れきしどころ真理庵

江戸時代の江戸を中心に、医学史・蘭学史を調べています。日々の暮らしを歴史からみた写真日記。

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篠田節子『秋の花火』

2008-05-17 00:21:34 | 真理庵文庫・その他
篠田節子の『秋の花火』を文庫で読みました。
ある時期から篠田節子さんの作品を読むようになりました。
それは彼女が八王子市役所勤めで、教育福祉畑を回り、図書館勤務経験もあると言う事を知ってから。
図書館勤めをしながら小説書くってどういう気分だろうかって、こちらもかつて図書館員として書棚の彼女の本を整理しながら思ったものでした。

で短編集の題名を挙げておきます。
・観覧車
・ソリスト
・灯油の尽きるとき
・戦争の鴨たち
・秋の花火

で、今回の短編6編集の中では「観覧車」が一番好きでした。面白うてやがて悲しき・・・な世界かな。

男:ニックネームが梅沢殿下。35歳。独身。何故梅沢殿下と呼ばれているかというと、市議会議長の息子だから。で、彼は女性にモテた事が無く、ソープランドから出てくるところを同僚に見られて冷やかされた。
叔母がアレンジしてくれたお見合いで女性と知り合い、初デートのはずがレストランで「逃げられた」。

女:セーラー服の「女子高生」。どういう訳か生足ではなく、ストッキングの上にルーズソックスをはいていた。「援交して」と梅沢殿下に寄ってきた。

乗り合わせた観覧車は彼らが乗ったまま事故で止まってしまい、動けない。ケータイを持っていたのは殿下だけ。「女子高生」が持っていたのはポケベル。それも公立図書館の係長と銘打ったものだった。
モテない男女の意外な出会い。
でも、私はこの二人にとても共感しました。外見は書かれていなかったけれど、梅沢殿下と結構仲良くなれそうに思いました。「援交」やポケベルと言う言葉が懐かしい1997年に書かれた作品です。
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街歩きを書く 新日本橋→深川編

2008-05-13 14:44:20 | 歴史散策
8年前、開業医の方の雑誌「JMC 全医協ニュース」で
「隅田川下流域の日蘭交流400周年」を書きました。

今回アップしているのは記事の一部分、街歩きの順路図です。

①長崎屋跡→②三浦按針屋敷跡→③ヤン・ヨーステンの碑→
④蘭学事始めの碑→⑤シーボルトの胸像→⑥坪井信道の日習堂跡→
⑦平賀源内電機実験の地→⑧桑田立斎種痘所跡→
⑨宇田川榛斎の隠居跡


全行程だと健脚の人でも3時間以上かかると思います。
若い人なら午前中に出発し、隅田川テラスで食事休憩し、
午後大川を渡って深川に出るというのもお勧めです。
蘭学関係だけこれだけありますが、
史跡全般を入れればもっとボリュームが膨らむ歴史ゆかりの地です。
沢山のバリエーションが楽しめると思います。

ご高齢の方にはこのルート三分割をお勧めしています。
①新日本橋→東京駅
②隅田川テラス
③深川
①+②+③だと3~4時間かかりますが、
一つずつだと、だいたい1時間強くらいで行けます。
ここには書かれていませんが蘭学以外の史跡も周辺にありますので
喫茶店等で休みながらそれらも入れて3時間くらいに膨らますと
ご高齢の方にはちょうどいいかと思います。
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山崎洋子 『赤い崖の女』

2008-05-04 13:52:25 | 真理庵文庫・歴史&医学
実は山崎洋子さんを読むのは初めてでした。
ある方のお勧めで読み出したのですが、読んで面白かった!
歴史小説でありながら【待つ女】ではなく、どんどん道を切り開いて行く女が描かれていたから。

黒船来航の本牧。器量よしの希沙は腹違いの姉美代に疎まれていた。希沙と自分の許嫁卯之吉の中を邪推したのだった。その後卯之吉は本牧から姿を消す。美代は希沙が卯之吉にしむけたと思い込み、男どもを使って希沙を襲わせ、「赤い崖=マンダリン・ブラフ」にぶら下げさせた。希沙のことはすぐに周囲に知れ、父親は娘を横浜の岩亀楼という遊郭へラシャメン(外国人相手の女郎)として売った。
器量も頭もよい希沙はすぐに頭角を現し、外国人の屋敷へ現地妻として迎えられたのだが、いざ床入れとなると体調をを崩す。それが何度も続いて、とうとう歩くこことすらまま無くなり、下働きの部屋へ放り込まれた。そこで加世というあばただが気だてのいい少女と出会い、二人は親友になっていく。
二人一緒にケイトと言うイギリス女性の女中になるが、ケイトもまた自分の道を切り開こうと悪戦苦闘している女性だった。横浜で婦人服の仕立て屋をするのが彼女の夢だった。希沙は通訳と洋服作り、加世は女コックを目指しながらケイトの元で頑張っていたがそんなある日、横浜に大火事が起こった。希沙と加世は別れ別れになるが。。。

