるが、強制改宗を強固に拒絶して殉ずる事を選んだ。
本編未登場。 設定未公開のため、これ以上の事は不明。
・WE:5=デュナム
WEの第5位で、ヴィヴ・アヴァが遣うCAT。
WE8体の内の1体で、ネズミのような小さな身体に不釣合いなほどの長い尾を持ち、その先端には時計の針にも似た3本の突起を備える姿をしている。
デュナムは、他のWEとは異なりどれかのフェイズに特化しているという事がない。 が、その代わりにデュナムにしか視られない特殊な能力を持っている。
デュナムには、“呼び水たる月の雫”を人為的、任意的に発生させるという、他に類を見ない極めて特殊な能力がある。 これにより、本来は偶発的にしか出現しない雫を任意に発生させ、その波紋の影響を故意に利用する事が出来る。
言うなれば、ある種の“運命操作能力”と言えるかもしれない。
ただし、この能力が実証される前に大封が起こってしまい、遣い手は殺され、デュナム自身はWCLに回収、封紙され、実証はされていない。
また、デュナムは後に雨山かれおに下賜される事になるCAT、フェンリロスの素材になったと考えられており、デュナムというCATは、事実上この世から消滅しているため、再検証も不可能である。
もちろん、もし仮にこの能力が“ホンモノ”であったとしても、飽くまでも下位互換、良くて“雫エミュレーター”程度の能力だったと考えられており、その影響力は軽微なモノであったと推測されている。
ちなみに、この能力が元々デュナムが持っていた能力なのか、はたまた遣い手であるヴィヴ・アヴァのチューンによる結果なのかは、設定未公開のため詳細不明。
仮に後者であるなら、ヴィヴはいったいナニをしたかったのだろう?
イサリー
真名:―
年齢:??(故)
性別:女
ESの第六位を賜り、WE第6位のCAT、プロンを下賜されたLu=Leの魔眼質者。
出生は全くの不明で、どうやら捨て子だったらしい。 本人も覚えていない様子。
Lu=Leのメンバーによって保護された後、その高い資質を見出され、最終的にESの第六位を賜るほどの才能を発揮した。
大封時、エンリケに襲われてCATを奪われ、イサリー自身も捕らえられるも、自身を救ってくれたLu=Leに対する高い忠誠心のため、強制改宗を強固に拒み、ヴィヴ同様殉ずるを選んだ。
本編未登場。 設定未公開のため、これ以上の事は不明。
なお、“イサリー”というのは保護されてから付けられたニックネームで、本名は本人にも分からない。
・WE:6=プロン
WEの第6位であるプロンは、長い耳を持つウサギのような姿をしたCATである。
しかし、その可愛らしい外見とは裏腹に、極めて高い攻撃能力を有し、特に噛み付き攻撃を得意とした。 その身体の側面に、口許から腰の辺りまで続く長い線は、こういう模様ではなく、なんと唇である。 攻撃時は、身体全体が二つに割れて巨大なクチと化すのである。
そのため、フェイズ1の特化型であると同時に、フェイズ6にも特化していたと考えられる。
大封後、WCLによって回収、封紙されたプロンは、デュナムと同様に後に雨山かれおに下賜される事になるCAT、フェンリロスの素材になった。 フェンリロスの縫い合わされたクチは、このプロンの噛み付き攻撃能力を封じるためのモノと考えられている。
エンリケ・ファ
真名:―
年齢:??
性別:男
ESの第二位を賜るほどの資質者であったエンドルを輩出する名家、ファ家に生まれたエンリケは、エンドルの実の弟である。
エンドルが色濃く受け継いだファ家の資質はエンリケにも受け継がれており、男性魔眼質者として将来を嘱望されていた人物である。(注:筆者の想像だが、恐らくそう。 男性魔眼質者は、出生率が極めて低く、その希少性のため当時から優遇されていたハズである)
しかしエンリケは、周囲の期待を大きく裏切る事になった。
ガロー神蝕事件直後、雄性双体とWEが萌芽し、パラミアキスの継承が廃止されてES体制が布かれると、ESの第一位であったミリアム、第八位であったドレミリアを中心にLu=Leの運営が成されていった。
そして、エンリケの実の姉であるエンドルもまた、ガローを休眠、暴走を食い止めた功績などによりESに加わり、ES第二位という高い地位を賜った。
この事を、エンリケは誇りに思いながらも、姉を疎ましく思っていた可能性がある。
名家に生まれ、自身の姉であり、高い資質を持ち、ガローを休眠、暴走を食い止めるほどの活躍をしたエンドルを誇らしく思いながらも、その存在の大きさに頭が上がらなかったエンリケが、姉であるエンドルを疎ましく思う、というのは、実に説得力のある心理構造と言えるのではないだろうか?
しかし、ココに付け入るスキが出来る。
ES体制に反対するカルロサは、エンリケに接触。 姉を疎ましく思うエンリケを説得し、次第にエンリケもカルロサの考えに感化、同調していきやがて、エンリケはカルロサの謀反に同意する。
カルロサは、自身が開発したIgをエンリケに与え、ESを含めたLu=Leの魔眼質者とそのCATを襲うように命じた。
こうして、エンリケは初代の魔眼の刺し手となり、カルロサの手先として大封を行ったのである。
大封末期、追い詰められたESの生き残り、ミリアムとドレミリアは、センリやエンドルらを伴って逃亡。 エンリケはこれを追撃するが、そのエンリケの前に立ちはだかったのが、ガロー神蝕事件直後にパラミアキスから萌芽し、ESに下賜されたWE8体を萌芽した雄性双体の内の1体、黒のイツワであった。
イツワとの一騎打ちの末、エンリケはイツワのフェイズをズタズタに分離するが、エンリケ自身も無傷というワケにはいかず、結果は相打ちとなった。
分離したイツワのフェイズ(と、Ig)は、ミリアムらが回収に成功し、エンリケの亡骸だけが残された。
しかし、フェイズを失ってイーハのみのCATとなったイツワは、自身の存続が困難である事を悟り、エンリケの亡骸に受肉。 その自我を乗っ取る事に成功する。
こうして、エンリケの肉体を得たイツワは蘇生(注:死んだ人間は、CATの受肉よって生き返る可能性が高い。 ミルハがその良い例)、逃亡し、飯窪家の祖となった後に自然死し、しかしヒトとして転生の可能性を得た。 そして、エンリケの魔眼の刺し手としての資質もまた、イツワと共に転生の可能性を得た。
そして、イツワのイーハとエンリケの魔眼の刺し手としての資質は、長い長い年月を経た後、飯窪家に生まれた初めての男児、飯窪真言に受け継がれる事になったのである。
ガロー・ツェロ・ルー
真名:―
年齢:??(AA済?)
性別:女
後に、ガロー神蝕事件という大事件を起こす事になるガロー・ツェロ・ルーは、後にESに加わる事になるダーカ・イァンナ・ルーを輩出する事になる名家ルー家に、ダーカの実姉妹(注:姉なのか妹なのかは、設定未公開のため不明)として生を受けた。
ガローとダーカの生家であるルー家は、始祖アリスの死後、始祖アリスのCATであるパラミアキスの継承者を輩出した事があるほどの極めて高い資質を受け継いでいる家系で、ダーカとガローも当然の事ながら高い資質を持って生まれた。
特にガローは、ダーカを凌駕するほどの極めて高い資質を持っており、将来を嘱望されていた人物であったと考えられる。
それを裏付けるかのように、ガローは新たにパラミアキスを継承する事になる継承者候補の一人に選ばれるという名誉を賜る。
しかしこの事が、逆に“大事件”へと発展する直接的な要因になるなど、いったい誰が予想し得たと言うのだろう?
