記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

島原鉄道南線(旧口之津鉄道区間)廃止記念?口之津鉄道の初三郎絹本原画見つかる!

2008年04月09日 22時47分10秒 | 吉田初三郎
 約2ヶ月ぶりの更新である。その間、波瀾万丈さまざまな事があった
が、おいおい記すこととする。とにかく公私ともに忙しかった。

 4月6日と7日、熊本県水俣市 湯の児温泉と芦北町・佐敷を訪れた。
吉田初三郎展の準備のためである。両方とも約11ヶ月ぶりの訪問、6
日は初三郎や徳富蘇峰・蘆花ゆかりの老舗旅館・平野屋へ宿泊した。初
三郎が昭和21~23年にかけて幾度となく訪れた宿である。部屋も当
時のまま、木造三階建ての風情ある佇まいは郷愁たっぷりだ。昨年訪れ
た時と同じように、ご主人と初三郎「湯の児七景」絹本原画と前田虹映
「湯の児温泉鳥瞰図」絹本原画が出迎えてくれた。

 昨年伺った際に拝見したものと別に、初三郎が描いた花鳥図を見せて
もらった。湯の児は今が桜まっさかり、初三郎の絵は満開の桜の枝に雀
が1羽留まっている趣のある作品。桜の間に飾られている「桜とおぼろ
月夜」も初三郎ファンでなくても気に入るような素晴らしい絵である。
湯の児温泉界隈の桜は初三郎が訪れた頃に植えられたものだそうだ。当
時、桜で売りだそうとする新興温泉地に絡んでいた訳だ。

 平野屋に遺る初三郎作の「湯の児七景」は、残念ながら今は6点しか
遺っていない。昭和22年6月1日に描かれたもので、滞在中に徳富蘇
峰から初三郎宛に絵葉書が届き、昭和4年に蘇峰夫妻が宿泊した際の写
真を基にした作品が1点あるのも興味深い。失われた1作は、たぶん桜
の頃の風景であろう。

 湯の児温泉といえば、観光社の昭和10年度作品目録には「湯の子温
泉(熊本県)」とあるが、未だ未見の図。作品目録は印刷されていない
ものも含まれるので、今後も根気強く水俣周辺の捜索を行おうと思う。
何より初三郎は九州でも忘れ去られた存在なので、小規模でも企画展を
何度も行うなどの仕掛けも必要である。

 翌7日、佐敷のご遺族宅へ伺った。今秋、初三郎展を開催する博物館
の学芸員とともにご挨拶と資料協力のお願いである。また、遺っている
資料を一式拝見するのも目的だった。当時の想い出や経緯を改めて取材
し、これまでの謎や空白の部分の大半が繋がるほど、収穫が多い訪問で
あった。しかも、鳥瞰図を含む肉筆画・原画類も多数確認できた。

 その中に1点、昭和11年の口之津鉄道の絹本原画があって大興奮で
ある。多くの肉筆画は佐敷で描かれたものだったが、これは佐敷へ疎開
する以前のもの。何故ここにあるのか不思議に思い質問してみたが、す
ぐに納得するとともに口之津鉄道や島原鉄道との関係も見えてきた。さ
らには帰福してご遺族の話しを確認するためにネット検索を繰り返すと、
大牟田市と初三郎の繋がりも出てきた、思わぬ収穫である。
確認した資料は秋の企画展で公開することになりそうだ。

 口之津鉄道といえば、つい先日、3月31日付けで島原鉄道に合併さ
れた旧口之津鉄道区間(南線)が廃止となったばかり。奇しくも島原鉄
道は5月に創業100年を迎える。

 今日の写真は、昭和9年版の口之津鉄道沿線図(全体図再掲載)


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