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還暦直前に心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症弁形成術体験記)

還暦を目前にして滋賀医大の浅井徹先生の執刀で僧帽弁形成術を受けました。
私の体験が同病の方の参考になれば幸いです。

手術適応と診断されたときの心境

2011年12月26日 | ワンポイントアドバイス
去年(2010年)の6月末日に滋賀医大心臓血管外科を受診し、各種検査の後浅井先生から

重度の僧帽弁閉鎖不全症のため手術適応です。手術をお勧めします。

と告げられたとき…そうだろうなと、うすうす予想はしていたんです・・・・が…
自分の耳で聞いたとき、動揺しなかったと言えばウソになります。やはりショックはありました。
待ち時間の間に覚悟は次第にできてきましたが、それでも・・・・

その2日前、ヴォーリズ記念病院で心エコー検査を受けたときに

中等度と重度の間ぐらいの僧帽弁閉鎖不全症です。
僧帽弁とはかくかくしかじか
閉鎖不全症とはかくかくしかじか

と告げられたとき、心の中ではなんでやーーー?
と叫んでました。しばらくは心そこにあらずと言った感じでした。
若い頃に受けた健康診断時に、良い心臓してると言ってくれたことがあるのに?
いつ悪くなったのか?
何して悪くなったのか?

ヴォーリズ記念病院には心臓外科がないので手術適応かどうかの判断のために滋賀医大を紹介されたわけですが、まだ手術は必要ないと言ってくれれば有りがたいと思っていたんでしょうね。
まるで往復ビンタを食らったようなもの(笑)
けど、立ち直るのは早かったです。
気持ちの切り替えは年の功でしょうか、早くなりました。

ところで11月下旬のこと、夕方のあるテレビ番組で滋賀医大心臓血管外科(というよりは浅井教授)の特集があり、番組内で浅井先生の外来診察風景が映像で流れたのですが、
「心臓病と診断され、まして手術が必要となると半分死刑判決あるいは有罪判決くらいショックを受けるの、人間は……」
と、患者さんに告げられていました。
それを見てなるほどそうかと…死刑とか有罪とか、言い得て妙でしたよ。

浅井先生は続いて
「手術によって心臓はもちろん体が元気になり……そしてそういうものから立ち直って初めて治療に意味がある。」
「我々に任せてください、絶対に大丈夫ですから」×2
と患者さんと握手しながら締めくくられました。
その言葉なんですよね。言葉ひとつで患者が勇気を出せるようになります。
もしかしたら人生で最大、最重要な決断をするかもしれないのですね。
その言葉が本当ならひとつがんばってみようかな・・・と。
絶対大丈夫か、それなら安心して先生にお任せしよう・・・・
ちなみに私も握手してくれましたし、名刺もいただきました。

私は手術前日の夕方、回診の先生から
豆パパさん、明日手術ですよね、絶対に大丈夫ですから
と力強く言ってくださいました。
そのおかげか夜は熟睡できました。

その他番組で流れたのは、隣り合った手術室で2件の手術(うち1件は救急車で搬送されてきた患者の緊急手術)が同時進行していましたが、ドラマではない本物の手術風景でした。
ドラマ見すぎの人は物足りないかもしれませんけど(笑)
テレビカメラは「不潔」ですから余り近づけないはずです。

ところで、ドラマでは手術開始時に執刀医が
メス
と言うと看護師がメスを渡しますが、実際の手術ではメスと言わないそうです。
手術開始時は必ずメスから始まりますので執刀医はだまって手を出し、看護師はメスを黙って渡す…そうです。

これは娘の以前の勤務先に元オペナースがいらっしゃって
メスとは言わないよと聞いたと言ってました。

つまりは演出なんですね。

形成した弁の持ちはどうなんだろう?

2011年12月07日 | ワンポイントアドバイス
11月20日のオフ会の時に出た話題のひとつなんですが・・・・
形成した僧帽弁はどのくらい持つのだろうか?
いつか再手術になるのだろうか?