選出された継承者候補の中でも、ガローは飛び抜けた資質を有していたが、その事が逆に、ガローに慢心を生む事になったのだ。
継承者の正式審査を控えたガローは、しかし何を思ったのか審査の直前、保管されていたパラミアキスに無断で接触。 結果、ガローはパラミアキスに神蝕され、暴走した。
ガロー神蝕事件の勃発であった。
暴走したガローは、当時ファイナ・オルを生んだばかりのファイナの両親を含む数人のLu=Leの同胞を殺してしまう。
最終的に、エンドルによってガローは休眠させられ、事件は収束の方向へと向かったが、ガローの実姉妹であったダーカは心を痛め、結果的に孤児になってしまったファイナを引き取る。
その後、ダーカはESに加わり、ES第四位を賜ってWE第4位のマラキタルシシムを下賜された。
一方ガローは、休眠状態のままESの管理下に置かれ、大封時にはガローを休眠させたエンドル本人によって持ち出され逃亡する。
しかし、センリによってエンドルが不正操作を受けたのと同じく、ガローも不正操作を受けた可能性があり、エンドルと同じく(ミリアムにはナイショで)センリの庇護下にあると考えられる。
今後登場の可能性もあるのだろうが、パラミアキスの神蝕はかなり根が深く、覚醒すれば間違いなく再び暴走する事必至である。
もしも再び覚醒すれば、その存在はまさに、全てをひっくり返す“機械仕掛けのカミ”となるだろう。
ちなみに、本編中でミリアムや選律が“ツェロル”と呼んでいるのがこのヒト。
始祖アリス
真名:??
年齢:??(故)
性別:女
親友ナルデアナ・ドルミナの力を借り、最初のCATであるパラミアキスを呼び降ろす事に成功した人物で、Lu=Leの創始者である。
しかし、その出生については諸説あり、正確なトコロは現在に伝わっていない。
Lu=Leの創始者である事だけは確かなので、便宜上“始祖アリス”と呼ばれているが、名前以外は姓も伝わっておらず、リデルというのが有力だが、文献によってはアリシン・マチルド、アリス・シン、アリス・シン・マチルドと表記がマチマチで正確な姓は分からないのが現状である。
最初のCATであるパラミアキスを呼び降ろす事に成功した始祖アリスは、自身やドルミナと同じ資質を持つ者たちを集め、志を同じくする同胞組織、“Lunatic=Leap”を創立する。
略称“Lu=Le”。
和訳は“月に狂いて飛び跳ねる”。
そう、“月狂跳”の語源である。
Lu=Le創立後、始祖アリスはパラミアキスを飼い猫に受肉させ、パラミアキスから萌芽、あるいは新たに呼び降ろしたCATを集めた魔眼質者たちに下賜していき、その組織図を拡大していった。
しかし、始祖アリスは既に技術としてあったハズのAAを受ける事を拒み、自然死を選ぶ。 その真意が何であったかは一切不明だが、ともかく始祖アリスは死に、そのCATであるパラミアキスだけが遺された。
始祖アリスの死後、Lu=Leはメンバーの中から高い資質を持つ者を選出し、アリスの遺したCAT、パラミアキスを下賜するという継承制を布いた。 しかしこれは、いわゆる世襲ではなく、飽くまでも資質の高さによって選出される任命制であった。
が、この事が後に、カルロサという始祖アリスの直系の子孫でありながら、冷遇を余儀なくされた家系に禍根を残す事になったのは、ある種の皮肉と言えるだろう。
・パラミアキス
始祖アリスが遣っていたとされる原初のCAT。
始祖アリスの親友にして初代の呼び水たる月の雫であった少女、ナルデアナ・ドルミナの協力によって、始祖アリスが呼び降ろす事に成功した最初のCATであり、このパラミアキスから萌芽、あるいは新たに呼び降ろされたCATが、始祖アリスの下に集まった魔眼質者たちに下賜されていった結果、Lu=Leという組織が創設された。
Lu=Leの創設と前後して、パラミアキスは始祖アリスの飼い猫に受肉(注:このため、視える形が何であれ、CATを“ネコ”と呼ぶようになったのではないかと思われる)し、始祖アリスのCATとして良く遣え、創設間もないLu=Leの発展に貢献した。
しかし、その遣い手である始祖アリスも寄る年波には勝てず、やがて息絶えた。(注:あるいは、当時はAA技術が開発、あるいは発見されていなかったのかもしれない)
始祖アリスの死後、パラミアキスはネコに受肉したまま保管、保存され、Lu=Leの魔眼質者たちの中から特に資質の高い者を選出し、パラミアキスを下賜、使役するという継承制が取られるようになった。 そして、数代の継承者を重ねた後、パラミアキスの継承者候補に名前が挙がったのが、名門ルー家の魔眼質者、ガロー・ツェロ・ルーであった。
しかしガローは、慢心から継承決定前に保管されていたパラミアキスに無断で接触、神蝕され、暴走するという大事件を起こす。
ガロー神蝕事件である。
この結果、まだ生まれたばかりだったファイナ・オルの両親を含む数人の魔眼質者が犠牲となり、エンドル・ファによって休眠させられるまで暴れ続ける事になった。
また事件を教訓に、パラミアキスの継承制は廃止される事になった。
ガローの休眠直後、その影響からパラミアキス自体にも大きな変化が訪れた。
神蝕事件直後、パラミアキスは突如として雄性双体のCATを萌芽。 この一方がイツワであり、もう一方がオウトである。
さらに、イツワから8体ものCATが次々と萌芽し、WEと呼ばれる事になった。
このWEは、Lu=Leの魔眼質者から選出された8人に下賜され、この8人によってSEという一種の元老院が構成され、以降Lu=LeはESによる評議会制を取る事になった。
SE体制が布かれて以降、パラミアキスは継承制が廃止された事に伴い、遣い手の無いまま保管、封印される事になったが、パラミアキスがその安寧の眠りから揺り起こされる時が間もなく訪れた。
世に言う大封。 カルロサの謀反である。
ES体制に反発するカルロサによって起こされたこのクーデターは、最終的にES体制を崩壊させ、Lu=Leの壊滅へと繋がる。 保管されていたパラミアキスは、カルロサの手に渡った。
この過程において、カルロサと共に大封を起こしたカルロサの双子の妹、クララが謎の急死を遂げる。 これに衝撃を受けたカルロサは、ガローでさえも神蝕したパラミアキスをなんとクララの亡骸に受肉。 結果、パラミアキスのイーハとクララの精神が融合し、カルロサの双子の妹で極めて高い資質を持つ魔眼質者。 そして同時にパラミアキスというCATでもあるというヒトの姿を持つCAT、パラミアキス・アンセスターが“再誕”した。
現在パラミアキスは、クララ・ミルハ・リデルとしてAAを受け、存続している。
ちなみに、“ミアキス”というのは恐竜絶滅後の6500万年前~4800万年前頃に生息していたと考えられている古代生物で、イタチのような姿をした哺乳類である。
このミアキスは、進化の過程で後に分化し、現在のイヌ科、及びネコ科の生物の先祖になった“原始のネコ”と考えられている。(注:現在の生物分類学では、ネコとイヌはどちらもネコ目(食肉目)に分類され、同一の先祖から分化したと考えられており、実はアライグマやレッサーパンダ、クマ、パンダはもちろんの事、アシカやセイウチ、アザラシなどもネコ目(イヌ亜目クマ下目)に分類されている。 マングースやハイエナなどはネコ亜目に分類されており、ネコ科の類縁系である)
また、ミアキスとほぼ同時期に“パラミス”という哺乳類が生息していたが、これは最初期のげっ歯類と考えられており、後にネズミの先祖になったと考えられている。
パラミアキスは、このミアキスとパラミスが語源と思われる。
ナルデアナ・ドルミナ
真名:―
年齢:??(故?)
性別:女
始祖アリスの親友にしてLu=Leの創立メンバーの一人。 そして、“呼び水たる月の雫”と呼ばれた最初の人物が、このドルミナである。
雫としての役割りを大いに発揮し、始祖アリスが最初のCATであるパラミアキスを呼び降ろす過程に大きく関わり、その召喚を成功させた。 また、始祖アリスが自身やドルミナと同じく資質を持つ魔眼質者を集めた組織、Lu=Leの創立にも大いに貢献し、創立直後の同組織の発展にも多大な献身をしたと考えられている。
しかし、そんな重要人物であるにも関わらず、ドルミナに関してはその出生や能力、容姿、またその死についても一切が記録に残っていない謎の人物である。 もしかしたら、ドルミナ本人が死ぬ前に自身の記録を破棄したのかもしれない。
Lu=Leの創立後、ドルミナは(それがいつかは不明だが)死亡したと言われているが、AAを受けて存命しているという説もある。 それを裏付けるかのように、ドルミナの容姿はノートに似ているともウワサされている。
実際のトコロは、設定未公開のため判然としないが、いずれにしてもドルミナが始祖アリスの親友で、パラミアキスの召喚とLu=Leの創設に大きく関わり、後に“呼び水たる月の雫”と呼ばれた最初の人物である事。
確かな事はそれだけだ。
といったトコロで、今週はココまで。
楽しんで頂けましたか?
