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海の都の物語(2)-塩野七生

2020年10月09日 | 読書

評価4

1300年代に入ると、ヴェネツィアは海洋交易国家としての地位を確固たるものとする。その要因には次のようなものを上げることができる。

①定期航路確立
②海上法の制定(海上裁判所)
③航海技術の発達(羅針盤、航海図、航路早見表)
④船舶の進化
⑤簿記の普及(発明はトスカーナ地方のプラートの商人だが、複式簿記に改良したのはヴェネツィア人)
⑥アラビア数字の活用(1200年代初めにピサ人がヨーロッパに広める)
⑦ヴェネツィア人による銀行の創設
⑧中小商人保護育成政策

そして、元首ピエトロ・グラデニーゴは1297年政治改革案を発表し、共和国にして貴族制を持つ国家であり、一部の者が権力を握ることのないような合議制による政体を創り上げたのであった。

貴族制といっても政治は貴族にまかせつつ、権力の集中を招かないようにかなり複雑な運用を駆使したヴェネツィア独特の国家運営だったようです。この辺がフィレンツェやジェノバとの違いらしい。「複式簿記に改良」とは、ヴェネツィア人恐るべし!