くろうさぎ

ソーイングにパン作り、日常のことや 大人になって始めたピアノのこと♪ そして、小説もちょこっと書いてます・・・。

物を書くのに頼りになる相棒…。

2018-12-10 23:57:33 | 小説

読書メーターの読み友さんたちは
本当にいろんな本を読まれていて
参考にさせていただくことが多々あります。



こちらの本もまさにそうです。


文章を書いていて詰まった時に
助けてくれる頼もしい相棒たちです。

ちょっと字が小さめなのが難点ですが
字が大きいタイプもあるけど
本も大きくなるので、小さい方をセレクト…。

気になる言葉はパラパラとめくっています。


6月も後半に…。

2014-06-16 23:17:25 | 小説
早いもので6月も
後半へと突入しました。



今度の目標は、かなりハードルが高いので
越えられるかどうかわからないけど
逃げずに乗り越えられるように頑張ります。

期限は来月10日…。
まずは、完成目指して書くのみ!です。

久しぶりに買ってみました。

2014-06-11 23:58:20 | 小説
何年ぶりかわからないくらい久しぶりに
雑誌の『コバルト』を買いました。




雑誌のサイズがいつの間にかこんなに
小さくなっててビックリしましたが…。
以前は、B5サイズだったのかな?
その頃、ショートショートなんか書いては
投稿したりしてました。



職場の方にお借りしたSFの本を読んでるうちに
また小説を書きたい!と思う気持ちが
だんだんと膨らんできました。

これから、どんなストーリーが生まれるだろう…?