ご意見ご感想、ご質問等があればコメにどうぞ。
来週もお楽しみに!
それでは皆さんまた来週。
お相手は、asayanことasami hiroakiでした。
SeeYa!(・ω・)ノシ
Thanks for youre reading,
See you next week!
・カルロサの思惑
遊戯におけるこうした制約の裏には、決して無視する事が出来ないカルロサの思惑があった。
結論から言えば、カルロサは“神になりたい”のではないだろうか?
聖書によると、神は6日間でこの世を作り、7日目を安息日とした。 そして、土から最初の人間であるアダムとイヴを作った。(注:ただし、これには異説もある。 アダムは最初の男性だが、イヴはリリスという女性の後に作られた2人目の女性である。 しかし、リリスは悪魔と交わったために永遠の園を追放され、神は仕方なくリリスの代わりとなる2人目の女性、イヴを作った。 ……らしい) そして神は、2人に「産めよ、増えよ」と子を生して子孫を増やすように言った。
その言葉通り、アダムとイヴは多くの子を生し、子孫たちは増えていった。
しかし、中には人類最初の罪、兄殺しの大罪を犯したアベルや、天にも届く塔、バベルの塔を建設した人々、堕落し、腐敗した街、ソドムとゴモラの住人たち、等々、人間たちは度々問題を起こし、神はその度にその怒りを露わにして人々に天罰を加えた。
そして神は、人類を正しい方向へと向かわせるべく、聖母マリアを通して神の子たるイエス・キリストをこの世に送った。
……というのが、よくある日曜学校で教えられる聖書物語りのあらましである。
が、ココにいくつかの矛盾点がある事に気付かなければならない。
例えば、イヴは永遠の園に現れたヘビに唆され、知恵の実たるリンゴを食べた結果、自身が裸である事を恥じ、イチジクの葉で性器を隠すようになる。 これを知った神は怒り、アダムとイヴは永遠の園を追放される。
……どこがおかしいのか分かるかな?
そう、ヘビがイヴに与えたのは、“理性”である。
ヘビは、ヒトに衣服を身に着ける事によって異性が性衝動を抑え易いようにするよう諭したのだ。
そして神は、それに従って性器を隠すようになったアダムとイヴを永遠の園から追放してしまうが、逆に言えば神は、ヒトに理性がある事を良しとせず、本能によってのみ生きる事を望んでいた、というコトになる。
だが、実際問題として現代社会において、神の望みに忠実であるヒトは、基本的に全て社会悪であり、犯罪者である。 性欲に限らず、独占欲や金銭欲など、内に湧き上がる欲望に身を任せた者は、やがて犯罪行為に走り悪とみなされる。 例えば窃盗、強姦、殺人である。
犯罪者は、神が最初に望んだ通りに行動しているだけなのに、社会的には不道徳として悪とみなされるのである。
そう、神がこの世と人間を創ったのは、本能に従って生きる人間たちが、堕落していく姿を見たかったからだ。
「神は、ヒトに矛盾する二つを与えた。 “見ろ、だが触るな”。 “触れ、だが口に入れるな”。 “食べろ、だが飲み込むな”。 そうして右往左往する人間を見て笑う神はサディストなのだ!」
映画『ディアボロス‐悪魔の扉』(注:傑作。 既に『スピード』で人気俳優に急成長していたキアヌ・リーヴスと名優アル・パチーノという2大スターが豪華競演し、弁護士という職業を通して悪とは何か? 正義とは何か?を描いた快作。 後に、2003年公開の映画『モンスター』で、14kgも体重を増やして実在した連続殺人犯を熱演しオスカーに輝いたシャーリーズ・セロンの出世作。 テイラー・ハックフォード監督作品。 97年公開)のセリフである。
その通り、神はヒトに本能を与え、好き勝手に生きる人間たちが右往左往する姿を見て、まるでオモチャのチンパンジーのように手を叩きながら笑っているのである。 そして、お腹を抱えてひとしきり笑ったら、飽きて、まるでリモコンでTVのチャンネルを変えるようにボタンを押して、飽きたオモチャをぶっ壊すのである。
だからこの世は、神が創りたもうた“最悪のハコニハ”なのである。
そして、カルロサが至りたいのが、このポジションなのだ。
カルロサがいつ頃からそういう考えに至ったのかは定かではないが、少なくとも遊戯というルールを決めた頃には、その思惑があったハズである。
カルロサは、自身とクララを排斥したES体制を恨み、見返すために大封を起こした。 そして、急死したクララを生き返らせるために、ES体制成立後、言わば封印されていたパラミアキスをクララに受肉させた。
気付いてみれば、カルロサは全ての権力を手中にしていた。
そうして至った頂点から視る風景は、しかし至ってみて初めて気付く何もない風景だった。
そこには、何も無かった。 ただあるのは、目的を果たした達成感ではなく、全てが終わってしまった喪失感だけだった。
しかし、実は終わっていなかった事が判明する。
ESの筆頭であったミリアムとドレミリア、そしてその他数名のLu=Leメンバーが、逃亡していたのだ。
そう、カルロサは、新たな“オモチャ”を見つけたのである。
しかし、既に相当量の封紙したCATを取り込んで“最強の白”になっていたミルハがいては、せっかく見つけた新しい“オモチャ”もすぐに捕まえられてしまう。 それでは、“面白くない”。 だから、これを制約するルールを作った。 そして、自身は一切手を下さず(注:“下せない”、と言った方が正しいのかも。 カルロサには、魔眼質そのモノがない可能性があるので)、四重奏団やF/7を使い、ミルハには厳しく行動を制限し、ルールが守られている事をノートに監視させた。
そして自らは、好き勝手に生きる人間たちが右往左往するサマをハラを抱えて笑う神よろしく、狩りに苦労するプレーヤーと逃げ惑う獲物たちの姿に愉悦を得る。
そりゃそうだ。
これが面白くないワケが無い。
ヒトは、誰しも他人よりも優位に立ち、相手をやり込めたいという支配欲求がある。 相手よりも優位に立ち、頭を垂れる相手を見下ろすのは、何よりも気持ちが良いモノだ。
そして、その究極が“神”という存在であり、カルロサが至りたいポジションなのだ。
全ては遊戯。
愉悦こそが至上。
何故ならカルロサは、全てをコントロールし、箱庭を見下ろす“全てを統べる神になりたい”からだ。
今回の遊戯、『No.13』において、カルロサがミルハのレベルドレインを可能にする紙魚をシロに仕込んだのも、つまりはそういうコトなのである。
といったトコロで、今週はココまで。
楽しんで頂けましたか?
ご意見ご感想、ご質問等があればコメにどうぞ。
来週もお楽しみに!
それでは皆さんまた来週。
お相手は、asayanことasami hiroakiでした。
SeeYa!(・ω・)ノシ
Thanks for youre reading,
See you next week!
-"Sight of OMEGA" Ultimate Analyse #23-
皆さんおはこんばんちわ!
asayanことasami hiroakiでっす!(・ω・)ノ
今週は嬉しいニュースがいっぱいでしたね。
まずは、体操の世界選手権。 ニッポンの内村、加藤、白井の3人がやってくれました!
内村は、昨年のロンドンオリンピックに続いて個人総合金メダル! しかも、世界選手権では史上初の4連覇達成!ノ゜∀゜)ノイェイ
2008年の北京オリンピックに出場した時から、内村にはそのキレとスピード感のある演技に注目していて、「これはロンドンでブレイクするな」と思っていたら、ホントにブレイクして今回のこの結果ですよ。
しかも、銀メダルには後輩の加藤が入り、日本勢が見事な1、2フィニッシュ!
素晴らしいです。
そして、種目別の床では今回が世界戦デビューとなった現役高校生の白井が、オリジナル技で金メダル! 次回のリオ、そして2020年の東京が楽しみな選手が出てきて嬉しい限りです。(注:内村と加藤は今がピークで、年齢的にも次回のリオが最後になりそうなので)
日本の体操男子では、最年少優勝。 もちろん、成功したオリジナル技には“シライ”の名が付き、今後半永久的に残ります。
現役高校生でオリジナル技成功も、史上初なんじゃなかろうか?
