れきしどころ真理庵

江戸時代の江戸を中心に、医学史・蘭学史を調べています。日々の暮らしを歴史からみた写真日記。

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リシャール・コラス『紗綾』

2012-07-31 10:38:05 | 真理庵文庫・その他
前回本をとりあげたまま1ヶ月近く経ってしまいました。。。
『紗綾』をご紹介したいと思います。
実際本を読んだのは今月始めでした。

Amazonのブックレビューではあまり評価が芳しくなかったので、期待しないで読んだのですが、思いがけず生々しい内容に絶句してしまい、感想を書くのに1ヶ月近くかかってしまいました。。。外国人でここまで日本語をきちんと書ける人も珍しいと思います。もっと評価されて良い本だと思いました。(最初フランス語で書き、それを日本語にしたそうです)
http://www.amazon.co.jp/%E7%B4%97%E7%B6%BE%E2%80%95SAYA-%...

リシャール・コラスさんの本は以前にも日記に書きましたが、プロフィールは以下の通りです。
フランス生まれ。パリ大学東洋語学部卒業。在日フランス大使館勤務、ジバンシィ日本法人代表取締役社長を経て、1985年にシャネル入社、1995年、シャネル日本法人代表取締役社長に就任。フランス商工会議所会頭、欧州ビジネス協会(EBC)会長を務める。国家功労章シュバリエ章受章、レジオン・ドヌール勲章受章。2009年にフランスで発表された『SAYA』で、フランスの文学賞「みんなのための文化図書館賞」を受賞。

この小説は30章から成っています。30章のみ「終章」としてこの本の狂言回し?のフランス人社長が出てきますが、それ以外は神脇(40代後半?のデパートをリストラされた元エリート)、紗綾(帰国子女の女子高生)、香里(神脇の妻・専業主婦)の三人の一人語りが交互になされて物語が進んでいきます。
「少女とリストラ中年男の恋愛物語」的な紹介をしている書評が多いのですが、私の感じたことは全く別のことでした。香里のことです。
書評などには殆ど出てこなかった香里の日常の生々しさに私は動揺してしまい、なかなか感想が書けませんでした。
ですので、ここでは香里のことを中心に書かせていただきます。(ネタバレの可能性アリ)

香里は北鎌倉で同居の義母を介護する日々を過ごしています。キツイ義母に対して表面はかいがいしくつとめていますが、ある時から嫌がらせを始め、憂さを晴らしているような、どちらかといえば陰気なタイプの古風な専業主婦です。その義母は自宅で危篤になりやがて息絶えてしまいます。香里はインターネットで「自宅 自然死」と検索し、病院に電話をして医師にきてもらい死亡確認してもらうなど、良き主婦ぶりを発揮します。その頃仲の冷め切った夫はリストラを宣告され、女子高生と「援交」していたわけですが。。。
葬儀、義母の死後買い物依存症に。そして女友達とのディナーついでに誘われて行ったホストクラブで知り合ったホストとラブホテルに。。。
…まあ、それでも「貞淑な妻」は事なきを得る?わけですが、一つ一つのエピソードが、まるで「日本の専業主婦の生態」をじっと観察していたかのような生々しさがあります。そして、(私の場合介護は実母だったので香里のような「仕打ち」は思いつくこともありませんでしたが)それぞれのエピソードに、「一歩間違えば自分もこうなるかも」という危うさを感じて、ぞっとしました。


前作『遙かなる航跡』の中でも心中に対する憬れが読み取れましたが、神脇と紗綾も(1日違いとはいえ、ほぼ)心中といっていいような死に方をします。
多分男性なら神脇に、若い女性なら紗綾に、私が感じたような「生々しさ」を覚えるのではと思います。単なる「恋愛小説」というより、社会派に近い感じも受けました。(ベースにコラスさんの美意識というかエロティズムがあるので、恋愛もののくくりになっているのでしょうが。。。)

いろいろと考えさせられる作品ですし、もっと多くの人に読んで欲しいと思いました。
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7月8日はコラスさんお誕生日

