
評価

ラスベガス好き作家による笑って泣いて夢を見る、エンタテイメント作品。友人に裏切られて全てを失った中年男・オーマエゴー(大前剛)、キャリアウーマンから娼婦に転職したカジノリサ(梶野理沙)、ベトナム帰りの元英雄・ジョンキングスレイの3人が1台のスロットマシンで史上最高の大当たり(ジャック・ポット)60億円を叩き出した!
アラブの石油王、老いぼれた殺し屋、元マフィアなどが続々登場、エンタテイメントのドタバタ感に頁をめくる手が止まらないが、所々に登場する「SMOKING SEAT」で語られる日本人論、アメリカ人論が興味深い。太平洋戦争を挟んでの日本人の変貌など、実は、これを語るために延々とラスベガスの狂喜乱舞を書き上げたのでは?と思うほど。いやはや、浅田次郎、凄い作家です。