知らない方のために解説すると、体操競技では自己申告でオリジナル技が申請出来ます。
まず、どういった内容の技なのかを国際競技連盟に申請し、その技がルール上“技”として認められると、難易度(注:いわゆる“ウルトラC”とかそういうの)と点数が設定されます。
そして、この技を競技連盟認定の国際競技会(注:今回の世界選手権やオリンピックなど)で披露し、申請通りに成功させると、オリジナル技としてようやく認定され、その技を成功させた選手の名前が技名として付き、以降はパブリックドメインとして他の選手も真似しておk!という事になります。
日本人の名前が付いたオリジナル技では、平行棒の“モリスエ”なんかが有名ですね。
自身の名前が半永久的に残るので、ある意味金メダル取るより名誉な事かもしれません。
次の2016年のリオでは、いったいどれだけの選手がこの新技、“シライ”を成功させる事になるんでしょうね?
今から楽しみです。
そして、年末が近くなると授賞式シーズンに入るワケですが、今年のノーベル賞受賞者も続々と決定、発表されました。
中でも注目は、やはり物理学賞のヒッグス博士!
つい先日、昨年行われたLHCの実験結果、ヒッグス博士が1964年に“予言”したヒッグス粒子の存在が、長い検証の結果“発見”された事が確定! 今回の受賞が決定しました。
ヒッグス博士の半世紀に渡る夢が、ようやく実現しました。
受賞者選考直前での“発見”でしたが、選考に間に合って良かったですね。(笑)
まあ、間に合わなかったとしても、受賞が来年になるだけのハナシでしょうが。
でもまあ、やっぱりLHCはスゴいってコトなんでしょうね、この結果は。 これまで発見出来なかったモノが発見出来たのが事実になったワケだし。
これからも、様々な“発見”がLHCで成される事でしょう。
ちなみに、この“発見”をしたのは、日本の研究チームが入っているLHCの実験装置のアトラス。 この関係から、最近日本の粒子加速器メーカーに海外からの受注が殺到しているのだとか。
思わぬトコロで経済効果が!Σ(゜Д゜;)
それはともかく、日本の研究チームの皆さま、お疲れ様でした。 そして、ヒッグス博士の偉業を心から祝福したいと思います。
さあ! 次はダークマターですね!
発見出来るのかしらん?(´・ω・`)
<今週の特集>
今週の特集コーナーは、『アルティメット・アナライズ』シリーズ第4弾、同人ヴィジュアルノベル『Omegaの視界』の徹底解説連載第23回です。
今回から、恐らく皆さんが最も読みたかったであろうWCL第2章、キャラクタープロファイルがスタートです!
第2章:キャラクタープロファイル
さて、皆さまお待ちかねのキャラクタープロファイルである。
この章では、本作に登場したキャラクター、及びそれぞれのキャラクターが遣うCATを紹介、解説していく。
情報源は、全て本作本編、及び公式のテクストを基準とし、散在している情報を一つにまとめる、という方向で執筆した。
また、名前だけで本編に未登場のキャラクターも、『interlude』に関係するキャラクターを除いて掲載した。
CATについては、そのCATを遣う各キャラクターの項で合わせて掲載、解説している。
1.黒のイツワ
黒のイツワで魔眼の刺し手で呼び水たる月の雫、という三重偉大の顕現が確認された『No.13』において、その三重偉大であると同時に劇の中心人物となったのが、この黒のイツワである。
飯窪真言(いいくぼ まこと)
真名:―
年齢:20歳
性別:男
本作の主人公。
真言の生家である飯窪家は、玄ノ森でも比較的大きな旧家の一つで、六母屋という旅館を経営する一方、同じく玄ノ森の旧家である三春家や綾目家などと共に古今東西の珍しい書物を蒐集、保管している。
この飯窪家の次女で、CATキリアケの遣い手である現実の第1子として生まれた真言は、幼少期までを彼の地で過ごす。
この時、カルロサや道具の手引きで、後に運命的な再会を果たす事になる三春家の冬夏、綾目家の姫様、そして、道具が育ての親になっている音と出会う。
そして、カルロサに与えられたCATシロを、冬夏と共に碁石松原の砂浜に埋めた。(注:ただし、この頃の記憶は真言の特技である空転脳によって全く失われてしまう)
その直後、事情により両親と共に関東に転居。 大学に進学した現在に至るも、故郷である玄ノ森には帰った事がない。
元々人付き合いがニガテな真言は、大学でも孤立しがちだったが、進学直後にアニメ研究会系のサークルに入る。 選んだ理由は、同サークルが新入生勧誘の際に流していたアニソンがたまたま知っている曲だったから、という理由になっているようでなってない理由であった。
しかしココで、真言は大神雪鳴と出会い意気投合。 二人は親友同士になる。
コレと前後して、真言は母親の現実と飯窪家の長女で六母屋の経営責任者を務める伯母、知狡の紹介で、飯窪家が蒐集した古書を保管、管理する古本屋、“ねこざんまい”でアルバイトを始める事になる。
ココで、再び真言は重要な人物と出会う。
ねこざんまいの店長にして真言の上司となる、宮岡門王水である。
門王水の管理の下、真言はねこざんまいでのバイトに励むが、客も仕事も特に無く、もっぱら古本を読んだり裏庭に集まる猫の世話をしたり、門王水に弄られつつその相手をする毎日が続く。
そんな何気ない日常が1年を経過した頃、門王水の部下を名乗る女性、雨宮かれおが、発見した古書を手に真言と門王水の前に現れた。
かれお発見したのは、飯窪家が代々蒐集している“月狂跳”と呼ばれる古書群の一部であった。 そしてそれは、真言の故郷である玄ノ森で、毎年4月の末に行われる秘祭に用いられる紙のご神体に、とても良く似ているという。
真言は、ご神体の調査のため門王水と現実に言われるままに、大学まで中退させられて、玄ノ森に十数年振りの帰郷を果たす事になった。
ちなみに、真言は空腹時や満腹時などの注意力が散漫になり易い体調になると、あらぬ方向に思考が横滑りしまくるクセ(注:これを、真言自身は“脳空転”、あるいは“空転脳”と呼んでいる)がある。
また、その関係からか真言は幼少期の記憶をすっぽり失っており、長じた現在でも物忘れが激しい。
それもこれも、実は真言の“正体”と関係がある。
・イツワのイーハ(飯食)
真言は、イツワのイーハが転生した事によって生まれた存在である。
大封時、ESに与していたCAT、イツワは、パラミアキスがガローを神蝕した後に双体のCATを萌芽。 一方がオウトとなり、もう一方がWEを萌芽。 その後に残ったのが、このイツワという在り方である。
すなわちイツワは、オウトと共にパラミアキスの子であり、同時にWEの親とも言える存在である。
イツワは、本来は実体の無いCATだが、自立型の完全な自我、すなわちイーハを有しており、実体がないのに独立して動作する極めて特殊なCATである。
カルロサによる大封が起こると、イツワはESに加勢して彼女達を守ろうとしたが、ESの内数人が殺害、あるいは強制改宗されてしまう。 劣勢を悟ったESのミリアムとドレミリアは、臣下であったセンリらと共に逃亡。 イツワは、この逃亡を助けるために追ってきた初代の魔眼の刺し手、エンリケ・ファとの一騎打ちに挑んだ。
何とかエンリケを倒すも、エンリケのIgによってイツワはそのフェイズをズタズタにされ、イーハのみのCATになってしまう。
最早実体を持たない状態での存続は不可能である事を悟ったイツワは、苦肉の策でエンリケの肉体に受肉。 何とか存続する事に成功し、転生の可能性を得た。
