経済(学)あれこれ

経済現象および政策に関する意見・断想・批判。

最近記事より 「天皇制の邦語」解説(補)

2008-11-20 12:52:58 | Weblog
最近の記事より   「天皇制の擁護」解説(補)

南部・小林・益川・下村の各氏がノーベル賞を受賞されました。日本人で計四名、快挙快挙とマスコミは騒ぎ立てます。しかし私にすれば日本の科学技術の実力はこんなもののはずです。自然科学三部門から毎年一人以上が受賞してもおかしくありません。個々の学術の内部に立ち入ることは控えますが、それなりの論拠はあります。
 日本の製造業の実力は30年前に欧米を追いこします。現在工作機械の製造と輸出は世界一です。21世紀に入り技術貿易の収入は激増します。特許申請数は日本がトップでしょう。精巧な機械の部品の製造も同様です。こんな状況が続く中、その基礎であるscienceだけが遅れているはずがありません。
 日本の製造技術の優秀さは今日急に出現したものではありません。歴史と伝統の所産です。トヨタの技術はこの会社の始祖である豊田佐吉の不屈の創造心の産物です。佐吉の像は左甚五郎や三条小鍛冶のそれに連なります。シャ-プの創立者である早川得治は発明王(マニア)でした。彼は江戸の職人芸(根性)の継承者です。黒船騒ぎの5年後に咸臨丸は渡米し、明治15年には日本人だけで操業する大阪合同紡績が現れます。40年後日本の紡績技術はイギリスを凌駕します。
 伝統の根拠由来は?その最大の淵源が天皇制という政治システムです。この結論への意図をもって私は「天皇制の擁護」を書きました。
 金融恐慌への不安が世界を覆っています。なぜか多くの人は、日本は外圧に弱いとおびえます。世界経済が危機にあることは事実ですが、その中で日本の経済ポジションは一番安定しています。経常収支は黒、資本収支は赤、理想的な形態です。世界の経常収支を日本と産油国とその他でほぼ三分しています。製造業は日本の技術優位に支えられた東アジアに完全にシフトし、欧米はそこからの借金をマネーゲームに投資して稼いでいるというのが現状です。金融不安はアメリカ発ですが、この事態は10年前から予想されていました。LTTC事件を覚えている方はおられますか。
 ブッシュ大統領が国費を投入しても不安は収まりません。そのはずです。ギャンブル依存症のアメリカに通貨管理を委ねることへの不安は強烈です。なぜ日本はそのもてる力を発揮してより積極的に出ないのか。今の日本は、怯惰な指揮官に率いられた精強な軍隊が背をかがめてうずくまっている、という印象を与えます。
 アメリカの不良債権50兆円(概算)日本が買い込み、同時に同額のドルをこの債権を担保として借入する。この通貨は日本が管理する。政府がそう明白に宣言する。そしてインドや中国を初めとする開発途上国への資本として低利で貸し付けます。アメリカは同額のドルを印刷して国内経済建て直しにはげめばいい。
 これをアメリカ単独でしても意味はありません。アメリカの通過管理能力への不信が今回の金融不安の背景にあります。別に日本だけでする必要はない。産油国やアセアンを誘いましょう。カジノ経済やマネ-ゲームにうつつをぬかさせるためではなく、多くの国の開発と発展のために資金を管理運営しましょう。今回の金融不安は日本の出番でありチャンスです。
 自著「天皇制の擁護」を説明するつもりで、経済政策の提案になりました。しかし現在日本が立っている地盤は日本の伝統に由来します。私の小著はこの伝統の由来の弁証にあります。