先生に質問しても答えは一様に
「人それぞれ…」
まあそうなんでしょうけど、最近ふと思ったのは
人それぞれの、その【人】というのは患者だけを指すの?
もちろん患者それぞれも言えるけど、執刀医それぞれでもあるのではないか?
と・・・・

私が入院する直前の診察時に浅井先生から聞いたところでは
滋賀医大に来て2000人に手術をしたが、現在まで再手術に至った例はない…と。
どんな手術も執刀医の技量に負うところは大きいですが、弁形成術は弁置換術以上に執刀医の技量に左右される術式といわれています。

止めた心室を生食で一杯にして心房に逆流させて、弁葉の痛み具合を診て形成のやり方を判断し、手順を決め、途中何度か逆流テストを行い形成を完了させます。
生食による逆流テストでは圧力はほとんどありませんが、心房を閉じて大動脈の遮断を解いて心臓が鼓動を始めれば何十ミリかの血圧が生じます。弁には大きなストレスがかかりますよね。そこで逆流がなければ本当に完了なのですが、その時はもう目に見えないんですよね。その状態を想像しながら形成するわけですから凄い業だと思います。

この弁形成の時、傷んでいる弁葉を切ることもあれば、切らないまま形成することもあります。
病院のHPなどを見ると、後尖は切除して形成するような絵がよく描かれていますが、前尖や交連部をどう形成するかという絵は見たことがありません。
私の場合は前尖と交連部の閉鎖不全でしたが、ビデオ映像を見たところではどこも切らずに形成されたようでした。ケースバイケースなんでしょうね。
それらの判断は執刀医それぞれで、形成術は名人芸とも言われています。

それで形成した弁が果たしていつまで持つのか?
一生行けるか、将来的に再手術になるのか?
どの程度の運動をしても良いのか?
お酒はどのくらい飲んでも良いのか?
結局は、誰にもわからないように思います。
それで経過観察を続ける必要があるのでしょう。

私の場合、弁葉を切らずに形成したと言うことは、もし将来再手術になった場合切るという手段を執ることができるよう含みを持たせたのでしょうか?
来年9月の定期診察の時に聞いてみよう。
(覚えていたら…)

アドバイスのカテゴリーにアップしましたが、これじゃアドバイスにはならないですねぇ。

もう少し調べてみたいと思います。

術後のリハビリ

2011年08月03日 | ワンポイントアドバイス
現在は心臓手術後、早ければ翌日からリハビリが始まります。
設備の整った病院であれば、心臓リハビリというメニューがあります。
術後数日は体のあちこちが痛み、リハビリどころじゃない、ゆっくりさせて欲しいというのが普通だと思いますが、ここで踏ん張ってリハビリに励むと回復が劇的に早まります。

私の場合で、ICUから病室に戻った手術翌日からリハビリが始まりました。正直なところゆっくり寝たかったのですが、歩くだけと言うことでうまく乗せられました。

まあ、それでも寝た姿勢から起き上がるまででも一苦労です。それもリハビリの一つ。
しかし起き上がってしまえば、立ち上がるのはどうってことはありません。
廊下に出て念のため歩行器を使ってナースステーションの前を行ったり来たり、2往復くらい歩きました。この歩く距離を毎日少しずつ延ばします。
まだ体に管がつながっていたりしますので、それの処置に頭を使います。
頭もリハビリ?

心臓リハビリは主にバイク漕ぎですが、心電図をモニタリングしながら行いますので、特に不安になることはありません。
1日1回、30分ほどのリハビリですが、体力に余裕があると感じられたなら、
ベッドではなるべく横にならない
ゆっくりで良いので外(許可された範囲内で)を出歩く
ことをお勧めします。早く家に帰れますし、帰宅した後も楽です。

検査のために手術の1週間くらい前に入院されることが多いと思いますが、体力(特に足)の衰えを防ぐため、院内、院外を歩いてみることもお勧めしたいと思います。

手術に適した季節は?

2011年01月16日 | ワンポイントアドバイス
手術に適した季節ってあるのでしょうか?
待機手術の場合はそんなに慌てる必要がないので、患者自身の裁量である程度時期を選ぶことができます。
手術自体に適した季節というのは、ないと思いますが、退院後社会復帰するまでの1~2ヶ月の間は、自宅療養されますよね。
花粉症をお持ちの方の場合、この自宅療養の時期と花粉が舞う時期が重なると、くしゃみのたびに胸の痛みに耐えなければなりません。痛みを緩和する方法はありますが、無くすことは残念ながらできません。
一方、胸骨が完全にくっつくのに術後大体3カ月かかります。したがって3カ月経てばくしゃみしても咳しても痛みを感じることはなくなります。
花粉症対策を徹底する方法もありますが、できたらその時期は避けられた方がよいと思います。

心臓手術の不安

2011年01月10日 | ワンポイントアドバイス
心臓の手術はCABG等一部の手術を除き、生きている限り動き続けることを止めない心臓を止めることから始まります。手術終了後果たして心臓は再鼓動を始めるのだろうか?
心臓手術の不安で最も大きいのはこれではないでしょうか。