こうして、イツワのイーハは魔眼の刺し手たるエンリケに受肉した事で、CATであるにも関わらずヒトとして転生する可能性を得、なおかつエンリケの魔眼の刺し手としての能力も継承する事になったのである。
この、イツワのイーハという正体のため、真言は真言としての思考とイツワとしての思考が同居する、という極めて複雑な思考経路を持っている。
いわゆる多重人格症(注:正確には、解離性同一性障害)の人格交代ではなく、両極端な並列思考に近い。
この並列思考が、真言の空転脳の原因と思われる。 本来脳が処理出来る許容量を上回る並列思考のため、側頭葉記憶野の機能が侵食されているモノと思われる。
また本編の描写では、真言はIgとの接触により体調不良に悩まされるようになる(注:1章23節以降)が、Igとの接触により、眠っていたイツワとしての思考が揺さ振られ、イツワが覚醒し始めたためと思われる。(注:実際、イツワとしての思考が描写されるようになるのはこのシーン以降からである)
・魔眼の刺し手
イツワがエンリケより継承した特殊能力、魔眼の刺し手は、能力というよりも魔眼質者としての特質と位置付けられるかもしれない。
CATと遣い手のリンクを断ち、CATを一定の法則に従ってプログラム的に紙に封じる事、すなわち“封紙”を可能にした“Ig:TYPE・MEGA‐D”は、カルロサが開発に成功した極めて特殊なCATである。
四つ目を備えたペン先のような形状の仮面、という無機物の実体を持ち、しかし封紙以外の能力は全くなく、遣い手の能力を補助するアイテム、あるいは能力を増大させる増幅器という印象が強い。
どちらかというと、CATよりはprot-einに近い印象である。
また、Igには“男性資質者にのみ親和する”という致命的な欠点があり、魔眼質が先天的に女性にのみ継承されていた開発当時は、Igをマトモに遣える資質者がいなかった。
そこで、カルロサが目を付けたのが、ESの一人であり、高い資質を有した魔眼質者、エンドル・ファの弟であった、エンリケ・ファである。
エンリケがナゼ、姉でありESの一人でもあるエンドルと対立している立場にあるカルロサに与する事になったかは、設定が公開されていないので定かではない。 が、ともかくエンリケはカルロサに感化していきやがて、カルロサに与してIgを下賜され、大封の実働部隊である魔眼の刺し手となり、実の姉であるエンドルを含めたESを始めとしたLu=Leのメンバーを次から次へと襲い、そのCATを封紙していった。
最終的に、エンリケはイツワと相打ちになり、その肉体をイツワのイーハに供する事になったが、皮肉にもエンリケの魔眼の刺し手としての能力は、イツワのイーハによって継承される事になった。
結果として、イツワはこの受肉によって魔眼の刺し手の能力を持つCATとしてヒトに転生する可能性を得たが、しかしコレが大きなアダとなり、イツワの転生は長い間なされる事がなかったのだ。
どういう事かと言うと、まずIgは男性の魔眼質者にしか遣う事が出来ない極めて特殊なCATである。 しかし、魔眼質は先天的に女性にのみ発現し、その関係もあって後の八相七家やイツワ自身が祖となった飯窪家は、男児が出生し難い家系になった。
すなわち、イツワの転生先である飯窪家直系の男児が、なかなか生まれてこなかったのである。
こうして、魔眼の刺し手としての能力を発現する男児が無いまま、飯窪家は世代を重ね、Igはその遣い手となるイツワの転生先である飯窪家直系の男児たる真言が生まれるまで、遣い手の無いまま飯窪家の家宝として管理、保管される事になったのである。
・呼び水たる月の雫
それらとは別に、真言は呼び水たる月の雫でもある。
ある時点において、凪いだ湖面に波紋を広げる一粒の水滴のように、関連する事象を次から次へと引き起こす特異点としての重要人物の事である。
ただし、本人にその自覚は無く、周囲もその人物が雫である事を認識する事はほとんどない。 関連する事象が全て起こり、コトが何らかの形で決着を見た後、誰々が呼び水たる月の雫“だった”と、過去形で認識される例がほとんどである。
実際、これまでにも何度か行われた遊戯において、毎回のように雫の発生が確認されているが、遊戯終了後に再検証し、誰々が呼び水たる月の雫“だった”と確認された事はあったが、遊戯の最中にその人物自身も、そして周囲の関係者も気付いた事がなかった。
その意味では、真言は遊戯の最中に雫である事が確認された極めて稀な例と言える。
雫は、特異点ではあるが資質や能力ではない。 何故なら、本人自身が無自覚な上自覚不可能なので、能力としてこれを利用する事が出来ないからだ。
また、資質や能力ではないため、継承する事も出来ない。 飽くまでも、行われた遊戯に関係している人物の中の誰かが雫としての“役割”を与えられるだけで、先天的なモノではあるが、その役割が誰になるかは、遊戯が始まってみないと分からないのである。
記したように、雫は“役割”として遊戯毎にプレーヤーの誰かに割り当てられる存在であり、これまでの遊戯でも雫の役割を与えられたプレーヤーがいた。
が、それらよりもさらに遡ると、雫の役割の起源は始祖アリスの親友であった少女、ナルデアナ・ドルミナにたどり着く。
ドルミナは、親友であった始祖アリスに協力し、その雫としての役割を遺憾なく発揮した。 そして、始祖アリスは最初のCAT、パラミアキスを呼び降ろす事に成功する。
これにより、始祖アリスは魔眼質者を集めてLu=Leを創設。 パラミアキスから萌芽、あるいは新たに呼び降ろしたCATをメンバーに下賜し、組織を大きくしていった。
ドルミナは、雫の役割を与えられた始祖アリスの片腕として、創設間もないLu=Leの発展に大いに貢献したと思われる。
しかし、そうして勢力を拡大していったが故に、組織内に様々な思惑が入り乱れやがて、カルロサのような反逆者を生む事になったのは何かの皮肉か?
ちなみに、ドルミナ本人に関する資料は現存しているモノが極めて少なく、八相もWCLも関連資料を保管していない。
そのため、ドルミナの来歴はもちろん、その生死に関しても諸説あり、あるいはAAを受けて存命している、という説もあるほど諸説入り乱れ、真偽の程は定かではない。
容姿は、ノート・デューに似ているという説があるが、これまた裏付けは一切無い。
上記の3要素、すなわち“イツワのイーハ”、“魔眼の刺し手”、そして“呼び水たる月の雫”を併せ持つ存在を、“三重偉大”と呼ぶ。 真言は大封以降、史上初めて顕現した三重偉大なのである。
・イツワの計略
WCLとミルハは、決して三重偉大の出現を待ち望んでいたワケではない。 遊戯の行方が予測不可能になる上、最もその顕現を望んでいない“デウス・エクス・マキーナ”の顕現の可能性まで出てきてしまうからだ。
しかし、それでもイツワのイーハの出現は、WCLとミルハにとって必要な事だった。
研究開発の結果、女性の魔眼質者であってもIgを使えるようになるテクノロジー、すなわち“リンカブル・フォーム”と“Ig:TYPE‐E”の開発に成功した事で、エンダーという人工的な魔眼の刺し手の“製造”が可能になり、イツワ=魔眼の刺し手が不在でも封紙が可能になったが、Ig:TYPE‐Eによる封紙にはパーティープレイが必須で、しかも遣い手とCATのリンクを断ち切る事が出来ないため、魔眼の刺し手としての性能はかなり劣る。
そのため、より効率良く封紙を行い、CATを回収するためには、初代の魔眼の刺し手であるエンリケの肉体に受肉し、魔眼の刺し手としての能力を継承し転生の可能性を得たイツワのイーハの存在が不可欠だった。