2012-07-12 15:39:12 | 真理庵文庫・その他
シャネル社長のリシャール・コラスさんお誕生日は7月8日でした。
それにちなんで?2冊のご本を紹介したいと思います。
「旅人は死なない」と、「紗綾SAYA」です。
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北村薫『いとま申してー『童話』の人びと』と私

2011-05-04 11:46:27 | 真理庵文庫・その他
晴れましたね♪
連休も後半にはいりましたが、皆様いかがお過ごしですか?
震災の無事をお伝えしてから1ヶ月以上アップせず済みません。


震災の前後、いろいろな事が身辺に起こって(これは東日本にお住まいの方は殆ど同じだったと思います)、非常事態の中で、日記は震災関連のことを中心に書いてきました。
ですが日々の営みは勿論そればかりではなく、敢えて文化的なものや、雑記的なものは外してきたところがあります。

震災から2ヶ月近くなり、「震災以前の日常」に戻りつつある中、【自分で自分を褒めたい】というか、今後の心の支えにしていこうという出来事がありましたので、書き記しておきます。

北村薫先生の『いとま申してー『童話』の人びと』が単行本になりましたが、後日談をお伝えしますね。


実は折しも3月11日朝、北村先生に宛てて、本を読ませて頂いたこと、自分の名前と論文名「坪井信道と安懐堂・日習堂の塾生達」が91ページ載っている事が嬉しくて10冊ほど本を購入したこと等、季節のカードに書き添えてお送りしました。
そのお返事の絵はがきを頂いたのは3月15日でした。
驚いたことに地震のことには一切触れていらっしゃらず、淡々と本のお礼のことが書かれていました。
北村先生の「肝の据わり方」を思い知った気がしました。

亡くなったお父様の遺された日記を資料に書かれた『いとま申して』は、先生としては3部作にする予定とのことです。
今回の第一部『いとま申してー『童話』の人びと』は、そのお父様の中学~慶応大学入学辺りまでの青春物語です。
お父様は(日記を解読しだして初めて知ったらしいのですが)金子みすずと同人誌をやっていたようでした。
生前それらしいことは一言も告げず、自分だけの記憶の中に閉じこめておかれたことが、亡くなった後息子によって明らかにされる。。。ミステリー作家にとってもこれ以上の「ミステリー」はなかったのでは!?(笑)


北村先生が私の論文を発見してくださったのは2年前のクリスマスでしたが、その時から先生のこの作品は私の心の支えの一つでした。


今手元の本を読み返してみると、冒頭間もない部分で、主人公は関東大震災にあっています。
(日記は震災翌年の1月から始まっていますが、裏表紙に震災の死者数等書かれていたようです)
私のカードが北村先生のところに届いたとき、既に震災は起こっていたのに、先生が動じなかったのはこの本があったからかも知れません。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ところで、私にとってこの本は参考文献的に論文の著者として名前が載った最初の本ですが、この形が取れて良かったなと思っています。
論文発表があったのは平成10年。13年も前の話になります。
その間日の目を見ることもなかったわけですが、それでもこのれで良かったと思っています。

13年経って、今回の北村先生。
本当にさりげなく資料をご活用いただき、私としては一番願った形になりました。

で、私は「最初で最後」にはしたくないのです。
これから私の目線で時代を見、それを書きまとめていきたいと願っています。
だからこれは「最初の一歩」です!!!

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憬れの人の本

2010-10-08 16:48:31 | 真理庵文庫・その他
タグボートの岡さんが再び本を出されたことを今頃になって知り、区立図書館から借りてきました。
『TUGBOAT 10Years』です。

広告制作会社タグボートが創立10周年を記念して作った作品カタログというか、辞典というか。。。(厚さが10センチくらいあるので、殆ど辞典です!)
岡さん達4人は電通の社員でしたが、10年前に独立して小さな広告制作会社を作ったのですが、この10年で手がけた広告は、「これもタグボートの作品だったんだ!?」というような身近なものばかりです。