書きたくて・・・。

2012-11-29 23:01:51 | 小説
随分若い頃、小説らしきものを書いていました。




小説を書くのはいくつになってもできることだから

もう一度、きちんと向き合って投稿してみようと思います。




目標を定めた夢を追いかけて、必ず形にしたいです。





何だか年末が近いのに、新年の抱負みたいになりましたけど・・・。



当たって砕けても、ぶつからないままくすぶってるよりは

絶対にいいと思うので・・・。

書きたいと思う情熱・・・。

2012-02-04 23:15:11 | 小説
先日、『ALWAYS』の映画を観て

違う面で感じたのは・・・。






茶川さんと淳之介くんの小説に対する熱い想いが

とっても羨ましいということでした。




今まで小説らしきものをほんの少ししか書いていない私ですが

それでも二人の想いはズーンと心に響きました。



小説を書くのはいつも

書きたいから・・・書かずにはいられないから・・・

なんですよね。



でも、日々暮らしていると雑事に負けて

思うようにその世界に浸ることができずにいます。




いつか自分のためにもっと時間を使える日々がやってきたら

また書けるのかもしれませんが

そんな日々が必ず来るという保証などなく

遠い昔、たくさんの時間を浪費していた頃を思うと

もっといろいろ書けば良かったと後悔しています。




でも、一見無駄に思えるその時間さえも

自分を積み重ねていく一部だったというのも

また事実なわけで、後悔しても仕方ないのですけど・・・。





だから、今しか書けないものを

これから模索していきたいと思います。

いつかって、いつ・・・。

2010-05-22 22:49:53 | 小説
                   よく口にするいつか・・・って言葉・・・。

               その「いつか」っていつなんだろう?って思います。



               暇を作ろうと思っていても、そう易々と作れないし

           雑事にかまけていたら、あっという間に時は過ぎ去ってしまう。

            明日が必ずやってくるって保証はどこにもないのにね・・・。



           でも、弱い人間だから、ついつい先延ばしにしちゃうんだけど。




          気持ちが疲れていたら、えいやっ!って頑張ることはできないけど

            せめて、淡々と日々のことはやらなくては・・・と思います。



             ちょこっと楽しみを織りまぜながら、暮らしていけたら

                   楽しい毎日になるんだろうな・・・。



          本を読んでいると、あぁ・・・何かを書きたいなって気持ちになるけど

          それを文章にしてつなげていくのは、なかなか根気のいる作業です。




                水が湧き出るように、言葉が生まれてきたら

                     苦労しないんですけどね。








12月の話・・・「決断の時」

2009-12-31 15:37:10 | 小説
今朝は慌ただしかったものの、新幹線に乗ってしまうと、後はただ身を任せていれば
目的地に着くだけで、俺は急に不安になってきた。
こうして後先考えずに、一人であいつの家に向かっているけど、本当にこれで良かったんだろうか?
あいつにも、きちんと事情を話して二人で来た方が良かったんじゃないのか?
そう思い始めると、俺はいてもたってもいられなくなった。
もし、あいつと俺が逆の立場だったら、こんなの絶対に嫌だしな・・・。
俺は心を決めて、あいつに電話した。
「私の知らないとこで、そんないきさつがあったわけね・・・。」
事の一部始終を聞いたあいつは、静かにそう言った。
「母さんの言いそうなことだわ。でも、知らせてくれて良かった。
もし、このまま黙ってたら、ぶん殴るとこだったわよ!」
(危ないとこだったな・・・。)俺は苦笑した。
「駅で待ってるから、すぐに追いついて来いよ!」
「オッケー!!」
あいつは、そう言うと、すぐに電話を切った。

しばらくして、駅で合流した俺たちは、そのままタクシーに飛び乗って、あいつの実家に向かった。
「やっぱり、一緒に来ちゃったのね・・・。」
俺たちを迎えるなり、彼女は小さくほほ笑んだ。
こうなることは、予測していたらしい。

「母さん、一体どういうことよ!娘を見くびるにも程があるわ。」
そう言ったかと思うと、わっと泣き出して、母親の胸に飛び込んだ。
「ごめん・・・。あなたの人生を狂わせたくなかっただけなのよ。」
彼女もつられて涙ぐむ。こっちまで、もらい泣きしそうだ。
「私、今の仕事も生活も大事だけど、それ以上に母さんが大事なの!
だから、一人で背負いこまないで、もっと私に甘えて欲しい。」
二人とも抱き合ったまま、ずっと動かない。
俺は、そんな二人を静かに見守るしかなかった。

ようやく落ち着いたのか、あいつが照れくさそうに呟いた。
「やだ、二人の世界に浸ってて、存在無視だったね。」

(今しかないな・・・。)
俺は、覚悟を決めた。
「お母さん、必ず娘さんを幸せにするってお約束します。だから、娘さんを僕に下さい。」
「こんな娘でよかったら、喜んで・・・。」
涙をぬぐいながら、彼女はそう言った。
「ち、ちょっと何よ!二人ともあんまりなんじゃない?
大体、私まだプロポーズされてないわよ。」
「ごめん、順番間違ったな・・・。俺と結婚してくれないか?」
「もう・・・。ムードも何もありゃしないんだから・・・。いいわよ!」
顔を真っ赤にして、そのまま俯いたまま黙っている。

やけくそな返事をもらった俺は、何だか変な気分だ。
今までのことが、頭の中でくるくるとまわってるみたいに、浮かんでは消えていく。

「何だか、私のことで急展開になっちゃったみたいね。」
申し訳なさそうに、彼女が言った。
「いえ、いずれはこうしようと思っていましたから。」
そうだ・・・こいつに出会った時から、何となく結婚しそうな予感は感じていたのだ。
こういうのを、赤い糸で結ばれてるっていうんだろうか?

「手術は、必ず成功するわ・・・。」
彼女は気丈に言った。
「だって、孫の顔を見るまで死ねるわけないじゃないの。」
そして、嬉しそうに微笑む。
「もう、そんなの当たり前じゃないの。母さんには、まだまだ長生きしてもらいますからね。」

今まで張りつめていた思いが一気にゆるんでいくような気がした。
そう、絶対に手術は大丈夫だ!!
俺たちをつなぐ確かな絆を感じて、心からそう信じられる。
俺たちは、三人で顔を見合わせてほほ笑んだ・・・。





                         ~ 完 ~



                    この物語はこれで終わりです。

             来年からは、また別の話を綴っていきたいと思っています。

              今まで読んで下さった皆さま、ありがとうございました。


11月の話・・・「今年のうちに・・・。」

2009-11-30 17:29:02 | 小説
11月も残り少なくなってくると、だんだん師走に追い立てられるような気がしてくる。
今年のうちにやっとかなきゃいけないというか、やっといた方が後が楽でしょ?みたいなことが、まだまだ山積みだ・・・。

