2180 作者未詳 2011-12-21 | 巻十 秋雑歌 九月乃 鍾礼乃雨丹 沾通 春日之山者 色付丹来 九月(ながつき)の しぐれの雨に 濡れ通り 春日の山は 色づきにけり 「9月の、しぐれた雨に、(山一面が)濡れてしみとおる。春日の山は、色づき始めた」
2179 柿本人麻呂歌集 2011-12-20 | 巻十 秋雑歌 朝露尓 染始 秋山尓 鍾礼莫零 在渡金 朝露に にほひそめたる 秋山に しぐれな降りそ ありわたるがね 右二首柿本朝臣人麻呂之歌集出 「朝方に降りた露に、(もみじが)色づきはじめた。(だから)秋の山に、時雨よ降るな(落葉が進むではないか)。いまのままであってほしいんだ」 右の二首は、柿本朝臣人麻呂の歌集に出る
2178 柿本人麻呂歌集 2011-12-19 | 巻十 秋雑歌 詠黄葉 妻隠 矢野神山 露霜尓 々寶比始 散巻惜 妻ごもる 矢野の神山(かむやま) 露霜に にほひそめたり 散らまく惜しも 黄葉(もみじ)を詠む 「“妻ごもる” 矢野の神山(のもみじ)が、露や霜で、色づき始めた。散るのが惜しまれるよ」
2177 作者未詳 2011-12-18 | 巻十 秋雑歌 詠山 春者毛要 夏者緑丹 紅之 綵色尓所見 秋山可聞 春は萌え 夏は緑に 紅の まだらに見ゆる 秋の山かも 山を詠む 「春は(草木が)萌え、夏は緑に(包まれて)。“紅の” まだらに見えるのが、秋の山だよ」
2176 作者未詳 2011-12-17 | 巻十 秋雑歌 秋田苅 苫手揺奈利 白露志 置穂田無跡 告尓来良思 【一云 告尓来良思母】 秋田刈る 苫手動(とまでうご)くなり 白露し 置く穂田(ほだ)なしと 告げに来ぬらし 【一云 告げに来らしも】 「秋の田そばの刈り小屋の、むしろを縛る細縄が動くよ。白露が、降りる稲穂がもうないと、告げにきたらしい 【一に云う 告げに来るようだ】」