本編の2章03節(注:『我がハイは●●でもある』)にも記述がある通り、いつかの時点(注:設定未公開のため、これが“いつ”なのかは不明。 本編にも記述は無い。 以下の解説は、筆者の想像も交えているのでご注意を)でミルハはイツワと“密約”を交わしていた。
ミルハは、カルロサに命じられたLu=Leの残党狩り、すなわち八相の殲滅を遂行するため、エンダーと四重奏団を指揮して遊戯を行ってきた。
が、これに限界を感じたミルハはイツワのイーハと接触。 “味方してくれたら分かたれたフェイズを取り戻してあげる”と約束した。 そして、この密約を確実なモノにするため、転生したイツワのイーハに飯窪真言という“模擬人格”を与え、八相にその存在が覚られないように覆い隠した。
さらに、“Yの抑動”によって情動を抑制する事で、真言がミルハ以外の異性に関心を持たないようにする事に成功した。 これにより、真言はミルハに従順に従い、いざ“その時”が来たら真言自身の意思で魔眼の刺し手となり、八相を狩る。 もし仮に、Yの抑動が外れて真言がミルハ以外の異性に関心を持ち、これによってミルハの命令に従わなくなっても、真言は元から模擬人格でしかないので、このペルソナを外して本来の人格であるイツワのイーハを覚醒させてしまえば、最初の密約通りに真言はイツワのイーハとして八相を狩る事になる。
いずれのケースであっても、コトはミルハの思惑通りに運ぶのである。
これが功を奏し、真言は自らがイツワのイーハである事を知らないままに成長し、偶然を装った出会いによって知り合ったミルハに従順になった。 そして、雫としての役割を遺憾なく発揮して八相の少女達と出会い、しかし彼女達には心動かされる事なくミルハに忠実であり続けた。
全ては、ミルハの思惑通りだった。
しかし、イツワは既に、ミルハを欺いていた。
真言はイツワの模擬人格ではなく、“イツワ自身”だったのである。
イツワは、ミルハと密約を交わす前に、実はその双子の兄であるカルロサと接触していた。(注:これは半分筆者の想像。 本編にはそのようなシーンはなく、それと匂わせる記述があるのみ。 しかし、そうと考えると色々と納得出来る部分が多いのも確かである。 詳細は、以下の論述を参照の事) そしてその密会の場で、ミルハが密約を持ちかけてくる事をカルロサから聞かされた。 さらにカルロサは、自らの思惑のためにその密約に同意して欲しいと頼んだのである。
イツワはこれを了承し、ミルハとの密約成立後再びカルロサに接触し、暗示によってイツワとしての人格を封印する。 そして、真言という模擬人格を与えられた事を装い、イツワ自身のまま真言という模擬人格を“演じていた”のである。
そして、遊戯の終盤になってオウトが偶然発した暗示の解除キー、すなわち暗示をかけたカルロサ自身の名前をキッカケに、自らがイツワのイーハである事を思い出す。(注:4章33節)
これにより、真言は真言として、また同時にイツワのイーハとして、ミルハとのラストバトルに挑むのである。
・Seal"0"
真言の遣うCATで、通称“シロ”。 パラミアキス・アンセスターを除けば、最強のCATである。
カルロサの思惑によって開発されたCATで、自律動作可能な完全なイーハを有している。 ただし、ベロアのように会話によるコミュニケーションは出来ない。
本来は実体の無いCATだが、封紙は真っ白なネコのような姿をしたぬいぐるみ(注:prot-einの一種)に内包され、動作時はそのぬいぐるみを依代として受肉したように動作する。
そのため、シロは休眠中も動作中も、魔眼質者でなくても物理的に視覚可能なCATである。
ベロアとは違った意味で特殊なCATである。
攻撃力、防御力は共に高く、遣い手の命令で攻撃と防御を行う他、自立型のイーハによって独自に思考、判断し、自動的に防御を行う。 また、この機能のために時として勝手に動作し、攻撃する事がある。 しかし、この機能があるおかげで、ミルハに紙魚を仕込む事に成功した。(注:ミルハとのラストバトルにおいて、ミルハは真言に“ノーガードで一発ヒットさせる”という事をやっていたが、その時シロが真言の思考に過敏に反応して勝手に攻撃したのを憶えているだろうか? アレがコレ)
物理的な変形も可能で、箒となって騎乗したり、棍棒や大鎌の形状に変形して武器として使用する事も可能である。
開発後、幼少期の真言と冬夏に下賜されたシロは、2人の署名を受けて完成し、箱に封印して“白の城”に隠された。
カルロサの思惑に便乗し、自身の思惑を実現しようとしていた道具は、音をつれて幼少期の真言や冬夏に接触。 隠されたシロを、音と共に別の場所に移動させた。
この事を憶えていた音=貴奴は、移動させた事実を知らない真言にこれを手紙で報せ、真言はようやくシロを発見、起動させたのである。
三種の神器、最強装備の一。
・Ig:TYPE・MEGA‐D 「P+」
封紙を行う魔眼の刺し手に必須のCATで、飯窪家が管理、保管している家宝。
Ig:TYPE・MEGA‐D 「P+」が正式名称だが、単に“Ig”とだけ呼ばれる他、“斎串魔眼(いぐしまめ)”、あるいは後のIg:TYPE-Eの元型であるため、“テトライ零号”とも呼ばれる。
CATは、本来は実体の無い概念だけの存在であり、魔眼質者以外には視覚出来ない存在である。
しかし、そのためにその存在は不安定で、遣い手がいないと喪失してしまう事もある。
この不安定さを取り除き、CATを物理的な形で休眠、保存、保管出来る技術としてカルロサが開発に成功したのが、“封紙”である。
CATをある一定の法則に従って紙に記述、記録する事で、CATを休眠状態で保存、保管出来るようにした技術である。
そして、この封紙を行うために必要なのが、CATを紙に書き取るために必要なペン、すなわちこのIgである。
四つ目を備えたペン先のような形状の仮面という、シロと同じく無機物に受肉して動作する形を取っている。 そのため、Igは魔眼質者でなくても視覚出来る特殊なCATである。
また、その機能も本来のCATのようなフェイズはなく、対象の遣い手とのリンクを断ち、封紙を行う機能だけに特化している。
極めて特殊なCATであり、CATよりはむしろprot-einに近い在り方かもしれない。
さらにこれを裏付けるように、Igは男性魔眼質者に“のみ”親和するという厄介な欠点があり、初代の魔眼の刺し手であるエンリケに下賜された後は、真言の出生まで親和する男性魔眼質者がいなかったため、飯窪家が家宝として管理、保管する事になった。
ちなみに、エンリケが遣っていたIgには「P+」の刻印がなく、これはエンリケより後に何らかのアップデートが施されて刻印されたと考えられているが、正確な所はWCLでも分かっていない。(注:設定未公開のため詳細不明)
三種の神器、最強装備の二。
・具足
魔眼の刺し手の“正装”として身にまとう衣装で、CATではなくprot-einの一種。
紺色の上着と朱色の袴で構成されているが、和装よりは洋装、特にローマカトリックにおける司教服に近い印象がある。
詳しい能力については、設定未公開のため判然としないが、衣服の形状を取っている事から、特に防御力を向上させる防具の意味合いが強いと思われる。
Igと共に飯窪家に保管されており、4章37節にてシロを発見、起動した真言にIgと共に与えられた。
三種の神器、最強装備の三。
2.白のミルハ
WCLにおけるアルティメット・ウェポン。 “紅と白を纏う大いなる災い”にして“最強の白”。 それが、この白のミルハである。
宮岡門王水(みやおか かどみ)
真名:クララ・ミルハ・リデル
年齢:―(AA済)
性別:女
本作のラスボス。(笑)