今頃になってこんなに焦るくらいなら、もっと早くから手をつけとけば良かったなんて後悔しても仕方ないことくらいわかってるんだけど・・・。

「難しい仕事でも抱えてるの?眉間にしわなんか寄せちゃってさ。」
(あっ・・・。まずい!今は一人じゃなかったんだ。)
「もう月末だから、あたしと会ってる時間なんてないのはわかってるけど、露骨にそんな顔されると、マジむかつくんですけど・・・。」
そう言うと、彼女はおもむろに紅茶のカップをガチャリと置いた。

「ごめん・・・。仕事のことを考えてたわけじゃないんだ。」
俺は素直に謝って、そう言った。

「じゃあ、何をそんなに考えてたわけ?」
はっきりしない俺の態度に、ますます彼女の機嫌は悪くなっていく。
「いや、まだ今は話せない。」
「何よ、それ・・・。」
今にも頭から湯気が出そうなくらいに怒っているのが、手にとるようにわかったけど・・・。
「ごめん、俺、明日から旅行に出るから・・・。帰るよ。」
今まで怒っていたのに、目が点となったしまった彼女を残して、俺は店を出た。

とにかく、今はまだあいつには何も言えない。

事の発端は、昨日のことだった。

突然、あいつのお母さんから電話をもらったんだ。
なぜ、あいつにではなく俺だったのか、最初は面食らったんだけど。

「あなた、あの子と結婚する気ある?」
唐突にそう聞かれ、俺はもっと驚いた。

「今の素直な気持ちだけでいいから聞かせてほしいの。」
俺は焦った。だって、まだあいつを幸せにできる自信がなかったから・・・。
気持ちだけで、突っ走れるほど若くもないような気もしたし。
でも、とにかく嘘はつきたくなかったから、こう言った。
「娘さんを好きな気持ちは誰にも負けない自信はあります。」
「そう・・・。それなら、あなたには本当のことを言うわ。」

本当のことって・・・?

「私、来週、心臓の手術をするのね。成功率は五分五分ですって。」

俺は、思わず息をのんだ。

「でも、まだあの子には言ってないのよ。そんなこと知ったら今の生活をなにもかも捨てて、こっちに帰ってくることがわかってるから。」

「でも、知らせないわけにはいかないですよね?そんな大事なこと。」
「ええ、わかってる。だから、まずあなたに聞いてほしかったのよ、私の気持ちを。手術がどっちにころんでも、今の暮らしを捨てないようにあの子を説得して欲しいの。あの子が、私の人生の巻き添えをくらうなんて嫌なのよ。」

「とにかくこんな話、電話でなんてすませられませんよ!!僕、できるだけ早くそちらへ行きますから。」
そう言って電話を切ったのだが、頭の中は混乱していた。
職場に無理を言って有給をもらい、明日の出発にこぎつけたんだ。
帰ってくるまで、あいつには話せない・・・。
俺は、早々に準備をすませ、ベッドに潜りこんだ。







10月の話・・・「ハロウィンパーティー」

2009-10-31 09:32:55 | 小説
早いもので10月も今日で終わりだ。
今年がもう2ヶ月しかないなんて信じられないけど・・・。

月末が土曜日って何だかのんびりできていいよな・・・なんて思っていたのに、
あいつからの誘いで出かけることになっていて、のんびり朝寝坊もできやしない。
仕方なくいつもと同じ時間に起きて、コーヒー飲みながら新聞でも眺めていた。

「天気は良さそうだな。」
そんなことをつぶやいて窓の外をみる。
秋晴れって空が高くて、気持ちがいい。

ピンポ~ン・・・。

何時でもいいとは言ったけど、もう来たのかよ?張り切ってるな・・・。
ドアスコープを覗くと、ご丁寧にも魔女の恰好をしてるらしいあいつが立っていた。
朝からテンション高いなぁ・・・。俺は、素直に感心した。
車じゃないから、ドアの前でかぶったのであろう状況を想像するだけで笑ってしまうけど・・・。

「あいにくお菓子は持ち合わせてませんけど、いたずらはしないでね!」
ドアを開けながら、俺はこらえきれずに吹き出した。
「何だ!知ってたの?つまんないなぁ。」
俺だって今日が何の日かくらいは知っている。
「お菓子がないことくらいわかってたから、クッキー持参で来たわよ。」
「それ、作ったの?」
「当然っ!!」
誇らしげに俺に見せびらかすだけあって、かわいらしくラッピングまでしてある。
「かぼちゃのプリンも作ったのよ。」
「へぇ・・・。すごいじゃん!」