岡康道さんを知ったのは、かなり前になるかと思いますが判然としません。ですが、岡さんの講義を聴いたことは凄く記憶に残っています。
中央区に越して間もなく(つまり10年近く前)、中央区の連続公開講座で、電通(中央区築地界隈はかつて電通が本社を持っていて、今もその辺りには広告関係の会社があります)の社員(部長クラス)が中心となって広告講座が開かれました。そこに何故か講師として電通を辞めたばかりの岡さんが講師として1回だけいらっしゃいました。
183㎝の長身。九州男児らしい目鼻立ちのはっきりしたイケメンさん。
私にとっては卒業年が同じ(と言ってもあちらは早稲田)なので、凄く親しみを感じていました。
凄くフランクな方で、自分が「就活」の時のことを隠さずお話下さいました。
曰く、経営者だったお父様が岡さんが大学在学中に会社を倒産させて、多額の借金を抱えたまま逃げたそうです。
で、お母様は仕方なく離婚して、岡さんは就職面接のとき、(不合格になることを覚悟して)お父さんがいない家庭であることを正直に言ったそうです。
そういうことを言っても、岡さん個人が魅力的だったせいか、1社からも落とされることなく、憬れの電通に合格したそうです。
その飾らない口調のせいか、聴講していたのは殆どが大学生や20代前半の若者。普通の区の講座とは様相を異にしていました。

写真を見ると、今も岡さんは格好いいままお年を重ねていらっしゃるようで、同学年として、凄く励みになります。
そして願わくば、次の10年も格好良く生きて欲しいなと願います。

今年は同学年の人の動向が気になりました。
夏桑田佳祐が癌のため入院。
今大阪地方検察庁の改ざん事件が問題になっていますが、無罪を勝ち取った村木さんも同学年。
ちょっと前覚醒剤で捕まった田代まさしも同学年。

そう思ってみると、幸不幸・若く見える・年取って見えるもその人の生き方次第と感じてしまいます。
何か真っ直ぐ生きていきたいなと感じるこの頃です。
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「オバマ大統領と今後のアメリカ」講演

2009-03-25 06:58:09 | 真理庵文庫・その他
3月19日にコロンビア大学教授のジェラルド・カーティス氏がアカデミーヒルズでご講演をなさいました。
参加させていただきましたので、そのご報告をいたします。

実は数年前に何度かカーティス教授のライブラリートークには参加しています。緊張感あふれる授業で、何時指されるかとヒヤヒヤドキドキして、すごく疲れた記憶があります。つまり少人数で教授が授業を進めると言うより、参加者の発言に教授がコメントを入れる正しくアメリカの大学院での授業形式そのものだったのです!
で、驚いたのは参加者が(全員ではありませんでしたが)教授と対等にやり合えていたこと。後で知ったのですが、2週間後にニューヨーク大学に留学予定の人もいたと聞いてすごく納得しました。
…ということがあったので、数年ぶりにまたあの緊張感を味わうのかとドキドキしていったら、状況はちょっと変わっていた!
聴講希望者が非常に多くて、今までのような授業形式が取れず、講演の形になったのです。
おかげで、緊張しないで済んだのは良かったですが、この最悪な経済状況をいかに打破しようかと皆大いにオバマさんのやり方に興味をもっていることがよく分かりました。

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まず、日米の経済状況の受け取り方について、アメリカが「楽天的」なのに対し日本は「悲観的」との指摘がありました。それから今年は「変化の年」。日米共に政局は大きく変化しそうです。

オバマさんは国民の圧倒的な支持で大統領になりました。なって2ヶ月、人気は衰えていません(支持率60%)が、問題は山積。今後のオバマさんの動向についてカーティス教授は以下のように述べています。

①オバマさんに対する分析

政治家にとって一番のキーワードは「説得力」があるかどうか。難しい話を易しく話す野が政治家。そう言う点で優れているオバマ氏はルーズベルトに似ている。また、イリノイ州出身と言うことでリンカーンに憧れている。

本当に自分に自信がある人は威張らない。オバマ氏には
1)まず基本的な方針がある(自分の哲学がある)=ぶれない。
2)ブッシュ政権時代の「格差」を直そうとしている
3)これから30年50年先のビジョンがある。
 ex.3兆円の予算案(教育・保険・エネルギー等)
4)国民を説得する力が抜群(=コミュニケーション能力がある)

