記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

マリノアシティ閉館と観覧車の思い出

2024年08月15日 03時55分16秒 | 福博まちの記憶

マリノアシティ(福岡市西区)が2024年8月18日限りで閉館する。私がゼンリンGから独立した年の秋、2000(平成12)年10月に開業した九州初の本格アウトレットモール。そのシンボルが高さ約60mの観覧車(スカイホイール)で、開設当時は家族でよく施設を訪れ、観覧車にもよく乗った。

隣接地に2001(平成13)年12月に開業したエバーグリーンマリノアに登場した巨大観覧車(スカイドリームフクオカ、高さ120m、2011年解体移設)とともに「双子観覧車」として親しまれ、撮影する際には構図に入れた。

写真は、コンデジを購入して博多湾の風景を本格的に撮り始めた2003年から2005年にかけて撮影したもの中心。

2018年の「シーサイドももち花火ファンタジア」の際には、観覧車と花火を一緒の構図に入れたくて、場所を探して撮影したりした。以下、小さくてもいい感じに花火の下に観覧車の灯が映るお気に入りの一枚。

2004年秋から翌2005年春にかけて、絵地図「博多湾周遊絵巻」製作のために絵地図作家・村松昭さんを東京から招聘し、博多湾沿岸の景観ポイントや古墳・史跡などをほぼ全て巡った。

スケッチする村松さんの傍で、私は写真を撮影。マリノアシティの観覧車も描いてもらったが、あくまで海側からの景観ということで観覧車は1つだけ描かれた。

村松さんに絵地図作りを依頼した理由のひとつは、ライフワーク研究する鳥瞰図絵師・吉田初三郎と同じように現地を踏査取材し、印刷技術に合わせて作風を変えていた(当初は石版印刷=シルクスクリーン、その後は水彩タッチを活かすためにオフセット印刷)からだ。

絵地図作家・村松昭さんの絵地図や絵本は、Amazonでも購入できる。

この頃、能古博物館に行くと村松さんと並んで、個人的に大好きな画家・柳原良平さんの切り絵(能古島のフェリーなど)が販売されていて、お二人が描く構図を研究しつつ、博多湾の風景写真をたくさん撮った。上の写真のように、能古島からの渡船の背後に観覧車を入れてみたり…絵地図製作に協力いただいた(毎回、船を出していただき海上からスケッチや撮影を繰り返す)能古漁協の石橋組合長とのご縁で、休日ごとに能古島を訪れていた時期だ。

絵地図は5千部製作し、福岡市内の全小中学校に一部ずつ寄贈。残りは書店や通販、イベントで販売した。丸善福岡ビル店(当時)など書店イベントや、福岡市環境フェスティバル等でも製作工程や景観写真とともに展示したり、ワークショップ「虫めがね探検隊」を開催したりと、村松さんの絵地図は大好評だった。古巣ゼンリンでは地図の資料館(現ゼンリンミュージアム)で企画展も開催、ちょうど九州新幹線の部分開業(新八代ー鹿児島中央間)と重なり、村松さんが鳥瞰図ポスターの原画製作も担当していたので、当時はかなり話題になった。

取材をした2004年から2005年にかけては、九州大学伊都キャンパス開校に合わせて九大学研都市駅が開業したり、駅周辺の田園地帯の区画整理・開発が進み始めた時期で、大塚古墳など周辺に点在する70m級の前方後円墳などを何度も巡り、開発前の周辺景観とともにたくさん写真を撮りためた。

この時期、私は一般公募で立ち上がった福岡市西区まるごと博物館推進会の広報メンバーにも応募し、博多区から越境して活動に参加した。一緒にボランティア活動して知り合ったお歴々の先輩方とは今も個別に交流があり、その後の私の仕事や人脈にも大きく繋がっている。

並行して、2000年から2006年まではNPO法人エコネットふくおかの設立・活動(福岡市東区臨海リサイクルプラザ運営)にもボランティアで関わっていて、広報部門の理事も1期務め、その間2005年の「愛・地球博」には福岡市東区グリーンマップを製作して、環境サミットにも代表として参加したり…この頃は若くて行動力もあったな、と20年経って少しだけ回想してみた(普段はそんなことは忘れているけど)。

そういえば、マリノアの大観覧車といえば小田和正さんがコンサート(マリンメッセ公演だったか)の名物コーナー「ご当地紀行」で訪問した際にも紹介され、この時の小田さんのコメントが強く耳に残っている。なぜ2つも観覧車が必要なのか、という誰もが思う疑問だった。

その観覧車も間もなく見納め。施設の閉館以上に「ひとつの時代が終わった」感が強いのは、かつて(といっても20年前)に全国随一の観覧車がある都市だった福岡市に残るのは、福岡市動物園の観覧車だけになるという事実が寂しいから。2000年代にあった観覧車だけで、マリノア(2基)・かしいかえん・海の中道海浜公園・福岡市動物園と5基。それ以前を辿ると、岩田屋(屋上観覧車)・福岡水族館など小型の観覧車、さらに遡って1910(明治43)年の共振会に登場した観覧車(国産初、徳永鐵工所製)まで。だざいふえんや到津遊園、明治屋(びっくり市)など県内の懐かしい観覧車にまで記憶や思い出が巡るからだと思う。

絵地図作家・村松昭さんの絵地図や絵本は、Amazonでも購入可能。

 

・にしてつWebミュージアム(企画構成を担当)

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