先月、数日間一緒にいて、料理の腕もいつの間にか上がっていたのは驚いたけど、
ここんとこお菓子にまで領域を広げているらしい。
こういうところは健気なんだよなぁ、こいつ・・・。

「帰ったら食べようね。ほら、さっさと支度して!!せっかくのお天気なんだから。」
勝手知ったる冷蔵庫にプリンをしまったかと思うと俺をせきたてる。

やれやれ・・・。これじゃあ、尻に敷かれるのは確実かも。
先が思いやられるなと思いながらも、自然ににやけてしまうのは何故なんだろう?
世話を焼かれるのも悪くないっていうか、だんだんこいつのペースに乗せられっぱ
なしな俺・・・。

しっかりしろ!!今なら、まだ間に合う・・・んじゃないか・・・?






9月の話・・・「思いがけない休日」

2009-09-30 20:21:18 | 小説
先月、夏休みをもらったばかりなのに、今月また五連休ときたもんだ。
巷じゃシルバーウィークって盛り上がっているけど、
今回もノープランの俺としては正直持て余してしまいそうだ。

それに、新型インフルエンザもあちこちで流行ってるみたいじゃないか。
大体、何でこんなに暑い時期にインフルなんか流行ってんだよ?!
寒い冬だけ気をつけてりゃ良かったんじゃないのかよ?
これじゃあ一年中、どう対処したらいいのかわかんないじゃん。

「ねぇ・・・。で、どうするの?」
「えっ?」

不意に声をかけられて、思わず飲みかけのコーヒーをこぼしそうになった。

「またぁ~!いっつも人の話、聞いてないんだから!」
「悪い、悪い・・・。」
俺は、両手を合わせて、ごめんねのポーズを作ってみた。

「どうせ、またインフルのこととか気にしてたんでしょ?」

何でわかる?図星だよっ・・・!!
いつでもプラス思考のこいつからしたら、俺なんてせこい男なんだろな・・・。

「そんなもん、かかってもいないうちから、気にしたってしょうがないでしょ?」
「いや、下手すりゃ死ぬかもしれないんだぜ?」
「かかることビクビクするより、体の免疫力を上げる努力でもしたら?」

俺のあまりのチキンぶりに、呆れた顔でオレンジジュースを飲みほした。

「そんなに心配なら、ずっとあたしん家にいる?」
「えっ?!」

意味がわからず、俺は口に含んでたコーヒーを吹き出しそうになった。

「どこにも出かけなきゃ、感染の心配いらないでしょ?」
「そりゃそうだけど・・・。」
「よし!決まり。じゃあ、そうしよう!」
「明日、仕事が終わったら待ち合わせて、二人で5日分の食料調達ね!」

「マジかよ?」
今度は、水も飲みほして、あいつが言った。
「大マジよ!いわゆる同棲ごっこね。」
「は?」
「五日も一緒に過ごせば、お互いのこともっと見えてくるってもんでしょ?」

こいつ、こないだの仕返しか・・・?
俺のこと試してるのかも・・・。
ここで、ひるんだら男がすたるぜっ!!

「よし!望むところだ。」

あ~・・・。なんてことだ。売り言葉に買い言葉みたいな展開で
こいつの部屋で過ごすことになっちゃったけど、今さらながら考えたら
とても冷静じゃいられないかもな。
もう運を天に任せるしかないか・・・。

俺は、ゆっくりと冷めたコーヒーを飲みほした。





8月の話・・・「夏休みの思い出」

2009-08-26 01:59:27 | 小説
どこからともなく、ひぐらしの声が聞こえてくる。

都会と違って、ここではゆったりと時間が流れていくなぁ・・・。

今日も、早目の入浴をすませ、ぶらっとそこまでと
散歩に出た俺だったが、夕暮れ時の穏やかな風景の中に身をおいていると
それだけで幸せな気分を味わえる。

あいつはというと、実家といえ、旅館を営んでいるわけだから
何かしら忙しく家業を手伝っていて、こうして一人で過ごす時間も多い。

俺もこちらに着いた時に、手伝いを申し出てはみたのだが、女将に、
「あなたは、お客様なんだから、存分にゆっくりしていてね。」
と、厭味などではなく、心から言ってもらって、お言葉に甘えている。