オバマ氏は「チーム・オブ・ライバルス」で組閣した。これに対して安倍氏は「お友達内閣」。

オバマさんは感情的にならず冷静と、カーティス教授はべた褒めです。
ではそんなオバマ氏は順風満帆かというと、その逆。何時問題が噴出するか分からない状況下だということで、オバマ政権の心配に種について次の述べられました。

②オバマ政権の心配の種

1)オバマ氏と議会の関係が上手くいくか行かないかで、政権が上手くいくか決まってくる。(数週間後に明らかになる)
→大統領と議会は対等故、大統領は議会を説得せざるをえない。
※日本では与野党の「ねじれ」が問題になっているが、アメリカは常に「ねじれ」のじょうたいである。

2)経済の問題に対して、国民は「1年は待ちましょう」の姿勢。
だが、1年後に結果が出なければ、支持率は急落するであろう。
1年後にダウ平均6000であればオバマ氏に批判が出てくる。
今回の経済危機がアメリカ人の考え方を変えた。「過剰消費の時代は終わった」と。→もうクレジットカードでものを買わなくなる…。
【今後はそんなに消費しない→ものを買わない→お金が回らない】のスパイラル。

3)アフガニスタン・パキスタン問題
→外交でオバマが足を引っ張られる可能性がある。

で、最後に日本と野関係について
③オバマ政権と日本の関係
ヒラリークリントンが日本を最初に訪れたのは、日本人が一番最初の訪問国と言うことを重視する国だからだ。(真っ先に訪れたからと言って一番大事という意味ではない)
→一番重視しているのは中国。(アメリカの国債を一番保有しているのは中国だから。日本は2番目)

オバマ政権は日本に何も求めていない。むしろ日本はアメリカに提案してアピールするべき。(この4年間に4人もトップが変わった国を果たして信用できるか、考えて欲しい)

日本についてはこちらが熱い視線を送っている割にはオバマさんは冷静です。そこら辺をこちらも冷静になって観る必要があるのかもしれません。

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黒木亮『冬の喝采』を読む

2009-02-05 04:32:50 | 真理庵文庫・その他
昨日はずっと読みたくて待っていた黒木亮『冬の喝采』を読み終えました。662ページ、結構分厚い本でしたが、一気に読み終えました。

黒木亮は以前『巨大投資銀行』を読みました。ちょうど『ハゲタカ』を読んでいた頃かもしれません。外資系投資ファンドに興味があって、それで読み始めた記憶があります。
同い年。私が上智にいたときにこの方は早稲田にいたのだと、早稲田の友人に会いにキャンパスを通ったことが懐かしく思い出されました。その後氏は銀行・商社・ファンドとイギリスを舞台に経済畑で活躍したのち小説家になります。『巨大投資銀行』のスケールの大きさに目を見張りながら、もともと小説家志望ではなかった人がここまで書けてしまうことに同年故に悔しい思いがしたものです。。。

で、『冬の喝采』は自伝的スポーツ小説です。氏は中学時代に陸上を始めて以来練習日記を書き続けていましたが、それをもとに中学からの陸上のクラブ(部)活動の記録を一冊の分厚い本にまとめたのです。主人公の名前も本名の金山雅之。ほぼ全員が本名で出てくるドキュメンタリータッチの小説です。
普段だったらこのような本を手に取ることはなかったでしょう。
何故手似にしたかというと、90%はスポーツ小説ながら、10%に彼の出生の秘密が隠されていたからです。
何故衝動的に走りたくなったのか?(運命によってか)箱根駅伝の早大メンバーとして選ばれ、箱根三区を走ったのですが、奇しくも(生みの)父親が30年前に走ったコースだったのです!
『冬の喝采』は淡々とした小説で、生みの親か育ての親かという葛藤もほとんど出てきません。むしろその押さえた文体が、いかに氏の人生に意味を持っていたか感じさせます。
「走るDNA」を貰った少年は怪我に苦しみながらも大学卒業まで走り続け、社会人になると同時にきっぱり陸上から足を洗ってしまいます。
ちょっと前言われた「自分探し」などせず、ストイックなまでに陸上と学業に専念し、恋愛と言っても淡いものしか語られないその同時代に私も生きていたのだと、横っ面を張られたような気がしました。

