
評価

焼津、筑豊(福岡県田川)と勝の行方を必死に追う萄子だが、すんでのところで追いつけない。そうした中、事件の真相が徐々に明らかになり、大阪で沖縄に勝がいる可能性を知った萄子は宮古島に飛ぶ。1964年東京五輪当時の出来事・風俗をちりばめ、クライマックスを迎える傑作長編!
昭和40年代の日本(川崎、熱海、郡山、焼津、田川、大阪)を旅している感覚に酔い、当時の世相が懐かしい。映画「ひまわり」を思わせる展開も素晴らしい。先を読まずにはいられない。
冒頭から、現在の萄子が幸せに暮らしていることがわかっていて、過去を振り返る流れになっていることが読者に安心感を与える。元刑事・韮山とルミの関係性に唯一未来に希望を見出すことができた。
荒れ狂う台風の中、事件の真相が明らかにされるクライマックスが圧巻!!!