実際、旅館の仕事など、右も左もわからない俺がうろちょろして
旅館の評判を悪くするのもなんだし・・・。

「ごめ~ん!!ほったらかしで・・・。」

そんなことを考えていて、突っ立っていたら
仕事が一段落したあいつが駆けてきた。

ここに来るまでまったく知らなかったのだが、あいつは
母一人子一人で、お父さんを、早くに亡くしていた。
だから、お母さんは女手一つで女将をしながら、あいつを育ててきたそうだ。

だからこそ、娘の幸せを誰よりも願っていたんだと思う。

「何もないとこだから、そろそろ退屈してきたでしょ?」

ここにいる間は、一応若女将だということで、
和服を着ているから、その姿を見る度にドキッとしてしまう。

「い、いや・・・そうでもないさ・・・。」

「もうっ!!大概で、このカッコに慣れてよねっ!!そんなリアクションされたら、こっちの方が恥ずかしいよ。」

「慣れるわけないだろ?いつもとあまりにギャップありすぎなんだよ。」

照れ隠しに、わざと憎まれ口をたたいてしまう・・・。

「明日は、一日ゆっくりどこかへ出かけられるよ。最後なんだから、手伝いしなくていいって言われてるし・・・。」

「でも、お母さん、大変なんじゃないのか?」

「いいの、いいの!にわか若女将なんて、足手まといなだけよ。」


長かったような夏休みも明日で終わりか・・・。
明後日からは、またいつもの暮らしに戻っていくんだよな。

「なぁ・・・。俺、ここに来て良かったよ。お母さんにも会えたし、お前が大切に育てられてきたってことも実感できた。」

「何しみじみ語ってんの?珍しいね。」

俺は、それには答えずに黙って歩き出した。

「今度ここへ来る時は、結婚の許しをもらいにかな・・・。」

ぽつりとそう呟く・・・。

背中に、あいつの時間が止まるのを感じた。
俺の方だって、心臓バクバクだ!!

「今・・・なんて言ったの・・・?」

「内緒だよっ・・・!!」

俺は、浴衣のまま猛ダッシュした・・・。








7月の話・・・「夏休みの予定」

2009-07-25 08:22:36 | 小説
梅雨明けが例年より遅くて、何か肩透かし食ったみたいな気分だけど
いよいよ夏到来って感じだぜ・・・。

今年は、どんなイベントを楽しむか、夏休みを前に
ちゃんと計画立てとかないといけないよな。

あいつの休みの予定を聞いて、思い出いっぱいの何か・・・って
俺ってなんか少女漫画みたくねぇ・・・?

そんな、大げさなものじゃなくていいから
二人でのんびり旅行でも行きたいよな・・・。

いつもと、シチュエーション変われば、今の関係から一歩前進・・・
なんてことも夢じゃないし・・・。

将来のこと、ゆっくり見据えてみるのにも最適じゃん!!

あいつは、行き当たりばったりでも全然OKってタイプだけど
俺はきちんと計画立てなきゃ気がすまない。

だから、綿密なプランニングは絶対必要なんだ!

早めに計画立てといて、後は、楽しみにしながら
その日を迎える・・・なんて最高じゃん・・・?

そんなわけで、今日はあいつと夏休みをどう過ごすか決めるために
会う予定になってる。



「ごめんっ!!待ったでしょ?」

息を弾ませて、いきなりあいつがやって来た。

「いや、大して待ってないよ。」

遅れないようにと、かなりの余裕をもって、ここに来た俺だったが
涼しい顔でそう言った。


「で、夏休みどこ行きたい?」

あいつの希望を聞こうと尋ねた俺に、あいつは突然こう言った。


「今年は、あたしの田舎に行って、のんびりしてみない?」

(え~っ?!)

俺は、飛び上らんばかりに驚いた。

(いきなりかよ・・・?)