もっと早く黒木亮、いや早稲田大学法学部の金山雅之君に同時代人として出会いたかったなと思いました。。。
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柴田励司『「仕事力」のある人、ない人』

2008-06-30 05:52:45 | 真理庵文庫・その他
柴田励司といってもご存じの方は少ないのでは?
先日『「仕事力」のある人、ない人』をPHP研究所から出されました。
彼は62年生まれのソフィアン(私と同窓)。文英卒です。

彼の講演をお聴きしたのは約2年前の4月のこと。アカデミーヒルズにて『25歳からの10年で会社に負けない自分をつくる』の出版記念の講演会でした。
「25歳」という題名からして若い人向けの講座と最初尻込みしたのですが、「息子のために聴くと言うことで」自分を納得させ参加しました。行ってみて驚いた!若い人より、若い人の上司の年齢層(つまり私と同世代)が思いの外多く、中には25歳の部下を連れてきた上司という人もいました。
で、講演は面白かったです。柴田さんのスピードのあるお話の展開と柔軟性ユーモアで、人の気をそらさないというか、あっという間の2時間でした。
『25歳からの10年で会社に負けない自分をつくる』はその後図書館に購入しました♪

2年前のそのときの彼の肩書きはマーサー・ヒューマン・リリース・コンサルティング株式会社の社長でした。で、まもなく(株)キャドセンターの雇われ社長になり、今現在はCCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ)のC00に就任したばかりです。

今回の『「仕事力」のある人、ない人』は、彼のメルマガからまとめたものですが、私もこの2年間メルマガ読者であったわけで、働き盛りの46歳の活躍が面白く、密かに応援してきました。
またどこかでお目にかかりたい方です♪




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木内孝著『日本人の見識』

2008-06-02 11:27:10 | 真理庵文庫・その他
私の年長の友人、木内孝氏のご本が5月末に出版されました。
ご紹介いたします。
『日本人の見識』です。

木内さんは私の主催する「麻布六本木学研究会」のメンバーですが、
単にメンバーというより、アカデミーヒルズ創設の頃からのご意見番で、
研究集会も彼の企画によるものがかなりあります。私にとっては敬愛する人生の大先輩です。
一般的には「福沢諭吉のひ孫」と言うことの方が通りがいいのでしょうが、
戦前の「帰国子女」です。発想のスケールが大きい!話しの興がのると、英語混じりの早口になる!

現在イースクエアという環境・未来学の会社を立ち上げて活躍されていらっしゃいます。
http://www.e-squareinc.com/
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篠田節子『秋の花火』

2008-05-17 00:21:34 | 真理庵文庫・その他
篠田節子の『秋の花火』を文庫で読みました。
ある時期から篠田節子さんの作品を読むようになりました。
それは彼女が八王子市役所勤めで、教育福祉畑を回り、図書館勤務経験もあると言う事を知ってから。
図書館勤めをしながら小説書くってどういう気分だろうかって、こちらもかつて図書館員として書棚の彼女の本を整理しながら思ったものでした。

で短編集の題名を挙げておきます。
・観覧車
・ソリスト
・灯油の尽きるとき
・戦争の鴨たち
・秋の花火

で、今回の短編6編集の中では「観覧車」が一番好きでした。面白うてやがて悲しき・・・な世界かな。

男:ニックネームが梅沢殿下。35歳。独身。何故梅沢殿下と呼ばれているかというと、市議会議長の息子だから。で、彼は女性にモテた事が無く、ソープランドから出てくるところを同僚に見られて冷やかされた。
叔母がアレンジしてくれたお見合いで女性と知り合い、初デートのはずがレストランで「逃げられた」。