始祖アリス亡き後のLu=Leにおいて、始祖アリスの直系の子孫であるリデル家に生まれたミルハは、後にWCLの司書長となるカルロサの双子の妹である。
始祖アリスの亡き後、アリスの子孫はいくつかの家系に分化し、“ガロー神蝕事件”によって新たに萌芽したWEを下賜されたESたちが、Lu=Leの言わば評議会を構成していたが、分化した子孫の中でも直系の子孫とされているのが、リデル家である。
しかし、そのリデル家も二つの家系に分化し、一方がWEを下賜されてESに加わる事になったドレミリア・リデルを輩出する事になった家系(以下、分家リデル家)で、もう一方が、本来の始祖アリスの直系にあたる家系(以下、直系リデル家)である。
そして、ある時この直系リデル家に、男女の双子の兄妹が生まれた。
兄の名はカルロサ、そして妹がクララ。 成長するに従って、特にクララは極めて高い資質を持つ魔眼質者に成長していった。
兄のカルロサは、魔眼質者としての資質はそれほど高くなかった(注:これは筆者の想像。 カルロサの資質に関しては、設定未公開のため不明。 あるいは、魔眼質そのモノを持っていない可能性も)が、CATを深く理解し、今までに無い新しい技術の開発に勤しんだ。 クララはそんな兄を深く慕い、カルロサもまた、妹を溺愛した。 二人の間にあった愛情は、容姿がとても良く似ているという事もあって、単に兄妹の関係を超えたモノだったようだ。(注:考えてみれば、かなりアレな状況である。 クララは極度のブラコンで、カルロサはシスコンの上、子孫を残せない生殖機能障害があった。 そして、二人とも“容姿の良く似た相手”を溺愛するというある種のナルシシスト、という事になる。 真言とは違った意味での三重偉大。 ……いや、この場合は単に三重苦か?(笑))
月日は流れ、カルロサは“封紙”技術を開発。 そして、それと前後して封紙を可能にするCAT、Igの開発に成功する。
この技術の開発が成功したからなのか、それとも最初からその意図があって技術開発を行ったのかは、最早“タマゴとニワトリ”なので定かではないが、ともかくカルロサは、ESの一人であったエンドル・ファの弟、エンリケ・ファをそそのかし、この技術を使ってエンドルを魔眼の刺し手に仕立て、ESを含めたLu=Le所属の魔眼質者たちを次から次へと襲い、そのCATを封紙していった。
カルロサの謀反、世に言う“大封”である。
この結果、ESはミリアム・シュブとドレミリア・リデル、そしてエンドル・ファの3人を残して死亡、もしくは強制改宗され、Lu=LeにおけるES体制は崩壊した。
トコロがこの直後、カルロサにとって大事件が起こる。
最愛の妹、クララが死んでしまったのである。
設定未公開のため死因は定かではないが、ともかくこの“大事”は、カルロサを狂気に駆り立てるのに十分なインパクトを持っていた。
これを期に、カルロサは保管されていたパラミアキスの残骸、パラミアキス・フィーメイルを、なんとクララの亡骸に受肉させるという暴挙を慣行したのだ。
その結果、パラミアキス・フィーメイルのイーハであるミルハがクララの自我と融合し、クララは蘇った。
クララ・ミルハ・リデルの誕生であった。
蘇生したクララ=ミルハを従え、カルロサはLu=Leの組織図を大きく改編。 組織名をWCLと改め、逃亡したミリアムとドレミリアを筆頭にした旧Lu=Leの殲滅と、そのCATの封紙、回収を主目的とした残党狩り、“遊戯”を開始する。
ミルハはその指揮官兼最終兵器として、カルロサの愉悦を満たすためだけに遊戯を繰り返す事になったのである。
・パラミアキス・アンセスター
ミルハが遣うCATで、同時にミルハ自身でもある。
始祖アリスが、初代の呼び水たる月の雫であるナルデアナ・ドルミナの協力によって呼び降ろした最初のCAT、パラミアキスは、始祖アリスの飼い猫に受肉(注:恐らく、この設定のネタ元はルイス・キャロルの小説『不思議の国のアリス』に登場するチェシャ猫と思われる。 小説では、アリスは不思議の国で何もない空間に突然現れたり消えたりする不思議な能力を持つ猫、チェシャ猫に出会った他、リアルで“ダイナ”という名の黒猫を飼っている。 『アリス』の世界観をモティーフにしたPCゲーム『アリス・イン・ナイトメア』にも、オープニングムービーでダイナが登場している)させ、始祖アリスのCATとして良く遣えた。 その能力も、極めて高かったと思われる。
パラミアキスを筆頭に、始祖アリスとドルミナは複数のCATをパラミアキスから萌芽、あるいは新たに呼び降ろし、集まった魔眼質者たちに下賜していった。
始祖アリスの死後、そのCATであったパラミアキスは何らかの方法で保存、保管され(注:封紙ではないと思われる。 封紙は、飽くまでもカルロサが開発した技術のハズなので。 もしかしたら、受肉した猫にAAを施したのかも)、高い資質を持つ魔眼質者に継承されていった。
そうして何代かに渡って継承されていったパラミアキスだったが、ある時パラミアキス自体の存続を危うくする“大事件”が起こった。 “ガロー神蝕事件”である。
パラミアキスの継承者候補であったルー家に生まれたガロー・ツェロ・ルーは、後にESに加わってWEを下賜される事になるダーカ・イァンナ・ルーの実姉妹である。
ルー家は元々、両リデル家に匹敵する高い資質を持つ魔眼質者を輩出してきた名家で、ガローはその中でも屈指の資質を持っていた。 そのため、ガローはパラミアキスの継承者候補に選ばれた。
が、継承者選出のための公式審査の直前、ガローは興味本位で保管されていたパラミアキスに接触。 親和しなかったのか、それとも資質が足りなかったのか、この結果ガローはパラミアキスに神蝕され、暴走する。
この結果、当時生まれたばかりのファイナ・オル(和名:みみみ)の両親を含めた何人かが犠牲となり、エンドル・ファによって休眠状態にされるまで、ガローは大暴れしたという。
これが、“ガロー神蝕事件”のあらましである。
この事件の直後、パラミアキスは雄性双体のCATを萌芽し、その内の1体であるイツワがWEを萌芽。 Lu=LeはWEを下賜されたESによる評議会制が布かれ、パラミアキスは誰に継承される事もなく保存、保管された。
ES体制下にカルロサは、しかし始祖アリスの直系の子孫でありながら、分家であるドレミリアの家系にESの加盟を奪われ、その存在を疎んでいたハズである。 そのため、いつの頃からかカルロサは、ESの打倒を夢想するようになった。(注:これは筆者の想像。 本編には、こうした描写や表現は一切ない。 が、論理的にあり得る事である)
努力の甲斐あって、カルロサは封紙技術とIgを開発し、エンリケをそそのかしてIgを下賜し、魔眼の刺し手に仕立て上げる。
そうして起こった大封の結果、ES体制は脆くも瓦解し、カルロサは保存、保管されていたパラミアキスを手に入れる。
クララが謎の死を遂げた時、カルロサはショックのあまり狂気に掻き立てられ、継承者候補であったガローですら神蝕されてしまったパラミアキスを、なんと妹の亡骸に受肉させるという暴挙を慣行。 その結果、パラミアキスに残っていた雌性のイーハ、すなわちミルハがクララと融合し、クララ・ミルハ・リデルとして蘇生させる事に成功した。(注:筆者の想像だが、ガローを神蝕してイツワとオウトを萌芽した事で、パラミアキスには雄性が無くなった、あるいは低くなったのではないかと思われる。 これにより、女性であるクララでも受肉が可能になった。 パラミアキスは元々、始祖アリスではなくその飼い猫に受肉していた事を忘れてはいけない)
……もしも失敗してたらどうなってたのだろう?