窮地に追い込まれた獲物のように、情けなくオロオロしてしまう不甲斐ない俺に
あいつは追い討ちをかけるように言い放った。

「だって、どうせまだノープランなんでしょ?」

「まぁ、ちったぁ考えてはいるけど・・・。」

と、虚勢を張ってはみたものの、具体的な案など煮詰めてはいないわけで・・・。

「じゃぁ、決まりね・・・。」

にっこり笑うあいつを前に、俺は何だか尻にしかれているみたいだ。

「別に、大げさに考えないでよ。見合いしろってうるさいから
彼氏いる・・・なんて口滑らせたら、どうしても連れて来いって聞かないんだもん。」

まったく、そんな大変なことを簡単に言ってのけるヤツだ・・・。

「いいじゃん、うち旅館なんだし、大威張りでくつろいでりゃいいのよ。
これでも、結構人気の宿なんだよ~。」

(そういうことじゃないだろ・・・?)



思い出作りの旅行が、いきなり親とご対面なんて・・・。

遥か彼方の惑星まで、ワープしちゃった・・・・みたいな?

言いだしたら、そのままGO・・・!!のこいつのことだ。

きっと、もう親には連絡済みのはず・・・。

ここは、諦めるしか・・・いや、腹をくくるしかないのかも・・・。

(思いもかけない発展ぶりだぜ・・・。)

思わず、額の汗を拭う。

「そうだな・・・。意外とのんびりできるかもな。」

極力、冷静さを装って、そう言うしかない俺だった・・・。




6月の話・・・「意識するよな、6月は・・・。」

2009-06-23 21:21:29 | 小説
あいつは、何にも言わないけれど・・・こっちが勝手にプレッシャー感じてしまうよな。
ベッドに寝転び、一人天井なんか眺めてると、ふとそう思う。

6月ってジューンブライドの呪縛、というか響きが重いよ。

軽い付き合いなら、なんちゃぁ思わないんだけど、こうも長い付き合いだと自然に意識してしまう。

大体、あいつは俺とのこと、どう思ってるんだろう?
ずっと付き合ってきた感じとして二股かけられてるなんてことは、考えられないし、(それって、俺の自意識過剰?!)そろそろ、結婚意識してたりするのかも・・・なんて。

俺としては、今年中にはケリつけたいと、漠然とだけど思ってるもんで、そんな風にプレッシャー感じるだけかもしれないんだけどさ。

でも、実際問題として、ハイ、しましょうか?、ってすぐに結婚なんてできないよなぁ・・・。

先月、掃除に来てくれたことで、そもそも心穏やかじゃなくなっちまったわけで、あれから妙に意識してしまうようになったんだ。

(らしくなくて、可愛かったんだよなぁ・・・。)

思い出すと、柄にもなく胸が苦しくなるし・・・。

近頃じゃ、女からプロポーズってのもありみたいだけど、それは絶対ダメだ!!

やっぱ、俺からビシッと言わなきゃ・・・。

でも、何て言う?

あぁ、照れるっ!!とても言えねぇっ!!

いや、まず指輪か。順番、逆だな。

まずいっ!俺、あいつの指のサイズも知らないよ。

ピンポーン♪

不意にインターホンが鳴った。
反射的に身体を起こす。

(今時分、誰だよ?)
訪問販売なんかだと面倒なので、そーっとドアスコープを覗く。

立っていたのは、あいつだった。俺は急いでドアを開けた。

「ヒマしてるかなって思って・・・。クッキー多めに作りすぎちゃったし・・・。」

(嘘、みえみえだし・・・。)

「あぁ、ちょうど腹へってたんだ。入れよ。」

俺のために作ってくれたクッキーに感激してるのに、こんな言い方しかできない俺って、めんどくせーっ!!

「どうせ、ないだろうと思って紅茶も持ってきたよ。クッキーに合わせたヤツ。」
いや、こいつも負けてねぇ・・・。素直じゃない!

このままじゃ、俺たち、前途多難、かもな・・・。









5月の話・・・「今日は完敗・・・。」

2009-05-14 19:50:57 | 小説
「あ~・・・よく寝た・・・。」
あくびをしながら、大きく伸びをして、あたしは勢いよく飛び起きた。

5月になって、あいつも新しい職場にも慣れただろうし、となると、仕事に追われて部屋も散らかってきてんじゃないかな?今日はちょうど何の予定もないし、昨夜は早寝したから、すっきり目覚めたし、どれ、掃除にでも行ってやるか・・・。そう思ったら、じっとしてらんなくなって、早々と家事をすませて、あたしは部屋を後にした。

だけど・・・。
あいつの部屋の前まで来たら、何だか急に、インターホンを押すのをためらってしまう。
大体、相手の都合も聞かずに、いきなり来るなんて、まったく押しかけ女房だよねぇ・・・。
こんなことなら、電話でもかけてから来れば良かった・・・。
せっかくの休みだもん・・・。ゆっくりしたいかもしれないし、第一、誰かと先約あるかもしれないし・・・。
やだ、あたしってば、今更、何を意識してんだろ・・・?