手術適応と知った直後は漠然とした不安がありました。最初から全く不安を感じない人はいないと思います。

そして手術前2ヶ月間、いろいろ調べていて待機手術の場合、安全率は極めて高いという事実を知りはしましたが、再鼓動に関する疑問はずっと持ち続けていました。
自分にとっては1かゼロか。安全率が99%を超えていると言っても不安が多少和らぐだけです。
技術的な意味では、心臓にカリウムを送り込むと分極できなくなるので拍動が止まる、逆にカリウムを洗い流せば拍動が開始するという記事を読みはしましたが、あいにく素人の私には??
それでも心臓手術の先輩方のHPやブログで、不安はしだいに解消していきました。

そして最後の最後の最後に思い至ったのは…
心臓は動き続けることを宿命づけられた臓器である。簡単に止めることなどできやしない。やっとこさ止めることができても、止める条件を外してやれば、ほっといても動き始めるものなのだ。
数億年にわたる生命進化の果てに現在の動物の身体があると考えれば、心臓は動くのが自然なのだ、と。

中学生の時、理科の授業でカエルの解剖をしました(1960年代半ば)。
前日用水路などでカエルを釣ってクラスの生徒ほとんど全員、カエルを学校に持って行ったのです。
中にはウシガエル(食用ガエル)を持ってきた女子生徒もいました。これには参った。

麻酔をかけて、お腹からメスを入れて各臓器を見て勉強したのですが、心臓はですね、心臓だけになっても拍動を止めることはありませんでした。何十年も昔のことなのですが、今でもしっかりと印象に残っています。

すごいんだ心臓は・・・・
それにしても、将来私が心臓を手術することになるのを予測して、記憶の引き出しに置いてくれたのだろうか?
心臓のすごさをわが身を犠牲にして教えてくれたカエルさんにも感謝しなければ。

たくさんの情報がネットで得られる便利な時代になりました。しかし最終的に納得して手術に臨むには、これで私は安心を得られたというものが必要だろうと思います。
それはもちろん人それぞれですが私の場合、最後に背中を押してくれたのはカエルの生命力だったのかもしれません。

献血について

2010年11月04日 | ワンポイントアドバイス
弁膜症の治療が終了したら献血は再開できるのか、調べてみたところ

京都府赤十字血液センターのHPにQ&Aがあり、
過去にどんな病気をしていれば献血できないのですか?
という質問に対し、以下のような回答が掲載されていました。

原則として、どんな病気でも治療中は献血できません。特に癌、心筋梗塞、弁膜症等の重い心臓病、脳卒中、梅毒、C型肝炎、血管疾患等にかかったことがある方は、治っても献血できません。これ以外の病気でも、治って直ぐに献血できるのではなく、一定期間経過後に可能となっています。但し、盲腸、扁桃腺の手術等、軽い病気の場合には治っていれば直ぐに献血できます。

つまり、心臓弁膜症で手術を受け治療が終了しても一生献血はできないということです。

薬から解放されたら献血を再開しようと思っていたのですが、残念です。

入院時の持ち込み品

2010年10月22日 | ワンポイントアドバイス
主記事から適当に抜粋して、これから入院、手術等控えておられる方へのアドバイスめいたものをここに書いていきたいと思います。カテゴリーとして独立させた方がわかりやすいかなと、思いました。

まず、入院時の持ち込み品について
必需品については、入院日程が決まったときに病院からこれこれ用意しなさいと指示されます。
大体は書いたものを渡してくれます。
これは本当に最低限です。趣味や楽しみについては患者毎に異なるため、当然書かれてはいません。

私が用意したのは
携帯電話、小説、ウォークマン、デジカメ、ノートそしてメモ帳でした。
隣のベッドの若い人は、携帯ゲーム機を持っていました。
テレビが見えるパソコンを持っている人もいました。

入院中は、意外と突然予告無しに看護師さんや先生が来室したり、ナースステーションから呼ばれたりします。その時ベッドにいないと、後回しになったり、スケジュールが変わったりすることが考えられます。
なので、メモ帳でも何でも行き先がわかるものを床頭台(テレビ台のこと)などに置いておくと、すぐに探してくれますので役に立つと思います。ただし、ナースステーションから呼ばれたときはどうしようもないので、長時間ベッドを離れる場合はナースステーションに一言、声をかけておくと良いと思います。

ノートとデジカメはブログ作成を考えていたので、日々発生することを事細かく書き留めたり、撮影しておこうと用意しました。