幕末の横浜を舞台にして、意欲的な若い女性たちの困難にもめげずに自分たちの夢を実現して行く姿を描いていて共感できます。
希沙の男性拒否が輪姦のトラウマだと言う事は、現代の私たちにはすぐに分かります。トラウマを乗り越え、自立して行こうとする希沙と加世。それをずっと憎んで邪魔をする美代。時代の流れに翻弄されながらも、最後混血児の施設を作って行くところは圧巻です。

時代小説の形をとりながら、実は現代女性の友情物語と感じました。
さわやかな読後感です。


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NHK朝の連ドラ「瞳」の舞台

2008-05-03 11:59:01 | 日常茶飯事記
NHK朝ドラ「瞳」のオープニングで、月島・佃島周辺が写されますが
そこに私の住まい周辺も写っているのに気付きました。
以来久しぶりに連ドラを比較的真面目に観ています。

石田衣良の『4TEEN』もそうですが、都心にこんなに近いのにちゃんと長屋が残っており、
路地には猫がいて(!)季節の花が丹誠込めて20センチ程度の奥行きの無い庭に植えられて、
初めて来た時は昭和にタイムスリップしたような錯覚を起こしたものでした!

「もんじゃ焼き」で有名になった御陰で、住人の町というより観光地化した感はありますが、
それでもちょっとがらっぱちではあるものの人情味はありますよね。
私しとっては日々の暮らしの中にある町です。

連ドラの方は、ダンス少女の成長記ということらしいのですが、
モデル上がりの榮倉奈々がスタイルはいいものの、演技は?で、
周囲を固めた人々がいかに面白くするかにかかっているのかもしれません。

もし何かのついでにご覧のときは、
「ああ、真理庵はこんな町に暮らしているのだな」と思い出して下さいね♪

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山口正介の麻布

2008-05-02 15:55:08 | 歴史散策
今山口正介氏の本をまとめて読んでいます。
最初に読んだのは『南麻布物語』の中の「麻布プリンス物語」でしたが、都会の中の「特別な場所」で過ごした少年の日常の中の異文化体験はすごく面白かったです。
その後『麻布新堀竹谷町』を読みました。
山口瞳の息子、山口正介の小学生時代の麻布体験が短編小説の形で語られています。最後に少年は引っ越す事でこの街と決別するのですが、これは山口瞳が抱えてきた問題と重なるので、今度は山口瞳の小説を読んでみたくなりました。
それでこれの後、『山口瞳の行きつけの店』を読みました。これは父親と息子という微妙な関係の中で、父親の好んだ店を息子が再訪する回顧録です。懐かしさばかりではない、どこか生々しさも含みながらも、もうこの世にいない父親への敬意を感じました。
そして今読んでいるのが『僕の父はこうして死んだー男性自身 外伝ー』です。
しばらく山口正介、瞳親子の作品を、改めて【麻布の地】から読んでみたいと思っています。

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格差社会版ロミオとジュリエット:石田衣良『親指の恋人』

2008-05-01 12:13:09 | 真理庵文庫・その他
小学館のWEB雑誌「きらら」を2年間程購読していた事があります。
最初は嶽本野ばらの作品を読むためでしたが、途中から石田衣良の『親指の恋人』の連載が始まり、
それ緒を読むのを楽しみにしていました。

有名私大に通う澄雄は六本木ヒルズに隣接するレジデンス住まい。
父親は某外資系証券会社日本支社長。
横浜に住むジュリアはパン工場で働きながら、
出会い系サイトのサクラをアルバイトでやっている少女。
本来なら出合うはずの無い二人が、ケータイで偶然にも出合ってしまった!
二人の環境の違いから、どんどん二人は追い込まれて行き、薬物心中という悲劇が起こってしまう。

これだけ書くとかなり無理があるお話ですが、
格差社会がここまで引き起こす可能性がある事を石田衣良は言いたかったのでしょう。
このお話の鍵は澄雄にもジュリアにも母親がいない事です。
澄雄がなぜジュリアに惹かれたかといえば、ジュリアは自殺した母親によく似ていたのです。
そのことに澄雄は全く自覚がありませんでしたが、
父親はそれゆえジュリアを引き離そうと躍起になります。
そしてそれが若い二人の恋に火を付ける結果になってしまいます。

「純愛」ブームですが、現実は純愛すら認められない壁ばかりの社会なのでしょう。
今日的話題満載の小説です。



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