女:セーラー服の「女子高生」。どういう訳か生足ではなく、ストッキングの上にルーズソックスをはいていた。「援交して」と梅沢殿下に寄ってきた。

乗り合わせた観覧車は彼らが乗ったまま事故で止まってしまい、動けない。ケータイを持っていたのは殿下だけ。「女子高生」が持っていたのはポケベル。それも公立図書館の係長と銘打ったものだった。
モテない男女の意外な出会い。
でも、私はこの二人にとても共感しました。外見は書かれていなかったけれど、梅沢殿下と結構仲良くなれそうに思いました。「援交」やポケベルと言う言葉が懐かしい1997年に書かれた作品です。
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格差社会版ロミオとジュリエット:石田衣良『親指の恋人』

2008-05-01 12:13:09 | 真理庵文庫・その他
小学館のWEB雑誌「きらら」を2年間程購読していた事があります。
最初は嶽本野ばらの作品を読むためでしたが、途中から石田衣良の『親指の恋人』の連載が始まり、
それ緒を読むのを楽しみにしていました。

有名私大に通う澄雄は六本木ヒルズに隣接するレジデンス住まい。
父親は某外資系証券会社日本支社長。
横浜に住むジュリアはパン工場で働きながら、
出会い系サイトのサクラをアルバイトでやっている少女。
本来なら出合うはずの無い二人が、ケータイで偶然にも出合ってしまった!
二人の環境の違いから、どんどん二人は追い込まれて行き、薬物心中という悲劇が起こってしまう。

これだけ書くとかなり無理があるお話ですが、
格差社会がここまで引き起こす可能性がある事を石田衣良は言いたかったのでしょう。
このお話の鍵は澄雄にもジュリアにも母親がいない事です。
澄雄がなぜジュリアに惹かれたかといえば、ジュリアは自殺した母親によく似ていたのです。
そのことに澄雄は全く自覚がありませんでしたが、
父親はそれゆえジュリアを引き離そうと躍起になります。
そしてそれが若い二人の恋に火を付ける結果になってしまいます。

「純愛」ブームですが、現実は純愛すら認められない壁ばかりの社会なのでしょう。
今日的話題満載の小説です。



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『彼女がニューヨークで一番の花屋さんになれた理由』

2007-12-03 20:23:03 | 真理庵文庫・その他
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齊藤学『家族パラドックス』

2007-12-01 20:01:47 | 真理庵文庫・その他

実は齊藤学氏のクリニックは
私の仕事場の近所です。
そのせいだけではありませんが、
齊藤先生の御本は何冊か読んだことがあります。
ちょうどオウム真理教からの奪還者の洗脳を
どうやって解くのかという事が話題になっていたころ、
比較的多くTVに露出していたように記憶しています。

彼の最新作『家族パラドックス』を読みました。
副題に「アディクション・家族問題・症状に隠された真実」
とありますが、
「オープン・カウンセリング」で出た12のケースを
個人が特定できないように変えて紹介した物です。
ですので、この手の本としては
比較的取っつきやすいのではと思います。

ところで、斎藤氏のケースもそうですが、
「自己物語」がいかに大切か知らされました。
河合隼雄氏も「お話」の大切さを説いていました。
それと同時に「確固たる自己物語」に縛られることの不幸も
紹介しています。
あとがきには以下のようにありました。

私たちは自分についての「物語」を抱えて生きている。
…殆どの場合、それぞれの物語には根拠があり、
それを保証する人々にも事欠かない。
しかしそうした「確固とした自己物語」が
自分を縛ってしまうという場合もある。
「自分の症状」や「家族の不幸」が
長年に渡って続いているという自分を人の場合、…
過去が現在を規定するという不合理な事が起こっている。
…実際の私たちの人生は「自己物語」から逸脱する体験と、
そこから生じる新鮮な感覚に満ちている。…
今日の私は昨日の私とは微妙に変化しているのだ。…
                 (177~178p)



こういう視点で行くと、ブログの更新というのも
「自己物語」の更新作業ということにあるかもしれませんね。



 

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『霊ナァンテコワクナイヨー』

2007-11-29 23:08:27 | 真理庵文庫・その他

以前「スピリチュアル」流行に対する苦言を述べました。
そんな私がこの人を好きだというと、
「言行不一致!」と言われそうです。
ですが、三輪明宏さんに関しては、
丸山明宏時代からず~と好きでしたので、
霊が云々だからとか、人生相談とかで、
彼(彼女?)の本を読んでいるわけではありません。

