昨日『図書館戦争』について書いていた折、
この話どこかで既に知っている。。。と思いました。
で、思いめぐらしてみたら、何と!
大滝則忠先生の『図書館と読む自由』だったのです!
副題が『-近代日本の出版警察体制との関連を中心に-』です。
この小冊子は塩見昇・川崎良孝編著『知る自由の保障と図書館』の抜刷ですが、
明治時代から昭和前期の「図書館活動と読む自由の問題状況が
実際どのように推移したかを事例を拾い出して通覧できるように努めた
論文です。
『図書館戦争』の時と同じように目次を列記しますね。
1 大逆事件と図書館
1.1自然主義と社会主義の台頭
1.2事件の影響の図書館への波及
1.3帝国図書館の対応
2 健全有益な図書の提供
2.1図書館施設に関する訓令
2.2図書選択論の推移
3 前提としての出版警察体制
3.1法体制の概観
3.2出版警察体制の実態
4 出版警察体制と図書館
4.1帝国図書館の役割
4.2模索する図書館界
5 戦時下の図書館
5.1日中戦争前後
2.2館史に刻む戦時下の現実
明治期から昭和前期、言論が必ずしも自由ではなかったことは
おおよそ見当がついていましたが
今回改めて読み直してみると
「出版警察」の存在があったことが、すごく象徴的でした!
(『図書館戦争』にも類似の組織が出てきます)
特高が各地の図書館の発禁本を調査するといった記述を読むにつけ、
「本を読む自由」の意味の重さを改めて噛みしめました。
昨日のフィクションー近未来小説の『図書館戦争』と
実際戦前まで行われていた出版警察の検閲を考えると
「自分が選んだ図書を読む自由を持つ」ことがいかに大変か
よく分かるような気がしました。
そして大滝先生のご苦労が偲ばれました。
ところで、大滝則忠先生ですが、
現在は東京農業大学の図書館情報学研究室の教授です。
大滝氏が国会図書館の副館長でいらっしゃた時
国会図書館が所蔵する蘭学の本の複写の件で大変お世話になりした。
私にとっては図書館学(図書館史)の精神的拠り所でいらっしゃいます。
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