まあ、カルロサがクララを失って生きる目的をも失い、自暴自棄になって自殺するだけかもしれないが。
ともかく、こうしてパラミアキスはミルハとなって現代まで続く遊戯において、指揮官兼最終兵器としてカルロサの意図通りに良く働く事になったのである。
クララに受肉したミルハは、魔眼質者以外には視覚出来ない存在ではなく、クララが纏う衣服として起動、動作する。
その姿は、真っ白なネコをウサギに近付けたような容姿で、瞳が赤くなったり、所々に赤いラインが入るのが特徴である。
そのため、ミルハは“パラミアキス・アンセスター”の他、“紅と白を纏う大いなる災い”、あるいは“最強の白”とも呼ばれる。
クララに受肉後、ミルハは大封によって封紙されたCAT、あるいは封紙されないまま捕らえられたCATと遣い手を次から次へと“喰らった”。
これにより、ミルハは元々十全のCATではあったが、消化吸収したCATの能力を得てそのステータスが次第に蓄積されていき、今では他の追随を許さないレベルに到達した。
そのため、現在の遊戯ではミルハは“強過ぎる”という理由で戦闘に参加する事を制限されており、遊戯のプレーヤーは飽くまでも四重奏団などの部隊に任せ、ミルハ自身は指揮官として後方に待機するようになっている。
しかし、いざとなればミルハ自身が出撃し、まさに“紅と白を纏う大いなる災い”、“最強の白”の名に恥じない“最終兵器”となって戦闘に参加する事もある。
極めて高い能力を持ち、真言とのラストバトルでは、最強装備を得た真言ですら、赤子の手を捻るが如しであった。
しかし、この強大過ぎる能力は、遊戯のゲームバランスを狂わせるバランスブレイカーでしかない事を悟ったカルロサは、ミルハのレベルドレインを決意。 自身が開発したCAT、シロにCATの能力を侵食、低下させるprot-ein、“紙魚”を仕込み、後にミルハと戦う事になる真言に与えた。
結局、ラストバトルでは真言が完敗したが、その攻撃が1発でもヒットすれば、紙魚はミルハに寄生、侵食してレベルドレインさせる事が出来るので、実は真言は“戦う必要はあったが勝つ必要はなかった”のである。
真言がミルハと戦う事になるだけで、全てはカルロサの思惑通りにコトは運ぶようになっていたのである。
ちなみに、現在のWCLでは、“パラミアキス”の呼称を使っていない。
元々のパラミアキスから雄性双体のCATが萌芽した事で、元々のパラミアキスとは異なるCATになったと考えられ、元々のパラミアキスを“パラミアキスorg”と呼称するようになった。
そして、orgから萌芽した雄性双体のCAT、すなわち黒のイツワと茶黒のオウトを“パラミアキスalt”、あるいは“パラミアキス・メイル”と呼び、イツワから萌芽したWEを“パラミアキスcat”と呼んだ。
そして、altを萌芽して残ったパラミアキスを“パラミアキス・フィーメイル”と呼称するようになった。
また“パラミアキス・アンセスター”は、メイルとフィーメイルを合わせた総称である。
そのため、クララに受肉したのは、本来はアンセスターではなくフィーメイルなのだが、orgが萌芽した雄性双体のCATの内、オウトはD変調によって最早CATではなくなったためaltとは呼び難く、イツワもエンリケとの一騎打ちによってそのフェイズを八相のCATとして萌芽しイーハのみのCATとなったため、最早十全のaltとは呼び難い。
よって、現在は原初のパラミアキスであるorgに最も近いのは、フィーメイルのみである。
そのため、呼称の解釈が変化し、“orgに最も近いCAT”という意味でフィーメイルの事を便宜上“パラミアキス・アンセスター”と呼ぶようになった。
……と、思われる。
また、この経緯もあって、現在はaltの事を“ナナムシル”とも呼ぶ。(注:この呼称の問題は、公開されている設定が矛盾、あるいはごっちゃになっており理解不可能と判断。 筆者の方で独自に、上記のように論理的に説明可能な解釈を行う事にした。 ご了承頂きたい)
3.司書長
WCLの頂点に君臨し、全ての遊戯のオーガナイザー、あるいは“支配者”となっているのが、この司書長である。
カルロサ・リデル
真名:―
年齢:―(AA済)
性別:男
本作の真のラスボス。
後にカルロサを輩出する事になる直系リデル家は、始祖アリスの直系の子孫である。
しかし、始祖アリスの死後に布かれたES体制では、始祖アリスの直系であり、本来ならばWEの一位を下賜されるハズの直系リデル家にはWEそのモノが下賜されず、代わりにWEを下賜されたのは、分家リデル家の出身であったドレミリア・リデルであった。
ES体制の成立が、カルロサの出生前であったか後であったかは、設定未公開のため不明だが、ともかくクララの双子の兄としてこの世に生を受けたカルロサは、この事を知ってドレミリアを妬み、ES体制に反感を持っていたハズである。 WEの一位を下賜されたのが、ドレミリアではなくミリアムだったというのも、これに拍車をかけた可能性が高い。
いずれにしても、パラミアキスを擁したES体制下で、Lu=Leは繁栄していったが、カルロサはESに対する妬みと反感をその内で沸々と沸き立たせていた。
カルロサは、自身の魔眼質者としての資質が低い(あるいは無い)事を理解しており、しかしCATに対する高い理解力を最大限に発揮し、Igと封紙技術の開発に成功する。 そしてカルロサは、ESの一人であったエンドル・ファの弟、エンリケ・ファをかどわかし、自身に与して魔眼の刺し手となる事を要求した。 エンリケはこれを了承し、自身の姉を含めたLu=Leのメンバーを次から次へと襲い、そのCATを封紙していった。
世に言う大封、カルロサの謀反である。
最終的に、ミリアムとドレミリア、及び数人の魔眼質者とCATを取り逃がしたモノの、大封そのモノはカルロサの思惑通りに運び、ES体制は瓦解。 大半のCATが封紙され、保管されていたパラミアキスと共にカルロサの手に落ち、Lu=Leは組織としての機能を完全に失った。
カルロサは、ES体制への恨みを晴らす事に成功したのである。
トコロがその直後(あるいは大封の渦中)、カルロサにとって予想外の自体が起こる。 最愛の双子の妹、クララの急死である。
その衝撃は、聡明なカルロサを狂気に駆り立てるのに十分なほどだった。
カルロサは、手に入れたパラミアキスを、クララに受肉させたのである。
幸いにしてこれは功を奏し、クララはパラミアキスのイーハと融合してクララ・ミルハ・リデルとして蘇生し、クララであると同時にパラミアキス・アンセスターというCATとなった。
Lu=Leは、その組織図を大きく改変され、カルロサを司書長という頂点に据えた新しい組織、WCLが創設された。
これをキッカケにしたのか、それとも最初からその意図があったのかは、設定未公開のため判然としないが、ともかくカルロサは、捕獲、封紙したCATをミルハに与え、ミルハを“最強の白”に仕立て上げる。 そして、ミルハに命じて逃亡したLu=Leの残党、すなわちミリアムとドレミリア(と、その他の魔眼質者とCAT数体)の殲滅を開始した。
こうして、この後長く続く事になるLu=Leの残党狩り、“遊戯”が始まったのである。
・遊戯
Lu=Leの残党狩りを目的としたこの“遊戯”は、しかし次第にその手法が改められていった。 カルロサは、Lu=Leの残党狩りを目的とした遊戯の過程において、その実働部隊であるミルハたちに主に行動の制限を課したのである。
例えばIg。
魔眼質者とCATのリンクを断ち切り、なおかつCATを封紙するのに不可欠なこの必須アイテムは、しかしその使用者である初代の魔眼の刺し手、エンリケがイツワと相打ちになって果てた事もあり、その代替となるシステムが必要になった。
そこで急務とされたのが、女性の魔眼質者でも扱える“Ig:TYPE-E”の開発と、これを扱える魔眼質者の“製造”を目的とした機関、“Ender(エンダー)”の設立である。
カルロサは、Igの機能限定下位互換版とも言えるIg:TYPE‐Eを開発し、ガロー神蝕事件の際に両親を失い、しかし強制改宗されてWCLに加わる事になった元ES、ダーカ・イァンナ・ルーに保護されていたファイナ・オルをエンダーによって強化し、Ig:TYPE-Eを下賜。
さらに、ダーカを始めとした元ESや、新たに視出された魔眼質者を“Corven(カヴン)”という補佐要員に任命し、それぞれに捕獲、封紙したCATを与えた。
こうして編成されたのが、エンダーとカヴンによる人工的な代替の魔眼の刺し手、“四重奏団”である。 このパーティープレイにより、WCLはIgと魔眼の刺し手が不在でも、CATの封紙と回収が可能になった。
これを実働部隊とし、さらに無関係な人間を巻き込まないようにするための結界構築に特化したCAT、F/7シリーズを開発。 このF/7が構築した箱庭内でのみ、遊戯が行われる事を義務付けた。
また、これらの義務が正しく守れているのを監視するために、ゲームマスターの役職を作り、カルロサは自身の直下にこの役職を置いた。 実働部隊や指揮系統とも切り離され、しかし彼らを監視するこの役職に就任したのが、ノート・デューと彼女のCAT、ジャバンダスウォナッチァである。
カルロサが課したこうした制約の中でも、最も大きな制約になっているのが、最愛の妹であるミルハの行動制限である。
カルロサは、ミルハを“最終兵器”と位置付け、その行動を大きく制限した。 具体的には、ミルハは飽くまでも指揮官として後方に待機し、四重奏団を中心とした実働部隊のみでLu=Le殲滅を行う、というかなり厳しい制約であった。
四重奏団は、パーティープレイによってCATの封紙を可能にしたが、エンダーに下賜されたIgの性能はオリジナルに大きく劣り、封紙は出来ても遣い手とのリンクを断ち切る事が出来ないため、カヴンによるサポートを随時必要とした、非常に効率の悪いシステムでしかなかった。
しかしそれも、ミルハが実働部隊に加われば、制約はあって無きが如しである。 何故ならミルハは、大封によって封紙された大量のCATをその内に取り込み、他の追随を許さない“最強の白”だからだ。 ミルハが出撃すれば、戦闘はあっという間に終わって、四重奏団は何の苦も無くCATを封紙、回収出来るのだ。
しかし、カルロサはそれを良しとせず、ミルハには指揮官としての役割を超えないように言い含め、直接戦闘に加わらないようにその行動を制限した。
こうした多くの制約によって、本来ならば圧倒的な戦力差によってカンタンに終わるはずのLu=Leの残党狩りは、そのプライマリー・オブジェクティブであるミリアムとドレミリアの殲滅を果たせないまま、遊戯は何度も何度も繰り返される事になったのである。
to be continued...