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呼吸

2009年05月24日 | masudaizumi.com
この2週間、頭痛で読書からはなれていましたが、また今朝から復帰しました。


私の本の読み方は、一度本を買ったら、ざっくり一気読みして、もう一度時間がたってからじっくり読む。
一年くらい置いて、読んで、また心にくっときたら、とっておく。
心にひっかからなかったら、売ってしまいます。

今日は、朝5時頃から7時まで、2冊読み返しました。

まだ話せない赤ちゃんがジェスチャーで実はお話している、というベビーサインの本
そして齋藤孝さんの「呼吸入門」


ベビーサインの本は、あまり心に響かなかったのですが、あと半年したら必要かも、と思ってとりあえず本棚に戻し、「呼吸入門」に、波動がハマりました。


特に心にひっかかったのが

「能の呼吸」
「日本人は型を創出する天才だった」

という章。


いままでその様式美だけで、芸術の価値が理解できなかったお能のことが、この本でやっとわかりました。
記述してある文章をピックアップしてみます。



   立つ事の芸術


  大げさな演技がないから、立っているだけでも存在感が圧倒的

前後左右上下の無限に気迫を発して立つ

   そのぶれない精神のあり方

意識の高さが耐えられない人は眠くなってしまう


幽玄なる霊魂の世界へつながっていく、高い瞑想状態に似たもの

脳の覚醒状態を楽しむもの

すべてを支配しているのは呼吸。


これらのこの本に記載されていた言葉の表現で、私は心に響かないお能の世界に、やっと足を踏み入れた気持ちになりました。

演劇や、舞台をされている人の存在感って独特ですよね。

これらは、すべて、呼吸にある、と書いてあります。

私が録音した一枚目のアルバムは、歌の呼吸にすごくこだわって創りました。

基本的に人間の心臓の早さと同じテンポ、もしくはゆっくりなものが多く、ものすごくロングトーン、つまり息を吸わずに歌い続けるところが多いです。


そのかわり、息を吸うところは、ゆったり、たっぷりとってあります。

CDを聴いていると眠くなるのは、おそらく、その呼吸のリズムがものすごく深いからということも関係していると思います。


マーラーのアダージョで表現したものは、幽玄の世界です。
マーラーは死に対する憧れがとても強かったそうです。
動きがまったくなく、録音していても、いま歌っていても、一番緊張感がある曲です。

すこしだけお能に近い曲かしら、、、と思ってしまいました。