三島由紀夫が亡くなってから、
三輪明宏と親しかったことが分かり、
三島作品を読みながら、
三輪明宏のイメージを重ねていたところもありました。

この本にも、三島由紀夫のことが出てきます。

三島由紀夫さんが自決なさったときに憑いていた霊は、
二・二六事件の首謀者で、磯部浅一という人の霊でした。…
(三島由紀夫は)
「二・二六事件の反乱軍の将校達の首謀格で、事件の後、
処刑されているんだ。死後、天を恨み、国を恨み、
天皇陛下をうらみ、友を恨み…とにかく呪いに呪いまくった
遺書が出てきたんだ。そういう奴だ」
とおっしゃいます。
「そう、じゃあ地獄にいるのですね。
しかしこうして他人に頼ってくるとは一体何事だろう」と、
言ったのですが…。
                 (270~271p)

三輪さんにとって、三島のクーデター未遂・自決は
上記のような解釈なのでしょう。

三輪さんが霊がこわくないのは、
霊と同じくらい生身の人間がこわいという
裏返しの事実があるからです。

一般的なお薦め本ではありませんが、
人生を真正面から捉えたい人には
お薦めしたいです。


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須藤元気『風の谷のあの人と結婚する方法』

2007-11-26 22:39:32 | 真理庵文庫・その他

この本のことは少しだけ、金田一先生のところでご紹介致しました。
それ以上話題にするつもりはなかったのですが、
驚いたことに須藤元気が「結婚」していまい、
題名と同じようになってしまいました。。。
http://crnavi.jp/sudogenki/blog/2007/11/post_81.html

ただし、この本の内容は人生訓であって、
恋愛成就のハウツー本ではありません。
僕は、自分なりの哲学や思想を、テーマごとにこの本にまとめてみた。その中
ですべてに通じて言いたいことは、「すべての生命が喜びと愛にあふれることが
真の成功なり幸福である」ということ。
『風の谷の「あの人」と結婚する方法』というタイトルにしたのも、ひとりひと
りがナウシカに象徴される自然に対する敬意と、愛と慈悲なる形而上的な何かに
つながる、という意味を込めて付けさせてもらった。
 そろそろ思い出してもいいのではないだろうか、僕らは地球というゆりかごに
揺らされて生きていることを。地球は僕らのものではなく、僕らが地球のもので
あるということを。
 地球にとって今の人類は癌細胞みたいなものなのに、子供の成長を見ているか
のように地球はただ見守ってくれている。

 母親に抱きしめられている赤ん坊のような、穏やかで平和な世界を目指してい
こう......ナウシカが最後に着ていた服のシミのように、美しく輝くこの世界
に。                                 〔本人内容紹介より〕

彼が最近結婚した相手がナウシカ似かは知りませんが、
あまりのタイミングのよさに、
思わずエントリーしました。
元気さん、末永くお幸せに♪

 

 

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嶽本野ばら『アラジンと魔法のお買物』

2007-11-23 21:47:01 | 真理庵文庫・その他

この本は9月14日発売となっています。
野ばらちゃんが逮捕されたのは9月2日。
逮捕は発売直前だったわけですが、
出版した勇気にまずは敬意を表します。
で、内容ですが、「ダ・ヴィンチ」に
連載されていたものを加筆の形です。

で、どこを加筆したかというと、
「アラジンと狂気のお引っ越し」の部分。
読みながら、【もの】に振り回された野ばらちゃんの
哀しさを感じてしまいました。

「主役は人間でしょ?」って。
皮肉にも物に囲まれていながらひとりぼっちの
孤独な野ばらちゃんが浮き彫りになりました。
「やっぱり荻窪にお戻りなさい!」って、
言いたくなってしまったエッセー集でした。

ところで、逮捕後休止状態だった
野ばらちゃんのサイトですが、
再開しています。
でも、BBSは使えません。
まあ、世間が忘れた頃、静かに復活させて下さい。
最年長のファンとしては、静かにお待ちしています。

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