あれこれ、考えてると、いきなり目の前のドアが開いた。
「きゃっ・・・!!」
びっくりして不覚にも、らしからぬ悲鳴を上げてしまう。
「さっきから、人の部屋の前で、何してんだよ。」
人の気も知らず、あいつは能天気な顔して、そう言った。
「さっさと入れよ。ブツブツ独り言なんて、まわりの人に変に思われるだろ?」
しまった・・・!!全部、聞かれてたか・・・。
思わず、赤面・・・。あたし、何やってんだろ?

「うん・・・。」
部屋に入ったものの、微妙に気まずい雰囲気だ。
「どうせ、俺の部屋が汚いだろうからって、いそいそと掃除しに来たんだろ?」
悪戯っぽい眼をして、あいつが言う。
やばい・・・。完全、見抜かれてる。あたしの思考回路丸見えじゃんか・・・。
「そんなんじゃ、ないけど・・・。」
取り繕ってはみたものの、繕いきれない。
「俺だって、いつまでもガキじゃないんだから、部屋くらい掃除できんだよ!」
「そっかぁ・・・。」
何だか、肩透かしくらったみたい。

「いい天気だし、どっか行くか?」
「そうだね・・・。」
あ~、もう今日は完全あいつのペース!あたし、どうしちゃったんだよ~!!
「行きたいとこあんなら、言えよな。」
悔しいけど、優しく微笑んでるあいつ見てると、何か急に頼もしく思えてきて、眩しいな・・・。


4月の話・・・「新しい生活」

2009-04-02 19:54:06 | 小説
4月を迎え、慣れ親しんだ職場から転勤という形で、住まいも仕事場も新しくなることになった。

住まいは社宅扱いなので、家賃の負担もほとんどなく、間取りも前より広くなって、ひとり住まいには、もったいないくらい快適だ。
それに、新しい職場にも、歩いていけるという願ってもない環境だ。
何より、あいつの部屋にもぐっと近くなって、まさにいいこと尽くめの転勤だった。

前の職場での仕事が、ぎりぎりまで立て込んでいたので、4月までずれこんでの今朝の慌ただしい引っ越しとなった。
ようやく新しい部屋に荷物をつめこんで、昼飯でもと思って外へ出た。
ゆっくりできるのは今日だけで、明日からは新しい職場での仕事が始まる。

何気なく空を見上げると、風に舞う桜の花びらが目に入った。
「桜ももう終わりかぁ・・・。」
思わずつぶやく・・・。

今年はゆっくりと花見もできなかった。
ていうか、毎年、年度末は忙しすぎて、ここんとこゆっくり花見なんてしたことなかったっけ・・・。

久しぶりにゆっくり桜を見上げていると、時間の流れまで止まった気がしてくるから不思議だ。

不意にあたりが騒がしくなって、声のする方を見ると、学校帰りの小学生たちの声だった。

元気に駆けていく子供たちを見てると、自分が小学生だった頃が、はるか昔に感じられる。
背中のランドセルが左右に揺れていて、今にも中身がこぼれそうだ。
「一学年、進級して新しい友達なんかも、できてく頃なんだろうなぁ・・・。」

子供ってのは、大人に元気を与えてくれる存在だ。
少子化なんて言われてるけど、こうして元気な小学生を目の当たりにすると、そんなに昔と変わった気がしなくて、みんな、真っ白な心のまま大人になるんだぞ・・・!とエールを送りたくなる。
俺も歳をとったのか・・・?
何か、オヤジみたいな台詞だし・・・。

でも、考えてみりゃ、俺だって、自分に子供がいてもおかしくない年なんだよな。
いつまでも、なりそこないの大人のままじゃいられやしないんだから。

そう思うと、ふとあいつの顔が浮かんできた。
「何で、ここであいつの顔が浮かぶんだよ・・・!!」
何気に頭をかきむしる・・・。

いや、今年は、後回しにばかりできないこともあるのかもしれないな。
もしかして、決断の時か・・・?